虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

【案内】 植民地支配と日米安保を問う 4・29反「昭和の日」集会とデモ

植民地支配と日米安保を問う  4・29反「昭和の日」集会とデモ
 

日時:4月29日(日)/午後1時半開始

場所:日本キリスト教会館4F(地下鉄東西線早稲田駅3b番、2番出口から徒歩5分)


資料代:500円

主催:反「昭和の日」実行委員会
    090-3438-0263 



 震災・津波、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故より1年目がすぎた。事故の処理はなにひとつ満足な解決をみていない。福島県はもとより、それ以外の地域でも至る所に被害は及んでいる。被害者は当たり前の暮らしを取り戻すことさえまだできていないし、そのための賠償問題も遅々として進んでいない。1年目の3月11日、政府主催による「東日本大震災一周年追悼式」が、天皇夫妻の出席のもと行われた。病気をおしてまで出席した天皇の役割とは、優しい微笑みの裏で事故の責任者を名指すことを回避し、被災者に我慢を強い、さらに原発再稼働という政治意思に示されているような震災前の「秩序」へと、社会を再び統合していくことでしかない。



3月11日、震災と原発事故がおきたこの日を、政府とマスコミは、ただ震災とそれによって生み出された死者「のみ」を追悼する日として組織した。事故や放射能について口にした天皇の「お言葉」も、国家による追悼の空間に、すべての「国民」を集約するものとして発せられたのである。戦争責任をとらないまま毎年8月15日に「全国戦没者追悼式」が行われていることと同じ構造が新たにつくられていくこと、また3月11日という日が、新たな「慰霊の日」となることに、私たちは憤りを感じざるをえない。



 まもなく、昭和天皇ヒロヒトの誕生日である4月29日、6回目の「昭和の日」がやってくる。今年は1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約が発効されて60年目にあたる。ヒロヒトは自らの名で侵略と植民地拡大のための戦争を遂行し、沖縄戦の最中に米軍に占領された沖縄に、長期にわたって米軍が駐留を希望するメッセージを、政府の頭越しにアメリカの国務長官クラスに送るなど暗躍し、安保体制の枠組みを作りだした。



敗戦後、サンフランシスコ講和条約によってそれは明文化され、日本の「独立」と引き替えに、今現在に至るまで沖縄の人々は米軍による好き勝手な土地使用に苦しめられることとなった。米軍の「銃剣とブルドーザー」による大規模な土地接収が強行され、米軍基地の整理縮小が進んだ「本土」とは対称的に過酷な基地負担を背負わされることになるのである。



さらに、東南アジア諸国に対する日本の戦後賠償も、東西冷戦下のアメリカの戦略によって切り縮められた、日本の経済進出の足がかりとなるかたちでの講和となったのである。本来であれば大日本帝国(天皇制国家)による植民地支配・侵略戦争の歴史を清算し、反省や補償のスタートとならなければならなかった敗戦・占領からの「出口」は、かくも大きな問題を孕むものであった。



 そして今年は沖縄が「本土復帰」してから40年という年でもある。「本土復帰」後の沖縄は、日本の「国内植民地」とも言える状態でアメリカ・日本の戦略に組み込まれている。このことに規定された今日の基地問題、地位協定の問題など、解決されない大きな課題として私たちの前にある。



 今年の反「昭和の日」行動は、サンフランシスコ講和条約発効から60年の4月28日に、戦後の日本が通ってきた歴史的現実を踏まえながら、沖縄の現在や、私たちの目の前にある問題を考える講演集会を反安保実行委員会と共催で持ち、翌日29日には「昭和」の歴史(=ヒロヒトの戦争・戦後責任)に向きあい、発言し、行動する、28~29日の連続行動を予定している。多くのみなさんの参加と賛同、協力をよびかけたい。



植民地支配と日米安保を問う 4・29反「昭和の日」行動実行委員会
http://2012429.blogspot.jp/)   



【呼びかけ団体】アジア連帯講座/アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/キリスト教事業所連帯合同労働組合/国連・憲法問題研究会/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/労働運動活動者評議会

【案内】6・9公開講座 橋下・大阪維新の会を批判する―反撃の闘いは今―


講師:寺本勉さん(「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪事務局員、おおさか社会フォーラム2012事務局員) 


日時:6月9日(土)午後6時30分

場所:文京シビックセンター障害者会館3A(地下鉄三田線春日駅、地下鉄後楽園駅下車)



 大阪府知事・市長選挙(昨年11月28日)以降、橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)と大阪維新の会は、矢継ぎ早に労働者攻撃の暴挙を強行している。


 松井一郎大阪知事(維新の会幹事長)は、府議会に「府教育行政基本条例」「府立学校条例」、「職員基本条例」(教育目標は実質上首長が決める、従わない教育委員は罷免、高校の学区廃止、職務命令違反三回で免職、部長・校長等の公募制、職員への相対評価など)を提出し、公明、自民とともに強行可決した(3月23日)。市議会でも維公自3党によって「日の丸・君が代」起立斉唱義務条例を可決した。市長の教育目標決定権を明文化した教育関連2条例案と、分限免職手続きなどを定めた職員基本条例案は継続審議としたが、5月の議会で成立させようとしている。


