sayama「なくせ冤罪! いまこそ取調べ可視化・証拠開示の法制化を!」
 
 一二月一日、東京・日比谷野外音楽堂で、「なくせ冤罪! いまこそ取調べ可視化・証拠開示の法制化を!」狭山事件の再審を求める市民集会が同実行委員会の主催で開かれた。冷たい雨が時折降り注ぐ中での集会ではあったが、前日に福井女子中学生殺人事件で前川彰司さんの再審決定が出されたこともあり、狭山事件の再審の闘いももう一歩のところまできていて、がんばろうという熱気のあるものとなった。

 組坂部落解放同盟中央本部委員長の開会のあいさつ、民主党、社民党の国会議員の連帯のあいさつの後、えん罪と闘い、再審請求中の石川一雄さんが「事件後一年半で五〇年になる。えん罪を晴らすために闘う」と力強く決意を語った。連れ合いの早智子は「証拠開示の包囲網は確実に進んでいる。今がチャンスだ。再審開始への望みを強く強く願っている」と訴えた。

 次に狭山弁護団が報告した。中山武敏主任弁護人が「福井での再審決定がされたが、これは証拠開示されたからだ。狭山の闘いが証拠開示を切り開いてきた。狭山でも隠し持っている一部の証拠を開示させてきたが不充分だ。例えば、石川一雄さん宅から出てきた被害者の万年筆は三回目の家宅捜査で見つかったもので不自然だ。二回の徹底した家宅捜査ではなかったという証言もあるが、捜査官の調書を明らかにしていない。また、証拠開示された取調べの録音テープはダビングして専門家が調べている。証拠の全面開示、事実調べが無実の証明につながる」と発言した。中北龍太郎事務局長は「これまで証拠が開示されたことにより闘いは大きく前進しているが、これから秘密の暴露という点で、被害者の万年筆、腕時計、カバンについての証拠開示がメインテーマになっている。今が正念場だ」と報告した。

 松岡徹さん(部落解放同盟中央本部書記長)が基調報告をした。「一二月半ばに第九回目の三者協議が行われる。証拠開示をめぐる重要な場になる。この闘いを前進させよう。第二に、取調べの可視化と全証拠の開示を法制化をさせよう。そのために九月末から二カ月間緊急署名を行い集まった二五万八千余筆の署名を本日、政府・衆参議長に届ける」。

 狭山集会で最も熱のこもったものとなったのは、えん罪当事者からの怒りに燃え、石川さんとの連帯を訴える発言、再審を闘う仲間たちの切実な報告であった。

 桜井昌司さん(布川事件)は辛らつに検察を批判した。

「五月二四日、再審無罪となり自由人となった。肩の荷が下り、体が軽くなった。しかし、だんだん腹が立ち、怒りが増している。検察はたまたま有罪を立証できなかった。犯人なんだと言っている。何の証拠もなしにウソの自白だけだ。検察はいったん犯人と決めたら、とことんやってくる。再審に決まった前川さんに対して、検察は異議申し立てをすると言っている。法務省の上に検察庁がある。あいつらほど汚いことをやるものはない。なぜ証拠開示をしないかはっきりしている。それは無実が証明されてしまうからだ。私がここに出てくるのは仲間が苦しんでいるからだ。仲間のために自分は闘う」。

 菅家利和さん(足利事件)は犯人にでっち上げた警察、検察、裁判所を許さないと怒りをあらわにする発言を行った。

 「昨年の三月二六日に無罪判決が出た。二〇年前の一二月一日、警察が突然自宅にドカドカとやってきた。子どもを殺しただろうと、肘鉄砲で胸をつき、数分間起き上がることができなかった。警察官の橋本はやっていないと言っても聞いてくれなかった。何回も子どもを殺したのかと言われ、どうして自首しないかとせまられた。お前しかいないと言われ続け、夜一〇時頃か?(時計があるわけではないので正確に分からないが)になり、眠くなり、苦しくなり、やったと言ってしまった」。

