bb 辺野古への基地建設を許さない実行委員会主催により、永田町星陵会館で「『日米同盟の深化』はいらない、沖縄・辺野古に基地を押し付けるな4・16集会」が開催され、200人が参加した。

 最初に司会の中村利也さんが「東日本大震災に対する米軍の救援行動(『友達作戦』)を沖縄の米軍司令官は普天間基地が重要な役割を果たしていると発言した。また、北澤防衛相は日米同盟が進化したとも語っている。私たちは軍事基地の強化に反対する。昨年の5.28日米共同声明を撤回させ、辺野古への新基地を作らせない、高江のヘリパッド基地建設工事を中止させるために本日の集会をもつ」と、集会の趣旨を述べた。

 続いて昨年12月22日に工事が再開された高江の闘いの様子を映したDVDが上映された。反対派の道路での抗議行動を裁判でやめさせようとする防衛施設局の卑劣な提訴に対して、裁判所が和解を促している最中に、工事は突然始められた。高江の住民たちは非暴力・抵抗運動で、文字通り言葉と座り込みで抵抗した。それに対して、工事業者や防衛施設局の職員たちが、暴力的に襲いかかり、ゴボウ抜きにしていく様子が映し出された。

 また、一月に入り反対派住民たちのテントが米軍ヘリのホバリングにより破壊された。防衛施設局長に、事態の究明とただちに工事の中止を求める交渉が行われた。局長は調べてみるとしたが、その後米軍はやっていないと言っていると回答した。目撃者がいる中で、そんな言い逃れはできない。局長が現地を訪れ、現場を見ざるをえなくなった。そうした攻防によって一時工事が中断したがまた再開され、攻防が続いた。最初は押されていたが、高江だけではなく、他の沖縄からの支援者が増えて、工事が次第に止まっていった。ついに三月に、希少な鳥類の保護のために、騒音・振動を出す重機による工事はひかえるということで、三月から六月まで工事は中止となった。

 このDVDを制作した高江の比嘉さんからのメッセージが読み上げられた。「工事は2月28日まで強行された。住民は緊張と不安の中、抗議行動によって工事を最小限に食い止めた。今後も続くと思うと暗い気持ちになる。東日本大地震でたいへんな事態になっているのに、ヘリパットや米軍にカネをまわしている時ではないだろう。基地建設をやめろ」。

 次に、沖縄をふみにじるな緊急アクション実行委の園良太さんが「新宿ど真ん中と米大使館への連続デモ行動について報告し、五月一日に再び新宿ど真ん中デモを行う」と連帯のアピールを行った。

 安次富浩さん(海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会代表委員)が講演を行った(別掲)。続いて、連帯のアピールが行われた。全労協の遠藤一郎さんは次のように被災地の現状を報告した。

 「私は仙台出身。娘がかきの養殖工場をやっていたが全滅した。どう再建するか、先が見えないたいへんな状況だ。迷彩服を着た米軍が救援活動をいっしょうけんめいやっているとマスコミは宣伝しているが果たしてそうだろうか。南三陸町という被災地がよく出てくるが、この地域はそれぞれの町に湾があり、山を越えていかないと繋がらない。そうした町が無理やり平成大合併によって南三陸町として作られ、公務員が減らされた。その人たちは今回の津波で家を流され、家族からも死亡者が出ている中で、へとへとになりながら必死に救援活動をしている。米軍は離れた所に空母を持ってきて活動した。米軍にものを言ってはいけないような雰囲気が作られている」。

 「私たちは震災労働相談を行っている。そこには『会社が被災したから明日から来なくてもよい』と言う相談があった。これは仕方ない面があるが、『出て来ないなら、首を切る』と脅迫するような相談もあった。これからどう再建するかが問題となってきている。この時、元経済財政政策担当相の竹中平蔵は『TPPに耐えられる農業、道州制の導入』とさらなる新自由主義競争原理の導入を主張しているが、それではダメだ。地域で思いがつながり、働く者、農漁民が一緒になってどんな社会を作るのか構想しなければならない。それは沖縄の人々や原発震災で苦しんでいる人たちとつながって、軍事ではなく、平和で脱原発をめざすものではないといけない。再建は挙国一致体制ではできない」。

