BzhYX6GCQAA6Jcd(10月9日にロンドンで行われた行われたクルド連帯デモ)


われわれは、なぜ、どのようにしてISISに反対すべきなのか


2014年10月2日

ソーシャリスト・レジスタンス


http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3647

●われわれは、なぜISISに反対すべきなのか



ISISはシリアとイラクの主要な地域、そしてクルディスタンの重要な部分を支配し、あるいはその支配圏をめぐって争っており、レバノンに侵入した(ベッカー高原のエルサルで)。

かれらはモスル、ならびにかれらが支配するあらゆるところでテロ支配を行い、その途上でかれらの女性蔑視のワッハーブ派イデオロギーに従わない人びとを処刑し、大規模な虐殺を遂行している(シーア派やクルド人に対して)。

かれらは諸勢力や同盟者の輪でバグダッドを包囲している。バグダッドをめぐる闘いはすさまじいものとなる。

かれらは若い女性を誘拐し、その女性たちを極度の虐待、拷問、性的暴力、奴隷的体制の下に従わせている。誘拐された女性たちは、家族に電話し、何が起きているかを語るよう強制され、彼女たち自身と家族をさらなる屈辱、恐怖、悲痛に追いやることまでしている。一部は奴隷として売り払われる。

かれらは、デリゾール(シリア北東部の都市)やシリア第二の都市アレッポとその周囲でシリア反対派諸勢力と闘って解体した。アレッポはISISによって陥落させられる危機に直面しているようだ。

ISISは、すでに二年にわたって、シリアのコバニのクルド人多数派地域を包囲してきた。

九月一五日以来、ISISはシリアにおける三つのクルド人自治地域の一つであるコバニに対して、三方向からこれまでで最大規模の攻撃を行ってきた。四番目の側面は、部分的にトルコ軍がカバーしている。かれらはヤズィーディー教(訳注:クルド人の民族宗教)信徒のクルド人は数百、あるいは数千の規模で虐殺し、生き残った人びとをかれらの昔からの故郷であるシンジャル(イラク北部)から追放している。一部の村落で戦闘が続いており、少なくとも三〇〇〇人の女性が行方不明になっている。

かれらはすべてのキリスト教徒、アッシリア人(訳注:イラク北部の少数民族、キリスト教徒)、トルクメン人(訳注:イラク国内の少数派トルクメン人はシーア派イスラム教徒)をニネベ平野(モスル近く)から追い出した。米国によって形成された「連合」は、モスルを取り戻すクルド人ペシュメルガ(イラク・クルド人の民兵組織)の計画に関与しているようである。これまでのところ一部の村落が取り戻された。

かれらは財政的・政治/宗教的支援を、少なくともサウジアラビア、カタール、トルコから引き出しており、そのすべてが「有志連合」(米国が主導してISISへの軍事攻撃に参加した諸国)に加盟している。「有志連合」は再びイラクで、そして新たにシリアで爆撃をし始めた。

かれらはトルコからますます公然たる軍事的支援を引き出している。トルコの意図は、コバニのクルド人勢力を粉砕するところにある。

かれらは、正確な数は未定だが相当数に達するイラク軍のシーア派信者を虐殺した。


かれらは、後退するイラク軍や、さらにおそらくモスルやシンジャル周辺で後退するKDP(クルド民主党)ペシュメルガ、この闘いに参加したシリア反対派から得た強力な米軍兵器の大武器庫を持っている。そしてかれらは捕獲した大量のシリア陸軍・空軍の武器を持っているに違いない。そのすべてが、イラクとシリアの多くの場所で民衆を攻撃するために使われているのだ。

かれらは米国人、米国系イスラエル人、英国人を処刑し、その死刑執行ビデオを送りつけた。

かれらは、ナイーブで怒りに満ち、そして心を乱されたムスリムの若者を、欧州からさらに世界中から引きつける極として行動している、

リビアやチェチェンで経験を積んだジハーディストがかれらの隊伍にいる、と評価されている。

かれらはFSA(自由シリア軍)の戦士たちを自らの隊伍に組み込むことによってFSAを解体した(その数は明らかではないが、現象としてこの事実は繰り返し報じられている)。

かれらの行動は大規模な「イスラム嫌悪症」を培養しており、それは西側のリーダーたちにとっては分裂の道具としてきわめて有効である。



●われわれはISISにいかに反対すべきか



われわれは、ISISの統治を拒否し、ISISに対して自らを守っており、その多くが民主主義、自決、社会的公正に信頼を置いている地域の人びとを支援することで、ISISに反対すべきである。地域の人びとが自己防衛に成功すればするほど、帝国主義からの独立を主張し、帝国主義による従属に抵抗し、ISISの存在を利用してイラクとシリアへの支配を再び主張する米国・英国・EUのプランを全般的に断ち切ることができるようになる。

われわれは、シリアで依然として機能しているFSA(自由シリア軍)内反対派グループ(「ソーシャリスト・レジスタンス=第四インターナショナル・ギリシャ支部」は、「シリア連帯運動」を通じて、すでにこのグループを支持している)、YPG(クルド民族防衛グループ)、女性組織をふくむイラクの反宗派的組織を支持する。全欧州と中東のクルド人組織は、大衆的デモ、占拠行動、ハンストを恒常的に行っている。ロンドンに本部があるRoj Women(訳注:クルド人・トルコ人女性の権利擁護組織)はクルディスタン、イラク、シリアの女性と連帯するキャンペーンを開始しており、われわれはこの運動を支持する。

