IMG_0601 (1) 九月二三日、東京・亀戸中央公園で「川内原発再稼働するな!フクシマを忘れない!9・23さようなら原発全国大集会」が「さようなら原発」一千万人署名市民の会の主催で開かれ、一万六〇〇〇人が集まった。当初予定されていた代々木公園での開催が同公園で蚊によりデング熱が発生したことにより、急きょ会場が変更になったにもかかわらず、天候にも恵まれ、予想をはるかに超える人々が全国から集まった。

 第一ステージと第二ステージで音楽ライブとトークが繰り広げられ、会場には三〇以上のブースが設けられ、それぞれ展示や販売で宣伝した。

 第一ステージでは、正午過ぎからエセタイマーズのライブがあり、午後一時からトークが始まった。司会は木内みどりさん(女優)。最初に、反原発企業を支える城南信用金庫の吉原理事長、脱原発市長の三上湖西市長、当初共催が予定されていた首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんが紹介された。福島原発の象徴として扱われてきた「原発は明るい 未来のエネルギー」の標語を小学六年の時つくった大沼さんも紹介された。大沼さんは原発事故以後、その言葉を「原子力破壊 未来のエネルギー」に変えた、という。


 トークの最初は呼びかけ人の鎌田慧さん。「安倍内閣は亡国内閣だ。福島第一原発から一日四〇〇トンも放射能を含んだ汚染水が海に流されている。何のためか。カネもうけのためだ。吉田所長の調書の件で朝日新聞が攻撃されている。原発爆発後九五〇人が第二原発に退避した。これを吉田さんは把握していなかった。これほど収拾がつかなかったのだ。朝日バッシングによって『東電社員は逃げていない。がんばった』と、再稼働に向けて神話をつくろうとしている。原発ペテンははっきりしている。さようなら原発、未来を守る」。

 大石又七さん(第五福竜丸元乗組員)がビキニ被ばくと福島原発について語った。

 「九月二三日は被ばくした無線長の久保山さんの命日だ。福島と水爆実験はつながっている。六〇年前、ビキニ環礁で水爆実験が行われた。その海域には一〇〇〇隻の漁船がいて、放射能被害にあい、世界中で反対運動が起きた。米政府はマグロを食べても身体に影響がないと圧力をかけ、日本政府は八カ月で安全宣言
をした。現在、核兵器は一万七〇〇〇発あり、原発は四二七基(2010年)ある。半世紀間、内部被ばく研究はストップされた。原発と核兵器は同じ核であり、絶対反対だ」。



 橋本あきさん(原発いらない福島の女たち)は「あまり政治などに関心がなかったが、子どものアトピー皮膚炎により、原発に行き着き、沖縄・憲法集会などに参加するようになった。大飯原発差止判決で、豊かな国富(こくふ)という言い方がされているが、福島はその国富を喪失した。原発は怖いものだ。このことをもっともっと広げ、再稼働なんてとんでもない。つながっていこう」と訴えた。

 次に、向原祥隆さん(反原発・かごしまネット代表)が川内原発をめぐる状況を報告し、全国的な闘いで川内原発再稼働を止めようと訴えた(別掲)。

 続いて広瀬隆さん(作家)が発言した。「こっちが勝っている。安倍がやっているのは人事をあやつることだ。世論調査で再稼働に賛成二三%、反対五九%だ。二〇一六年、電力の完全自由化をひかえ、電力会社は崖っ渕に立たされている。稼働していない原発のために電気を使って核燃料棒を冷やしている。それに一兆二〇〇〇億円かけている。九電は再稼働のために三〇〇〇億円を使っている。北海道電力は新たに個人一七%、企業二二%の電気料金値上げを申請した。昨年の値上げと合わせると個人二六%、企業三六%の値上げになる。七五%が反対している」。

 「どうやって止めるか。原発立地の三〇㎞圏内の現地での運動で止めていく。それには福島の手を借りる。危険性、本音を伝えていく。そうすれば必ず変わる。福島原発の近くで牛に斑点が出来ている。国道6号線が開通したが二〇マイクロシーベルもある。ムザムザ殺されてたまるか」。



