虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

【報告】9・11再稼働反対・脱原発!全国アクション - 経産省を人間の鎖で囲もう!1万人アクション

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 福島第一原発事故から半年が経ったが、一向に解決の目処さえつかない状態で、被害はさらに拡大している。原発推進路線を突き進んできた経済産業省は、反省なきままトップのすげ替えによる延命を図りつつある。そのもとにある原子力安全・保安院は、安全性チェック機関という役目を放棄した。“原発やらせ推進院”と化したまま、再稼働に動いている。

 事故の最大の責任官庁である経済産業省・保安院を、一万人の「人間の鎖」で包囲し、「原発NO!」の意志を表しよう、との呼びかけに応えて、9月11日午後一時、日比谷公園・中幸門に1500人の人たちが集まった。デモ出発前に、郡山市議選でトップ当選した滝田はるなさんや原発立地県からの参加者の発言が行われ、午後一時半から東電前から経済産業省を通り日比谷公園までの一時間のデモを行った。そして午後三時半に経済産業省(保安院)を「人間の鎖」で包囲した。



▲前段デモ 経産省前


 経産省前をはじめ四つのスピーカーで経産省の周り900メートルをつなぎ、集会と三回のウェーブで抗議行動を行った。経産省前では以下の参加者からの訴えが行われた。

 原発現地から。滝田はるなさんが「郡山では管理区域を超える放射能が検出されている。子どもたちは窓を閉めて家にいたり、プールにも入れなかった。『福島の子』ということでの差別を心配している。郡山市議選で新人なのに脱原発を訴えてトップ当選した。保守的な街でも人々の意識の変化を感じている。子どもたちを守るために活動していきたい」と報告した。鈴木卓馬さん(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)は「浜岡原発は5月14日以来止まっている。これは運動の成果だ。裁判では一審で負けはしたが、控訴審で一・二号炉の廃炉和解を勝ち取った。今後浜岡が全国の攻防になるだろう」と語った。田中やすゑさん(怒髪天を衝く会、「さよなら原発」福岡の人)が玄海原発の再稼働と闘うと発言した。

 県外避難者の増子理香さん(つながろう!放射能から避難したママネット@東京)は「酪農をやっている夫を残して、子どもと二人で自主避難した。自主避難者は公営住宅にも入れない差別がある。そこでつながりを作り出して励ましあっている。支援を」と訴えた。上関原発反対運動を続けている岡本直也さん(上関原発計画白紙撤回・再稼働反対ハンスト者)と米原幹太さんらが、本日午後五時から10日間のハンストを経産省正門前で行うことを明らかにした
(詳細 →
http://hungerstrike.jimdo.com/)。

 その他、満田夏花さん(国際環境NGO FoE Japan)、阪上武さん(福島老朽原発を考える会)、吉田明子さん(原発輸出推進政策を止める国際署名)。自治体から。須黒奈緒さん(杉並区議、みどりの未来)、布施哲也さん(反原発自治体議員・市民連盟)、笠井亮さん(日本共産党衆院議員)、芦澤礼子さん(服部良一社民党衆院議員秘書)から、報告と訴えが行われた。

 この日、都内三カ所で脱原発の行動が行われたが、そのうちの素人の乱の新宿での行動に対して、またしても警察の弾圧により少なくとも五人の逮捕が出ていることが報告され、直ちに救援カンパが訴えられた。そして、9・19明治公園での五万人大集会への呼びかけが行われ、要請書が読み上げられた。さらに、五時からのハンスト支援への呼びかけも行われた。9・19へ向けて連続闘争への大きな弾みになる行動であった。

(M)
 
要請書

 内閣総理大臣 野田佳彦様、経済産業大臣様、原子力・安全保安院長 深野弘行様
 
 経産省・保安院は原発推進政策を断念し、脱原発に舵を切れ!
 
 新たに発足した野田内閣は、原発再稼働の意思を明確にしています。鉢呂吉雄経産相(早くも辞任)は、再稼働について、IAEA(国際原子力機関)による評価を加えることで、地元自治体の納得を得たいと表明していました。しかし、IAEAは「国際原子力ムラ」の一角を占める原発推進機関に過ぎず、安全を委ねるべき信頼性など持ち合わせてはいません。…(略)

 根本的な問題は、巨大事故を引き起こした張本人である経済産業省や保安院、安全委員会が組織の抜本的改革すらないまま、旧来の原発推進政策を事実上踏襲していることにあります。

 保安院や電力会社は、恥知らずにも「緊急安全対策」という名の小手先の措置のみを行い、6月18日にはすべての原発に関する「安全宣言」を出してみせました。それに無批判に乗っかり、玄海原発現地に乗り込んで再稼働に前のめりになった海江田元経産相の責任は重大であるにも関わらず、反省なき彼が民主党代表選の有力候補にさえなったことに、私たちはこの国の恐るべき無責任体質を見ます。