 さらに橋下は、不当労働行為が明確な「労使関係に関する職員アンケート調査」、労働組合事務所退去攻撃、市庁内メール調査、市営バス運転手賃金四〇%カット、捏造された「市長選推薦リスト」に基づく大阪交通労組への攻撃、など悪質な労組攻撃、人権侵害を繰り返している。


 大阪維新の会は、次期衆院選の公約として「維新版・船中八策」を発表し、憲法改悪を射程に「大都市制度の創設」「公務員の職員基本条例案の法制化」「首相公選制の導入」「参議院の廃止」などを掲げ、「300人擁立して200人当選させて国政を動かす」などと言い出している。


 寺本さんは、橋下・維新の会のねらいが「徹底した新自由主義的政策と競争原理を導入し、実行するために、意思決定システム、言い換えれば統治システムを変えていこうとすることにほかならない」と分析(『労働情報』834号)し、「改憲をも視野に入れながら、一気に国政に進出しようとしている今、この闘いは単に大阪だけのものではなく、全国的な闘いでなければならない。春闘と結合してハシズムを包囲する闘いの陣形を構築していこう」と訴える。


 講座では、「橋下政治をどう見るのか、どのように闘うのか」というテーマを設定しつつ、この間の反撃の闘いの「成果と課題」を踏まえて、「橋下政治の新自由主義的改革のためのシステム作り」に対するオルタナティブな水路、とりわけ「直接民主主義と参加型民主主義」の重要性について、寺本さんからの提起を受けて、論議していきたいと思います。

【案内】三里塚4.25高裁判決 5.20横堀集会へ

三里塚 横堀・団結小屋破壊を許さない!
4.25横堀・団結小屋破壊高裁判決公判へ


4月25日(水)午後1時/東京高裁第9民事部809号法廷
終了後、日弁連会館会議室で報告会(地下鉄霞ヶ関駅)


5.20三里塚・横堀現地集会とデモ
5月20日(日)横堀集会/横堀農業研修センター/午後1時半/集会後、辺田地区へデモ/12時30分:京成東成田駅地上結集(迎車待機)

共催:大地共有委員会(Ⅱ)<代表:加瀬勉>
   三里塚空港に反対する連絡会
〒289-1601 千葉県山武郡芝山町香山新田131-4 
 電話&fax0479-78-0039


現闘本部共有地裁判(共有物分割請求控訴事件)第1回控訴審
東京高裁第2民事部/4月12日(木)午前11時


断固闘いぬく 
柳川秀夫(反対同盟代表世話人)

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団結小屋破壊の裁判は一坪共有地取り上げの裁判と一体の空港会社による攻撃だ。三里塚闘争の歴史を無視し、経済的利益を最優先する空港会社の姿勢が現れている。訴訟の原告は地主個人だが実体は、空港会社そのものだ。我々はいかなる策動も許さず断固闘いぬく。


21世紀の科学文明の暴走を許してはならない 
加瀬  勉(大地共有委員会<Ⅱ>代表)

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 20世紀の科学文明の暴走は、侵略戦争と広島、長崎への原爆投下の悲劇をもたらして帰着した。21世紀の科学文明の暴走は、原発の事故となって福島を中心とする東北各県、関東の地域に悲劇をもたらした。我々は暴走する21世紀の科学文明・巨大開発をストップさせなくてはならない。牙を剥いて我々に、人類に襲い掛かってくる巨大開発である空港建設を国家権力が暴力を用い、破壊行為をもって推進せんとする行為を断じて許してはならない。

 + + + + +


空港会社、司法権力一体の闘争破壊を跳ね返せ


 昨年10月25日、千葉地裁は横堀にある団結小屋(労闘-労活評)を撤去し、土地を明け渡せという地主原告の訴えを認める判決を下した。裁判は空港反対同盟を被告として争われてきた。


 成田国際空港株式会社は空港反対運動、とりわけ一坪共有運動の拠点となっている団結小屋を破壊するために地主を原告に仕立てて小屋の撤去と土地の明け渡しを求める裁判を起こさせた。


 2000年にも現闘の住人を被告として同様の裁判を起こさせ、一審、二審とも原告の訴えを認める判決を出したが、小屋の所有者を特定することなく小屋の撤去という目的を達することはできなかった。


 そこで今回(2009年)空港反対同盟を小屋の所有者とし、反対同盟を被告として提訴したのだ。原告は空港反対を共に闘った元反対同盟員の地主だが、実態は空港会社が訴訟をやらせているのである。


 原告の訴状にある「住人は現在も空港建設に反対し、『一坪共有地』を守るための活動中の被告のメンバーであり、被告の連絡先となっている」という記述からもそれは明らかである。


 そして「反対同盟が住人に委託してこれら工作物に常駐させて占有を継続させ、もって自ら本件工作物の間接占有を継続している」と、反対同盟が「委託」しているなどという全く事実に反するデッチ上げを行い、反対同盟を被告に仕立て上げた。空港反対運動の拠点の一つである団結小屋を排除し、運動を破壊しようとする空港会社の意図が明確に表れている。

