がくろう強要未遂の不当逮捕をはね返す


神奈川県警のデッチ上げを許すな


 10月25日に起きたがくろう神奈川弾圧で拘留されていた4人は、11月2日釈放された。〈事件概要についてはがくろう神奈川声明を参照〉午後2時から勾留理由開示裁判がおこなわれる予定だった横浜地裁ロビーには、4人を出迎える70人あまりの支援者が4人の体調などを気遣ったりして喜びの輪が広がった。そして玄関前で3人の担当弁護士と4人の被弾圧者が簡単に発言すると、そのたびに支援者の大きな拍手に包まれた。



「奪還と言うにふさわしい」


 同じ日の6時から裁判の報告集会を予定していた開港記念館で集会が開かれ、改めて神奈川県警公安3課、裁判所、検察庁のでたらめが浮き彫りにされた。担当弁護士は2人参加したが、その1人である佐藤弁護士は「奪還と言うにふさわしい」と強調し、今回の弾圧の異様さを振り返った。まず逮捕令状の頭書きに「市民団体のメンバーであり、政治党派と関係があり」などと長い説明を加えた後、交渉を「企て」、「脅迫」などという表現で終始していることがあげられる。


 即時釈放のための意見書作成、裁判官などへの説得、準抗告という試みに対して4人の釈放が拒否され、勾留理由開示裁判を迎えた経緯なども説明した。3時間以上に及ぶ勾留理由開示裁判に、経験のない裁判官が耐えられないだろうということが、釈放の背景にあるのではないかという推測も佐藤弁護士は述べていた。そこには、都合のいい裁判官を選んで荒唐無稽なでっち上げの逮捕状を請求し、合計八カ所の家宅捜索を強行しようという、公安警察の「こそ泥」然とした様相がうかがえる。


 その上で「釈放はひとつの区切りだが油断はできない。不起訴を勝ち取るという重要な取り組みが残っている」と佐藤弁護士が語り、岡部弁護士は今回の事件をえん罪弾圧であり、その特徴として、第1は強要罪の要件がない、第2は問題となった話し合いは正規の交渉である、第3は校長の人事評価が誤っていたと、簡潔に位置づけた。強要罪は「生命、身体、自由、名誉及び財産に対する侵害」と「告知」あるいは「暴行」が明らかになったときであり、そうでなければ子供のおねだりも罪になるという例えを用いていた。


 この交渉については元々は要求というより、意外な評価をつけた事情を校長から聞こうというものにすぎなかった、交渉の特質として強く要求するという側面は当然であり、マスメディアは「人事評価は交渉事項でない」という公安3課の見解をたれながしてしまった。また、監察指導者でもある校長は、その怠慢を棚に上げて不当な低評価を当該組合員に強要し、後日横浜市教委の指導で人事評価の一部を覆さなければならなかった。


 岡部弁護士は「交渉がおこなわれた中学校での実況見分もなく、栄署の捜査責任者もなかなか特定できなかった。とにかくずさんと言うに尽きる。だが勾留された側は一方的に迷惑をこうむった。間違いはあくまで明らかにすることだ」と気迫のこもった調子で、この一週間あまりを総括した。



活動の自立性と多様性を逆証明



 この後、がくろう組合で救援を担当したYさんから栄署激励行動、声明文配布など救援活動の概要説明があって、4人の被弾圧者からも次々に発言があった。4人の発言は逮捕される経緯と留置所内の様子のほか、さまざまな決意表明、これまでの組合運動、市民運動とのかかわりに及んでおり、がくろう神奈川の組合員が果たしてきた自立した活動の多様性を改めて確認する場ともなった。だからこそ、集会などに集まった人の数以上に広範な、支援層が弾圧への抗議とともに急速に広がったのだということがいえる。


 公安警察は冤罪を作って延命するだけの犯罪組織だが、市民活動の分断、個人の生活の破壊という点については最も下劣で、これ以上その存在が許されないということをこれからも宣伝していこう。


 (K)