 野田新内閣のもとで、事故を引き起こした勢力が息を吹き返しつつあることに、私たちは戦慄を覚えています。誰が新経産大臣になろうと、経産省と保安院が行うべきことは明確です。私たちは以下を要求します。

 1.福島第一原発事故の早期収束に民間を含む世界のあらゆる叡智を結集して取り組むこと。そのために、事故対処態勢を抜本的に組み替えること。

 2.予断と憶測を排した事故の徹底的な原因究明を行うこと。そのためにあらゆる関連情報を即刻開示すること。

 3.巨大事故を引き起こした最大の責任官庁として、高濃度汚染地帯から人々を避難させ、雇用や生活を保障し、東電に自力避難者を含むすべての被災者への公正な賠償を行わせること。

 4.「ストレステスト」という名のアリバイテストを中止し、原発の再稼働に向けたプロセス自体を無期限停止させること。現在運転中の原発も停止させ、危険な「無免許運転」をやめさせること。

 5.建設中および計画中のすべての原発、高速増殖炉もんじゅ、核燃料再処理工場、使用済み燃料中間貯蔵施設などへの予算措置を取り止め、建設と計画を白紙撤回させること。

 6.原発輸出に向けたヨルダン、ベトナム、トルコなどとの実務者協議などを即刻中止し、原発輸出推進政策を白紙撤回すること。

 7.人類未曾有の巨大複合原発事故を引き起こした重大な責任を自覚し、再稼働を断念したうえで来春の全原発停止を受け入れ、すみやかな原発廃止に向けてあらゆる政策を総動員すること。そのために、新たに発足予定の「原子力規制庁」の内実を「脱原子力庁」へと抜本改編すること。

 2011年9月11日 福島原発事故の発生から半年の節目にあたって

 9・11再稼働反対・脱原発!全国アクション実行委員会

「さようなら原発」9・8講演集会に1300人

oe九月八日、東京・千駄ヶ谷の日本青年館大ホールを満杯にする一三〇〇人の結集で「講演会 さようなら原発」が開催された。会を主催したのは九月一九日に明治公園で「さようなら原発5万人集会」を呼びかけている「さようなら原発」一千万人署名市民の会。同市民の会は内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔の各氏が呼びかけ人となっている。

 最初に呼びかけ人を代表して鎌田慧さんがあいさつ。鎌田さんは「戦争が終わってから、なんで大人たちは戦争に反対できなかったのか」と当時の子どもたちが突きつけたのと同じような事態を私たちは目にしている」「いま取り返しのつかない福島原発事故に直面して本当にくやしい、もっと反対すべきだった」と述べた。

 「原発は『安全』と主張しないと建設できないという問題を初めから抱えていた。地方の首長は『国が安全だと言っているから』と建設を認めた、そうすると電源三法による交付金、原発稼働による税収入などでカネが注ぎ込まれそこから逃れられなくなる。それは地域差別と被曝労働に示される労働構造における差別によって成り立っている。命とカネとどっちが大事か。原発がなくても経済生活は成り立つ。原発をやめて持続可能なエネルギー開発を」と鎌田さんは強調した。



 続いて作家の大江健三郎さんが発言。「ヒロシマ、ナガサキに次ぐ第三の原爆が福島に落とされた」と語った大江さんは、「私の人生はもう終わってしまったという思いに強くとらわれた」という。

「しかし自分の人生の始まりは何だったかと考えた時、それは原爆・終戦・新憲法だった。新憲法が出来たとき私は軍備をなくして日本の平和を守れるのか、と先生に聞いた。すると先生は『憲法は戦争がなくなると言っているのではない。政府の行為によって戦争の惨禍が起こることのないようにすると決意し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持しようと決意する、と言っているのだ。軍備なしで安全を守るよう決意することはできる。憲法は決意すると言っている。お前も決意できるか』。それで私も『決意します』と答え、自分に元気が満ち溢れてきた。私はその時の思いで生きてきた」。

 「確かに福島の原発事故は、憲法を作ったという行為の元にある新しい国人(くにびと)としての生き方を台無しにした。しかしヒロシマ、ナガサキで始まったものはフクシマで終わったのか。そうではない。ヒロシマの被爆後、治療にあたった肥田舜太郎医師は『放射能被害の元を断つ』必要性をも語っている。元を断つとはすなわち五四基の原子炉すべてをなくしていくことだ」。大江さんはこのようにしめくくった。

 落合恵子さんが栗原貞子の詩「生ましめんかな」と福島の「ハイロアクション」代表・宇野朗子(さえこ)さんの発言を朗読した後、ピアニストの崔善愛(チェ・ソンエ)さんが、在日として指紋押捺を拒否した自らの経験を語りながら、ショパンの「革命」や「別れの歌」を演奏した。



 賛同人から映画監督の山田洋次さんが発言。山田さんは「原子力の平和利用」という言葉にだまされてきたことへの反省をこめて自らの怒りと悲しみを語った。澤地久枝さんからのメッセージが紹介された後、再び呼びかけ人として落合恵子さんと内橋克人さんが思いを語った。