 裁判の過程で原告側は移転費用を出すという和解案を提示してきたが、断固拒否し法廷で争ってきた。


 反対同盟は団結小屋は支援者の共有であり、反対同盟を所有者と特定し被告とするのは誤りであるとして速やかに棄却するよう裁判所に求めた。


 しかし、千葉地裁は原告の主張をすべて受け入れ、「支援者らとしては、被告(注・反対同盟)のために本件工作物を建築したものであり、支援者が関与した程度に応じて持ち分を維持する意志を有していたとは考えがたいから、被告構成員の総有とするのが当事者の意志解釈として合理的である。」と裁判所独自の「推認」を加え、「総有」の概念を持ち出して反対同盟の所有と認定した。


 かかる不当な判決は断じて認めることはできないとして反対同盟は即時控訴した。


 その第一回控訴審公判が2月15日、東京地裁で開かれたが、実質何ら審議することなく結審となり、4月25日判決が言い渡されることになった。


 公判に先立つ13日、原告(地主)=空港会社は仮執行を求める「附帯控訴状」を提出してきた。高裁判決時に仮執行宣言を付加せよというもので、一刻も早い住人の追い出しを求めている。


 高裁判決は厳しいものが予想される。不当な判決にも屈しない闘いの体制を構築しよう。


 さらに空港会社は空港用地内に点在する一坪共有地(木の根、横堀、東峰の6カ所)を裁判によって強奪せんと2009年、千葉地裁に共有者を被告として「共有物分割請求」を提訴した。11年9月、裁判所は、三里塚闘争の歴史的経緯を見ることなく、完全に空港会社の主張通りの不当判決を下した。司法権力を使った土地取上げは強制収用と本質的に何ら変わるものではない。共有者は直ちに東京高裁に控訴した。一坪共有地裁判に勝利しよう!


成田空港30万回発着を中止せよ


 空港会社は昨年10月20日からA・B滑走路「同時離着方式」の適用空港となった。これによつて現行年間22万回の発着枠は23・5万回に増え、来年3月からは25万回も可能になるという。


 空港会社は年間30万回に向けて突き進んでいる。平行滑走路の現在の誘導路が「く」の字型に曲がっているのを直線化するために天神峰現闘本部(北原派)を裁判所の判決をもって撤去し、農民の耕地を裁判でと取り
上げようとしている。また増加する飛行機の往来に対処するためにB滑走路西側に新たな誘導路を建設しようとしている。


 成田空港はLCC(格安航空会社)の導入を推し進め、第2ターミナル南側に専用ターミナルを増設することを明らかにした。


 こうして空港会社は利潤の追求のために空港機能の拡張に向けて突き進んでいる。


 空港会社、司法権力一体となった反対運動破壊を許さず、大衆的反撃で彼らの野望を粉砕しよう!横堀現地に結集し、共に闘おう!


※京成電鉄時刻表

京成上野駅特急 10:47発→成田駅11:57着 成田駅乗り換え芝山千代田行12:06発→東成田12:12着
帰りも車に分乗して東成田駅へ


北朝鮮「人工衛星」打ち上げ問題をどう見るか

0,,15830398_401,00 迷走する北朝鮮、戦闘態勢の自衛隊
 
 二月二九日、米国と朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)両国は、北朝鮮が寧変でのウラン濃縮活動、核実験、長距離ミサイル発射を一時停止して、寧辺の核施設に国際原子力機関(IAEA)要員を受け入れるとともに、米国は北朝鮮への食糧支援を行うと表明した。さらに三月七日、八日の両日、米国が北朝鮮に栄養補助食品など二四万トンを提供する方法をめぐって、米朝両政府代表による協議が北京で行われ、合意に達した。三月一二日には、ニューヨークに滞在中の北朝鮮の核問題をめぐる六者協議における北朝鮮側首席代表の李容浩(リヨンホ)外務次官が、ウラン濃縮活動の一時停止に伴ってIAEA代表の受け入れが近いうちに行われる、と言明した。

 こうした動きは、北朝鮮の金正恩新体制が「米朝協議」を進めながら、深刻極まる食糧事情を改善し、「強盛大国の大門を開く」年と位置づけられた二〇一二年の最大イベントである四月一三日の最高人民会議、四月一五日の「金日成生誕一〇〇年式典」、そして朝鮮労働者党一四回大会を経て、自らを打ち固めるための基盤づくりと目されていた。国際的にも孤立を深め、国内的にもどん詰まりの飢餓状況からの脱却を、米朝協議を通じて図ろうとする外交と考えられたのである。



 しかし、三月一六日、朝鮮中央通信が四月一二日から一六日の間に「人工衛星を搭載したロケットを打ち上げる」と発表したことで一転して緊張が高まった。朝鮮中央通信によれば、それは、地球観測衛星「光明星3号」を運搬ロケット「銀河3号」に搭載し、北朝鮮西部の「西海衛星発射場」から南方に向けて打ち上げるもので、「平和的な宇宙利用」である、と強調している。北朝鮮が国際海事機関(IMO)に事前通報した情報によればロケットの一段目は韓国西方沖、二弾目はフィリピン東方沖に落下する予定となっている。

