マノスさんとの討論会 7月10日、渋谷勤労福祉会館で「マノスさん(アンタルシャ=反資本主義左翼連合)との討論会」(主催:国際シンポジウム実行委員会)が行われた。以下は「質疑応答」部分の発言要旨である。


Q―レイバーネット日本は、毎年、映画祭と文化祭を行っている。インターネットテレビでは労働、人権などをテーマにして配信している。ギリシャでも同様なテレビ、労働者の文化活動はどのように取り組まれているか。

マノス―労働者は、いろんなメディアを活用して発信しようとしている。


ギリシャ共産党は、自分たちのテレビチャンネルを持っている。もっぱら自分たちの宣伝を行っている。結局、経済危機のなかで売られてしまった。ラジオ局は維持している。さらに左翼第一党のシリザ(ギリシャ急進左派連合)もラジオ局を持っている。2つの独立したラジオ局もある。

 

公共のテレビ局、ラジオ局は、経済危機の影響で政府は廃止しようとした。だが労働者は、自主管理してテレビ局の運営を開始した。最近、警察によって封鎖、占拠する事態が起きたが、労働者は再度、テレビ局、ラジオ局を取り戻した。放送は、労働者の闘い、要求などを取り上げている。

 

60年代、70年代、労働者は、映画を通した文化活動を取り組んできた。最近は、左翼系の文化人、映画人、俳優が存在していない。左翼グループは、フェスティバル、サマーキャンプを行って音楽・演劇活動などによって若者たちを引きつけている。反ファシスト運動も様々な文化活動を行っている。経済危機で封鎖された劇場を自主管理し、音楽学校、演劇学校を行いながら公演している。

 

経済危機の中で人々に音楽活動、エンターティメントの機会を安価で提供し、人々を引きつけていく活動は重要である。


Q―経済危機の中でEU離脱、債務帳消しの主張があった。EU離脱は、様々な困難が予想されるが、それらを引き受けて主張していたのか。


マノス―アンタルシアは、債務の全面的帳消しとEUとの決裂を主張した。なぜならEUは、絶対に債務帳消しを認めないからだ。これはナショナリズム的な観点からEU離脱を提起しているわけではない。

 


人々の意識は、錯綜している。緊縮政策(メモランダム)を押しつけたのはEUだという意識がある。世論調査によれば、60%がEUに対して否定的だ。

 


だが政府・マスメディアは、「EU離脱すると大変なことになる」「ギリシャは、第三世界になる」と人々に警告、恫喝をくり返し発している。だから人々は、「EU離脱は、大変なことになる」という意識も持っている。

 


アンタルシアは、EU離脱によってこれ以上の悲劇を突破し、出口を求めようといくつか提起してきた。経済危機下にあるスペイン、ポルトガル、トルコ、エジプトの民衆運動は多くの示唆に富んでおり、連帯運動が必要だ。EUの中での労働組合の共同ストライキを呼びかけてきた。

 


重要なイニシアチブとして3年前にフランスのNPAが呼びかけた地中海反資本主義左翼会議が行われたが、その後、残念ながら継続して取り組まれていない。国際的なつながりを作り出していくイニシアチブは重要である。


Q―アナーキストの政治傾向はどのような内容か。



マノス―多くのアナーキストグループが存在し、影響力がある。全国組織ではない。地域グループが中心だ。政治傾向を一言でくくることはできず、それぞれ違う。連邦主義、アナルコサンジカリスト、非合法・地下組織グループなどが存在している。ターゲットは、国家機構だ。アナーキストの大半は、労働組合活動に直接関わっていない。学生に影響力がある。

 


アンタルシアは、アナーキストと協力関係にある。街頭デモに対する警察の襲撃に連係して反撃している。2008年12月の暴動はも同様であり、正当な闘いだった。


Q―ファシストとの闘いでの自衛武装についてどのように論議してきたか。


マノス―自衛武装については、多くの論議を積み上げてきた。反ファシスト運動の自衛は、他の左翼よりも準備してきた。その一つが民兵組織を作ってきたことだ。

 

だけども我々は、武器で反撃していくことではなく、基本的には大衆運動、大衆の力によって反撃していくことだ。武装の問題と大衆運動は、両方考えていくことが重要だ。

 


