亀戸脱原発6再び全原発が停止する!

 唯一稼働していた関西電力大飯原発4号機が定期点検で停止し、日本が再び稼動原発ゼロとなる日の前日の9月14日、亀戸中央公園を会場に「再稼働反対! 9・14さようなら原発大集会」が開かれた。主催は「『さようなら原発』一千万署名 市民の会」。

 「汚染水は完全にコントロールされている」、一向に先の見えない福島の現実を切り捨てて一週間前に世界に向けて放った安倍首相のこの大嘘、それと一体となってすべてを覆い隠すようなオリンピック一色報道は、それらと正面から対決し、脱原発の広範な要求を再度強大な波として浮上させる起点として、この日の行動に改めて大きな意味を与えた。そして蒸し暑さの募るこの日会場には、汗をぬぐいながら9000人(主催者発表)の人々がつめかけ、再びめぐってきた原発ゼロを、今度こそ永続化させるために力を尽くそうと今後への行動を確認した。



次世代の生存を奪ってはならぬ



 広い公園のあちこちには午前11時から3つの出店エリアと一つの展示エリアが配置されそれぞれの活動が続く中、メインステージの集会は二部構成で午後12時50分から始まった。第一部は、福島、東海村、柏崎刈羽、横須賀、福井、青森の現地からの訴え。福島原発の大事故の真相に向き合おうともしない日本政府や原発村への怒りが直截に表明され、このような状態のまま原発再稼働などあり得ない、と強く訴えられた。

 午後二時からの第二部では、落合恵子さんの開会あいさつ、大江健三郎さんの主催者あいさつに続いて、福島の長谷川克己さん、泊原発について小野有五さん、伊方原発について門田鈴枝さん、川内原発について下馬場学さんが現地からの訴えを行った。

 落合恵子さんは、事故の責任を誰もとっていないにもかかわらず再稼働に突き進もうとする日本の現実に対決しよう、そのような者たちに少しは存在をかけさせる民衆の行動を作り上げよう、と呼びかけ、大江健三郎さんは、原発に反対する理由は単純であり、次の世代が生きる世界を破壊しないということ、それと対極の安倍首相の嘘を許す風潮を、あらゆる世論調査が広範な脱原発意志を繰り返し示すという現実にしっかり根を下ろすことで打ち返そう、と訴えた。

 福島の長谷川さんは郡山から静岡へ夫婦と子どもで自主避難したというが、行政からは「勝手に逃げた人」と扱われ、親類関係を含め多くを福島に置き去りにさせられた、福島は戻るわけには行かない場所になってしまった、とつらい思いを語った。しかしだからこそ、それには必ず片を付けると決意を語り、人としての名誉と子どもたちの未来を、取り戻さなければならないものとして挙げた。そしてその観点から、政府が実のない方針で御茶を濁そうとしている「子ども被災者支援法」の趣旨通りの実施を求める全国運動として、五〇〇万人署名運動を紹介し協力を呼びかけた。自作の詩を読み上げて訴えを終えた長谷川さんには、会場から感動を込めた大きな拍手が送られた。

 これらの訴えをまとめ上げる形で、鎌田慧さんが閉会あいさつ。鎌田さんはまず、大飯原発を再稼働させた論理はすべて完全に破綻していることをしっかり確認し、この日を再稼働を認めさせない決意の日にしようと呼びかけた。そして小泉純一郎が原発ゼロを言い出すまで脱原発の世論が広がっていることを指摘しつつ、敵の中に中間派、味方をつくり出すような、再稼働を絶対に認めない巨大な行進への一歩をこの時から踏みだそうと檄を飛ばした。



庶民感覚と向きあって



 集会は直ちに浅草方面と錦糸町方面の二コースに分かれたパレードに。東京を代表する下町に、色とりどりの旗やデコレーションを連ねた人波が繰り出し、脱原発、再稼働許さず、の声が大きく響いた。

 周辺は言わずとしれた庶民の町。通りかかる人たちはちょいと家から出てきたという風情だ。東京中心部のデモの沿道で見かける人々の、少し気取った感じとはだいぶ違う。自転車を押しながら歩いてきた日に焼けた年配のおっさんが、デモにカメラを向けていた筆者に気軽に話しかけてきた。「すごい数だけど、みんな日当もらってんのか」。デモをやるヤツは日当もらってる、とは保守派がしつこく流してきたデマの一つだが、それがあっけらかんと出てくるのも下町ならではか。こうしたデマが思いのほか浸透度が高いことに少し驚きながら「いや、みんな手弁当だよ」と答える。件のおっさんはまだ完全に納得したわけではなさそうだったが、「でも本当に止めれんのかなー」とデモを見つめながら別の疑問を口にする。

 原発は止めたい、しかし敵は強い、長いものには勝てない、おそらくかなりの人の体に染みついた感覚に違いない。鎌田さんの呼びかけを現実のものとするためには、何としてもこの感覚を打ち砕くことにも挑まなければならない。

 なおこの日の亀戸駅前(北口)には順路として逆向きを指定した集会案内掲示が出ていたことを付け加えておきたい。手書きではない立派なもので、駅前掲示地図で確かめると、指定順路の先には亀戸運動公園がある、という手の込んだもの。集会参加のためこれを見た人の中には、携帯電話で、会場変更があったのか、と確かめる人もいた。ある種の嫌がらせか、今後こうしたことが増える可能性があることも心に留める必要がありそうだ。(神谷)