yf青年戦線・第179号ができました。誌面案内、日本共産青年同盟(JCY)アピールを紹介します。


青年戦線(400円)
第179号 2011.5.23


誌面案内 

・JCYアピール
・東日本大震災と福島原発事故3.27再処理とめたい!首都圏市民のつどい 
・4.10浜岡原発すぐ止めて! 市民集会とデモ  
・4.24原発とめよう! 東京ネットワーク    
・ヒット曲で反原発を歌う ・検証 東京都青少年健全育成条例改正を読む  
・『資本論』から読み解く危機と失業      
・三里塚一坪共有地裁判 土地強奪許すな!


購読申込先:日本共産青年同盟「青年戦線」編集委員会 東京都渋谷区初台1-50-4-103 新時代社気付 電話 03-3372-9401
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JCYアピール


戦争と搾取が支配する資本主義システムの変革を!
すべての原発は停止だ!脱原発社会の実現


地震・原発事故被災者の生活再建を


  2011年3月11日午後、東北関東沖を震源とする最大級の大地震と大津波が発生し太平洋沿岸を中心に多くの人命が奪われ壊滅的な被害を受けた。さらに、福島第一原発は地震で緊急停止し、津波で全電源を失い制御不能となり、原子炉の温度が上昇し火災と水蒸気爆発を繰り返し、放射性物質を放出し、炉心溶融という最悪の事態となった。周辺30キロの住民は避難を命じられ、その圏外も避難の対象に指定されるに至った。


 震災から2ヶ月になろうとしているが、被災の全容は明らかになっていない。原発事故は進行中で、収束の目途さえたっていない。死者・行方不明者は2万4千人を超え、震災直後、着の身着のままで避難した50万人のうち12万人がいまだに避難所などでの生活を強いられている。インフラの復旧は遅れ、仮設住宅も間に合わず、復興はいまだ遠い状態だ。


 さらに、雇用についても深刻だ。震災を口実に新規採用が中止や、雇い止め、解雇が出始めるなど雇用不安が広がっている。漁民は船舶を流され、農民は田畑を塩に侵され、それぞれ仕事が出来ない状況に立たされている。かろうじて収穫した作物や魚類も、「風評被害」に合っている。


 地震や津波ついて、政府や電力会社は「想定外」を繰り返し、責任を回避しようとしている。放射線量に関しても「ただちに影響を及ぼすことはない」とあたかも安全かのようなメッセージを送り続けている。事故の被害を小さく見せることに腐心してきたものの、4月にはレベル7の事故であることを認めざるを得なかった。


 今回の原発事故は、予想できた人災である。その責任は原発を推進してきた政府や電力会社や財界にあるのだ。原子力発電は、国策として始まり、自民党政権、財界が一体となって進めてきた。反対するものは金と暴力で排除し、莫大な資金で安全との宣伝を繰り返してきた。民主党政権に代わっても、原発推進は変わることがなく、原発輸出や核燃料サイクルを進めてきた。「(電源喪失など)すべてを考慮すると設計はできない」と国会で答弁し不評を買った斑目春樹氏を原子力安全委員会の委員長に選んだのも鳩山内閣だった。福島第一原発第三号炉で、プルトニウム・ウラン混合燃料によるプルサーマルが始まったのは昨年9月。運転40年で劣化している第一号炉の10年延長を認めたのも今年2月、民主党政権下での出来事だ。


 この地震津波震災と原発震災で、第一に優先されるべきは、被災者ひとりひとりの生活の再建である。しかし、財界は農業や漁業をTPP対応に作り変えようと叫び、従来型の復興特需をあてにするゼネコン。さらには「廃炉ビジネス」で儲けをたくらむ原発企業まで動きだしている。自民党や公明党の協力を得ようと菅首相は利権をちらつかせている。そして、内部留保を溜め込む大企業から吐き出させることも、米軍への「思いやり予算」も削ることなく、復興財源を口実に消費税増税を打ち出した。


