7月8日、佐賀県玄海町の玄海原発2・3号機を再稼働させようとする政府・九州電力の策動の強まりのなかでグループ「東電前アクション!」は急きょ有楽町駅前にある九州電力東京支社前で「止めよう!玄海再稼働 7.8九電前アクション!~もう限界原発は廃炉に!~」を行った。


 


玄海原発の再稼働をめぐって刻一刻と変わっていく情勢のなかで、佐賀・九州現地の再稼働阻止の闘いの盛り上がりのなかで、菅政権はとうとう「ストレステスト」の導入を唐突に打ち出すという形で、玄海原発の再稼働は当面延期されることになった。それにともなって、玄海の陰に隠れるように「再稼働二番乗り」を目論んでいた愛媛の伊方原発の再稼働も遠のくこととなった。

 

この再稼働の当面延期は、再稼働反対の大きな世論を背景にした反原発運動の浜岡停止に続く大きな勝利であることを確認するべきだろう。また、再稼働をゴリ押しする経産省のお手盛りの「住民説明会」における九州電力の「やらせメール」問題もまた、九電真部社長が「責任は免れない。原子力がアウトになるかもしれない」と語るような窮地に自らを追い込む格好となっている。

 

しかし、急きょ打ち出された「ストレステスト」もまた、玄海原発を優先的に行って、しかも「簡易テスト」で済ますという政府方針が11日に打ち出されている。政府・九電は、玄海再稼働とそれをテコにした、原子力政策の維持方針に変化があるわけではない。東電前アクション!は「玄海原発はテストでなく廃炉にしろ!」と主張して、当日の行動を貫徹した。

 

午後2時から、九電東京支店に「再稼働の断念と廃炉」「やらせメールの責任をとって九電経営陣の総退陣」を求める申し入れを行った。九電側は、当初から申し入れ団は三人、申し入れの最中は外でシュプレヒコールを挙げないことなどの一方的な条件を居丈高につけてきた。この時間は申し入れそのものが目的なので、その条件を呑んで申し入れに臨んだ東電前アクション!側が入室しても担当者二人は名刺も出さないという公的企業としてはありえない対応だった。

 

そして、抗議の申し入れ文を読み上げて渡すと、九電側は「やらせメールは世間の信頼を損ない申し訳なく思っている。しかし、原子力は地球温暖化対策に必要であり…」などとまくしたてて、やりとりをしようとしたら「これでお互いの言い分は言い合った」などとして、一方的に退席してしまった。これが電力会社の「原発反対派対策」のおなじみのやり方だ。かれらは「やらせメール」問題など1ミリも反省していないことを自ら露呈させた。

 

17時半から街頭アピールを予定していた行動であったが、この九電側のデタラメな対応の報告に怒った参加者は、横断幕を広げて早速アピールを開始した。マイクでのアピールとプラカードなどの「玄海原発」の文字にビラはどんどん掃けていく。自分からビラをもらいに来る人も少なくなく、なかには「佐賀出身のものだけど…」あるいは「福島の者だけど…」などと声をかけてくる人もいた。

 

予定の17時半頃には続々と仲間が詰め掛け、最終的には120人を超す参加者となった。よくある「各団体からのアピール」というスタイルはとらずに、参加者でマイクを回しあって一人ひとりが思い思いに「再稼働反対」あるいは「もう原発はいらない」などの思いを語る。マイクアピールの合間合間に様々なリズムで声を出し、あるいは歌を歌い、さながら韓国の路上集会のような熱気に包まれる行動となった。最後には、「九電は佐賀を殺すな」「九州の子どもたちを殺すな」「玄海原発は限界・廃炉にしろ」と声をあげて、この日の行動を終えた。

 

「再稼働阻止闘争」の緒戦は勝利した。しかし、すぐに第2ラウンドはやって来るだろう。陣形を固め、拡大して次の闘いに臨もう。あらゆる原発の再稼働を阻止して来年夏の「実質脱原発状態」を勝ちとろう。

 

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(東電前アクションの申し入れ書)

 

                            2011年7月8日

九州電力株式会社
代表取締役会長 松尾新吾 様
代表取締役社長 眞部利応 様


                                                            東電前アクション!


              申し入れ書

 

 2011年3月11日の東日本大震災を引き金に起こった福島第一原子力発電所(以下、原発)の大事故発生以降、全国の点検で停止した原発はすべて再稼働することなく止められた状態が続いています。

 

 私たちは、福島第一原発の事故によって、どれだけ多くの人々の平和な日常の営みが破壊されてしまったか、そしてその事故が発生してから三か月経ったいまも収束・収拾される見通しすら立っていないこと、そして原子力安全委員会の「原発の安全指針」そのものが抜本から見直すとされている現状を考えれば、停止している原発が再稼働されないのは至極当然のことと考えています。

 

 しかし、貴社九州電力は、貴社が操業する玄海原発の停止している2号機、3号機の再稼働にあくまでこだわり、玄海町や佐賀県知事、そして政府に再稼働を容認するよう強く働きかけています。私たちは、貴社のそのような態度に抗議します。

 

 玄海原発は、井野博満東京大学名誉教授が指摘しているように、1号機では深刻な老朽化が進み、中性子がもたらす原子炉の劣化による原子炉爆発の危険性すら指摘されています。また、3号機では猛毒で事故も起きやすいと指摘されるプルサーマル燃料が使用されています。

 

 また、貴社は「玄海原発の安全性が確認された」などとしていますが、貴社および原子力安全・保安院が「対策」を施し、確認されたのは「津波対策」の一点であるように見受けられます。すでに報じられているように、福島第一原発では津波到達以前の地震の段階で原子炉と周辺機器が深刻な損傷を負っていたことがあきらかにされています。また、言うまでもなく「老朽化」の問題が数日の点検で解決するとは考えられません。そして、「安全指針」そのものが見直される現状で確認される「安全」に私たちは安心することなどできません。

 

 貴社は、玄海原発の宣伝パンフレットで、原発周辺の豊かな自然や歴史的遺跡を紹介していますが、原発が一度シビアアクシデントを起こしてしまえば、その豊かな自然も歴史的遺跡も一瞬にして破壊されてしまうことは、福島の現状を見ればあきらかなのではないでしょうか。

 

 そして、朝鮮半島に最も近い玄海原発の危険は、日本で生活する人々のみならず、周辺諸国の人々にも多大な影響を及ぼすであろうことを危惧するものです。海に大量の放射能汚染水を投棄して「海洋犯罪国家」になってしまった日本が、これ以上周辺諸国を原発事故に巻き込むことは絶対に許されません。

 

 最後に、貴社九州電力は、6月26日の「県民向け説明会」において、玄海原発関連業者らに一般市民を装って「原発賛成」の意見をメールで集中させるという「やらせ問題」が発覚しました。世論を誘導どころか捏造して「安全」をアピールして、九州から西日本、隣国まで危険に晒す原発を推進しようなどということはまったく許されず、その道義的な責任は重大であると指摘せざるを得ません。

 

 以上のような観点から、私たちは貴社九州電力に以下のように申し入れます。

 

1, 玄海原発の2号機、3号機の再稼働を断念してください。

 

2, 深刻な老朽化が指摘される玄海原発1号機はただちに廃炉の手続きに入ってください。

 

3, 玄海原発の各原子炉や周辺機器の状況について、広くマスメディアや市民を施設内に立ち入れさせることを含めて、情報公開してください。

 

4, 貴社が現在稼働させている全ての原発を即時停止して下さい。

 

5, 九州電力経営陣は、「やらせメール」問題の責任をとって、総退陣してください。

 

以上、私たちは要求します。