 日米韓政府は、この北朝鮮による「衛星」発射予告を批判し、北朝鮮への圧力を共同で行使することを確認した。韓国政府は「二〇〇九年の国連安保理事会決議では、北朝鮮の弾道ミサイル技術を使ったすべての発射が禁じられている」と指摘し、今回の行為は「明確な安保理決議違反」と非難した。米国政府も「重大な挑発」と北朝鮮に抗議し、米朝協議で確認した食糧支援準備を中断した。中国やロシアもまた、北朝鮮に「人工衛星ロケット」発射の中止を促すための外交的圧力をかけている。ソウルで三月末に開催された「核サミット」は、北朝鮮の「ロケット発射」を阻止するための外交的舞台になった。

 こうした国際的反発は、当然、北朝鮮にとっては織り込み済みである。北朝鮮は「平和的な宇宙利用の権利を否定し、自主権を侵害する卑劣な行為」と海外からの圧力を非難する一方で、「人工衛星」を海外の専門家や記者にも公開すると述べ、IAEAに対して監視員の派遣を改めて要請している。

 米韓両国は、こうした中で、韓国東部の浦項で、「北朝鮮有事」を想定した、一九八九年の米韓合同軍事演習以来最大規模の合同上陸訓練を三月二九日から開始した。そして野田政権は米韓両国と歩調を合わせながら、二〇〇九年の北朝鮮ロケット発射時と同様に、三月三〇日に安全保障会議を開催し、「弾道ミサイル破壊措置命令」を発動した。この命令によって、防衛省をイージス艦を沖縄周辺の東シナ海に二隻、日本海に一隻、そして地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を首都圏三カ所(朝霞、市ヶ谷、習志野)と沖縄本島の二カ所(那覇市、南城市)と宮古島、石垣島に配備した。さらに石垣、宮古、与那国島には陸上自衛隊の救援部隊を派遣した。

 この弾道ミサイル防衛体制は米軍横田基地内に置かれた「日米共同調整所」を通じて、日米共同の作戦として展開されることになる。まさに実戦体制が敷かれているのである。沖縄へのPAC3配備、石垣、宮古、与那国への陸自部隊の投入は、新防衛大綱で示された米軍のアジア・太平洋戦略の一環としての自衛隊の南西重視戦略の格好の実験場となっている。



 米朝協議を通じて「ウラン濃縮」・核実験の一時停止、IAEA復帰に応じる一方で、各国からの非難と孤立化を招くことを十二分に承知した上で「人工衛星発射」=ミサイル実験に踏み切ろうとする北朝鮮・金正恩体制の姿勢を、どのように捉えるべきだろうか。

北朝鮮は一方で、金正日体制が招き寄せた国際的孤立化と経済的・社会的危機からの脱出の糸口を手繰り寄せなければならない。他方で、金正恩継承体制の確立のためには、金日成・金正日・金正恩三代体制の「正統性」を根拠づけなければならない。

四月の「人工衛星発射」は、金正日が死去する直前の昨年一二月一五日に北朝鮮の当局者によって米国側に伝達されていたことであり、金総書記の「遺訓」を「一寸の譲歩も一寸の抜かりもなく徹底的に貫徹する」と宣言している金正恩にとっては、やめるわけにはいかなったのだとも報じられている(毎日新聞、三月二四日夕刊)。金正恩が父・正日の遺志を実行できなかったのだとすれば、彼の「継承体制」の正統性が危機に瀕するからである。

かりに北朝鮮の体制が「ゆるやかな方向転換」を求めようとしても、「三代継承」体制の正統化の枠組みに縛られた金正恩体制は、内部から転換することはきわめて困難である。こうして強力な指導力を欠いたまま、支離滅裂で混乱した政策が今日の北朝鮮を支配することになる。「ハンドルとブレーキが故障したまま、坂を駆け下りる車」という韓国・柳佑益(リュウイク)統一相の北朝鮮への評価(朝日新聞、三月三一日)は、おそらく正しいだろう。しかしそれとともに、公式の発表の裏側にある、北朝鮮側の「政策転換」へのサインも見すごすべきではない。

われわれは、民衆の苦しみと飢餓をよそに、ただ特権的支配層の残虐きわまる独裁支配体制を維持しようとするためだけに行われる「人工衛星」発射という膨大な浪費を厳しく批判しなければならない。

そして同時に北朝鮮の民衆と真に連帯しようとするためには、こうしたロケット発射を絶好の口実にして「北朝鮮の脅威」を煽り、米日・米韓の軍事的同盟体制の実戦化に踏み込もうとする動きにきっぱりと反対することが必要である。

朝鮮半島の緊張緩和と東アジアの平和の実現は、日本帝国主義の朝鮮半島の侵略・植民地支配の真の清算に基づく日朝国交交渉の再開のための闘いによってこそなしとげられるのだ。

(四月一日、K)

【案内】 原発ゼロへ!止めよう再稼働 4・11アクション

原発ゼロへ!止めよう再稼働 4・11アクション

【4月11日(水)】 <東電福島第一原発事故の発生から1年1ヶ月>

午後6時 集合 日比谷公園中幸門(日比谷公会堂裏)
※千代田線・日比谷線「霞ヶ関駅」C1出口より200m
        丸の内線「霞ヶ関駅」B2出口より300m
       都営三田線「内幸町駅」A7出口より150m
    出発前集会

午後7時 デモ出発 
    関西電力東京支社、経産省を通り、国会議事堂方面へ
    国会請願デモの後、街頭へ(予定)

