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 8月4日から5日の2日間、台東区の玉姫公園で山谷夏祭りが行われ、多くの労働者、支援者でにぎわった。
 
 4日昼に山谷労働者福祉会館に集まった仲間たちは、打ち合わせを済ますと物資を玉姫公園に運び込む。盆踊りのやぐらを建て、舞台や祭壇、屋台の準備に汗を流す。同時に共同炊事の準備も進められる。
 
 4時半に共同炊事が始まり、ひとさじの会のお坊さんたちが無くなった仲間たちの写真の飾られた祭壇でお経を上げ、追悼を行う。
 
 ステージでは山谷争議団の仲間が、開会の挨拶を行った。東京の東部地域ではスカイツリー開業に伴う再開発によって、野宿の仲間のテントの排除が激しさを増し、それとともにこの間少年たちのテントや、野宿者に対する襲撃が激増している。 また生活保護制度や受給者に対する攻撃も激しさを増している。このような中、貧乏人同士が分断される事を許さず多くの仲間と結びついて夏祭りを成功させようと訴えた。
 
 そして今回の夏祭りの呼びかけが遅れた事について説明した。 この間、山谷争議団、山谷労働者福祉会館活動委員会が中心的に関わっている取り組みの中で、その呼びかけによって参加した者による別の参加者に対しての深刻な性暴力事件が発生した。今も解決とはほど遠い状態にある。
 
 そのような中、夏祭り実行委員会の呼びかけを発する事に大きな躊躇があり、討論を重ねてきた。
 
 この数年、夏祭りや、越年の取り組みの中で、力の強い者も弱い者も、若者も年寄りも性別による差別も無く、誰もが安心して参加できるようにと「セーファースペース」の取り組みを行って来たが、我々の差別に対する取り組みが全く十分ではなかった事を改めて突きつけられる形となった。
 
 今回の夏祭りではその事をふまえて、より取り組みを強化していかなければならない。実行委員会でも、この問題に多くの時間を割いて討論してきた。参加した仲間たちにも共に誰もが安心して参加できる夏祭りを作っていこうと呼びかけた。
 
 続いて乾杯で祭りがスタート。ステージではカラオケの他、缶カラ三線やギターで懐メロなどを歌ってくれる岡大介さん、ホーンも入った総勢十数名のバンドでいつも盛り上げてくれる真っ黒毛BOX、ニューヨークのハーレムと大阪を拠点に演奏活動を続けるswingMASAさんがかけつけてくれた。
 
 ステージの合間には、この間被曝労働の問題に取り組んでいる山谷労働者福祉会館のなすびさん、2月9日の江東区抗議行動で弾圧された仲間、アフガニスタンで無くなった写真家・南條直子さんがかつて山谷て撮っていた写真を集めた写真集「山谷への回廊」の編・著者である織田忍さん、立川で野宿者支援の活動を行っているサンキューハウスの仲間、今年屋台で初参加の学生「ゆとり全共闘」、などの仲間が発言した。 会場では「山谷への回廊」の写真展も行われ、好評であった。
 
 屋台はビール(第3の)が100円であとは全て50円に設定され、祭りに先立って行われたアルミ缶の買い取りではアルミ缶10個で夏祭り限定の地域通貨「50ワッショイ」と交換された他、1キロ100円での買い取りも行われた。アルミ缶の相場は北京オリンピックの頃を頂点として下がり続け現在は1キロ80円ほど昨年は約110円であったので大幅な値下がりである。くわえてこの数年はアルミ缶の持ち去り禁止条例が各区で作られたり、強化されたりして、野宿の仲間の生活の糧が奪い取られようとしている。
 
 祭りの最後は2日間とも盆踊り、やぐらの上では和太鼓ならぬジャンベ(アフリカの太鼓)が打ち鳴らされ、なぜだか異様に盛り上がる。
 
 2日間の祭りを終えた仲間たちはその日のうちに公園からの撤収作業を終えた。
 
 今後の野宿の仲間の排除との闘いに注目を。                (板)