 韓国の反原発運動についてパク・ヘリョンさん(韓国・脱原発新聞共同代表)が「韓国で二四基の原発が稼働中、五基が建設中、四基が計画中だ。二〇三五年には四一基にする計画だ。一〇月九日、サンチョクで住民投票がある。脱原発に向けて日韓民衆運動で共に歩む」と語った。

 大江健三郎さん(作家)は「川内原発は避難計画など何もできていない。危険な再稼働に反対する。安倍政権の戦争や原発政策に対して大きな批判が起きているが、国民の抵抗はまだ弱い。ペシミズムに陥るのではなく、アメリカの戦争、原発政策に反対し、断固として進まなければならない」と語った。

 澤地久枝さん(作家)は「ある新聞が九月二三日は中止になりましたと報道した。ひとつになって、やらなければならない。『ただちに原発を即刻止める』と安倍に言わしたい。釜山の原発事故があれば日本でもただではすまれさない。世界中が原発を止めるようにすべきだ。東電などを『これでも罪を問えないのですか』と刑事告訴した。その責任ある役員らが現在電力関連会社の社長などになっている。こんなことは許せない。生き生きとして笑って闘っていこう」と訴えた。

 チェ・スーシン(台湾・台湾緑色公民行動連盟事務局長)は「福島原発事故後、台湾では台湾の原発に反対し二二万人がデモをした。最近、五万人が台北駅道路を占拠した。その翌日、政府は第四原発工事停止を発表した。全世界の人と団結して原発をゼロに」と台湾で大衆的に原発建設を阻止している運動を紹介した。

 最後に落合恵子さん(作家)が「根っこには命がある。猛暑でも原発ゼロで暮らしに何の問題もない。吉田調書問題、川内原発での火山の噴火の無視、もう一度怒りなおそう。こんな国を残してはいけない。動き続ける。声を上げ続ける。デング熱よりも天狗になった政権の方が恐い。再稼働しない。フクシマを忘れない」と檄を飛ばした。

IMG_0617 集会後、デモの先頭は午後二時半から出発したが、最後のグループが出発したのは、すでに午後五時半を過ぎてからだった。亀戸中央公園からJR錦糸町駅を通るコースを「再稼働反対、原発はいらない、フクシマを忘れない」と元気よくコールしながら道行く人々に訴えた。(M)

向原祥隆さん(反原発・かごしまネット代表)のアピール

 川内原発の問題点を明らかにしたい。第一に、事故がなくてもひどいものだ。川内1、2号機は建設から三〇年が過ぎている。毎日、七度高い温排水を川内川に流している。二〇〇九年、死んだ魚が二九尾打ち上げられた。海藻も絶滅し生えない。海の漁獲高は五分の一になった。放射能はごく微量だというが、一八〇〇億ベクレルの放射能を薄めて海に流している。大気中に一〇万倍の放射能を出している。薩摩川内市の医療費は他に比べて一〇倍も高い。もし、大規模事故が起きれば鹿児島、九州そして日本中が終わりだ。

 去年の七月八日、九電は再稼働の申請をした。政府、規制委員会は一体となり、再稼働を推進している。地震や火山の噴火の問題がある。ふざけるなと言いたい。七月一八日、九電会長と安倍が会食した。その席で安倍首相は「(再稼働に向けて)なんとかします」と話している。一〇月五~一九日、住民説明会が行われ、一一月中旬市議会、一二月県議会、一月再稼働のスケジュールが組まれている。むざむざ見ているわけにはいかない。五月の世論調査で五九%が反対だ。反対の比率はどんどん上がっている。近隣市町村を含めて全戸署名活動を行っている。

 三万人の過半数が署名してくれている。そのうちの八割が反対だ。姶良市議会では圧倒的多数で再稼働反対、廃炉の決議を上げた。薩摩川内市の自治会でも反対運動が広がっている。再稼働を断念させる。

 未来を開く。閉ざすわけにはいかない。奄美徳之島で再処理工場建設計画をやめさせたことがある。九月二八日、史上最大の集会を準備している。一歩も引かない。(発言要旨、文責編集部)