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 香港では街頭を占拠して民主化闘争がつづいている

【解説】香港の民主化闘争は、オキュパイ・セントラルという大規模な街頭闘争を成功させた。9月22日からはじまった大学生や高校生らの授業ボイコット運動、そして9月26日の街頭における機動隊の暴力と学生リーダーへの弾圧に対する広範な市民の憤激による自発的な街頭占拠闘争、9月29日には学生と市民による街頭占拠闘争を支持するための独立系労働組合ナショナルセンターによるゼネスト宣言を経て、10月1日の国慶節には10万余りの市民が、行政長官官邸から見下ろすことができる大通りを含む市内数か所を占拠するまでに発展した。オキュパイ運動は(1)中国政府が決定した2016年議会選挙(職能別議席の温存)と2017年香港行政長官選挙(親中派が占める候補者選定委員会による候補者の確定)の方法を撤回すること、(2)行政長官および選挙制度改革チーム責任者の辞任、(3)オキュパイ空間の確保などを要求している。以下は、独立系労働組合ナショナルセンターのゼネスト呼びかけ当日であり、市民による自発的な街頭占拠が始まりつつあった9月29日未明に書かれた林致良同志の呼びかけである。(H)

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人民による正義の闘争を支持し、偽りの選挙に反対する
下からの組織化と長期的な闘争の準備を!


林致良


ここ両日、数万の香港市民、特に青年たちが、無私無欲の精神を発揮し、自発的に集会闘争を展開し、香港政府本庁舎前の学生たちを支援している。大衆運動は拡大し継続しつつある。本日未明、一部の市民はすでに自発的に銅鑼湾と旺角の通り[どちらも繁華街]を占拠した!

闘争に道理あり
偽りの選挙を恥じよ


デモに参加している市民たちは、行政長官の選出方法についての中国全人代常務委員会の決定に反対し、市民候補者と自由選挙の真の普通選挙を要求している。これは全く正当であり、かつなんら急進的な要求ではないにもかかわらず、北京当局はかたくなにそれを拒否している。北京当局は、選挙候補者指名委員会によってふるいにかけられた候補者のなかから、有権者が一人一票で選ぶ選挙を普通選挙として香港人に押しつけようとしている。このような方法は上流階級の特権を保障し、市民の真の選挙権を奪うものでしかなく、そもそも普通選挙と呼ぶことなどできない代物である。このような反動的制度と公然たるペテンに反対するために、学生たちが授業をボイコットし、市民らが平和的な集会を行うことは、まったく正当な闘争にほかならない!

各分野の闘争のための
プラットフォームの組織を


政府によるかたくなな拒否から、真の普通選挙をかちとる闘争は長期の奮闘が必要となるだろう。より多くの香港市民の支持が必要となるだけでなく、中国人民の支持を得ることが(すでに中国国内のSNSなどでは香港人民を支持する書き込みなどが見られる)、勝利をかちとるカギになるだろう。必要なことは香港の労働者民衆による下からの組織化であり、労働者、学生、女性など各分野の闘争委員会を組織し、民主化闘争の継続を共同で準備する必要がある。

街頭での議論の組織を
生活分野での民主化をいかに実現すべきか


真の普通選挙を実現することはごく当たり前のことであるが、しかしそれだけでは深刻な人々の生活困窮問題を解決することはできない。今日の民衆、とくに青年たちは、物価高騰、低賃金、長時間労働、公共住宅への永遠の入居待ちなど、未来に展望を見出すことができない。こうして織りなされるさまざまな不満は資本主義社会に普遍的な現象であり、香港においても例外ではない。それゆえ、われわれは政治制度の民主化を実現する必要があるとともに、同時に生活の困窮も改善しなければならない。専制反対の政治闘争と大企業独占反対の生活経済闘争は相互に補完するものである。

真の普通選挙は香港市民による現状変革のツールの一つであり、われわれは積極的にこのツールを手にしなければならない。同時に「われわれの生活はいかなる抑圧に直面し、その抑圧は何故に生み出されているのか?もし市民派候補者が実現するのなら、われわれはいかなる政治的手段で理想的な生活を保障し実現するのか?」について検討し討論することが極めて重要である。

大規模な大衆集会で最も貴重なのは、異なる業種、異なる居住区の人々が遭遇するチャンスをつくりだすことである。われわれは街頭で民主的政治制度を実現しようと奮闘する市民の皆さんに、みなさんの周囲の10~20人を一つの単位としたグループをつくることを呼びかけたい。そしてそこで、真の普通選挙というツールの実現のだけでなく、理想的な民主主義にはどのような実質的な内容が含まれるのか、われわれが考える真の民衆のための政府は物価高騰、低賃金と長時間労働、家賃高騰などの問題をいかに解決するのか、いかにして民主主義を経済生活のなかで実現するのかなどについて、討論することを呼びかけたい。

人民による積極的な討論を通じたコンセンサスの形成こそが、民主主義を選挙の時だけのものに限定させず、真の民主的生活を実現させることができるのである。

2014年9月29日 午前3時