 原発の危険が明らかになった今、政府が行なうべきは、すべての原発の停止であり、被災者の生活の安定や、原発周辺住民や原発関連労働者の安全の確保だ。


 日本でも、脱原発、反原発の声が広がりはじめた。マスコミの意図的な情報隠しにもかかわらず人々は、真実を知ろうと動き、そして声をあげ始めた。


アラブ民衆革命に連帯しよう


 今年1月、チュニジアで始まった反政府デモとゼネストはベンアリ独裁政権を崩壊させ、その熱気はエジプトに波及し三〇年続いたムバラク独裁政権も倒した。そして、今アラブの民衆革命の波は、バーレーン、サウジアラビア、イエメン、シリアにも広がり、リビアでは激しい攻防が続いている。


 新自由主義は破綻し、資本主義と対決する民衆の闘いは、ラテンアメリカに始まり、アラブ、EUヨーロッパに拡大している。次はアメリカ本土やアジアにも広がるだろう。世界の人々とともに闘いに立ち上がろう。


農業・生活・地域破壊のTPP反対


 昨年10月、首相管直人は、第176国会での所信表明演説で次のように述べた。


  「この秋は、我が国において、重要な国際会議が開催されます。生物多様性条約に関するCOP10では、議長国としての重要な役割を果たします。また、私が議長を務めるAPEC首脳会議では、米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有する環境を整備します。架け橋として、EPA・FTAが重要です。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します。東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと思います」。


  このように管は、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加検討を打ち出したのだ。


  TPPはもともと、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国間における地域的な自由貿易協定(FTA)に過ぎなかった。だがその内容は、農工業生産物の関税撤廃など、これまでの「貿易自由化」の枠にとどまらず、投資や労働市場、知的所有権等にいたるまで、徹底した規制緩和と民営化をめざす、想像を絶するすさまじいものだ。 金融危機をはじめ経済の混乱にあえぐアメリカの参加によって、TPPはその性格を大きく変えようとしている。アジアで影響力を増す中国をけん制し、その市場を狙うアメリカの戦略に、日本は日米同盟の再建と強化をかけて、乗り込もうとしている。それは「経済政策」などという考え抜かれたものではなく、アメリカ追随一辺倒の政府の、政治決断に過ぎないのである。


  小泉政権による「構造改革」が何をもたらしたかは、すでに明らかになったはずだ。それは資本による市場独占の自由、搾取の自由、弱者切り捨ての自由、福祉の排除。そして果てしない利潤追求の自由であった。


  「官から民へ」「改革なくして成長なし」―。小泉の絶叫に、たしかに一時期人々は酔いしれ、期待感を抱いた。だが、公然と提唱された「痛み」に耐えても、「明日はよくなる」どころか、「生きていけない」という悲痛な叫びが、あちこちであがった。


  貧困と格差がさらに拡大した。将来を悲観し孤立した若者たちの一握りが、絶望のあまり犯罪に走るという事態をもたらした。「秋葉原事件」はその象徴的な一例だった。虐げられた「怒り」や「ストレス」は理不尽にも、より自分より弱い対象に向かった。


  TPPが導入されれば、弱肉強食の資本の横暴が参加国間に広がり、自国のこれまでのさまざまな制度が、変更を余儀なくされる。他国の経済活動を制限すれば、契約違反で訴えられかねないのだ。


  無権利無資格の安価な労働力の流入が、社会全体の賃金相場を極限まで押し下げ、危険な輸入食品が商店の陳列棚を埋めつくし、生活に苦しむ人々がそれらを消費するという、悪循環が始まるだろう。


  とりわけ医療・福祉・教育の分野において、ただでさえ貧弱な日本のセーフティネットが、ついに解体する。「命の沙汰もカネ次第」という冷酷な現実が進む。病気になっても病院に行けず、手遅れになって命を落とす。貧しい人ほど短命である。


  国内の産業は空洞化し、農業は衰退の一途をたどり、自給率はさらに悪化するだろう。農業の破壊は、環境破壊につながり、貴重な生態系へも影響をおよぼす。野放図な森林の伐採や取水は、自然災害を招き、地域に甚大な被害をもたらす。


  すでに民営化された郵政はもとより、電気やガス水道などの公共サービスもまた例外ではない。人々の命と健康を、かろうじて守ってきたさまざまな「制度」や「規制」が取り払われることで、社会は一変するのである。


