DSCF6159 2月25日、国賠ネットワークは、スペースたんぽぽで「第23回 国賠ネット交流集会」を行い、54人が参加した。

 ネットは、1990年2月、国家権力の犯罪を許さず、尊厳をかがけて闘いを挑み、被害・損害の完全な補償と謝罪、そして権力犯罪の抑止と人権の確立をめざして第一回交流集会を開催した。すでに58団体、OB、原告と支援者たちの参加のもと、粘り強くネットを作り、各国賠裁判が取り組まれている。集会は、昨年の活動を集約し、各国賠の現状報告と交流が行われた。

 土屋翼さん(ネット代表世話人)からネット総括の提起で集会が始まり、「『やられたら、倍やり返す』ような『明るい国賠』には勿論、勝訴したいと、22年闘ってきた。いまだ国賠裁判の先のほうには灯りは残念ながら見えません。一方、再審事件は、証拠開示がすすみ、ゴビンタさん事件、福井女子中学生殺人事件、狭山事件、袴田事件、名張ぶどう酒事件、東住吉放火事件など、再審の扉は音を立てて開かれようとしています。この間蓄積した、知恵・知識・情報等を駆使して一つでも勝訴を獲得するよう活動を強化していこう」と強調した。



権力犯罪を糾弾し続ける



 各国賠からの報告。

 沖田痴漢えん罪事件(1999年、9月不当逮捕)は、「事件は、電車内で携帯電話を注意されたことによる女性の逆恨みから虚偽申告した女性と警察官による痴漢でっちあげ事件だ。不起訴となったが、02年4月に国賠の提訴をした。再上告して1月12日、棄却となり、敗訴が確定した。だが判決は、痴漢行為否定の二審判断を認めたが、賠償請求は認めなかった。結局、裁判所は警察・検察の違法性、責任追及を放棄した。今後は、国連人権委員会に対して提訴し、闘っていく」と報告した。

 大河原宗平・元群馬県警警部補の懲戒処分分取消訴訟とデッチ上げ逮捕によるえん罪国賠は、「大河原さんは群馬県警の裏金作りを批判したため、県警はもみ消しのために公務執行妨害罪をデッチ上げ不当逮捕し(04年2月)、懲戒免職となってしまった。果敢に闘ったが、一審敗訴。控訴審を闘っている。テレビ東京でこの事件が取り上げられ(12年1月21日)、片桐警察庁長官が『法廷の場で県警が適切に対応していく』などと異例の言及をしたほどだ。今後も支援を御願いします」と決意を表明した。

 護衛艦「たちかぜ」イジメ自殺国賠は、「判決(1月26日)は、先輩隊員の加害行為と隊員の自殺との事実的因果関係を認める内容であった。しかし、隊員の自殺について、先輩隊員にも幹部自衛官らにも予見可能性はなかったとして、先輩隊員の加害行為により被った精神的苦痛の範囲でしか損害賠償を認めなかった。控訴審における争点は、先輩隊員の加害行為と隊員の自殺との間に相当因果関係が認められるかという一点に絞られている。加害者や国に、隊員の自殺について法的責任があることを判決で明確にさせなくてはならない」と訴えた。

 さらに報告は、富山(氷見)国賠、築地署公妨国賠、新宿署違法捜査国賠、渋谷事件(星野再審)国賠、入江憲彦・元長崎県警警部補国賠、よど号国賠、東電シイタケ損害賠償、麻生邸リアリティツアー国賠から行われた。



えん罪国賠裁判における証拠開示



 第二部は、富山・氷見冤罪国賠弁護団代表である前田裕司弁護士が「えん罪国賠裁判における証拠開示」をテーマに提起した。 

 富山・氷見冤罪国賠は、富山県氷見市でおきた強かん事件(02年)で柳原浩さんが不当逮捕され、服役に追い込まれ、満期服役後、真犯人の出現(06年)により発覚した冤罪事件。09年5月、国賠を提訴。富山県警察及び富山地方検察庁高岡支部による違法な捜査や公訴提起の全容の解明、冤罪の原因を究明、および違法な捜査や公訴提起を強行した中心人物である警察官の被告 N 、検察官の被告 M の
責任を追及していく闘いだ。

 裁判の過程で原告と弁護団は、事件の全貌を明らかにしていくために検察に証拠開示を求めたが、一部は開示されたものの、そのほとんどがマスキングされたものだった。被告が開示を頑なに拒否してきたため文書提出命令申立てを行った。

 前田さんは、証拠開示の攻防の取り組みなどを紹介しながら①刑事事件における弁護人の証拠開示請求権②民事訴訟における国の手持ち証拠の開示の方法③検察官に対する証拠開示請求以外の書類等の入手方法④捜査機関が捜査過程で作成する書類の存在―などについて説明した。

 そのうえで「国と県は、告訴状と被害者の供述調書の一部を任意に開示し、その余は不開示だ。この対応をどうするかが問われている」と今後の方向性を提起した。なお第13回口頭弁論(2月1日)で被告の国は二五通の証拠を新開示してきた。裁判所の原告の文書提出命令申立てに対する判断前の幕引きをねらっていることは明らかだ。「事件の真相」に迫る闘いが攻勢的に展開されている。



東電代理人の「長野・大野・常末法律事務所」を許さん!



 集会の最後に交流集会恒例の国賠ネットワーク大賞に布川事件の桜井昌司さんが受賞。


 最悪賞は、東電代理人の「長野・大野・常末法律事務所」。受賞理由は、福島の二本松ゴルフ倶楽部が東電に「除染せよ」と訴えた裁判で代理人は「放射線は原発から離れた無主物ともいう存在であり、もはや東電のものではない」と反論したことだ。ネットは、弁護士法第一条の「弁護士の社会正義追及義務規定違反だと断罪した。

(Y)