日比谷②(1万人の大結集を勝ち取った11.21集会)

秘密保護法を廃案へ 
与党・みんなの党・維新の会の修正協議は茶番劇だ!


安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環である特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案を国会に提出し、なにがなんでも成立を強行しようとしている。日本版NSC法案は、11月7日に衆院で採決強行し可決、参院の国家安全保障特別委員会で審議に入っている。特定秘密保護法案も8日、衆院国家安全保障特別委員会で審議に入った。

 秘密保護法案をめぐる国会情勢は、与党が26日採決を強行しようと策動を強め、与党補完勢力であるみんなの党、日本維新の会が秘密保護法案修正協議を行い、合意に至っている。しかし法案の「特定秘密の指定」、「適性評価の実施」、「特定秘密の提供」、「特定秘密の漏えい等に対する罰則」についての基本的変更はなく、特定秘密を漏らした政治家、国家公務員、民間人を最高で懲役10年を科すというのはそのままだ。基本的人権の侵害、報道規制を行う現代版治安維持法であり、修正協議は茶番劇でしかない。

 その第一は、「特定秘密」を指定する基準を首相が示すと言っているが、それが具体的にどのような内容なのか明らかになっていない。この前提が未定のまま、「行政機関の長」が「特定秘密」を指定したり解除したりするさい首相が「第三者機関的」に関与するというのだ。そもそも首相が「第三者機関的」に関与すること自体が、独立性もない機関でしかなく首相の御用機関だ。政府は、すでに特定秘密事項が42万件もあると答弁しているが、これだけ膨大な事項を一つ一つ首相と「第三者機関」がチェックするというのは、ウソであり、官僚が提出する書類を追認するだけの通過儀式でしかない。

 第二は、「特定秘密」の指定期間を60年とし、公開の例外として7項目(①暗号②情報源の名前などの情報③情報収集の能力④武器・航空機などの情報⑤国民の生命や領域保全に関する外国政府との重要交渉方針など⑥外国政府から60年を超えて秘密指定を行うことを条件に提供された情報⑦これらに準ずる情報)をあげた。

 60年の期限は、ほとんど情報公開しないと言っているに等しい。なんら根拠も示さずに繰り返し延長できる原案をそのまま60年にでっち上げたにすぎない。7項目の例外は、手前勝手に秘密特定の対象を拡げたにすぎず、民衆の「知る権利」をことごとく圧殺するものだ。とりわけ「七 これらに準ずる情報」は、権力が恣意的に判断できる常套手法だ。



報道弾圧の本音



 さらに森雅子法案担当相の二転三転のあいまいな発言によって法案の欠陥が次々と明らかになっていることだ。

 とりわけ「特定秘密」の報道に対する弾圧見解だ。森担当相は「報道機関のオフィスなどにガサ入れ(家宅捜索)が入るということはない」(8日)と答弁していたが、谷垣禎一法相が「具体的な事例に即して検察において判断すべきものだ」、古屋圭司国家公安委員長も「具体的な捜査の内容については個別事案に即して判断する必要がある」として森答弁を否定した。

 当初、森は10月25日の記者会見段階では「不当な取材行為」とは沖縄返還に伴う密約を報じた元毎日新聞記者の西山太吉逮捕事件の判例に匹敵するような行為だと大雑把に捉えたいただけでしかなかった。わざわざ西山事件の最高裁判決(1978年5月)の「取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない」の文言を読み上げたほどだ。

 あわてた森は、官僚に弾圧対象とはならない11例(①(夜や朝に取材相手の自宅などへ取材に行く)夜討ち朝駆け②複数回の頻繁なメール、電話、直接接触③個人的関係に伴うコミュニケーション・飲食④入室可能な状態の政府の部屋に入り、閲覧可能状態のパソコン画面や紙を閲覧⑤机上に伏せられ放置されている文書を裏返して閲覧、写真撮影して閲覧⑥省エネモードのパソコンをワンタッチして起動し閲覧可能となったページの閲覧⑦情報取り扱い責任者ではないが、その関係者、周辺者への取材⑧特定秘密取扱者と極めて関係の深い関係部局担当者の取材⑨情報を得ているだろう政治家の取材⑩情報取扱者の家族の取材⑪民間事業者の取材)を上げざるをえなかった。

 結局、森は「個別具体的な事案を細かく想定して言及するのは避けたい」(14日)と逃げてしまった。法案が権力の恣意的判断によってやりたい放題できる性格を森自身が不明確な形でしか把握していなかった、否!ごまかしたにすぎないのである。

 「特定秘密」の指定基準、運用基準さえ決まっていないのに法案成立ありきで暴走してきた結果だ。制定後、検討していくと言っているが、そのチェックと検証は公開され、関与できるものか不明確だ。強力な「武器」を握ることになった公安政治警察は、日頃の対象者調査データをもとにして不当弾圧を強行することをねらっている。

 権力の暴挙を許さず、反弾圧戦線を打ち固めつつ、秘密保護法を廃案に向けて国会をさらに包囲していこう。

      (Y)