ギリシャ国家は、武器の使用に対して寛容ではないし、絶対に認めない。ファシストが武装することも国家は認めない。アナーキストの武装も認めない。国家は、ギリシャ軍隊、警察以外の武装は認めないし、武装したら監獄にぶち込むのだ。

 

人々には、通常の手段で自衛しようと訴えている。我々に必要なのは、棍棒とヘルメットであって、カラシニコフではない。


AsPC2OuCQAES-g-e1379986943158 Q―「黄金の夜明け」について①メンバー人数、最大動員数②警察官のメンバー、影響力③軍事組織はあるのか。



マノス―「黄金の夜明け」は、そんなに大きな組織ではない。中心はオールド(500~1000人)、サポートを含めるとメンバーは3000人。最大動員数は、5000~10000人。

 

警察官の中にたくさんのメンバーが存在している。何人か不明。50%の警察官が「黄金の夜明け」に投票する。密接な関係にある。例えば、50人のファシストが10人の労働者を襲撃する時は抑えない。だが50人のファシストが1000人の労働者を襲撃する時は、ファシストを抑えるという対応だ。

 

最近、警察官の中から一部の「黄金の夜明け」メンバーが追放されたが、警察組織が「黄金の夜明け」を黙って見ていないというポーズでしかない。

 

ギリシャ軍は、「黄金の夜明け」が準軍事組織になることを認めない。しかし、軍が「黄金の夜明け」のメンバーの軍事訓練を行っていたことが発覚している。

 

「黄金の夜明け」の軍事組織は、銃で武装しているより、ナイフで武装し、攻撃訓練を行っている。攻撃対象は、移民、アナーキストの活動家だ。最近は、大衆的圧力によって表だった攻撃は慎重になりつつある。


Q―ギリシャ軍への徴兵制システムは、どうなっているのか。


マノス―30歳までの男性には、1年間の兵役義務がある。だからファシストだけが、武器の訓練を受けているわけではない。


Q―ギリシャのファシストのアイデンティティーは何なのか。

マノス―ヨーロッパ白人主義がある。ナショナリズムは、反トルコだ。今でもイスタンブールは、ギリシャのものだという感じだ。

 


ファシスト勢力は、1967年~74年まで軍事独裁政権にアイデンティティーを持っている。


Q―マノスさんの「独立した反資本主義左翼が必要だ」という提起の考え方を教えてほしい。



マノス―ギリシャは、決して第三世界とは違って資本主義国家であり、他のバルカン諸国に対する帝国主義的な意図を持った国家だ。経済危機の中で他国への侵略が抑えられているだけでしかない。アンタルシアは、このことを明確に主張している。

 


マオイストグループは、EU帝国主義の影響から自分たちを守るという立場だ。ギリシャ資本主義そのものが侵略的意図を持っていることを明確化させていない。シリザは、EUに親近感を持ったような態度だ。


Q―ギリシャの社会福祉、高齢者介護の実態は、どのような状態か。


マノス―ギリシャの国家予算で社会福祉は、大きな比重を持っていなかった。家族相互で支えるという発想だ。社会福祉という考え方は、低くい位置に押さえ込まれてきた。西ヨーロッパのような大規模な社会福祉予算、施設、労働者住宅は存在していない。

 

経済危機の中で家族で支えてきた構造そのものが崩壊してしまった。労働者住宅支援協会もなくなった。国家からの社会的給付は、300ユーロ(月40000円程度)でしかない。医療給付、高齢者給付は、さらに減額されている。高齢者を支える家族の状況は、非常に厳しい。だから遠い親戚も含めて援助を求めざるをえない状態に追い込まれている。


Q―ギリシャのグリーングループは、どういう状況か。



マノス―ギリシャの緑の党は、前回のヨーロッパ議会選挙で3%の票数を得て議員を送り込んだ。結局、分裂し、今回のヨーロッパ議会選挙では議席を取れなかった。移民防衛など積極的なスローガンを出している。しかし政策は、社会民主主義的であり、新自由主義的な立場もある。

 

緑の左派は、左翼社会民主主義の傾向があり、シリザに合流しようとしている。


Q―労働者の自治組織とは、どのようなイメージか。

マノス―イメージとしては労働者評議会運動だ。とりわけ地域的な自治組織は、すでにギリシャには地域的な組織基盤として存在していることが重要だ。この地域自治組織を通して、どのように活動を発展させ、同時に労働現場でも評議会を作っていこうというイメージだ。 

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