DSCF1289脱原発社会実現に向けた労働運動の第一歩

 「脱原発をめざす8.12労働者集会」が大成功!

 

"小出裕章が語る原発のない世界へ「放射線の現実を超えて」と題した「脱原発をめざす8.12労働者集会」"が、東京都江東区の「ティアラこうとう」において1260名の労働者市民の参加で開催された。この集会は、労働組合として「脱原発社会と実現していくための具体的取組み」の第一歩として、全港湾労働組合、国鉄労働組合、全日本建設運輸連帯労働組合、全国一般労働組合全国協議会、東京清掃労働組合、全水道東京水道労働組合、東京都労働組合連合会の7労組呼びかけに応えて結集した労働組合による実行委員会の主催で開催された。「お盆」休日でかつ残暑のなか、開会2時間くらい前から当日券を求める市民が集まり、協力券を持たない方を実行委員が断る対応が出るほどの盛況であった。



集会の始めに、大分県から駆けつけた「唄う農民」(シンガーソング・ファーマー)姫野洋三さんによる原発批判の楽曲「若狭の海」、原発予定地の上関の小学生が書いた「スナメリの唄」など、迫力ある歌が披露された。



労働組合のありかたが問われている

続いて、全港湾労働組合の伊藤委員長の集会基調報告が提案された。伊藤委員長は、「福島第一原発事故を受けて、これまでの労働組合が取り組んできた脱原発運動を今まで以上に取組みを強化すること。労働組合が推進勢力の一部として見られているが脱原発を掲げる労働組合が存在するということを明らかにし、再稼動を許さず、命を大切にし脱原発社会を実現する取組みを職場、地域から展開すること。何年も続くであろう放射能の汚染から命と暮らしを守る取組みを職場現場から作り出すこと。労働者被ばくに関しては、原発労働者の健康管理、汚染処理、廃棄物処理に携わる労働者の放射能安全対策を単に政府の法令や指針に基づく対策だけではなく、現場労働者の知恵を出し合い、情報交換しながら追求していくこと。地域運動、住民運動と連携して経済優先ではない命を大切にした社会のあり方を問いながら運動を進めていくこと。」を提案し、「さようなら原発1000万人アクション」を労働運動の側から担うことを表明した。

 

放射能が空気中に流れれば地球全体を汚染
 
koide小出さんの講演は、広島、長崎の原爆投下と世界で行われてきた核実験を示し、それによる放射能汚染の実態と原発を比較させながら話を始めた。広島原爆で燃えたウランの重量800gが放出した核分裂生成物と100万kwの原発1基が1年間運転することに燃やすウランの重量1トンで作り出される核分裂生成物を比較すると数千倍であり、800gで広島の町が廃墟になったが、これだけでも原発の危険性がわかるだろうと指摘した。そして、チェルノブイリ事故が8100km離れた小出さんが働く京都大学の原子炉実験所まで1週間後に飛んできたこと、その後20日経て地球を一周して戻ってきた調査資料を示し、放射能が空気中に流されれば全地球を汚染してしまうことを明らかにした。

この危険性をごまかしながら安全神話のもと推進派が取った対策は、「原発や核施設を都会に作らないこと」であり、原子力立地審査指針で示している内容は、原子炉の周囲は「非住居地域」で、その外側は「低人口地域」であることと原子炉敷地は「人口密集地帯」から離れていることと、都会で引き受けられない危険を過疎地に押し付けることであったこと、東電が所有している原発はすべて東北電力管内(福島、柏崎、東通)にあることを示し、差別、犠牲の上に原発政策があることを指摘した。

 政府は収束を宣言したが、福島原発事故は進行中であり、広島原爆の実に168発分のセシウム137が大気中に放出され、4号基は危機の状態が続いていること、東日本全体に拡散した放射能汚染のマップを示し、「放射線管理区域から1㎡あたり4万ベクレルを超えて放射能で汚れたものを管理区域外に持ち出してはならない」という法律があるが、福島県の東半分を中心に、宮城県と茨城県の南部、北部、栃木県、群馬県、千葉県の北部、新潟県、埼玉県と東京の一部地域が「放射線管理区域に指定しなければならないくらい汚染を受けたこと」を示し「福島県の人たちが私の実験室に避難してきた方がまだましなくらいだ」とその深刻さを明らかにした。

 

大人の責任として子どもを守る取組みを

小出さんは、「放射能で汚れた世界で生きていくしかない」として、どうするのかいくつかの課題を提起した。その第一は、この事態を許した大人の責任として「子どもを被ばくさせないこと」第二に「一次産業を守ること」だと提起した。第一の点について、「原子力を選んだことに責任のない子どもたち」は被ばくに敏感であり、内部被ばくも外部被ばくからも守ることを大人の責任としてやり切ることであると強調した。そして、放射能で汚染された農業、漁業、酪農、畜産業などをどう守るのか、福島の一次産業はこのままでは崩壊してしまうこと、基準値を更に低くしていく対策を求めながら、それを食べることも必要であり、「R18」の喩えを使って、年齢別の使用制限をかけることなどみんなで知恵を出し合うことを訴えた。



労働運動の奮起が求められている

まとめとして、労働組合に期待するとして小出さんは、東京電力労働組合新井幸夫中央執行委員長が中部電力労働組合大会で「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」「不法行為はない。国の認可をきちっと受け、現場の組合員はこれを守っていれば安全と思ってやってきた」と発言したことや関西電力労働組合が「大飯原発再稼動問題で政府に慎重な判断を求める署名」に名を連ねた民主党議員に対して「署名を撤回するように」と求め「さもなくば、次の選挙は推薦しない」と脅したことを上げ、これが労働組合の姿なのか、推進勢力そのものではないかと糾弾した。一方で、水俣病と闘えなかったチッソ労働組合が1968年の組合大会でこれまで闘えなかったことは恥であったとして心からの反省と自分たちの闘う課題だとした「恥宣言」を示し、その宣言をした労働者、労働組合に賞賛を送り、今後の脱原発社会実現に向けて労働組合の奮起を求めて講演を終えた。

質疑討論では、福島第一原発事故の実態と今後の深刻な事態になりうるのか、子どもの被ばく、外部被ばくと内部被ばく、除染の問題、労働者被ばくの問題をどうするのかという質問が出された。小出さんは、国会事故調査などが報告しているが、誰もその現場の状況を知らないし、炉心溶解もじわじわと進行していると考えられる。4号基については、使用済み核燃料広島原爆5000発分の処理があり、時間のかかることを指摘した。また、原発現場で働く96%が下請労働者であり、被ばく線量隠しに見られるように、被ばく線量が切り売りされる事態を憂い、そこでは働く労働者の健康管理、対策を労働組合がしっかり受け止め対策を求めていくことが重要であり、労働組合の真価が問われていることを訴え、さらなる奮起を求めた。

続いて、連帯の挨拶にたった平和フォーラムの井上年弘事務局次長は、自民党や県知事まで福島第一原発の廃炉を求めているのに連合福島だけがそれを表明していないことを批判して、労働組合の任務として脱原発社会実現に向け闘っていくと決意を述べた。

閉会の挨拶で全水道東水労委員長は、脱原発運動の一翼としての労働運動が問われていること、地域運動、住民運動と連携して脱原発社会実現にむけた取組みを展開してくことを表明して集会を締めくくった。

(H)