 TPPに参加するということは、労働者市民に犠牲を転嫁しながら、生活の様式を極限まで資本の収奪に都合よく作り変えることなのだ。


  3月11日の「東日本大震災」により、東北地方は壊滅的な打撃を受けた。世界に歴史に汚点を残した深刻な原発事故。収束の見通しはまったく立っていない。


  今回の大惨事は、けっして「想定外」などではない。過去この地域には巨大な津波が襲いかかってきたし、「地震大国日本」における原子力発電推進の危険性、その愚かしさは、これまで何度も何度も指摘されてきたのだ。この非常事態に加えて、無謀なTPP参加など絶対に許されることではない。


 震災を口実にした賃下げ、首切りを許すな。節電を口実にした労働条件の改悪、労働環境の劣悪化を認めるな。


 被災者を置き去りにした復興計画を進めるな。政府・東電は、解体的出直しで被災者に満額の補償をせよ。全体主義的節電強要を許すな。電力は余っている。


 浜岡原発をはじめ、すべての原発を即時停止し、廃炉および核廃棄物の処理計画を政府・東電の責任において明らかにせよ。


戦争・人権抑圧の軍隊・軍事基地はいらない


 米軍と自衛隊は、生存者の救出、遺体の搬出に存在感を発揮してみせ、あるいは警察を含めて東電原発での注水作業といった危険作業の従事をアピールし、あるいは災害派遣と書かれた軍用車が走り回る光景に象徴される軍隊のプレゼンスによって、確実に災害時の擬似戦時体制を作り上げた。


 それはメディアの自粛キャンペーンと計画停電に見られる管理統制とによって補完された巧みな演出だったといえる。「トモダチ作戦」に投入された米軍の兵員は18000人を超え、空母ロナルドレーガンの派遣、海兵隊ヘリの派遣、揚陸艦の秋田沖配置などを手早く実施した。自衛隊もたとえば16日派遣の那覇駐屯地所属の自衛隊が嘉手納、横田を経由して米軍機で宮城県入りするなど、日米の軍事一体化ぶりを引き続きアピールしている。


 だが米軍と自衛隊の救出キャンペーンは、われわれが、軍隊は民衆を守らないとこれまで主張してきたことを裏付けたにすぎない。米軍は原
発爆発を受けて東北沿岸の空母がいち早く80キロ圏へ退避するなど、被災地での救出より自国の国益を守るために存在していることを随所に見せ
付けた。自衛隊にしても、石原都政の「ビッグレスキュー」や阪神大震災での「危機管理」追及などを通して、防災と救助に名を借りた治安出動正当化の歴史が、太平洋沖の震災でも一定の結実をみせたといえる。


 震災に対する、大資本と直属の治安部門の結集は、新たな軍事化の成長を予感させると共に、たとえば日米同盟が犠牲にしてきた沖縄において、怒りをうやむやにしようとするもくろみにも貫かれている。2月から3月にかけて「沖縄は怠惰、ゆすりとたかりの名人」などという侮辱発言を問われたメア国務省日本部長は更迭されても、不真面目な弁明を繰り返した挙句、3月16日には震災支援の特別調整役に任命された。暴言の罪は払拭され、かえって米軍の『作戦』に欠くべからず人物として復活したのだ。


 この人物は米政府内で「最良の場合、辺野古新基地が完成し、最悪の場合は普天間基地が残ることだが、そうだとしても問題ない」などと進言するなどそれなりの発言力を持っていることも判明した。


 震災に際して、思いやり予算が3月30日に国会で可決されてしまったことも、救援・復興の財源が取りざたされている時期に何ということかと
怒りを呼び起こした。


 1881億円という額を維持したが、米軍に支出する経費はそれにとどまらず、グアム移転経費も実現するならさらに膨れ上がるだろうということが米政府関係者によって吹聴されている。


 沖縄・辺野古新基地反対


 辺野古の新基地建設も座り込みテントの監視を受けながらキャンプ・シュワブと浜の境界に鉄柵を設置している。どこで本格的な着工が始まる
か予断を許さない。東村・高江でも2月になって資材搬入など工事強行がおこなわれ、座り込み抗議者に対する暴力の事実も確認されている。座り込んで阻止する人の物量は不足しているが、その創意工夫によって工事に動員される沖縄の人々と関係性を作り上げている。素朴な生活を営む住民に断りなしに危険な垂直離発着機オスプレイのためのヘリパッドを作らせてはならない。辺野古と都市制圧訓練の航空基地群を形成させてはならない。


