金城さんと農民像 11月6日、成田プロジェクト(いま成田空港で何が起きているのかプロジェクト)は、「三里塚・東峰芋掘り&収穫祭ツアー―金城実さんと闘いの像に会いにく」を行った。

 今回のバスツアーのスケジュールは、東峰での芋ほり→ワンパック収穫祭→東峰共同墓地墓参→東峰騒音監視→横堀鉄塔・「抗議する農民」像と対面→案山子亭・交流会→木の根ペンション訪問。

 メインは、沖縄の彫刻家・金城実さんが30数年前の作品である「抗議する農民」像と再会し、参加者とともに「三里塚の闘いの原点は何か」「沖縄・原発・三里塚の問題はひとつ」について意見交換することだ。農民像は、1970年代半ば、4000m滑走路の供用を阻んでいた岩山大鉄塔に据えたが、77年5月6日に機動隊の封鎖によって抜き打ち撤去され、強奪したがその後奪い返し、現在は横堀鉄塔中断に敢然と立ち、成田空港を睨み続けている。



金城さんと「抗議する農民」像


 東京・丸の内を午前9時に出発し、車中で中里英章さん(成田プロジェクト)が成田空港の周辺地図をもとにツアーコースを説明し、「空港会社は年間22万回の離着陸回数を30万回に増やそうとしている。すでに東峰地区のジェット機騒音は、激しいものとなっている。さらに空港用地内に点在する一坪共有地を裁判によって強奪しようとしている。今日のツアーで三里塚現地の人々の粘り強い闘いを知ってほしい」と呼びかけた。

 金城さんは、「戸村一作さん(当時の反対同盟委員長)が同じ彫刻家ということで三里塚の岩山大鉄塔に像を展示することになった。像はデモ行進のなか車で運び、機動隊に何度も止められたが、車はデモ隊に併走しないで一直線に走っていった。自分たちが着いたときは、もう彫刻は立っていた。ものすごいドラマだった」など数々のエピソードを紹介した。

 東峰地区の石井紀子さんが耕作する芋畑に到着。田んぼくらぶの仲間によるレクチャー後、一斉に芋ほりを行い、土だらけになりながら紅色のさつま芋を採り、次々と袋が一杯になっていった。

 正午は、東峰のワンパックべじたぶるん~収穫祭に参加。石井恒司さん、石井紀子さんなど生産者の挨拶。会場には野菜料理、バーベキュー、各ブースが並び、アフリカン太鼓ジャンベ&ダンスなども披露。飛び入りで金城さんの沖縄下駄踊りで会場を盛り上げた。

 東峰地区に移動し、共同墓地墓参、頭上40mを飛行するジェット機のすさまじい轟音を体験し、人権・環境破壊の成田空港に怒りを感じる。


横堀鉄塔へ


 横堀鉄塔・案山子亭に移動。

 空港会社は、誘導路を新設するために、これまでの横堀鉄塔・案山子亭に向かう道を横堀十字路の左折手前から5m以上もある鉄板フェンスを張り巡らし、トンネルも2倍以上に延長した。参加者は、「膨大なカネをかけてフェンスを張り巡らし、トンネルを作って闘う拠点を孤立させようとしている」などと怒りが噴出した。

 案山子亭では、加瀬勉さん(大地共有委員会Ⅱ代表)、平野靖識さん(東峰地区・らっきょう工場)、山崎宏さん(横堀地区)、田んぼくらぶの仲間が出迎えてくれた。

 金城さんは、さっそく鉄塔階段を昇り、「抗議する農民」像と再会し、感激に満ちた笑みを浮かべる。あらためて像をめぐる歴史をふり返り、「この鉄塔に農民像が存在していることこそが、民衆の抵抗の象徴だ。国家権力は、カネと暴力によってなんでもやる。しかし、民衆の断固たる闘う意志さえあれば跳ね返していけることを、この場所は語り続けている。三里塚を闘った仲間たちが、全国に飛び散り、地域の闘いを担っていった」と力強く語った。

 案山子亭で交流会が始まる。

 山崎さんは、「空港用地内には、この横堀鉄塔、案山子亭、木の根ペンション、一坪共有地などの反対派の拠点が存在している。八月に北原派の現闘本部を強制撤去したが、あいかわらず力づくで排除する姿勢は変わっていない。一坪共有地裁判でも不当判決が続いたが、が、現在、控訴して闘いを準備している」と発言。

 加瀬さんは、「金城さんとは四〇年ぶりの再会だ。農民像は仁王立ちで空港反対だと立っている。像を眺めると『お前は権力に対してストップと本気でやったことがあるのか』とかならず言うんだ。芸術は永遠の生命を表現する力があり、空港反対などの社会性の二面がある。金城作品には永遠の生命力がある。三里塚と沖縄、反原発を結びつけて闘っていこう」とエールの交換をした。

 さらに「高木仁三郎さんは、いい仕事をしてくれた。高木さんの言うことをきいていれば、原発の悲劇はなかった。三里塚戦線でも高木さんは頑張ってくれた」と述べた。そして、加瀬さんは故・高木仁三郎さんを追悼する俳句を高木久仁子さん(成田プロジェクト)に手渡した。

 金城さんは、「闘いは哲学を生み出してきた。沖縄、靖国裁判は、ずっーと負けっぱなしだ。なぜ闘うか。抵抗の遺伝子をかならず子どもたちに伝えていく、進化させていく」とまとめた。

 平野さんは、東峰部落の状況などを語り、金城さんに三里塚のらっきょうと落花生をプレゼントした。

 ツアーは、交流会後、木の根ペンションへ。ペンション二階から成田空港全景を観察したが、騒音・排気ガスによる環境破壊が深刻であることを確認せざるをえなかった。

 ペンションを後にして、帰りのバスの中で今後の運動イメージなどを語り合いながらツアーを終了した。

          (Y)