横堀判決+012 4月25日、東京高裁第9民事部(下田文男裁判長)は、横堀・団結小屋破壊裁判(建物収去土地明渡請求事件)で空港会社の指示のもとに原告となった地主・尾野良雄(元横堀農民)の主張を追認し、三里塚反対同盟に対して「工作物を収去して本件土地を明け渡せ」と通告し、拒否するなら「仮に執行することができる」いう不当判決を言い渡した。

 判決は、原告=空港会社の三里塚闘争に対する敵対の意図を受け入れ、横堀団結小屋(反対同盟の連絡先/労闘―労活評現闘常駐)の破壊への全面的な加担だ。反対同盟と弁護団は、不当判決を許さず、ただちに上告し、裁判闘争を闘いぬく決意だ。団結小屋破壊のための「仮執行」攻撃を許さない。



結論ありきの訴訟指揮



 高裁は、反対同盟の「本件工作物は、被告が所有するものではなく、支援者らの共有である」という主張に対して、まともに審議することもなく、たった一回の裁判だけで結審してしまった(二月一五日)。最初から不当判決の結論ありきで強引に訴訟指揮したあげく、団結小屋が「被告構成員の総有に属することを認めることができ、法的に被告が工作物の収去義務や本件土地の明渡義務を負うことは明らかである」と断定し控訴棄却した。

 千葉地裁と同様に高裁は、判決で「総有」(多数の者が同一の物を共同で所有する場合の一つの形態で各自に持ち分や分割請求権もない)を押し出してきた。空港会社にとって団結小屋が反対同盟の所有でないと提訴の前提自体が瓦解してしまうからだ。つまり、原告は、団結小屋の所有者が支援であるが、その関係を特定することができないために団結小屋建設経緯の事実を手前勝手に歪曲したのである。

 高裁が無視した横堀団結小屋の歴史の事実はこうだ。1971年夏、宇都宮大学全共闘、新潟大学全共闘、労活評―安保研が建設した。70年代末、労活評の単独管理となる。1989年に成田治安法が適用される(97年解除)。2000年7月、空港公団の指令によって尾野が労活評現闘を被告にして退去を求めて千葉地裁に提訴した(一審、二審ともに敗訴)。ところが裁判の過程で尾野の土地ではなく、空港公団が買収した土地の一部であることが判明するという杜撰な実態が明らかになる。25年間なんの問題もなく経過したため「時効取得」によって尾野の所有となった。だが団結小屋はその後も労活評管理によって維持し続けている。

 このように横堀団結小屋は、支援者によって建てられたのであり、支援の共有物なのである。反対同盟は多くの様々な支援者を現地に受け入れたが、それはすべて支援者自らの自立・自活・自前を大原則としていた。しかも横堀・団結小屋は、横堀部落との協同・協力関係のうえで支援が闘争拠点として建てたのだ。だから「空港会社の請求は、反対同盟に当事者適格を欠く不適法であり、団結小屋の所有者たる実質的な当事者を誤ったものとして、速やかに棄却されるべき」であり、原告の提訴自体を取り下げるべきなのだ。



一坪共有地運動の敵対を許さない



 空港会社が一坪共有地を強奪するために現闘本部共有地裁判、柳川秀夫さん持分裁判、横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判を提訴し、大地共有委員会(Ⅱ)の連絡先でもある横堀・団結小屋破壊裁判を起こしたのは、なんとしてでも一坪共有地運動を破壊するためだ。高裁は、空港会社と共犯者として団結小屋の住人の追い出しと撤去を最高裁で判決が確定していないにもかかわらず、「仮執行」を認めたのである。空港会社と高裁が一体となった一坪共有地運動の敵対を許してはならない。

 空港会社は、年間30万回にむけて発着枠を23.5万回に増やし、来年3月には25万回の拡大を強行しようとしている。航空機の轟音、排気ガスを撒き散らす、人権・環境破壊だ。とりわけB滑走路南端の東峰地区住民の頭上40mにジェット機が着陸のために頻繁に飛行している状態だ。

 さらにB滑走路西側に新たな誘導路の建設、LCC(格安航空会社)の導入と第二ターミナル南側に専用ターミナルを増設することを明らかにした。空港公害になんら歯止めをかけることもなく、空港拡張にひた走っている。政府・成田空港会社による「国策」として空港建設を暴力とカネのバラマキによって押し進めてきた路線は全く変わっていないのだ。



5・20三里塚・横堀現地集会とデモへ



 反対同盟大地共有委員会(Ⅱ)<代表:加瀬勉>/三里塚空港に反対する連絡会は、横堀団結小屋破壊裁裁判の控訴棄却を糾弾し、「仮執行」を許さない「5・20三里塚・横堀現地集会とデモ」(5月20日(日)/横堀農業研修センター/午後1時半/集会後、辺田地区へデモ)を行う。成田空港三〇万回発着を中止せよ!航空機騒音拡大・環境破壊を許さない! 東峰住民の追い出しをやめろ!一坪共有地・団結小屋裁判闘争勝利!すべての原発を停止せよ! TPPに反対する!を掲げて闘っていこう。
 
 

■5・20三里塚・横堀現地集会とデモ

5月20日(日)横堀集会/横堀農業研修センター/午後1時半/集会後、辺田地区へデモ/12時30分:京成東成田駅地上結集(迎車待機)



共催:三里塚芝山連合空港反対同盟大地共有委員会(Ⅱ)<代表:加瀬勉>/三里塚空港に反対する連絡会

〒289-1601 千葉県山武郡芝山町香山新田131―4 電話&fax0479-78-0039
 
 

■京成電鉄時刻表

京成上野駅特急 10:47発→成田駅11:57着 成田駅乗り換え芝山千代田行12:06発→東成田12:12着 (帰りも車に分乗して東成田駅へ)
 
 

■柳川秀夫持分/横堀くぼ地(共有物分割請求控訴事件)第1回控訴審/東京高裁第5民事部/共に5月16日(水)午後4時
 
 

■裁判カンパにご協力を 1口2000円 振替口座:00290―1―100426 大地共有委員会(Ⅱ)