    ※プラカード、横断幕、鳴り物、キャンドルなど持ち寄り歓迎。

 54基もある日本の原発のうち、動いているのはついにあと1基。原発
ゼロの達成(5月5日に泊が止まる!)は目前です。
 日々「原発なしでも大丈夫」なことが証明されているにも関わらず、
利権を失うことを恐れる「原子力ムラ」は、「今夏の電力不足」をあお
り、大飯原発3、4号機の再稼働に前のめりになっています。
 福島事故の原因究明もまだであり、安全委員会が「ストレステストの
1次評価のみでは安全性評価は不十分」と公言し、滋賀県、京都府など
多くの「地元」自治体、住民が再稼働反対を表明する中、強引な再稼働
は絶対に許されません。
 原発ゼロを実現し、原発全廃に舵を切るための、最大の正念場です。
「3・11」1年に取り組まれた1万人以上の国会包囲「人間の鎖」の成功
をはずみに、力を合わせて、政府に再稼働の断念を迫りましょう。
 「4・11」は再び日比谷から国会へ!

【呼びかけ】 再稼働反対!全国アクション
[連絡先]
ピープルズ・プラン研究所 (FAX)03-6424-5749
(E-mail)contact@2011shinsai.info
(TEL)090-6185-4407[杉原] 
http://2011shinsai.info/                                   
 

【案内】5.26 成田プロジェクト 今だからこそ花崎さんの話を聴く会

2012・5・26 成田プロジェクト 今だからこそ花崎さんの話を聴く会

昨年4月、東日本大震災と福島第一原発事故からわずか1カ月のとき、ドイツを旅した花崎さんは「ドイツの脱原発論に接して」という一文を発表しました。


  そして「節度(ソープロシュネー)という詩も(裏面に印刷してあります)。この一文には倫理委員会の報告をもとにしてドイツが脱原発へ向かった理由が記されていたので、衝撃をもって受け止めました。私たちがもとめる思想の力を示しているからです。最近は邦訳もWeb上に出ました。
(ドイツのエネルギー転換~未来のための共同事業 http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/3rd/3-82.pdf


  3.11から1年をむかえた今、花崎さんの話をゆっくり聴いて、これからのことを考えようではありませんか !


お話:花崎 皋平 さん(哲学者)


日 時 2012年5月26日(土)


開会2:00 ~ 5:00(開場1:30)


会 場 文京シビックセンター・区民会議室4階ホール


東京都文京区春日1-16-21 
電話:03-3812-7111(文京区役所代表)
東京メトロ 後楽園駅・丸の内線(4a・5番出口)南北線(5番出口)徒歩1分
都営地下鉄春日駅三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分
JR総武線 水道橋駅(東口)徒歩9分 参加費 500円


問い合わせ・連絡先:成田プロジェクト(narita-pj@pen.co.jp
〒113-0033 東京都文京区本郷3-13-3 三富ビル ペンの事務所気付
TEL03-3818-1835 FAX03-3818-9312

報告:3.26「東電の原発ゼロDAY」アクション

326 3月26日未明、東電柏崎刈羽原発6号機が定期検査のため運転を停止し、ついに稼働している東電の原発はゼロとなった。そして日本全国の原発五四基のうち稼働中の原発も北電泊3号機一基のみとなった。

 この日、午後7時から新橋駅近くの東京電力本店前で「東電の原発ゼロDAYアクション~福島、新潟、もう絶対動かさせない」が行われた。呼びかけは、経産省前テントひろば、原発いらない福島の女たち、再稼働反対!全国アクション、たんぽぽ舎、東電前アクション、福島原発事故緊急会議。行動には130人が集まった。

 栗原学さんの司会で始まった集会では、最初にこの行動を企画した東電前アクションから植松さんが発言。植松さんは「東電の原発がすべて止まったことに喜んでばかりはいられない。福島や柏崎など原発立地の人びとに犠牲を強いながら豊かさを享受し、原発事故を止められなかった首都圏の私たちが、その責任を自覚し、東電との闘いを続けよう」と訴えた。

 eシフトから柏崎刈羽原発に対して「安らかにお眠りください」という「感謝状」が紹介された後、再稼働反対!全国アクションが大飯原発3、4号機再稼働阻止に向けた翌日(3月27日)の首相官邸前行動、4月11日の関電東京支店、経産省、国会に向けたデモを呼びかけた。たんぽぽ舎の柳田真さんは、前日の3月25日に福井市で行われた大飯原発3、4号機再稼働反対集会・デモ、ならびにこの日の福井県知事と県議会議長への申し入れについて報告し、「原発が止まっても電気は足りていることが事実をもって多くの人びとに浸透している」ことの重要な意味を訴えた。そして原発については「まったく素人」である四閣僚(首相、経産相、官房長官、原発担当相)の「政治決断」で大飯原発再稼働が決められようとしていることを厳しく批判した。

 また3月23日の原子力安全委員会では、わずか五分で審議が打ち切られ、原子力安全・保安院の大飯原発3、4号機に関わるストレステスト審査結果が「了承」されたことへの厳しい批判が、傍聴者から語られた。