 落合さんは「原発と核兵器は双頭の鷲」であるにもかかわらず、「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すなといいながら原発を受け入れてきたあり方」を自分の問題として切開した。「チェルノブイリ事故以後、年とともに緊張感の緩みが生じてきた。三・一一以後半年もたたないうちに再び『安全神話』にとらわれる危険性が進んでいる。しかし私はもう二度と自分を責めたくはない。私は福島の子どもたちを全員疎開させられるだけの『権力』がほしい」。落合さんはこのように訴えた。

 内橋克人さんは一九四五年三月の神戸大空襲の際、油脂性焼夷弾の爆撃から奇跡的に生き延びた体験を語りながら、「原発がなければ経済は空洞化する」という経済界の脅し、五四基ある原発が一一基しか動いていなくても電力が余っている中で「電力が足りない」というウソを批判した。そして「公的支援」を拡大する必要性と「創造的復興」という名目で「ゴーストタウン」を作り出した阪神淡路大震災後のゼネコン主導による「復興」の現実をも糾弾した。

 内橋さんはまた「災害は終わったわけではない。地震列島・日本で災害はこれから始まるのだ」と警告を発した。

 最後に鎌田慧さんがまとめの発言を行って、九・一九集会の成功と「脱原発社会」をめざす闘いへの広範で持続的な取り組みを呼びかけた。

(K)

報告 軍隊は『トモダチ』か?! 米軍・自衛隊による『災害救援』を検証する!8.30集会

30防災反対 8月30日、米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委員会2011は、小金井市・上之原会館で「軍隊は『トモダチ』か?! 米軍・自衛隊による『災害救援』を検証する!8・30集会」が行われた。


 東京都は、防災の日(9月1日)に行っていた都総合防災訓練を東日本大震災の被災地で警察、消防、自衛隊などが活動中のため10月29日に延期した。訓練のテーマは、昨年と同じ「自助・共助」「連携」。都・小平市・西東京市・小金井市合同で行う。


 訓練内容は、多摩地域で直下型地震が発生したと想定し、メイン会場は都立小金井公園、東京湾に面した臨海部周辺などだ。


 東日本大震災を受け、臨海部の高潮や津波対策訓練、主要ターミナル駅で帰宅困難者への対応訓練などを押し出しながら、従来のようにパフォーマンス展開、コマーシャル活動、児童・住民を大量動員して①地域住民の避難所への避難訓練及び避難所運営訓練②共助による救出訓練③児童・生徒による体験型教育訓練④避難生活体験訓練⑤大規模救出救助活動訓練⑥医療救護班活動訓練⑦支援物資及び広域応援部隊の受援訓練⑧検視・検案・身元確認訓練⑨展示・体験、応急復旧等訓練を計画している。


 最大のねらいは自衛隊、米軍の参加を前提にした首都中枢機能機関、基地防衛を優先した訓練だ。国民保護計画(「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(04年)、「国民の保護に関する基本指針」(05年)に基づいた「武力攻撃事態対処」「大規模テロ対処」にむけた「軍事演習」の延長にあり、警察、行政、防犯・防災組織、自衛隊、米軍が一体となった戦争のための治安訓練が柱である。


 しかも9月1日の防災の日には、防災訓練の一環として警視庁が緊急車両通行のためと称して都内の幹線道路など約100カ所を10分程度、一斉に通行止めにする首都「戒厳」訓練を強行する。都防災計画では、震度六以上の地震の場合、環7の内側の地域を全面通行禁止にするとしている。だがこの訓練も「国民保護」計画による武力攻撃事態、緊急対処事態にもとずく中枢機能防衛のための緊急交通路確保であり、戦争準備のための交通規制だ。戦争のための防災訓練に反対していこう。


 集会は、防災訓練反対の前段として設定し、とりわけ東日本大震災後の自衛隊、米軍による救援活動を「全面賛美」する流れのなかで反戦・防災訓練反対運動がどのように批判し、アピールしていくのかなどの論点を深めていくことも課題にした。


 実行委の基調報告が行われ、「警視庁は、9月1日に防災を口実にした首都『戒厳』訓練を強行する。実行委は、抗議の都庁前情宣、監視行動を行う。市民に受け入れやすい、防災という理由を口実にして市民の権利を制限・停止し、政府が一元的に全ての権限を持つ『戒厳』態勢作りのための訓練に反対していこう」と訴えた。


 半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)は、「トモダチ作戦とは何だったのか?―米国に自衛隊とカネを差し出す日本!」というテーマで講演した。


 半田さんは、「米軍は東日本大震災で『トモダチ作戦』を通じて、被災者救援に奔走した。活躍した部隊の中に第31海兵遠征隊がある。沖縄に駐留する海兵隊のひとつだが、海兵隊は犯罪や交通事故を引き起こし、沖縄で嫌われ者である。自衛隊に対しては過大評価する空気が広がっている。今回の出動は自衛隊法で定められた災害派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣を淡々と行ったに過ぎない」と問題提起。