 一坪反戦地主会関東ブロックの下地厚さんが、先島への自衛隊配備に反対するアピールを行った。立川自衛隊監視テント村の大洞俊之さんが「年末に与那国島に行ってきた。シビアな現実を知った。かつては一万人いた人口が1600人に減ってしまった。自衛隊を配備しようする所は原発のある所と似ていて、①過疎②カネ③雇用④安全が問題となっている。別の話になるが、立川で震災後二度情宣活動をした。すると現地でがんばっている自衛隊をなぜ批判するのかとつっかかってくる人が何人かいた。逆風を感じた。災害救援は戦闘部隊ではなく、災害専門部隊でこそ有効に出来るのだ。国家主義体制への批判が重要だ」と報告した。たんぽぽ舎の坂東喜久恵さんは、きちんとデータを出さない政府・東電を批判し、「安全な原発はありえない、原発がなくても、電気は大丈夫。浜岡原発、柏崎・刈羽原発を止めよう」と訴えた。福島原発の廃炉を求める有志の会の古荘斗糸子さんが、会を立ち上げインターネットで署名を集めた結果、2万7千筆以上が集まっている、これからも引き続き活動していくと報告した。最後に実行委員会のまとめと集会決議を採択して集会を終えた。この後、首相官邸前に移動して、菅首相に対して「米軍思いやり予算を被災地へ。沖縄新基地建設をやめろ、原発もいらない」と申し入れ行動を行った。

 

 安次富浩さんの講演から

 米軍への思いやり予算を東日本大震災復興へまわせという運動を始めている。県庁前でビラを配布し署名活動を行っている。3月30日衆院で、31日参院で思いやり予算、一年で1881億円が五年間支払われる。これは一日に直したら5億円の税金が使われるということだ。

 「お友だち作戦」で米軍が動員されている。ロナルド・レーガン米空母はヘリが放射線で汚染されたと逃げた。ジョージ・ワシントン米空母は日本海を回ってきた。福島原発の重大事故の時、原子力空母を使うなんて考えられない。米軍は普天間基地や在日米軍がこういう時に役立つのだから必要だと宣撫工作として使っている。私は「すべての武器をスコップに、戦車はシャベルカーへ」と言っている。軍隊ではなく救助隊が必要なのだ。防衛省から防災省へ改編しなければならない。これこそが憲法九条の実践だ。

 米軍は核戦争を想定している。今回の原発事故を実験台として利用している。運動をひかえるようなことがあるなら、向こうの思うつぼだ。どこに立っているか真剣に考えなければならない。すべての原発を止めろ。

 今回の大津波の風景を見ていると沖縄戦の那覇空襲後と同じだ。地球の歴史からすると千年に一度の自然災害との闘いから人類は文化を作ってきた。東京人はなぜ買出しに走るのか。情けない。日本の本当の変革はどこから始まるのか。高円寺での1万5千人の反原発デモをした若者とつながっていかなければならない。

 話を辺野古に移そう。辺野古に基地を押しつけるために様々な画策がされている。稲嶺名護市政に対して、政府は基地交付金の一六億円をカットした。稲嶺市長は基地交付金に頼らない健全化財政にするとがんばっているが、全国で名護市政を支える運動をしてほしい。例えば、ふるさと納税の活用をしてほしい。三月末までに2900万円集まっている。さらに、防衛施設局は辺野古ダム、大浦川について、基地建設を前提とする環境調査を名護市が拒否していることに対して、行政不服審査法に基づいて、提訴しようとしている。これとの闘いもある。

 また、尖閣諸島問題で、政府は与那国島、宮古島、石垣島に自衛隊配備を決めている。この地域は魚を獲る種類が違い、大きな問題は起きてこなかった。国境をこそ非武装で、自由交易地帯にすべきだ。そして、自衛隊が過疎の島にくると選挙権が生じ、地方自治が破壊される。

 アメリカで米軍再編が論議されている。ヨーロッパから米軍を引き上げることや沖縄の海兵隊は冷戦の遺物だから撤退すべきだ。コロンビア大のある教授は「辺野古移設は間違いだ。すべての米軍基地を返し、自衛隊と共同管理をしよう」と提言している。ゲーツ国防長官は「海兵隊の役割の見直し」を発言している。日本の政治家はそうした論議もしない、まったく審議なしで思いやり予算を通した。民主党のリベラル・環境派の誰一人として反対しなかった。左派がためされている。

 辺野古は14年かかっている。非暴力・抵抗運動。体を張って作業を止めている。そうした行動を県民世論が支持してくれ、権力が介入できない。金太郎飴作戦だ。ゴボウ抜きされてもまた後ろにさがり闘う。持久戦だ。これが沖縄の闘いだ。辺野古での座り込みは明日で2055日になる。日米は基地を押しつけようとしているが前に進めない。

 仲井真知事は県外移設を打ち出し、辺野古への新基地を認めていない。我々は彼を支えなければならない。六月に知事は訪米するが、オール沖縄でワシントン、オバマにぶつける。我々も行ってデモ、座り込みをする。

 この国を変えていく運動を作っていかなければならない。なぜ東京は石原を当選させたのか。東京に変革する力がないのか。周辺から攻め上っていく流れしかないのか。例えば辺野古は人口密集地帯ではないから基地を作っていいというのなら、皇居周辺、羽田に持っていけばよいではないか。そのように言い返して抵抗していかなければならない。

 私は自分の住所を琉球国と書く。自己決定権を行使する。独立を含めたことを考えていかざるをえない。自立していく闘いを大いに支援してください。(発言要旨、文責編集部)