イタリア国民投票についての翻訳を送ります。
ここでは脱原発よりも水道民営化反対の勝利の方に焦点が当てられています。
 


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インターナショナル・ビューポイント6月号 IV Online magazine : IV437 - June 2011


イタリア国民投票 われわれはラディカルな動員を通じてベルルスコーニを政治的に敗北させた

公共水道委員会万歳!
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article2182


 イタリアで、6月12日、13日に水道サービスの民営化容認法案撤廃、原子力エネルギーへの回帰容認規定と刑事司法手続き(とりわけ首相の起訴免除条項)の撤回をめぐる国民投票が行われた。登録有権者の五五%が投票し、国民投票結果を有効なものとする50%規定に到達した。以前の六回の国民投票はこ50%に達しなかったのである。水道、原子力などの国民投票課題に九五%、すなわち約2600万人が賛成投票した。ベルルスコーニが支配するメディアの報道は故意に関心を向けさせず、政府与党は有効投票基準を満たさないようにするために、支持者に対して反対票を投じるのではなく棄権するよう促したのであった。(「インターナショナルビューポイント」編集部)



批判的左翼(SC)全国執行委員会を代表したフラビア・ダンジェリとエミリアーノ・ビティの声明



 国民投票の結果は、政治情勢の歴史的転換を示している。民衆の投票はベルルスコーニの時代に終止符を打った。彼は自由市場政策のチャンピオンである。したがってこの結果は、民営化政策と「共同の財貨(コモン・グッド)」に対する市場の優位の敗北でもある。「われわれの生は利潤よちも価値がある」というスローガンは、本日のイタリア国民投票の結果において意義深いものがある。一つの局面が終わった。ベルルスコーニは国民投票を通じた民主主義的動員によって打ち負かされた。これは国民投票が直接民主主義の枠組み以上のものを提供した典型的なケースである。

 決定的な役割、そして幾つかの点で歴史的な役割を果たした、以前にはなかった政治的主体――公共水道委員会――の役割に焦点を当てることが重要である。かれらはメディアの注目からはずれたところで活動していたが、国民投票の引き金となるこれまでで最大の署名を集めた。この委員会は、水の配分を公共的に管理するための政治的要求に基づいたキャンペーンを専門的にかつ一貫して繰り広げた。

民主党(PD――主要な社会民主主義野党、旧イタリア共産党の後身である左翼民主党が中心になって作った政党)はかれらに反対した。民主党は、自分たちがすでに水道を民営化していた「赤い地域」(旧共産党の拠点だったボローニャなどを中心とした地方)の投票結果に示された鮮明なメッセージに耳を傾けなければならない。IDV(ディ・ピエトロが指導する「道徳的価値のイタリア党」)もまた公共水道委員会に反対した。

今日この二党は、投票結果に大喜びしている。しかし委員会を代表する者は誰もTV番組に招かれなかった。本日の勝利はかれら委員会の勝利である。TAV反対グループ(高速鉄道反対運動)のような、利潤とカネの圧倒的な力に反対してきた運動にとって、今日は偉大な日である。こうしたキャンペーンを統一した運動に結集させたあらゆるイニシアチブ――ゴミの廃棄・焼却、地方税、高速鉄道網に反対する運動――は喜んで受け入れられるべきであり、批判的左翼はその目標のために休むことなく活動するだろう。

この勝利は、伝統的、制度的諸政党の政治についてわれわれに教えてくれる。この闘いが勝利したのは民衆が大きく結集したためであり、そこには地域や職場で遂行された熱情的でラディカルな活動があり、そして活動家たちが特定の課題を取り上げ、戦略を打ち立てることができたためである。それはラディカルな要求が勝利しうることを立証した。エマ・マルセガグリア(イタリア産業連盟会長)や、原子力で大儲けし水道を民営化したいと願っていたすべての産業は、ベルルスコーニとともに敗北した。もちろんこの同じ連中が、今や再生可能エネルギー部門に参入しようとしている! 鮮明にラディカルで反資本主義的でエコロジカルな左翼は可能であり、その役割は民主党や中道左派勢力が描く軌道に従属したものであってはならない。

今やわれわれの戦略的な政治プロジェクトは大きな勢いを得ることになった。

(フラビア・ダンジェリはイタリア批判的左翼の指導部メンバーで全国スポークスパースンであり、第四インターナショナルの指導部メンバー。エミリアーノ・ビティはイタリア批判的左翼の指導部メンバー)



(「インターナショナルビューポイント」2011年6月号)