木の根2 8月18日、三里塚・木の根ペンションで「おひさま発電所オープン記念!〔原発の電気に頼らない〕木の根夏祭り」(主催:地球的課題の実験村 協賛:全国農漁民発電網〔準備会〕)が行われ、60人が参加した。

 「巨大空港のどまん中で現代文明のありようを問い続ける 木の根ペンション太陽光発電に出資カンパ」が一月に呼びかけられ、6月末までに98人、60万4000円が集まった。5月下旬にはソーラーパネル(最大3・8kw/h)20枚の設置工事を開始し、発電をスタートしていた。

 この計画は、「続・木の根物語プロジェクト」からペンションで消費するエネルギーを自給していこうという提案を受け、三里塚反対同盟やペンション利用者などとともに検討を積み上げ、①「再生可能なエネルギーを、木の根の地に建設することをとおして、豊かな大地と原発のない社会を目指して、交流ができる場としていきたい」②「私たちの生活の場から『豊かさ』を問い直し、大量消費社会から、今後のエネルギー政策において、誰もが参加し地域主体の分散型エネルギー構造を整えていく」ことを確認していった。

 作業過程では、学習会の取り組み、埼玉県小川町を拠点に日本・アジア各地で太陽光発電に取り組んでいる桜井薫さん(自然エネルギー事業共同組合REXTA代表)の協力を受けながらオープンにたどり着いた。



空港のど真ん中で夏祭り



 会場は、ペンションの裏庭。にぎり、焼きそば、天然酵母パン、酒処「ろくでなし」、無農薬野菜、有機農産物加工品の販売、ヨーヨーつりなどの売店が並ぶ。

 大森武徳さん(続・木の根物語プロジェクト)が「現在使われている電気は、すべてソーラーパネル『おひさま発電』です。木の根夏祭りにようこそ」と開会宣言を行った。

 第一部は、韓国農楽集団ウリト、「ザ・空」、「AKOGARE」、「発電Happening」の演奏が行われる。

 第二部は、大野和興さん(実験村、農業ジャーナリスト) のアピールで始まり、「おひさま発電所オープン」を祝うとともに、「全国農漁民発電網設立・準備会」について紹介し、「仕事と暮らしの足元から『原発いらない』を発信する。全国の百姓と漁師で原発一基分に電気を作ることをめざす。食とエネルギーの自給で地域自立をめざす。10月21日に福島県三春町で『芹沢農産加工所太陽庫発電完成記念シンポ』で正式発足する」と紹介した。

 桜井薫さんは、プロジェクター映写を使いながら、「太陽光発電・自然エネルギーの今・今後」をテーマに講演。3・11以降、被災地避難所での太陽光発電の設置支援、世界各地での設置活動を報告。

 さらに「REXTAは、1994年12月に設立自然エネルギー利用関連の事業を行うメンバーにより構成された事業協同組合だ。市民共同発電所運動は、今まで電力会社から一方的に送られてくるものと思っていた電気を市民自らの力で作り出すことにより、一人一人の意識の変化や地域のエネルギー自給率の向上につながる。 自然エネルギーの利用により、CO2の削減・
温暖化防止や地域の産業、社会の活性化につながる」と強調した。

 続いて脱原発ソング「ゆうき千葉人」をスタートにしながら盆踊りに移った。

 ペンションは、成田空港第一ターミナル南側数百メートル、二本の誘導路にはさまれたところに存在している。空港反対闘争のシンボルだ。木の根夏祭りは、航空機が撒き散らす轟音を跳ねかえしていった。(Y)