 3・11震災での支援物資の空輸で「普天間飛行場の位置が第3遠征軍の災害支援活動にきわめて重要であることが証明された」と強調した在沖総領事館の発言が震災の政治利用と批判を浴びるなど、沖縄では米軍の救援体制と基地負担は分けて考えるべきだという主張は根強い。


 いまだに嘉手納基地での騒音音量と時間帯の非常識は改まらず、3月30日に嘉手納上空でフレア〔追尾をごまかす発炎筒〕誤射という事件も起
こしたばかりだ。嘉手納高校の卒業式の途中の騒音などもあり、普天間代替だけが政治の日程にのぼること自体がおかしいのだ。


 3月29日にCH―53Dヘリがホノルル沖で墜落しているが、2004年に沖縄国際大学で落ちたのと同型機である。米軍の問題は、兵員の起こす刑事事件、墜落、環境汚染など老朽化、汚染物質の拡散など原発事故と重なる部分が多いのである。安全保障などと言っている間に普通の生活が脅かされてきたのだ。震災と原発の暴走を前に、他国の武力侵攻、テロの脅威などを吹聴する勢力が随分とかすんでしまったことは忘れない。本当に危機管理能力を持っている者は米軍基地や原発など是認しないのだ。


 この機会に軍事基地がどこまで必要なのか検証しなければならない。原発に匹敵する迷惑施設である基地に使われる土地を米軍から取り戻せ。
金を湯水のように使うことは許されない。原子力空母の沖縄・佐世保・横須賀への入港も拒否しよう。震災のドサクサにまぎれた軍事基地強化を阻止しよう。


「原子力帝国」を打倒せよ


 「フクシマ」は、「ヒロシマ」「ナガサキ」、そして「ナンキン」「アウシュビッツ」とともに、資本主義の暗黒の墓標にその名を刻み込んだ。原子力政策を進めてきた国、自治体、政治家、官僚、東京電力、製造メーカー、メガバンク、財界、御用学者、広告代理店、マスメディアなどの責任は重大である。この巨大な利益集団は「原子力村」と呼ばれている。しかしそれは「村」などという規模を超える、まさに「原子力帝国」と呼ぶにふさわしい日本資本主義に深く根ざしたシステムなのである。


 原子力発電に巨額の資本投資をしてきた政府、メガバンク、電力会社、製造メーカなどの「原子力帝国」主義者たちは、福島第一原発部門の「切り捨て」や浜岡原発の一時停止だけで逃げ切ろうとしている。それは原子力産業が日本資本主義システムの奥深くに根ざしていることを意味している。つまり、すべての原発を止め、再生可能エネルギーへの転換を実現するためには、「原子力帝国」日本における資本主義システムとの闘争が不可欠なのだ。


 大災害や天変地異はそれまで覆い隠されてきた階級的利害を白日の下に晒す。「原子力帝国」主義者たちはマスコミをはじめあらゆる手段を通じて「オール・ジャパン」を演出しているが、現実に進んでいるのは、被曝を労働者階級と農漁村地域へと押し付ける「原子力帝国」の政策であり、日米軍事同盟の強化であり、被災地支援に名を借りた社会保障や賃金に対する階級的攻撃なのだ。


 世界の反原発運動は「フクシマの警告を忘れるな!」を合言葉に脱原発社会を目指すたたかいを強化している。「フクシマ」を資本主義の墓標にのみ刻み込まれる名前にしてはならない。温室効果ガスを垂れ流し、原発と核兵器が暗い影を落とし、家父長制と差別が隅々にまで浸透し、人権と民主主義が抑圧され、搾取と戦争が支配する世界と日本の「原子力帝国」を根底から作り変えるために、「脱原発、脱資本主義」の旗を高く掲げる青年の希望のスローガンに「フクシマ」の文字が刻み込まれなければならない。


  「脱原発。脱資本主義」の旗を高く掲げよう!