716 七月一六日、東京・代々木公園で「さようなら原発10万人集会」がさようなら原発一〇〇〇万人アクション実行委の主催で開かれ、一七万人が集まった。会場には照りつける強い日差しにもかかわらず、午前一〇時前から人々が続々と集まった。会場はサッカー場の第一ステージをメイン会場としながら、野外音楽堂を第二ステージ、そしてそれを取り囲む道路などに第三・四案内カーの上からの訴えが行われた。各会場ともライブ、トークや訴え、全国の原発立地からの訴えが行われた。

 全国各地の団体の旗、反原発の思い思いの旗やゼッケン、全労協や全労連などさまざまな旗が林立した。全共闘世代のいくつのかの大学の旗もあった。若者から中高年世代、女性や男性、子どもたちまで、「野田政権の再稼働への怒り、原発ゼロの世界をつくりだそう。被災地を見捨てない」、そんな気持ちであふれかえった。

 メイン会場では催しが始まる前に、全世界へのメッセージを書いたたくさんの旗が数十メートルにわたり会場の中心に掲げられた。そして一二時一五分から小室等&こむろゆい+梅津和時&モアのライブが行われた。永六輔さん、佐高信さんが登壇し、短いアピールをした。続いて、神田香織さんが司会を行い、福島弁で開会のあいさつを行った。最初に参加した呼びかけ人のあいさつがあった。

  鎌田慧さんが次のように発言した。

 「集会は大成功だ!一〇万人を超えている。まだ会場に向かって歩いてきている。原発を止めるための署名七八〇万筆を集め、六月一五日官邸に届けた。しかし野田内閣は翌日に大飯原発の再稼働を決めた。再稼働を決めた内閣にNOをつきつけたい」。

 「福島原発がどうなるかまったく分からない。爆発するかもしれない。生命をないがしろにする政府を弾劾していきたい。政府は二〇三〇年までに原発を一五%する、で逃げ切ろうとしている。ただちに〇%だ。パブリックコメントやエネルギー環境会議をパンクさせよう。八月エネルギー構想を転換させよう。秋にもう一度大きな集会をやる」。

 メイン会場の絵の作者で、現代アート第二世代の代表とも言われる奈良美智(よしとも)さんが「何かしなければならないと思いながら、実行できずにきた。しかし、自分の絵をデモに使っていいかと言われた。そうした形で運動に参加してきた。がんばろう」とあいさつした。

 坂本龍一さんが「四二年前、日米安保反対の代々木公園での集会に参加して以来のことだ。官邸前と同じ市民が多く来ている。四〇年ぶりに日本の市民が声を上げている。原発政策への怒りが充満している。官邸前の行動だけでは原発は止まらない。大きな集会を開く、パブリックコメントを書く、脱原発の市長を増やす、長期的に電力会社への依存を減らしていく。こうした運動をつくりだしていこう。たかが電気のために命の危険にさらせてはならない。おカネより命、経済よりも命。『福島の後に沈黙しているのは野蛮(ママ)だ』」と檄を飛ばした。

 内橋克人さんは「代々木公園のすべてを埋め尽くし、外まで広がっている。ゆがんだ社会を照らす確かな力となっていくだろう。大飯原発に続き、伊方、泊、美浜と全国で再稼働計画が目白押しだ。福島の悲惨な現実はどこへやられてしまったのか。原発反対運動に対して、二つの反発がある。一つ目、原発反対と叫んでいても対案がないではないか。決してそうではない。人間の魂に備わっている危険を避けようとする感性がある。二つ目、新しい原発への安全神話だ。原子力基本方針に、わが国の安全保障に資するという改正案が通った。これは核武装に道を開くものだ。福島から学ばない議員を国会に送ってはならない。さらに高い志を掲げ進もう」と呼びかけた。

 大江健三郎さんは「昨年の明治公園六万人集会参加から、さようなら原発運動は勝つと思うようになった。七五〇万筆の署名を官邸に届けたが翌日には大飯原発の再稼働を決めたのを知り、落ち込んだ」と語った。そして戦前の中野重治さんへの弾圧の例を紹介しながら、「原発再稼働というわれわれは侮辱の中に生きている。次の原発の大爆発に打ち破られないために、政府を打ち倒さなければならない。しっかりやり続けよう」と訴えた。

 落合恵子さんは「コンクリートから人へと言った政権が命より原発になっている。犯罪行為の共犯者にはならない。闘うことを人間の誇りとしたい。ひるまない、後戻りしない。守るのは命だ。オスプレイ、基地にも反対だ。本当の民主主義を、原発と独裁を挫折させよう、子どもたちの未来のために」と語った。

 澤地久枝さんは「会場に来るとき、日本中の各県の旗、人の流れが切れ目なかった。未来のためにがんばらなくてはならない。後悔のない人生を、核のない社会を。輸出も必要ない。小さな国へ。みんなが政治の主人公だ」と語った。

 瀬戸内寂聴さんは「百年前に起きた大逆事件に触れて、過去の人たちの苦労、反逆のおかげで現在がある」と語り、「運動が勝利できるか懐疑的であったり、むなしいという時もあるが、それでもめげなく、集まりがんばろう」と話した。

 次に、広瀬隆さんが「稼働させない替わりに電気料金を上げ、関西電力の経営破たんも防ぐ」という案で持って、関西電力と話し合えと語った。

 原発立地の福井から中嶌哲演さんと福島から武藤類子さんが発言した。

P7167840 中嶌さんは「三〇年前に反対運動をしていた小浜市民が大飯3・4号機が増設されたら、子や孫へ死刑判決を受けたのと同じだと語っていた。大飯3号機がフル稼働すると①一五〇〇万キロワットを関西に送ることになる②一日に発電する電気料金は五億円③一日に出る放射性廃棄物は広島型原爆の三個分だ。若狭は第二の福島になりうる。こうしたビッグピンチをビッグチャンスに変えていこう」と訴えた。

 武藤さんは詩人のように語りかけた。「六月に関さんはたった一人東京に向かって歩き始めた。明日東電と経産省にあなた方が出して物を返しに来たよと行くのだそうです。暑い日も雨の日もてくてく歩くうちに、一人二人と同情者が増え、今日会場に到達した」。

 「福島の現状は余りにも厳しい。4号機、再稼働、がれき問題、安全保障、廃墟と復興の狭間で絶たれていく命たち。アメリカのジョアンナ・メーシーという人がかつて『絶望こそが希望である』と語った。福島原発事故という最悪の中から、私達はかすかな光をたぐり寄せ、賢くつながりあっていこう。共に歩んでゆきましょう」。

  原宿、渋谷、新宿の三つのコースに分かれて都内をパレードした。この力をさらに強め、再稼働阻止、原発ゼロへ。(M)