 集会の前面に掲げられた白いボードに「東電解体」の文字や、前日の福井市でのデモの映像が映し出される中で、原発被災地から避難してきた人びとや福島県の住民が次々に東電に対する怒りをぶつけていった。故郷の双葉町を強制的に去らざるを得なかった住民は「防災訓練もやってきたが、なんの意味もなかった。こんな地獄のような苦しみをもう誰にも味わわせたくない」と切々と訴える。郡山市の住民は「この五月から学校の運動場が全面的に使用され、プールも解禁になる。こんなことで子どもたちを放射能から守ることはできない」と語り、富岡町の住民は「私は家も土地もあきらめた。だから東電は原発から撤退してほしい」と述べ、いわき市民も東電に向かって「責任を取ってほしい」と思いのたけをぶつけた。

 参加者が輪になり「正調・会津磐梯山」を踊るパフォーマンスを行った後、さらに経産省前テントひろばなどからの発言を受け、東京電力への申し入れ文が読み上げられた。130人のアクション参加者たちは、最後に東電本店に向かって抗議のシュプレヒコールをぶつけ、二時間に及ぶ「東電の原発ゼロDAY」アクションをしめくくった。



27日には首相官邸前アクション



 3月27日には、緊急の呼びかけで「首相官邸前アクション」が午後六時から行われた。政府は3月29日にも四閣僚による大飯原発3、4号機再稼働への「政治決断」がなされようとしている、と報じられた。

 一日前の呼びかけにもかかわらず70人の人びとが参加する中で行われた集会では、多くの参加者から、すべての専門家たちが多かれ少なかれ大飯原発再稼働に対して、安全性が担保されていないとの意見を出しているにもかかわらず、原発についてはまったく素人の政治家が「政治決断」を行うことへの批判がだされた。また再稼働反対!全国アクション、福島原発事故緊急会議の連名の要請書、FoE Japanなど
12団体の要請書がそれぞれ官邸に提出された。

 再稼働に向けて突進する野田政権の向う見ずな策動をはねかえし「再稼働阻止」から「原発ゼロ」の実現へ!

(K)
 

報告:いらない!共通番号制 3・21市民集会 安全神話はない!原発もマイナンバーも

背番号+003 反住基ネット連絡会は、3月21日、総評会館会議室で「いらない!共通番号制 3・21市民集会 安全神話はない!原発もマイナンバーも」を行なった。

 野田政権は、2月14日、共通番号法案(=マイナンバー法案)と関連法案(整備、機構法)を国会上程した。法案は、消費税増税と社会保障削減の一体的強行とセットである民衆監視・管理のための社会保障・税番号制度導入だ。2014年6月から個人と企業に番号を割り振り、15年1月に「番号カード」を交付し、運用開始という計画だ。制度は民衆一人ひとりに個人番号「マイナンバー」を付け、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用するとしている(「社会保障・税番号大綱」)。

 さらに民衆監視・管理のためにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードを利用し、住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報を一元化するとともに個人情報を確認できるインターネットサイト「マイ・ポータル」を開発し、各種の社会保障サービスが受けられるなどと宣伝している。まともなセキュリティーさえも完成しておらず、ITゼネコンと利権のために制度導入を強行しようとしている。国家による個人情報の一元管理体制である共通番号制度導入に反対していこう。



統治強化のための国家一元管理を許すな



 集会は、連絡会から基調報告が行なわれ、法案のポイントと問題点として①「国民が主権者」から国民管理に変質した番号制度の目的②サービス提供から国民管理に拡大した利用事務③番号利用法での個人番号の利用範囲などを批判し、「法案段階になって急に目的や利用範囲を曖昧にしたのは、導入後どんどん利用拡大を行なっていきたいという推進派の焦りだ。まさに『国民総背番号制』の本質が露にし出した。法案反対に向けて『マイナンバーなんていらない!』の取り組みを強めていこう」と呼びかけた。

 水永誠二さん(弁護士)は、「社会保障・税共通番号法(マイナンバー法)案の特徴」について報告し、「法案の制度目的、利用目的が明確でなく、限定されていない。プライバシーに配慮した制度設計になっていない。プライバシー情報の名寄せ・統合(データマッチング)がなされる危険性が最も高い。第三者機関(個人番号情報保護委員会)は非力で、監督権限は、警察等に及ばない」と批判した。

 藤田倫成さん(神奈川県保険医師協会)は、「医療と社会保障改悪に反対してきた。共通番号制は、所得を補足し保険料等の上限を決めて給付を抑制していくことを目的にしている。反対だ」と発言した。

 辻村祥造さん(税理士)は、「納税者番号として使うということは、一旦民間に公開するということなので、際限もなく広がるということが全ての前提になっている。民間企業等において当然、番号を元に勤務者のデータを集め、それを企業間で連携させたいという圧力はどんどん強くなっていく」と危険性を指摘した。

 パネルディスカッションに入り、石村耕治さん(PIJ代表)、黒田充さん(自治体問題研究所)、清水雅彦さん(日体大・憲法学)、から共通番号制の欠陥と人権侵害の危険性の実態を批判した。

 田島泰彦さん(上智大学)は、共通番号制と秘密保全法(公務員が特別秘密を漏洩したら厳罰を科し、知る権利や報道の自由に対する規制強化が目的)の関連、国家の一元的民衆管理の性格について明らかにした。