 そのうえで米国にとってトモダチ作戦が①日本有事、周辺有事の予行演習②オバマ米政権のクリーンエネルギー政策防衛③米のアジア太平洋戦略の維持の狙いがあり、自国の利益に直結していたと分析した。


 さらに、「米国は米軍再編を通して日米一体化を押し進め、自衛隊改造をめざしている。周辺事態対処から世界規模の紛争地に動員していくことを目標にしている。米軍は日本の安全・安心に尽力しているとみなされ、六月に米国で開催された2プラス2で、日米連携強化の呼び水となった。ここでは、対中国戦略がうたわれている。『航行の自由』『太平洋の平和と安定』『宇宙、サイバー空間の保護』など中国を日米で狙い撃ちするのだ。トモダチ作戦とは、日米軍事当局者による『焼け太り』なのではないか」と批判した。


 討論の中で半田さんは、「自治体は自衛隊に頼る傾向が強いが、自衛隊だっていつでもどこでも出動できるわけがない。人員、装備だって限界がある。こういうことを前提にしない防災訓練はセレモニー的であり、リアリティーがない」と批判した。


 連帯発言が木元茂夫さん(すべての基地にNO!を・ファイト神奈川)、地域住民、戦争に協力しない!させない!練馬アクション、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、福島原発事故緊急会議から行われた。(Y)

【報告】 8.27 「くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会」新宿デモ

real826 8月27日、「原発とめよう! 東京ネットワーク」と「再処理とめたい! 首都圏市民のつどい」が毎月行っているデモが「くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会」新宿デモとして、新宿中央公園「水の広場」を出発点にして行われた。

 最初に主催団体を代表してふぇみん婦人民主クラブの山口さんがあいさつ。山口さんは「事故から半年を迎えようとしている現在でも福島の状況は変わっていない。先日、子どもたちを放射能からまもる福島ネットのお母さんや子どもたちが上京し、経産省との話し合いを持った。子どもたちは『私たちはこれから10年先も大丈夫なのでしょうか』と真剣な面持ちで訴えたが、経産省側の回答は子どもたちをがっかりさせるものでしかなかった。汚染は首都圏の水や泥にまで及んでいる。子どもたちのためにも脱原発社会をつくろう」と語った。

 続いて「プルトニウムなんていらないよ!東京」の高木章次さんが、現在二基動いている東電柏崎刈羽を止めよう、と提起。WORLD PEACE NOWの中尾こずえさんは、この日、新宿駅西口で行われた1000万人署名運動について報告した。さらに反原発自治体議員・市民連盟共同代表の布施哲也さんのあいさつ、9.11~19アクションウィークの行動提起を受けて午後六時半から、週末の人出でにぎあう新宿の繁華街で「原発とめろ」の声を響かせながらデモ行進した。解散地の公園ではたんぽぽ舎の柳田真さんや、東電前アクションの園良太さんなどから行動提起も行われた。

 九月の行動を控えてデモの人数は100人ほどだったが、道行く人々に向けて元気よくアピールすることができた。

(K)

野田新政権と対決しよう

250px-Yoshihiko_Noda-1原発・安保推進の野田新政権に対決する労働者民衆の闘いを組織しよう


菅直人首相が「四面楚歌」状況でついに辞任を余儀なくされたことを受けて、8月29日に行われた民主党代表選で、野田佳彦財務相が新代表に選出された。野田は翌8月30日の国会で、新首相に選出される。民主党代表選の第一回投票では、小沢派に全面的に支援された海江田万里経産相が一位になったが、二位につけた野田が非小沢系の議員の支持を受けて第二回投票で二一五票を獲得し、一七七票にとどまった海江田を破った。

 ここでは民主党内で依然として最大勢力を占める小沢に対する他グループの連合という力学が働いている。野田は新代表に決まった直後のあいさつで「もうノーサイドにしよう」と「挙党一致」を強調したが、野田新代表の下での党執行部や内閣の人事次第では、さらなる党内抗争の再燃も予測される。しかし、全体としては小沢派の打つ手もいっそう限られたものになっていくだろう。

 野田は、新代表選の中で深刻な財政危機への取り組みを強調し、「財政規律の順守」を前面に掲げて「社会保障と税制の一体的改革」による消費税率の引き上げ、東日本大震災「復興財源」に充てるための基幹税(法人税・所得税)引き上げの可能性を訴えた。さらに自民・公明両党との「三党合意」を守り、その先の「大連立」を追求することにおいて際立っていた。この点では、民主党の2009年「マニフェスト」順守を訴えていた小沢・鳩山グループとの相違が最も際立っており、規制緩和・行政改革・TPP導入の「経済成長戦略」にかける日本経団連など財界主流派の意向に最もかなう候補だった。「増税」や漁業特区、TPPなどによる新自由主義的「震災復興」の尖兵である村井宮城県知事は、TVでのコメントの中で野田新政権への期待を表明している。