 「あの連中は人間のかけらもない。正義なんてとんでもない。今でも怒っている。いくら謝っても許すつもりはない。検察官・もりかわに、人間性がないと言われたが、(えん罪をでっち上げた)あなたの方が人間性がないのではないか。絶対に許せない」。

 「えん罪事件はいつどこで起きるか分からない。皆さんに振りかかるかもしれない。いつどこで犯人にされるか分からない。狭山の一日も早い再審を願う」。
 川畑幸夫さん(志布志事件、「踏み字」強要)は「二〇〇三年の鹿児島県議選での選挙違反をでっち上げられた。とにかく認めろと朝八時から夜の一一時まで取り調べられた。三八日目に逮捕された。警察の出世の道具にされた。いったん自白が取られると無罪をかちとるのは困難だ。えん罪を防ぐには取調べの全面可視化が必要だ」と語った。藤山忠さん(志布志事件えん罪国賠訴訟原告団長)が黒塗りの証拠開示した検察を厳しく批判した。

 「一三人がある日、突然逮捕された。長時間の取調べによってウソの自白をさせられた。やっていないのになぜウソの自白をするのか。どんなに意志の強固な人でも一〇人中九人が自白すると言われている。警察はひっぱったら犯人として扱い、取調べをするからだ。無罪が確定してから、検察庁で話をしてくれとわざわざ鹿児島から出かけ、えん罪でっち上げ事件の全容を話した。ところが検察は、志布志事件は警察の取調べに違法があったがえん罪ではないと居直っている」。

「国賠で闘っているが、取調べの内容が問題になり、証拠開示が問題となっている。裁判所はできることなら開示して下さいという姿勢だ。それでも一部が開示されたが、なんと黒塗りのある調書だった。これでは真相は解明できない。これでは証拠開示の意味がない。過ちを認めないために黒塗りをする。県警は謝罪しないばかりか、全面的に闘っていくとしている。でっち上げは警察の犯罪だ。こうした警察があるかぎり、えん罪はなくならない。闘いによるしかえん罪はなくならない。石川さんの再審実現を」。

 袴田ひで子さん(袴田事件再審請求人、巌さんの姉)は「四六年拘置所に入っている。毎月面会に行っているが、三年八月二四日に会えた以降、今日も面会拒否をしている」と死刑確定囚の巌さんの現状を報告した。支援者の山崎さんが再審をめぐる状況を報告した。「昨年の九月から証拠開示されている。(味噌樽から見つかった犯人のものとされるズボンが大きな争点になっている)袴田さんにははけないズボンのサイズがB体のサイズであったが、味噌につかったからはけないとされてきた。開示された証拠では、これを作った職人の当時の証言でBというのはサイズではなく、色を示すものだと語っている。このことは当時調べた警察官は知っていたわけで、証拠を隠すも作ることも、警察・検察はやっていたことが明らかとなった」と証拠開示によって、再審に向けて前進していることを報告し、さらに面会拒否について「千葉景子法務相が死刑の執行をしてから袴田さんは面会に出てこなくなった。部屋を出たら執行されるという恐怖があるからかもしれない」と報告した。

 今井恭平さん(無実のゴビンダさんを支える会)が東電OL殺人事件でのデッチあげで服役しているゴビンダさん裁判について報告した。

 「七月に読売新聞がスクープして大きく報道されたように証拠開示がなされた。さらに一〇月にも四二点開示された。ゴビンダさん以外に被害者のいた部屋にはいないと確定判決では述べているが、新たなDNA鑑定によって、第三者がいた可能性が明らかになった。ゴビンダさんは一貫して、殺害を否定しその日にはその部屋には行っていないと述べている。一二月二七日、三者協議があるが年度内には再審決定が出るだろう。ネパールではこの報道が大きく扱われている。ゴビンダさんはお母さんが元気なうちに帰りたい、早く苦しみから解放してほしい、と訴えている」。

 鎌田慧さんがまとめを行い、庭山英雄さんが閉会のあいさつをした後、国会にむけて請願デモを行った。狭山再審実現に向けてがんばろう。(M)