 さらに「昨日、藤村官房長官が秘密保全法を国会上程を慎重にすると言った。かつての国家機密法は、防衛の秘密に関してだったが、秘密保全法は『公共の安全と秩序、外交』まで網をかけ、取扱い者も調査、管理するひどい悪法だ。アメリカとの関係もあって、かならず制定するだろう」と警鐘した。

 最後に、福島瑞穂さん(社民党党首)が国会情勢、清水勉さん(日弁連情報問題対策委員会委員長 )さんが共通番号制を批判した『デジタル社会のプライバシー

―共通番号制・ライフログ・電子マネー』([編著]日本弁護士連合会/航思社)を紹介した。

(Y)

報告:3.24 さようなら原発1000万人アクション集会

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 3月24日、「太陽と風、大地、自然の恵みをエネルギーに!再稼働を許すな! さようなら原発1000万人アクション」集会(主催・実行委)が日比谷野外音楽堂で行なわれ、6000人が集まった。

  オープニングは、山本コータローさんのトーク&ライブで始まり、「1986年のチェルノブイリ原発事故以来、反原発運動を取り組み、参議院選挙にも出た。原発推進派は自分たちの利権のことしか考えていない。これ以上の犠牲者を出してはならない。再稼働は絶対に危ない。福島原発事故を起こしてしまった責任は私にもある。これから体をはって原発をなくすために頑張る」と訴えた。
  鎌田慧さん(作家/呼びかけ人)は、「26日に柏崎刈羽原発が停止する。あと泊原発が止まると原子力発電の発電がなくなる。しかし、放射能に汚染された空、土、川、海が残っている。野田首相は、原発再稼働をやると言っている。民衆の思いに真っ向から挑戦することは認められない。すでに私たちは子どもたちに謝っても謝りきれないような過ちを行なってしまった。署名数は550万筆です。1000万筆をやりきろう。7月16日(月・休日/代々木公園)の10万人集会を成功させ、政府・電力会社を追い詰めていこう」と呼びかけた。

  澤地久枝さん(作家/呼びかけ人)は、「原発技術をとめてはならないという宣伝が大きくなっている。原発絶対反対を言うと冷たい目で見られることが多発している。署名の取組みも、いろんなしがらみがあって困難なケースもあると聞いている。しかし、次の世代に恐怖を押し付けて退場することはできない。命をカネに代えることはできない。私たちの意志で原発と関連施設はいらないと言い続けていこう」と訴えた。

  辛淑玉(賛同人/人材育成コンサルタント)は、「核と原発は人を殺すものだからだめだ。原発は差別だ。貧しく声をあげられないところに建設してきた。沖縄に基地を置くことと同じだ。海の汚染は、長い間、水俣病の人たちを差別してきた構造と同じだ。福島差別、結婚差別が起こっている。原爆被爆者二世三世に対する差別と一緒だ。部落差別もそうだ。心、家族、地域、社会を壊したのが、原発の結果だ。共に理解できる人たちと命が奪われない社会を作っていきたい」と発言した。

  福島現地から大内良勝さん(3・11県民実行委員会)は、3・11県民集会の成功を報告し、「震災・原発事故以降、福島の現状は変わっていない。逃げた子どもは二万人だが、逃げられない子どもも2万人以上います。七月の集会には、1000万人署名を達成し参加したい。来年も3・11に集会を行ないたい」と表明した。

  新潟から小島誠さん(新潟県平和運動センター副議長)は「3月26日に柏崎刈羽原発六号機の停止し、東電全原発が停止する。福島原発事故の徹底検証を求めながら、創意工夫ある取組みで再稼働阻止を実現していこう」と訴えた。

  さらに川野浩一さん(原水禁議長)のアピール、林洋子さん(俳優)が署名のおたよりを朗読した。

  最後に「まとめ」を落合恵子さん(作家/呼びかけ人)が行い、原発再稼働に向かう野田政権を厳しく糾弾した。

  集会終了後、デモに移り、銀座一帯に「脱原発!再稼働を許さない!」のシュプレヒコールが響き渡った。

(Y)

【香港】行政長官選挙結果に対する声明

20120325hk
▲開票場前で抗議する香港市民

3月25日、香港行政のトップである行政長官選挙で親中派の梁振英が選出された。投票権を有するのは、選挙委員1200人のみで、今回投票したのは1132人。梁は当選に必要な過半数を上回る689票を得た。

同じ親中派で途中まで本命と見られていた香港行政のナンバー2の政務長官、唐英年は285票にとどまった。当初は唐候補の当選が確実視されていたが、過去のスキャンダルが噴出。「香港人による香港統治」を掲げる中国共産党にとって香港市民から嫌悪される候補者の当選は望ましくないという判断から、共産党が梁候補にてこ入れしたとも言われている。直接選挙を主張する民主党の何俊仁主席も立候補したが76票にとどまった。


行政長官の任期は五年。業界団体などから選ばれた1200人の選挙委員会の投票で過半数を得た候補者が選出される。行政長官選挙への立候補には、この選挙委員会メンバー150人の推薦が必要。行政長官は選挙委員会による間接選挙といわれるが、業界によって選挙委員会選挙の一票の格差の開きは大きく、産業界、金融界、そして親中派に有利な結果になるという批判がある。行政長官は中国全人代常務委員会の批准で任命・罷免される。