 まさに野田新首相は、財務省・日本経団連というブルジョア支配階級・官僚機構トップの意思を忠実に代弁する人格として登場したのである。



 菅直人前首相が、次第に「脱原発」色を打ち出していったことに対して、閣僚を先頭に民主党内からの批判が相次いだ。「菅おろし」圧力の激化は、菅が原発批判に傾斜していくことへの支配階級・官僚機構からの危惧が重要な要因だった。

 したがって菅辞任を受けた民主党代表選では五人の候補のいずれも「脱原発」の構想については口を閉ざした。野田は公約の中で「安全性を確認した原発の活用で電力安定供給」を訴え、停止中の原発の再稼働にゴーサインを出した。野田はまた「国連の常任理事国以外で核燃料サイクルの保持を認められている権利」を守ることを公言している。

再稼働阻止・運転中の原発停止・原発震災の被災者・避難民の全面補償・汚染除去をベースに「脱原発社会」をめざそうとする世論が国際的にも、そして日本においても確実に増大し、多数を占めるようになっている現状において、民主党の代表選では「脱原発」のテーマは完全に姿を消し、原発の延命と被災者を切り捨てた「経済成長戦略」が基調となった。

 鳩山元首相が政権を投げ出す最大の要因であった「普天間基地の県外移設」、新基地建設反対、「沖縄県民の基地負担軽減」という課題は、代表選での論戦から完全に忘れ去られた。むしろ「尖閣諸島」や「竹島」などの領土紛争や米軍の「トモダチ作戦」を背景に、「中国の軍事的脅威」への在沖米軍の「抑止力」や日米軍事同盟の実戦的強化を当然の前提とする主張への疑問は影を潜めてしまったのである。

 民主党と野田新政権は、結局のところ再びみたび沖縄の人々の闘いを切り捨てているのだ。



 そればかりではない。松下政経塾第一期生の野田佳彦本人のイデオロギーそのものが排外主義的ナショナリズムに染め上げられていることに注意を払わなければならない。

 野田は2005年10月に小泉政権への質問主意書の中で「A級戦犯は戦争犯罪人」ではないと述べ、日本の侵略戦争責任を否定した。今年8月の会見でもそれを再確認した。これは偶然ではない。彼は永住外国人の地方参政権要求に対して「選挙権がほしいなら帰化すればいい」という排外主義丸出しの発言をしている。彼はまた宇宙空間の軍事利用に道を開いた宇宙基本法(2008年成立)の主要な推進者のひとりだった。

 こうした野田の経歴に対して中国や韓国のメディアは警戒の声を発している。韓国の大手メディア「朝鮮日報」は「極右・軍国主義的歴史観の持ち主で、靖国神社に参拝する可能性が強い」と報じている。

 極右政党である「たちあがれ日本」の園田博之幹事長は「彼(野田)が言っていることはほぼ方向性としては理解できるし、与野党協力は前向きに考えたい」とエールを送っている。

 もはや明らかだろう。野田は前原誠司前外相とともに、民主党の中で最も右翼的な傾向を体現する人格の一人であり、その基本路線は原発延命・増税・規制緩和の新自由主義路線と、「日米同盟の深化」を軸にした対中強硬の軍事力強化・改憲にある。その意味では自民党にとって「大連立」へのハードルが最も低い人物が首相になるわけである。

 しかし野田新政権が、鳩山・菅の二代の民主党政権の失敗を取り戻し、安定化を達成すると考えることはできない。グローバルな資本主義システムの危機は、旧来の議会政治の安定の条件を奪っている。

 原発の再稼働反対・すべての原発の運転停止、東日本大震災・原発災害被災者の要求を実現するための「脱原発」を根底にすえた復興のための闘いの政治的焦点を明確にしながら、支配階級の攻勢を総体として跳ね返す運動と政治的流れを形成しよう。

 9.11再稼働阻止・脱原発・全国アクションと9.19明治公園五万人集会の成功をめざし、野田新政権に対する労働者民衆の運動を新たにスタートさせよう。

(K)

【リビア情勢】フランスNPAのコミュニケ

npa lybieフランスの反資本主義新党(NPA)の、リビア情勢に関するコミュニケを転載する。

NATOを通じてリビアに軍を派兵している当事国の左翼の態度表明として、読まれてほしい。





コミュニケ

民衆に自己決定権を 帝国主義とアラブ独裁体制の介入を許すな
 http://www.npa2009.org/content/communiqu%C3%A9-du-npa-kadhafi-tomb%C3%A9-aux-populations-de-d%C3%A9cider

反資本主義新党(NPA)
 

