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 五月五日午後一時から、東京芝公園23号地で「原発ゼロの日 さようなら原発5・5(ゴーゴー)集会」が、さよなら原発1000万人アクションの主催によって開催された。真夏を思わせる晴天の下、さまざまな反原発団体、労組、市民五五〇〇人が集まった。


 日本で唯一稼働している北海道電力泊原発の3号機がこの日に定期検査入りして停止する。原発ゼロの日だ。この状態を持続し再稼働を許さないために集会は開かれた。


 最初に生田卍さんによる歌が披露された後、集会が行われた。司会を猿田佐世さん(弁護士)が行った。猿田さんは渡米中にドイツの国防相と会った時、「今、福島はどうなっているのか」と聞かれ、原発の再稼働に向けた動きがあると報告すると、「なぜ、大事故があったのに原発を続けようとしているのか考えられない」と言われた。決して日本の原発をめぐる動きは世界標準ではないというエピソードも紹介しながら、軽快な司会を務めた。


 主催者あいさつが、鎌田慧さん(ルポライター・呼びかけ人)、澤地久枝さん(作家・呼びかけ人)、内橋克人さん(経済評論家、呼びかけ人)の三人から行われた。


 鎌田さんは「長年反原発運動を行ってきたが、福島原発事故を阻止できなかったことの痛苦の反省の上にたって、原発のゼロの日の歴史的瞬間をお祝いしたい。六ヶ所村の人びとをはじめ長年にわたり運動をしてきた人たちはすでに亡くなった人たちも大勢いる。こうした人たちの魂といっしょに祝いたい。そして、今後もゴーゴーしていく。一〇〇〇万人署名を突きつけ、絶対に政策を変えさせる。自信を込めてがんばろう」と語った。


 澤地さんは「野田首相はアメリカに行き、日米同盟の強化を訴えた。一九四〇年のヒットラー、ムッソリーニと軍事同盟を結んだがこれは間違いであった。核はいらないとハッキリした態度を示す国になりたい」と話した。


 内橋さんは「夕方五時に泊原発3号機は停止し、午後一一時に核分裂反応が完全に止まり、原発ゼロになる。『原発を止めるのは集団自殺だ』と言った人がいるが何の破綻も起きていない。しかし、この事態は新たな原発立国への準備だ。再稼働のための点検・準備をしている。燃料棒の四分の三を取り替える。三・一一前の姿の入念な準備をしている。われわれは持続可能・永久にゼロにするために進まなければならない。原発がなければ生きてゆけないような社会を変えなければならない」と、今後の厳しい攻防について注意を喚起した。


 賛同者からは、古今亭菊千代さん(落語家・賛同人)と神田香織さん(講談師・賛同人)が発言した後、長田秀樹さん(北海道平和運動フォーラム事務局長)が泊原発の危険性について訴えた。


 「泊原発が止まります。それは全国の声の結集点だ。泊が止まれば電力が三・一%不足するから、再稼働したいというが泊原発は危険な原発だ。第一に、原発は砂岩・泥岩の上にあり、下には活断層がある。そして北海道の西のはじにあり、強い風が吹く。事故が起きれば札幌など甚大な被害が起きる。第二に、事故が起きた時、道路は行き止まりであり、いったん原発に向かって避難することになっている。第三に、大飯原発のまわりの知事はストレステスト一次審査だけではダメだと言っているのに、経産省OBの高橋北海道知事は国の判断待ちとして、安全問題をないがしろにしている。五月八日には知事の申し入れをする」。


 山口幸夫さん(原子力資料情報室共同代表)が脱原発に向かうには「原子力ムラをどう壊すか。大飯原発の再稼働をめぐるストレステストによっても、ムラはまったく変わっていないから、再稼働を容認した」と批判し、秋にも発足する原子力規制庁を監視する民衆運動を提起した。チェ・ヨルさん(韓国・環境財団代表)が韓国での反原発運動を紹介しながら、中国・韓国・日本で脱原発ネットワークをつくり、平和的な東アジアをめざそうと訴えた。


 次に、経産省前テントひろばにも参加している福島の「原発いらない女たちの会」の仲間たちが壇上に登壇した。代表して椎名ちえこさんが「福島は桜、桃の花が終わり、緑がきれいになったが三・一一のまま止まっている。線量が高くても日曜日にはキッズパレードだ、夢のマラソンだと復興キャンペーンのイベントが行われている。しかし、われわれは負けない。訴訟団が起こされ、命の診療所作りが立ち上がった。原発は止まったのではなく、止めたんだと確認したい。どんな絶望的なことが起きても、子どもたちの命は守る、そんな思いでここに集まっている。つながりを強め、原発ゼロを作り出そう」と力強く訴えた。彼女たちは伝統の「かんしょ踊り」をパレード出発出口で披露した。


 続いて「さようなら原発鯉のぼり」を参加者が持ち、スタンドアップのパフォーマンスを行った。落合恵子さん(作家・呼びかけ人)が「四二年ぶりに原発ゼロになったが、一六万人の人々が避難している。二度とこんなことはごめんだ。原発というこれ以上のテロはない。子どもたちの未来をかけて、原発ゼロの社会を作っていかなければならない。これからそのために一歩を歩みだそう」と呼びかけ、まとめとした。


 パレードは芝23号地~東京タワー~芝大門~浜松町~旧芝離宮庭園(JR浜松町駅前)と行われ、道行く人々に、「原発ゼロの持続、再稼働反対」をにぎやかに訴えた。(M)

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