中国全人代は2017年の選挙で行政長官の直接選挙に言及している。直接選挙の早期実施について、民主党は将来的直接選挙が実現するよう中国政府から確約をとるという立場に後退した。


よりラディカルな民主派は、いますぐにでも直接選挙を実施すべきという立場。現行の行政長官の選出方法は間接選挙ともいいがたい、一部の利害関係者のみが参加する「内輪」の似非選挙であると批判し、投票ボイコットを選挙委員に呼びかけると共に、市民に対して抗議やデモなどの行動を呼びかけた。数千人の市民らが開票会場での抗議行動やデモに参加した。


23日、24日に香港大学が実施したインターネットなどを使った模擬投票では香港市民22万2990人が投票し、得票率は梁振英候補17.8%、唐英年16.3%、何俊仁11.4%で拮抗したが、54・6%もの投票者は「白票」を投じ、「内輪」選挙の結果と実際の市民らの意識との隔たりを浮き彫りにした。


以下は、香港の左翼ネットワークである左翼21の声明の翻訳。(H)



経済的平等を実現しよう!直接選挙を実施せよ!
香港行政長官選挙結果に対する声明


左翼21 2012年3月25日 
原文 


今日、「内輪」の選挙という批判のなか、梁振英が行政長官に選出された。誰が当選したとしても、この選挙は人々が参加することのできる真の選挙などではない。このような選挙は、最初から最後まで、特権階級のドタバタ劇に過ぎないからだ。


いわゆる「唐梁の争い」といわれる今回の選挙だが、両氏は異なる利害にあるそれぞれの資本家グループを代表しているに過ぎず、どちらも労働者民衆からの搾取によって成立している。それゆえどちらか一方の勝利に歓喜の声をあげることがあってはならないし、当選後には労働者民衆の利益となる政治を行うと期待することなど論外である。両候補者は、この醜悪なドタバタ劇に出演し相互に攻撃しあっているが、自らの利益集団に少しでも多くの分け前を確保することだけが目的であり、700万香港市民の未来は脇へ追いやられている。我々の頭上にのしかかる権力は、彼らのうちのどちらが当選したところで消え去るものではない。


当選した候補の選挙公約に対する不釣合いなまでの幻想をおしまいにする時がきた。労働時間規制には全く触れることなく、また長年社会的論争のあった団体交渉権についてもその影さえ見い出すことはできない。次期行政長官は労働者人民に対して何ら公約を提示せず、口約束をする勇気すらなかったことを見ておくべきだろう。滑稽なことに、梁振英は当選の見込みが高まったとみると、立法会選挙(日本の国会選挙に相当)における法人票の廃止など、進歩的と見られた一部の公約を取り消した。誠実さをアピールしてきた唐英年も自宅違法建築疑惑でデタラメが明らかになった。風見鶏と化したエリート権力者と親中派の醜悪な振る舞いからも、この一部の利害関係者だけが参加できる似非選挙が、まさに中国共産党独裁政権に尻尾を振るこれら恥知らずどものために設定されたものだということは明らかである。


この数ヶ月の間、主流メディアは市民を対象に支持率の調査を実施してきた。しかし、一部の利害関係者らだけが投票できる選挙の支持率のアンケートなど、似非選挙の実態を覆い隠すイメージ作り以外に何ら実質的な意味はない。さらに問題なのは、一部の権力エリートたちは、候補者が市民から高く支持されているというイメージ戦略にこの調査結果を利用していることだ。その目的は特権支配の合法性を維持強化するためである。われわれは、このような民意調査やそれを悪用することに批判し警戒しなければならない。


われわれは、人は生まれながらにして平等であり、経済的地位や職業の違いによって政治的権利に差別があってはならないと考える。似非選挙の問題点は、資本家や業界人だけに投票権があるとものだ。これは下層民衆へのあからさまな差別であり、プロレタリアートを二等公民と見なすものだ。この様な不公正は終わらせなければならない!


一点、言っておくべきことは、われわれの直接選挙という要求はひとつの前提に過ぎない。直接選挙によって平等な社会がすぐにでも実現するとは思っていない。経済的な平等が実現できなければ、政治権力の平等は絵に描いた餅だからだ。世界各地のブルジョア民主国家で巻き起こったオキュパイ運動は、ブルジョア民主主義では富の再分配を保障することもできず、貪欲な資本家を抑制することさえもできないことを明らかにした。財閥政治のもとで、政府の政策は大資本によって操られ、政権はブルジョアジーの玩具と化している。それゆえ、われわれは直接選挙だけでなく、経済制度の根本的な変革を追求しなければならない。政治的な民主主義を実現するとともに、労働者階級を搾取する経済制度を廃止することがわれわれの理念である。


この恥ずべき選挙の結果は、これからの未来の一連の闘争の開始を指し示しすものである。香港の特権エリートによる抑圧はますます激しくなり、政治的弾圧も続くだろう。だが生ある限り屈服はしない。政治弾圧の風雨はわれわれの勇気を奮い立たせるだけである。奴隷か解放か、独裁か自由か、われわれは二つに一つの選択を迫られている。われわれの身は、中国共産党独裁政権と香港の権力エリートが押しつけた鉄鎖に縛られている。それはわれわれ自らの力で打ち砕くしかないのだ!


経済的平等を実現しよう!直接選挙を実施せよ!すべての権力を人民に!

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