 (チュニジアの)ベン・アリと(エジプトの)ムバラクが倒された後の2月15日と16日、今度は、42年間にわたる時代遅れの独裁体制に反対する民衆の運動の発展が見られることとなったリビアの番であった。

 カダフィの反撃としての残忍な弾圧の中で、自らの解放を要求する暴動の口火となったのはベンガジでの一人の人権活動家の逮捕であった。

 弾圧によって生み出されたのは逆効果であった。抵抗、カダフィの代理人たちのくびきからのベンガジの解放、反乱の近隣都市への拡大、が発展した。

 チュニジアとエジプトの革命的過程もこうした苦難を潜り抜けたのであり、両国の革命的過程は弾圧への抵抗に勇気を与えたのだった。

 この六ヵ月間、反乱が発展したが、同時に、反乱から一ヵ月後に、国連決議という覆いのもとで、NATO諸国が空からの軍事介入を通じて進行中のこの過程を自らのものにしたいと考えた。NPA(反資本主義新党)はこの介入を弾劾する。その目的は明白である。それは、過去と現在にわたって、この独裁体制を最後まで自らが支持してきたという事実を忘れさせるためであり、石油と天然ガスの資源が豊かなこの国を支配するためである。

 独裁体制の崩壊は人民にとってはよい知らせである。NPAは、アラブ地域で継続している革命的過程に全面的に連帯している。この過程を完成させるには、人民は反革命の二つの顔を打ち破らなければならない。反革命の一つはシリアのアサド体制をはじめとするアラブの独裁体制であり、もう一つは帝国主義大国による民衆の運命を奪い取ろうとする試みである。

 リビア民衆に切り開かれたのは新しい生活である。自由、民主的諸権利、天然資源によってもたらされる富を人民の基本的必要を満たすことに使うこと。こうしたことが日程にのぼっている。



  2011年8月21日

【転載】8・15反『靖国』行動に向けられた弾圧を許すな!右翼による私たちへの攻撃、暴行や傷害を糾弾する!

8・15反「靖国」行動実行委の声明を転載します。
右翼のテロ襲撃を許すな!

8・15反『靖国』行動に向けられた弾圧を許すな!右翼による私たちへの攻撃、暴行や傷害を糾弾する!
 
 私たち「国家による『慰霊・追悼』を許すな!8・15反『靖国』行動」は、今年も、天皇制に反対し、靖国神社に代表されるような国家による死者の「慰霊・追悼」を批判する行動を行なうことができました。

 しかし、本年の行動は、これまでよりもさらに激しい弾圧や攻撃にさらされるものでもありました。そのことの内実を広く明らかにするとともに、こうした事態をつくりだした権力機関や団体・個人を厳しく糾弾せねばなりません。

 天皇制を批判したり、その戦争責任や侵略責任を問う行動は、これまでも公安警察や機動隊による過剰規制に加え、右翼勢力の攻撃にさらされてきました。最近は、こうした右翼勢力に、もっぱらインターネットで流布される虚言によって妄動する「ネット右翼」、そして彼らを現実の場に動員している「行動する保守」を名乗る右翼グループが加わり、私たちや友人たちの行動への妨害や嫌がらせはさらに醜悪なものとなっています。

 今回のデモのさなかに、私たちの行動に対し、襲撃する側が持ち込み、押さえられたとき落としたと思われるナイフが見つかっています。

 私たちは、これまで20数年の長きにわたり、8・15の行動を持続してきました。

 右翼たちの私たちに向けた「殺せ」「殺す」という脅迫的煽動は、「街宣右翼」や「行動する保守」「ネット右翼」たちが相互に顕示を競う中でエスカレートしてきました。しかし、今回ナイフが持ち込まれたことは、デモの参加者に対する、具体的な殺人/傷害が狙われていたと考えるしかありません。これは、右翼たちの行動の最悪の方向への転換の画期を示すものです。

 これに対する、警備・公安警察が実施した「警備」の体制はひどいものでした。それは、私たちの行動を抑え込むばかりか、「街宣右翼」「行動する保守」や「ネット右翼」たちにやりたい放題を許すものでもあり、私たちの行動に参加した人々の身体を、彼らの暴力行使による直接的な危険にさらさせるものでした。

 以下に、その具体的な実態を示します。



★右翼団体構成員による暴力

 警察は、デモコース最初の、上下4車線の白山通りを封鎖し、驚いたことに上下線の歩道寄りの車線にずらりと右翼の街宣車を配置させました。特に危険だったのは、居並ぶ右翼の街宣車の間から、ひっきりなしに右翼団体構成員が私たちを襲撃してきたことでした。

 この激しいもみ合いの直後に、白山通りから靖国通りに向かう半ばで、デモ隊の歩いている路上にナイフが落ちていたことが、多くの参加者によって確認されています。これは、襲撃者が割って入った機動隊員に取り押さられた際に、落としたものとしか考えられません。