医療支援での助力を望む人は、「ハンド・イン・ハンド・フォー・シリア」やHeiva Sor(クルド赤三日月社)を通じて行うことができる。

またわれわれは、ISISが外部――トルコ、カタール、サウジアラビア――から得ている直接的支援を暴露するために最大限の力を傾注すべきである。そして米英両国によるここ一〇年以上に及ぶ宗派主義強化政策――マリキ前政権を通じるものを含めて――や、民衆的勢力の武装化に失敗しながらシリアの極右勢力を力づけたかれら(米英)のやり口を指摘すべきである。これらすべてがISISの勃興を助けたのだ。

トルコは、北シリアの一部を彼らが支配し、ISISとともにやりたいことができる、クルド人のいない「緩衝地帯」にすることを望んでいる。われわれはこれについての米国の見解の正確なところは分からないのだが、米国がトルコとの国境の破壊は言うまでもなく、クルド人自治地域の創設を促しているようには思えない。もし米国が本当にコバニの住民を助けたいと思っていたのなら、トルコにもっと圧力をかけ、イラクのクルド自治政府に向けたとされる武器の一部をコバニに送っていただろう。しかしそんなことは起こらなかったのであり、その意図自身が疑わしい。



●有志連合の空爆



われわれは有志連合諸国の空爆に反対する。米国は、イラクとシリアの事態に再び介入するためにISISを口実に使っている。新しい地域的パワーが死亡や人災にかかわる問題で統制の利かない状況になるのが、もっと憂慮すべきことだ。こうしたことが起きていなかったとしても、われわれはバグダッド住民の宗派主義的殺害や、それ以外での地域における二〇〇三年の侵略以来となる恐怖の中での生活について聞かねばならないことになった。

ISISのようにつねに移動している勢力に対して空爆はきわめて有効というわけではない。すでに間違った場所で、間違った時間に行われた空爆で市民が殺されており、いかなる理由であれ、コバニ周辺に集結したISIS勢力を抑止するために空爆が使われることはなかった。

最近のシリアにおける空爆は、アルビール(訳注:イラク北部クルド人自治区の中心都市)の近くで数週間前に行われた空爆と同様に、一般的には認識済の米国の利益を守るためのものであった。つまりISISを弱体化させるためであって、地域の住民を支援するためではなかったのである。われわれはさらに次のことに注意すべきである。一部の非ISIS反対派グループの指導部がここ数日間ターゲットになっており、いくつかの場合、それは明らかにシリア政権によるものであった。

米国の情報によれば、九月二二~二三日の米軍の夜間爆撃で一七〇人のISISメンバーが殺害された。 米軍はおそらくISISの「首都」ラッカへの攻撃で、きわめて甚大なダメージを与えた。しかしラッカにはいまなお数千人の戦士が、あらゆる武器を保持したまま活動している。もちろん市民の被害も報じられている。したがってかれら(ISIS)のターゲットと、シリアの反対派勢力の残った部分は、コバニと同様、依然として強い圧力の下に置かれている。

われわれは、イラクとシリアでISISに反対している人びとに武器を支援すべきである。しかしわれわれは帝国主義者が進歩的勢力を武装させようとしないことを認識しており、それは進歩的勢力自身の資源と、連帯の力に依存しなければならないだろう。有志連合諸国のプロパガンダは、述べている。「爆撃以外の代案はない。しかしISISへのレジスタンスを武装させようとするのなら、このレジスタンス勢力は三年前に立ちあがったシリアの反対派勢力よりもはるかに強大である必要がある」。もしイラクとシリアの人びとが、ISISに対して自らを守る権利があるのなら、かれらは自分たちを守るのに必要な武器を手に入れるべきである。

八月に大がかりな声明を発表した後、米国主導の「有志連合」はイラク政府を通じて一部の装備品を送った。その多くはおそらく政治的理由で止め置かれ、限定された一部の量がKDP(クルド民主党)部隊に送られた。最近PUK(クルディスタン愛国者同盟)の情報では、自分たちが新しい重火器を全く見ていないと不満を述べている。シリアのYPG(クルド人の「人民防衛隊」)は、デンマーク政府が軍事装備を送ることを許容する投票を行ったデンマークの「赤と緑の同盟」の希望(参照:【対「イスラム国」】デンマーク「赤と緑の同盟」(RGA)の立場)に反して、いかなる武器も受け取っていない、と不満を述べた。

ISISとアサド政権の残忍な弾圧に対して自らを守ろうとする人びとは、武器を獲得すべきである。シリアが示したように、より進歩的で民主主義的勢力が彼ら自身の財力に依存しなければならない時に、外部の諸国は大量の武器を最も反動的な要素に与えているのだ。

われわれは空爆に反対する。かれら連合諸国は、この地域への西側帝国主義の支配を強化しようという意図を持っているのであって、ISISの手中で被害をこうむっている民衆を救おうとしていないからだ。さらに空爆は、つねに罪のない多くの局外者を殺す結果になるからだ。われわれは、ISISに反対して自らを守っているイラクとシリアの人びとを支援すべきである。ニュースを見ている西側の人びとの多くは、空爆で安心しているのではなく、ISISに対して自らを防衛している人びとへの支援を望んでいる。自らを守っているこの地域の人びとへの支援が、米国とその同盟国がふたたび戦争に向かうなかで、われわれが観ているイスラムフォビア(イスラム嫌悪症)の波を打ち負かすというのは、そのためである。(「インターナショナル・ビューポイント」一〇月号サイト)

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。