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 四月二七日午後七時から、経産省正門前で「チェルノブイリ―福島キャンドルナイト~チェルノブイリ事故から26年、福島とつながるアクション~」が東電前アクション!呼びかけで行われ、降り続く雨の中一〇〇人が参加して行われた。

 最初に、東電前アクション!の栗原さんが行動の趣旨を以下のように述べた。

 「二六年前の四月二六日、チェルノブイリ原発事故で大量の放射能がヨーロッパ・世界中にばら撒かれ深刻な汚染・被害が起きた。三〇〇〇キロも離れたスカンジナビア半島のトナカイを飼って生活する少数民族は一年間に一〇万ベクレルという高濃度の放射能汚染にさらされた。日本にも放射能は飛んできて一九八八年二月脱原発二万人集会が実現した。しかし、その後、脱原発の大衆的な運動は衰退した。そして、昨年の福島原発事故が起きた。何回事故を繰り返すのか、忘れてはならないことを忘れてしまう。そんなあり方を直していこう。絶対にチェルノブイリ、フクシマを繰り返すな」。

 「福島の子どもたちに甲状腺異常が出ているという。ウクライナでは放射線量が1mSVの場所は移住する権利が認められている。しかし、福島では20 mSV以下であれば大丈夫だと住まわそうとしている。チェルノブイリの経験が生かされていない」。

 「いまだ、福島原発事故は収束していないのに、政府・電力会社は原発再稼働をしようとしている。五月五日、泊原発の一基が止まれば原発ゼロの日がやってくるが福島原発事故があったからであり、祝う気にはなれない。それでもその後の闘いがあったからこそつかみとったものだ。このかすかな希望を生かそう。原発停止後は燃料棒を取り出し、廃炉にむけた作業を行わせよう。プラカードは中国語、ハングル、英語、ドイツ語、フランス語などを用意した。今日の行動は全世界のグローバルアクションの一環だ」。

 キャンドルをともしながら、参加者が経産省に向けて、再稼働をやめろと訴えた。テント広場でハンガーストライキを続ける福島出身者は「福島の若者たちが事故の収束のために被曝しながら働いている。再稼働なんかとんでもない。福島をこれ以上踏みにじるな」と怒りの発言をした。ドイツに数十年間住んでいて、一時帰国した人が「日本の脱原発を支援したい気持ちでやってきた。私は核兵器反対運動に参加してきたが、チェルノブイリ以後、反核と反原発はメダルの裏表だと思うようになった。ドイツではチェルノブイリ以後の脱原発の流れが逆戻りしそうになっていたが福島事故で脱原発が決まった。この問題は世界中の問題だ。被爆国の日本がなぜ原発大国になっていったのかドイツ市民にとっては疑問だらけだ。再稼働なんて考えられない。皆で手をつなげば脱原発は可能だ」と報告した。

 参加者からは次々に再稼働の動きを強める経産省に怒りの発言、シュプレヒコールを繰り返した。九週間にわたり、経産省に連続抗議行動をしているグループは午後八時から一時間経産省別館前での抗議行動を行った。首相官邸前での連続アクションには一〇〇〇人が集まり、中学生や母親などが激しい抗議行動を行った。次回は再建計画に二〇一三年度中の柏崎・刈羽原発の再稼働を明記した東電本店に対する抗議行動を五月一二日午後三時から行う予定が報告された。(M)

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東電前アクション!の申し入れ書全文

経済産業相 枝野幸男 様
                                                      4月27日

                        申し入れ書

                                               東電前アクション!
                                               tel
                                               mail

 私たち東電前アクション!は、原発のない社会の実現を目指して活動をしています。
そして今日、旧ソビエト連邦におけるチェルノブイリ事故発生から26年を迎えるに期して、以下のように経済産業省および枝野幸男大臣に求めます。

