201409lf21

2017年の香港特区首長の選挙について、中国の国会にあたる全国人民代表大会は、完全普通選挙(立候補の自由を含む)の実施を求める香港市民の声を無視する内容の「決議」を発表した。

香港のラディカル民主派は、中国政府の回答如何によっては、大衆的なオキュパイ(占拠)戦術で、中国政府・香港政府に選挙案の変更を迫る闘争を公然と議論し、また社会的にも呼びかけてきた。

運動側はアジアの金融マーケットの中心のひとつである香港の中環(セントラル)地区を大衆的にオキュパイすることを呼びかけてる。


以下は、オキュパイ闘争を主張する団体の一つ、左翼21の声明。(原文はこちら

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民意を無視し、選別選挙に固執し、
産業界エリートの利益を擁護するとは恥を知れ!

2017年の特区首長選挙についての中国全人代「決議」を譴責する声明


2014年8月31日、中国人民代表大会[中国の国会]は次期の立法会および特区首長[香港議会と香港行政府のトップ]の選挙についての「決議」をおこなった。決議によると2017年の特区首長選挙の候補者は1200人で構成される指名委員会の過半数の賛成が必要であり、候補者は2ないし3人に限られるという。これは本年6月10日に中国国務院[中国の内閣]が発表した「一国二制度白書」、7月2日の市民的不服従への暴力的弾圧、8月17日にカネで市民を動員した「オキュパイ・セントラル反対デモ」につづき、市民の立候補権と一人一票で特区首長を選出するという香港市民の願いを無視するものである。

権力エリートが独占する選挙委員会


人民代表大会の「決議」では、指名委員会は現在の選挙委員会の枠組みをつかい、1200人を四つの業界別に分けて組織されるという。1200人の産業金融界の経営者、宗教指導者、専門職団体代表、政界から選ばれる指名委員会はなんら代表性がなく、その構成は政財界の利益に著しく偏ったものであることは言うに及ばない。とくに1200人の選挙委員のなかで、労働組合に割り当てられるのはたった60人だけであり、経営者の代表らとの完全なアンバランスに、われわれは留意せざるを得ない。このような「決議」は香港全土の386万人の勤労者をまったく顧みることもないのだ!

資本に肩入れし庶民を軽視する香港基本法


人民代表大会は、この「決議」は「香港基本法」に従って作られたと述べている。それが事実かどうかに関係なく、「基本法」そのものがすでに問題だらけのしろものなのである。まず、このいわゆる「憲法」は全民衆のコンセンサスではなく、59名の委員によって起草され、180名の委任委員がわずか2回の市民説明会を開いただけで作成したものである。それは香港人の利益を代表するものとはとても言えない。さらに重要なことは「基本法」の多くの条文が、資本の利益に触れる一方で、庶民の生活を軽視するという本質をもっていることである。いままさに、香港市民は基本法によって被害を受けているのである。

「基本法」第107条では、財政予算の「収支均衡」を要求しており、108条では「低税率政策」が確立されている。今日の香港では、役人らがこの条文を濫用して民生福祉政策に災厄をもたらしていることをわれわれは嫌という程みてきた。低税率政策によって政府は慢性的な収入不足にあり、土地不動産売却によって収入を補っているが、それは不動産業界の影響力を大きくした。「収支均衡」の原則は十分な社会保障政策の実現を困難にしており、以前より深刻であった貧富の格差をさらに拡大させている。


法律は不変ではないし、必要に応じて進化させなければならない。民意に逆らい、民情を害する法律は決して法治ではなく、悪法の乱用である!


権力エリートのための国家安全


「白書」の発表以降、中国共産党の役人が、普通選挙と「国家安全」をこじ付け的に結び付け、「外国勢力による国家転覆」を繰り返し叫んでいる意味は、香港での普通選挙は容認しないということである。われわれは、この種のセリフは中国共産党が異論派にレッテルをはり弾圧するための官僚的常套句であることをよく知っているが、一方で、このいわゆる「国家安全」が、人民の安穏した生活を指すのではなく、党官僚ビジネスエリートたちがこれからも政治と経済の権力を独占し続けることを指していることを指摘しなければならない。


今日の中国が各種の問題にあふれかえっていることを我々は知っている。工場での劣悪な安全衛生によって引き起こされる労災、都市部の大気と水の汚染の深刻化、危険な食品や手抜き工事による事故などが絶え間なく続いている。このような状況において、人びとはストライキ権、知る権利、言論の自由が剥奪され、どんな異論も厳しく弾圧され、ひいては違法に拘束されてしまう。このような社会において「国家安全」を語ることなどできるだろうか?民衆の危機感に訴える言語詐術は、すぐに自らに跳ね返ってくるだろう。


全民衆の不服従的闘争は猶予ならず


中国共産党政府の強硬な態度に直面し、われわれは落胆、失望、恐れなどを抱いて支配者に付け入るすきを与えてはならない。香港市民は、交渉による打開という幻想を捨てなければならない。いまこそオキュパイ・セントラルという直接行動によって香港の政治経済の中心をマヒさせ、政府が民意に応えるように、民衆を説得し、組織化し、動員するときである。


88年の(部分的)直接選挙実施以来、香港市民は真の普通選挙を勝ち取るために26年間もたたかいを続けてきた。人民代表大会が香港の命運を「鶴の一声」で決めようとする事態を転換させ、権力エリートの独裁と人民抑圧という現状を変革させるために、われわれは幾重にも続く不服従の闘争に、さらに多くの市民の参加をかちとり、長年奪われてきた基本的権利を実現するとともに、社会の各領域における民主化を推進し、人民が権力を握るべく奮闘しなければならない!


左翼21
2014年9月1日