 脇を歩いていた私服の公安警察官は、この「証拠物」を、何食わぬ顔で拾い上げ自分のバッグに収めてしまいました。このとき襲撃犯が逮捕されたのかどうかすら、現段階では不明のままです(この一部始終は、私たちにより現認され撮影されています)。

 警察は、この事件をなかったことのようにしたいのでしょうか。目前で不法な暴力行為が展開されている以上、警察は、この右翼によるテロ未遂事件の事態の一部始終を厳しく捜査し、襲撃犯の背景、その後の対応について明らかにする義務を有しています。

 右翼は、中身の入ったジュースなどの缶を私たちめがけて投擲してきました。これにより身体に打撲傷を受けた参加者も何人もいました。これが顔や頭部などにぶつけられた場合は、その被害は深刻です。これについても、警察は積極的に捜査を行う義務があります。

 右翼による襲撃により、宣伝カーは蹴られ、叩かれ、横断幕・バナーやパペットなどはデモ行進の開始直後から終了するまで攻撃を受け続け、強奪などもされました。右翼構成員は、大量な機動隊や公安警察官にほとんど規制もされずデモに併進し、暴行や罵声を浴びせ続けたのです。



★「右翼」に対する警察の優遇措置

 警察は、在特会に代表される「行動する保守」や「ネット右翼」のデモに対する妨害のための、彼らとの「ボス交渉」に積極的に応じ、わざわざ公道である歩道や車道の一部を空けて彼ら専用の区域を提供しました。彼らはこうしてしつらえられた安全な空間から、差別と排外主義にまみれた醜いヘイトスピーチを繰り広げたのです。彼らによるヘイトスピーチは、直接的な暴力をほしいままにする右翼団体と、まさに対をなし、暴力を助長するものです。

 右翼によるこうしたヘイトの行動は、多くの国や団体・個人から、国際的にも強く批判を受けているものです。民主主義を標榜する日本のような国家において、警察がむしろこれを助長するような体制を取ることは許されるべきではありません。



★警察によるデモへの弾圧態勢

 私たちのデモは、左右を街宣車と警察車両によって狭められた車線を、さらに戦闘服の右翼団体構成員と装備した機動隊の列にサンドイッチ規制される形で進ませられました。これは、私たちのアピールが右翼街宣車による圧倒的な騒音によりかき消されることを目的とするものでした。

 私たちのデモ行進が、機動隊によって強く規制される一方で、歩道や車道を並行して歩く私服の公安警察官や制服警官は、右翼団体構成員が私たちに暴行を働くのを積極的に制止しませんでした。警察は右翼に自由に行動させたため、その突進に翻弄され、ぶざまに混乱した警備体制を糊塗するため、むしろ機動隊は私たちの行動への規制を強めたのでした。その経過で、右翼や機動隊員に突き飛ばされ、転倒させられた人も多くいました。

 そして、そのような中でも、大量に動員された公安警察官は、ただただ私たちへのビデオや写真撮影などに励んでいたのです。

 私たちは、こうした日本社会における現実を、日本社会、さらに国際的にも広く知らしめることを希望します。民主主義を標榜し、日本国憲法において思想や表現の自由が保障されているにもかかわらず、現実の社会において、実質的にこれを行使することが不可能ないし困難な状況にあることに注目されねばなりません。

 また、インターネットなどにおいては、天皇制や靖国神社などへの批判、外国人やマイノリティの権利の主張を行なう意思表明すら、右翼勢力の執拗な攻撃にさらされ、発言を封じられることもたびたび起きています。

 こうした、直接的・間接的な暴力を含む攻撃が、どのような政治的・社会的立場やイシューに向けられているかは明らかです。右翼組織や「行動する保守」「ネット右翼」などのそれぞれの背景は、政治団体や暴力団、宗教団体、その他の挑発者グループ、なによりこの社会を覆っている差別・排外主義的な政治環境などさまざまですが、この間、彼らにとっての共通の「敵」をしつらえ、実質的に合流した行動をとることが繰り返されています。

 こうした状況は、社会や経済の破綻から「失われた20年」と呼ばれる最近になって、ますます明白に露呈していることです。排外主義は、人間が使い捨てにされ、生をめぐる競争に駆り立てられ、社会的に分断されるところに浸透しています。これは、社会全体が徐々に威圧的となり、軍事的色彩を強めている歴史的時間の中で、いままさに進行している事態です。

 私たちは、今回のような警察・右翼一体となった攻撃を強く糾弾します。すべての皆さんがこうした事実を認識し、右翼の暴力や、それを理

由とした警察権力の不当な規制をゆるさない声を、それぞれの場で上げていただきたいと思います。

2011年8月26日
 
国家による「慰霊・追悼」を許すな!8・15反「靖国」行動




左上から:右翼が襲撃時に落としたナイフを私服公安警察が何食わぬ顔で拾い上げ自分のバッグに収める。左下写真、公安警察の左腕に警視庁の腕章が確認できる。

右:デモへの襲撃を繰り返す右翼。




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▲テロ未遂の凶器を証拠隠滅した警視庁公安刑事

リビア:きわめて重大な疑問 リビアの反乱勢力とは何者か?

