福島第一原発の事故は、もはや収拾不能のカタストロフィー状況に入っている。

■4号機で再臨界トラブルか

6月14日午前1時過ぎ、東京電力が提供する福島第一原発の外側の様子を24時間動画配信する「ふくいちライブカメラ」は、突如発光し、キノコ雲状に爆発して大量に白い煙が発煙する4号機の様子をとらえている。同様の現象は午前4時台まで断続的に繰り返され、6月19日の21時以降にも起こっている。


▲6月14日の4号機(左端)1分7秒あたりで閃光が走り、
2分過ぎからキノコ雲状に白煙が広がり強い発光が発生している
(20倍速)

インターネット上では、14日のこの現象の発生直後から「大きな再臨界が起こったのではないか」という疑念が取り沙汰されたが、東京電力は当初は問い合わせに「同日は濃霧が出ていて、光っているのは作業用のライトが反射しているからではないか」などと説明していた(作業用ライトならば不安定かつ断続的に閃光が走ったり、地上部分から太陽のように光ったりするものだろうか)。しかし、一方で原子力保安院は電話での問い合わせに「同日、夜中は作業していない」と説明しており、ちぐはぐな対応を示していた。あるいは「福島第一原発での作業に従事している」と称する者はツイッター上で「米軍の無人機の光のようです」などとしていた(赤外線で撮影する無人機が投光などするはずがない)。

そして、東京電力は19日になって、ようやく「4号機の原子炉建屋上部にあり、機器を水に漬けて保管している『ピット』という場所の水位が低下、水による放射線遮蔽効果がなくなり、露出した機器から強い放射線が出ている可能性が高い」とする見解を示した。しかし、発光現象や大量の発煙について一切説明しないこんな発表は、そのまま額面通り受け取れるものではないだろう。

私たちは、4号機で起こっていたことは、やはりそれなりの規模の再臨界ではないかと考える。東電の発表によっても、漏出しているのは「放射性物質」ではなく「強い放射線」である。すなわち、X線や中性子線などが直線状に放射されているということである。これは1999年に起こったJCOにおける臨界事故と同様の現象である。

おそらく、機器を水につけて保管する「ピット」内の機器の一部や使用済み燃料プールの核物質が余震か降雨の影響で高温で再臨界を起こしながら溶け落ち、床上の格納容器から漏れている高濃度汚染水に触れた際に急激に冷やされ、核分裂反応による発光と水蒸気爆発による発煙が繰り返された、というのが真相に近いのではないだろうか(そもそも4号機は、使用済み燃料プールの放射性物質の分析などは行われておらず、秘密のベールに包まれている)。東電の19日の発表などは「あの時点ではそのように考えていた」とするアリバイのためにするものとしか考えられない。そしてまた、「メルトダウン」のときのように、二ヵ月後に真相を発表するのだろうか。

JCO臨界事故においても、放射線がどれくらいの距離まで飛んでいたのか判明していない。もしくは発表されていない。今回も一体何キロまで放射線が飛んでいるのか、政府も東電もJCO事故のとき同様、即座に調査して発表しようともしていない。これによって数年後どこかで白血病などを発症しても、政府・東電は「事故との因果関係が分からない」などとして補償から逃げ回るだろうことは想像に難くない。しかし、このように原発事故の被害は、想像をはるかに超えて様々な形で拡大し続けている。

■「フクイチ」はもはや収拾不能だ

福島第一原発の1~3号機は、燃料棒のメルトダウン(炉心溶融)からメルトスルー(溶融貫通)状態にあると発表されている。しかし、小出裕章京都大学原子炉実験所助教など少なくない専門家が、すでに格納容器の底を貫通して建屋のコンクリート部分に落ちていると指摘している。すなわち、いわゆる「メルトアウト」状態にあるとということだ。もはや、この状態では上から水をかけようがホウ素をかけようが、あまり意味をなさず下へ下へとめり込んでいく「チャイナシンドローム」状態を止めることは不可能だろう。

高温を発して地下へ潜っていく溶けた燃料の塊を回収することなどできない。東電の榎本聡明顧問は4月8日の段階で毎日新聞の取材に「原子炉を冷却し、廃炉に不可欠な核燃料の取り出しに着手するまでに約十年かかる」と語っている。菅首相は「来年1月までの冷温停止」などと語っているが、実現不可能なことはとっくに分かっているだろう。

あと十年!もしくはそれ以上、ひたすら上から水をかけ続けるしかない現在のような状態が続くのである。そして、時折地中で小規模・中規模の水蒸気爆発を繰り返しながらあらゆる放射性物質を放出しつくすまで、ほとんど手をこまねいて見ているしかないのである。たとえ「石棺化」したとしても、地下から漏出する放射性物質を止めることも不可能だろう。もはや「フクイチ」は、収拾不能状態にあると考えるしかない。

