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不当逮捕に抗議すると共に、勾留を断念させた関係者の尽力に感謝する
抑圧を許さず、脱原発に向けた非暴力の行動をさらに強化しよう


7・29被逮捕者


 私は、7月29日の脱原発・再稼働中止を求める国会大包囲行動に参加し、公務執行妨害容疑で不当逮捕され3日後に釈放された2人の内の1人です。本紙の紙面を借りて、当日の行動に対する警察の過剰かつ不適切な規制と私たち二人の不当逮捕に対する抗議、並びに見守り弁護団を始めとする連日の心のこもったバックアップに感謝を明らかにします。

 また、最終的に検事に勾留請求を断念させた力が、本質的には高まる一方の広範な脱原発の声と、その自立的で自制された非暴力の巨万の行動がある種の道義的な力も含めて無言の内に権力に加えている圧力であることを考えた時、昨年以来全国津々浦々で自らの意志で運動に立ち上がり共同のネットワークを発展させ共同の行動へと発展させてきたすべての人々に敬意を表すと共に、今回の弾圧を超えて私も、脱原発を確かなものとするための共同の闘いを率先して引き受けてゆくことを明らかにします。

 その立場からここでは、現在の脱原発運動が体現している民衆的正統性の具体的な姿を示す一助としても、当日私が経験したことの一端を伝えたいと思います。

 私はかなり以前から仲間と共に原発の問題を地域に訴える活動を行ってきた者ですが、その立場から当然にも昨年以来の脱原発の運動に積極的に参加してきました。当日も地域の仲間と共に参加しましたが、漠然と国会を囲むヒューマンチェーンのどこかに参加しようというものでした。しかし日比谷公園から国会に向かう途上からすでに混雑がひどく、参加地点を選ぶ余裕などなく、私たちも警察の誘導にしたがって進む以外にありませんでした。その結果たどり着いた先が国会正門に向かい合う歩道上でした。つまり、私の逮捕現場となった国会正門付近に私がいたのはたまたまということです。

 しかしそこは到着した時から大変な混雑になっていました。実はそこがメインの会場だったのであり、私たちが到着してまもなく、国会議員を始めさまざまな人が発言を始めました。もっともあまりの混雑で、発言はまったくと言ってよいほど聞こえませんでした。それもあって、あまりに混雑がひどいので私たちは、横断歩道を超えてさらに先の歩道に出たいと思っていました。それは周辺の人も同じだったようです。が、どういうわけか警察は移動を阻止し、そのためあちこちから警察への抗議の声が上がっていました。
 しかしその間にも後ろから人波がどんどん押し寄せ、現場の混雑は輪をかけてひどくなっていきました。後ろから押し寄せてくる人波も警察の誘導を受けているはずです。ところがその先では同じ警察が移動を阻止するという、実に理不尽なことが起きていたのです。

 いずれにしろ状況は次第に危険を感じさせるものとなり、周辺でも明石の事故のようになってはまずいとの声が出始めていました。それもあって、既に点火されたキャンドルも多くなっていたのですが、火を消せと声を掛け合ってキャンドルも消されました。何かの拍子に衣服に火が着けば大変な事故になると予想されたからです。

 ここに居合わせた人々は、私たちのような小グループだとしても、互いにはほとんどが見ず知らずの人たちです。しかしその人たちが、原発ヤメロの思いの共有だけを信頼して、誰の指示を待つこともなく互いを気づかい自制心と忍耐をもって秩序を保っていました。いわば闘いの中で生まれる民衆の自治であり、その点で一連の脱原発運動は大切にすべき貴重なものを生み出しつつあるように思います。

 それと対比して警察の対応はひどいものであり厳しく非難されるべきです。人の移動を説得力ある理由もなく阻止する措置の不当性に加えて、前述のように混乱しているばかりか、人々の安全に配慮するという観点をまるで欠いたものでした。要するにそれは、もっぱら主権者である市民の抗議の行動を封じ込めることに特化したものと言わなければならず、まさに正当性を欠いた対応です。

 この状況の中で人々はやむなく、国会正門に突き当たる車道側にあふれ出したようです。「ようです」と書くのは、後ろの方にいた私にはその始まりがまったく見えなかったからです。いずれにしろ日曜日の夜であり通行する車両も少ない中、それは合理的な選択だったと思います。

 ともかく私は横断歩道を渡る人の動きが見えたので、少しは混雑が緩和できるとほっとした思いで横断歩道上に出て先に向かおうとしました。その時国会正門方向から一団の警官がものすごい勢いで殺到してきました。警察マイクでの通告などはなかったので、彼らが何をしたかったのかは分かりません。いずれにしろ激しく押される中、そこにいた人たちも勢い押されまいと踏ん張りました。その時に私の前にいたひとりの若い警官が突然「公妨」と叫び私につかみかかりました。周囲の警官たちも条件反射のように私をつかみ結局私はそこで逮捕となったわけです。

 検事に見せられた送検書類には、「オウと声を上げ棒状のものを握った拳で前頭部を殴打」との、件の警官の「証言」が印されていました。もちろん私には「殴打」の記憶はないし、その必然性もありません。ただ私はのぼり旗をもっていたので棒状のものを握っていたことは確かです。件の警官は顔の間近に旗のポールが近づいたので「襲われる」と錯覚したのかもしれません。あるいは「国会突入」などという先入観があったのかもしれません。しかし結果を見れば明らかですが、当日そこにいた人々は、そのような無意味なことは誰も考えていなかったと思います。いずれにしろ明らかな不当逮捕です。

 結果として私は警察署で二日間取り調べを受けることになりましたが、先のような逮捕状況ですから調べる内容も大してないまま過ぎ、最終的に釈放されました。ただ逮捕当夜は、翌日午前3時まで取調べ室に置かれました。後でこれは大変不当なことだと教えられました。

 ここに印した今回の経験を通して私は、現在の脱原発運動に主張と行動双方を貫いた高い正統性が刻み込まれていることを改めて実感しました。その対極に政府や財界を含む既成エリートの正統性喪失があります。私たち2人のお粗末な不当逮捕を含む今回見られた警察の対応の混乱と自信のなさはその結果と言えます。原発温存勢力を包囲し打ち砕くために、そのことをはっきり確認し、人々の自律性を尊重した非暴力の共同をさらに発展させるために力を合わせたいと思います。