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 7月28日、排外主義と天皇制を問う8・15反「靖国」行動実行委員会は、日本キリスト教会館で「排外主義をうつ!7・28討論集会&『靖国中毒』上映」を行った。


 野田政権は、グローバル派兵国家建設のプロセスとして消費税増税と社会保障費抑制、大飯原発再稼働、沖縄・普天間へのオスプレイ配備を強行し、同時に北方領土と尖閣諸島問題を通してナショナリズムを煽っている。連動して石原都知事、天皇主義右翼、在日特権を許さない市民の会、ネット右翼などによって差別・排外主義宣伝が繰り返され、とりわけ警察権力と右翼が一体となって天皇制の戦争責任追及、侵略神社の靖国解体を掲げる反天皇制運動に対する破壊が深まっている。また、右翼の妨害を口実に会館施設当局による使用拒否する事態も繰り返されている。実行委は、一連の事態から「排外主義が市民権を獲得しつつある」流れに抗する自覚的な方向性の模索作業の第一歩として設定した。


 集会の一部は、『靖国中毒』の上映だ。ビデオは、 辻子実 さん(靖国参拝違憲訴訟の会/日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会委員)がメイン解説者を行い、天皇制賛美と侵略戦争のために作られた靖国神社の歴史、各神社の役割などをレポートし、反天皇パフォーマンスを駆使しながらまとめた。


排外主義に抗して


 二部の「討論会」は、各戦線で奮闘する仲間たちから「排外主義」問題を軸に次々と報告が行われた。


 梶川凉子さん(反改憲運動通信)は、「憲法は天皇条項を除いて民衆の権利を守り、国の暴走を止める主旨がある。改憲派は、天皇条項を守り、九条を葬り去ろうとねらい、国家主義を煽っている。元慰安婦写真展のニコンサロンの『中止』策動は、その現われだ。福島第一原発事故の被災者たちに対する差別が続き、人権が脅かされている」と指摘した。


 渡辺健樹さん(日韓民衆連帯全国ネットワーク)は、「ピョンヤン宣言から一〇年もたつが日朝間の対話もなく日米韓軍事同盟強化されている。この動きは、対中国、北朝鮮バッシングなどの排外主義、ナショナリズムの扇動とセットだ。軍事大国化路線をやめ、対話で平和の実現が求められている」と強調し、9・15ピョンヤン宣言10周年集会への参加を呼びかけた。


 平田一郎さん(フィリピン元『慰安婦』 支援ネット・三多摩)は、『慰安婦』裁判の取り組みを報告し、「2000年の日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷で天皇ヒロヒトに有罪判決を出した。被害者参加の中で喜びに包まれた。だが政府の謝罪、補償もなく、右翼による被害者バッシングが繰り返されてきた。被害者は高齢化し、証言が困難になってきているが、新証拠の発見、日本政府の不誠実な態度を許さない取り組みを粘り強く続けていく」と発言した。


 藤田五郎さん(荒川・墨田・山谷&足立実行委員会)は、「荒川・墨田・江東河川敷で少年・少女による野宿者襲撃が頻繁化している。生活保護バッシングキャンペーンと同時期に野宿者襲撃が多発化している。右翼、在特らは、野宿者運動に対して『こじき』のくせに権利主張するなと煽っている。竪川野宿者排除も同様に行政の排除攻撃と同時進行で行われた。深刻な排外主義が、現在このように現れている」と注意喚起した。


 園良太さん(2・9竪川弾圧救援会)は、「再稼働反対の首相官邸前行動が取組まれているが、主催者は再稼働問題以外のことに広げないとか、労働組合や左翼団体を外部化する動き、デモ規制強化などがあり、その中で『日の丸』が掲げていることを認めているとかいくつかの問題がある。これらを克服していくためには、原発と核兵器、被曝労働、原発の地方への押しつけ、除染・復興ビジネスによる資本の再収奪などの課題に対する取り組み強化が必要だ」と問題提起した。


8・15反「靖国」行動へ


 さらに発言は、争議団連絡会、女性と天皇制研究会、市民の意見30・東京、反安保実、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会から行われた。


 最後に全体討論に入りテーマを掘り下げ、8・15反「靖国」行動に再会することを確認した。(Y)