614そして、放射能被害は加速度的に広がり、深刻さを増している。14日の発光・発煙現象から約1時間後には茨城各地の測定値が跳ね上がっている(左図)。以降、マスメディアの「各地の放射能測定地」の発表でも放射線量の上昇が伝えられているが、私たちの独自の調査でも17日の品川で地上1mの空中線量が前の週の約二倍の0.14μmv(マイクロシーベルト)、18日の新宿ではそのまた二倍近くの0.22~0.24μmvの数値が出ている。この数値が続けば確実に年間被曝許容量とされる1ミリシーベルトを確実に超える数値である。福島市の「20ミリシーベルト」問題は、すでに東日本で生活するすべての人々にとって、我が身の問題なのである。

また、放射能汚染の「ホットスポット」として報道されている千葉県柏市では児童公園が使用できなくなる場所も出てきている。農作物への被害や漁業への被害も拡大の一途をたどっている。遅かれ早かれ東日本全域が、人間が安心して食べ・働き・生活できる環境ではなくなるだろう。政府と東電は、もはや福島第一原発の事故は収拾不能であることを認め、それを前提とした今後十年の被害予測データを作成し公表しろ! そして、東日本で生活するすべての人々の「避難する権利」を保障し、避難を希望する者には海外への避難も含めて補償することを開始するべきだ。根拠のない「ただちに影響はない」などの「安心メッセージ」で避難する権利を奪うことはもはや許されない。

■原発再稼動阻止!来年夏までの実質「脱原発」状態を実現させよう

この福島のカタストロフィー状況をもってしても、日本政府は原発推進政策に固執している。13カ月に一度、停止させて点検することが義務付けられている原発を二度と動かさなければ、来年の夏までには実質的に「脱原発」状態が実現するのである。日本政府と各電力資本は、この実質「脱原発」状態となることをなりふり構わず阻止しようとするだろう。

6月18日には、海江田経産相は「すべての原発の安全を確認した」などとして、現在点検によって停止している原発の再稼働を原発立地自治体に要請した。

「原発の安全」なるものが一日や二日の検査で確認されるものなのか。原子力安全委員会が「安全指針」の抜本的な見直しをこれから開始しようとしているそのときに、「全原発の安全が確認された」など、拙速以前の原発延命のためのタワゴトとしか言いようがない。

たとえば、「もう限界原発」と地元で言われている佐賀県の玄海原発の1号機は運転開始から36年が経ち深刻な老朽化が問題視されているが、老朽化の問題が小手先の対策でクリアするわけがないことは誰にでも想像がつくことだ。しかし、政府は九州電力重役の息子である古川康知事に狙いを定めて、26日にプルサーマル導入の時と同様に反対派住民を排除して県民数人だけを招いた説明会を行い、再稼働を強行しようとしている。

このような政府の攻撃は、各原発立地自治体に加えられるだろう。反原発運動は、地元住民と連帯して各自治体知事や首長へのメール・FAXでの要請・反対の意思表示を集中させるなど、全国的な運動としての展開をさらに強めなければならない。そして、来年夏までの実質「脱原発」状態をなにがなんでも実現させよう。

■停止させた原発のさらなる安全確保の徹底を

原発を停止させたから、と安心するわけにはいかない。福島第一原発の4号機は点検停止中による燃料棒を抜いた状態で被災して、今回のシビア・アクシデントを起こしている。

浜岡原発の3、4号機の原子炉は、福島第一原発の1~4号機と同じ米資本GE社製のBWRマークI型なのである。そして、「フクイチ」の原子炉群が津波が到達する前に地震でダウンしていたということは、すでに東電も保安院も認める周知の事実だ。

したがって、菅首相の要請で停止された浜岡原発の原子炉の周囲に危険な機器や4号機にあるとされているMOX燃料などが撤去されているか、調査し報告されなければならない。そして、反原発運動は、そのように要求する必要があるだろう。

「フクイチ」は、原発が一度ダウンしたら手のつけられない怪物であることをあらためて世界に示すことになった。言うまでもなく、「100%安全な原発」などありえない。アメリカでは4月28日に、アラバマ州ブラウンズフェリー原発の原子炉3基が竜巻の影響で外部電源を失い、自動停止する事態に陥った。この6月14日にも、ネブラスカ州のフォートカルフーン原発は、洪水によって施設の周囲が水没して、使用済み核燃料プールの水温が上昇するなど、危機一髪的な状況が続いている。こういう積み重ねが、「チェルノブイリ」や「フクイチ」で起こったような大惨事に至るのである。そして、原発がある限り、「フクシマ」のような事故は確実に繰り返されるのである。

世界のどこにも原発はあってはならない!そして、反原発運動は、もはや絶対に勝利しなければならない人類の生存闘争なのだ。

(F)


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