一、 私たちは、100%安全な原発など存在し得ないと考えています。全国の原発の順次廃炉を決定し、その手続きに直ちに入ること。

一、 再処理をはじめとする核燃サイクル事業の破たんを認め、撤退を決定すること。

一、 政府自身が「点検で停止した原発は安全が確認されない限り再稼働させない」としています。しかし、福島第一原発の4号機は原子炉から燃料を抜いた状態であってもシビアアクシデントを起こしました。経産省は、「安全の確認されていない」全原発の使用前-使用済み核燃料をはじめ、事故を起こす可能性のあるすべての機器の撤去を促進すること。電力会社による再稼働に向けたあらゆる手続きや新たな燃料の搬入などを停止させること。

一、 大飯原発、伊方原発の安全性に関わる「ストレステスト」について、政府・経産省、原子力安全・保安院、原子力安全委員会のいずれもが「絶対に安全」と断言していないのが現状です。そして、手続き的にも、あるいは耐震性の計算などにおいても不備が指摘されています。経産省は、これまでの「ストレステスト」の結果を破棄し、「テスト」を根拠とした再稼働の手続きをすべて中断すること。

一、 東京電力への安全指導を怠り、福島事故を引き起こした加害当事組織である経産省と原子力安全・保安院、原子力安全委員会が、原発の安全を語る資格などないと考えます。新設されるとされている「原子力規制庁」から経産省と原子力安全・保安院、原子力安全委員会の人脈を完全に排し、原発に批判的もしくは懐疑的な識者も含め「規制」に徹した組織とすること。

一、 保安院は即時に解体して、全原発の順次廃炉のための計画と手順を作製し、廃炉作業員に多大な被曝をさせることのないように指導する「廃炉管理委員会」を設置すること。

一、 経産省は、廃炉を決定した原発立地地域の雇用や生活補償に責任を持ち、交付金に代わる「原発に頼らない街づくり」のための基金を創設し、拠出すること。

一、 枝野大臣は「電力不足の状況によっては計画停電もあり得る」などと恫喝じみたことを語っています。しかし、昨年11月1日に開催された政府・国家戦略会議における「第4回 エネルギー・環境会議 第3回電力需給に関する検討会合」では、夏のピーク時に全原発が停止したとしても、日本全国でわずか30万キロワットの「不足」にしかならないと指摘されています。
この数字は、計画停電などするまでもなく大企業をはじめとした多少の努力で乗り切れるものと考えます。社会を不要に混乱させ、昨年には少なくとも二名の交通事故死者を出した計画停電を絶対に強行しないこと。

一、 私たちは、原子力による破滅も、地球温暖化による破滅も拒否します。政府・経産省は「地球温暖化防止のために原発が必要」などとしていますが、原発はその稼動・燃料の管理・放射性廃棄物の管理などを含めれば火力発電とさして違わない「温室効果ガス排出施設」です。また、温暖化の一方の原因である海水温上昇を温排水の垂れ流しによって促進する施設です。経産省は、「地球温暖化防止のために原発が必要」という言説が虚偽であることを認め、その一切のキャンペーンを中止すること。

一、 ドイツやイタリアのようないわゆる「先進国」やニュージーランドのような日本とおなじ島国において、「原発のない社会」は実現し、あるいは実現されようとしています。経産省は「原発のない発電量」に合わせた全社会的な電力消費量の削減のためのロードマップを作製すること。

一、 とりわけ電気を大量に消費する一部上場の大企業に対しては、電力消費量に応じて課税することで消費を抑制し、その税収を原発立地地域への交付金に代わる「原発に頼らない街づくり」のための基金や自然エネルギーの普及に充てる「電力使用税」を新設すること。

一、 原子力にも火力=化石燃料の大量消費にも頼らない、その地域の特性に応じて生活・環境に配慮した小中規模の自然エネルギーによる発電とその全国ネットワーク化への転換を図ること。

一、 私たちは、電気供給のような社会的公共性の高い事業を独占的な営利企業が担うあり方が、原発の安全軽視につながり福島事故を引き起こした大きな一因であると考えます。政府・経産省は、全電力供給事業の「国有化」という選択肢を含む「脱営利事業化」を促進すること。


 以上、原子力から離脱し、低電力消費社会の実現のために、経産省が努力・まい進することを私たちは強く求めます。