リビア:きわめて重大な疑問 リビアの反乱勢力とは何者か?
「デモクラシー・ナウ」がジルベール・アシュカルにインタビュー


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▲アシュカル(右)にインタビューするエイミー・グットマン

番組映像は
Democracy Now!のサイトでみられます
日本語サマリーは
Democracy Now!日本語版でみられます


 リビアの反乱勢力はムアンマー・カダフィ大佐の住宅地区を確保し、首都トリポリを掌握した。しかしリビアの指導者(カダフィ)の行方は知れず、カダフィは彼の部隊が「勝利か死か」をかけて「総力で攻撃に立ち向かう」と誓った。トリポリからの報道では、数十人の海外のジャーナリストたちが重武装したカダフィ派の兵士に監視されて、離れることができないままでいるリクソスホテルの近辺の地域では、銃声がなお聞こえているとのことである。八月二三日、アラブ連盟は、数カ月前にカダフィ政権から奪った連盟の議席をリビアの反乱勢力に与えることを今週中に考えると述べた。

 今日(八月二四日)英国の国家安全保障協議会は、リビア国民評議会を財政的に支援するためにリビアの資産凍結を解除を討議する会議を行った。「デモクラシー・ナウ」(訳注:米国のパシフィカ・ラジオ・ネットワークの報道番組。企業メディアが取り上げない独立した報道を配信している)のエイミー・グッドマンが、ロンドンの東方・アフリカ研究スクール教授のジルベール・アシュカルと討論した。(「インターナショナル・ビューポイント」編集部)


エイミー・グッドマン(以下AG) ……ここでロンドンの東方・アフリカ研究スクールの教授であるジルベール・アシュカルに加わってもらいましょう。彼には『アラブとホロコースト:アラブ・イスラエル戦争のナラティブ』など多くの著作があります。先週彼はリビアにおけるNATOの役割についての長文のエッセイ(NATO’s “Conspiracy” against the Libyan Revolution――リビア革命に敵対するNATOの「陰謀」)を発表しました。


 アシュカル教授、「デモクラシー・ナウ」にようこそ。現在リビアで何が起きているか話していただけますか。


ジルベール・アシュカル(以下GA) ハロー、エイミー。あなたとお話しできて光栄です。


 いまリビアで何が起きているかについては、あなたが話した通りです。私もあなた以上のニュースを知っているわけではありません。しかし基本的には、反乱勢力がカダフィを捕え、親カダフィ派の都市、あるいは親カダフィ派勢力が支配している都市を鎮圧するまでは、戦闘は継続します。そしてニュースから知るかぎり、かれらは平和的にそれを行うためにカダフィ派の都市の住民と集中的な交渉をしています。私は、反乱派がシルト(訳注:リビア中部のカダフィ派の勢力が強い都市)を支配下においたと彼らのスポークスパースンが語っているのを、さっき聞いたところです。まだはっきりしたことはわかりません。


AG あなたが書いた文章のタイトルは「リビア革命に敵対するNATOの『陰謀』」です。説明していただけませんか。


GA もちろん「陰謀」はカッコつきです。陰謀が存在すると言っている人の文章から引用したからです。しかし重要な点は陰謀ではありません。それは実際にはNATOの介入の当初から展開されてきた公然たる計略です。それが長期的な介入の展望として現れた時点から、この計略はある意味において、カダフィ政権と反乱勢力とのなんらかの合意を取り付けようと試みながら、この情勢、戦争が、結論にまで陥ることのないように構想されていました。つい最近までそうだったのです。


 数週間前、リビアについての青写真を作成するために作られた英国主導のNATOチームは、イラクのようになるという強迫観念がある、と主張していました。イラクに侵攻したとき、ブッシュ政権はサダム・フセインのバース党国家を解体しました。そして通常、西側の情報源では、イラク侵攻が惨劇になってしまった原因の多くを、この最初の行動のせいにしています。したがってNATOの強迫観念とは、リビアで同様の状態になることを避け、カダフィ政権と反乱勢力双方の有力者間の交渉をすることでした。


 数日前まで、たとえば「フィナンシャルタイムズ」の論説は、反乱派はトリポリを攻撃すべきではないと言っていました。その口実は、流血の惨事になるから、ということです。もちろんこうしたことは起こりませんでした。しかしトリポリを攻撃せず、トリポリとの関係を断たないという考え方は、いつでも存在していました。そしてそれをつまずかせ、起こらなくさせたのはカダフィ自身の強情さによるものでした。反乱派にとってカダフィが公的地位にとどまるのを受け入れる余地はなく、カダフィも退陣を受け入れる余地はなかったからです。

AG ジルベール・アシュカルさん。反乱派とはどういう人たちなのですか。


GA 反乱派とはどういう人たちか、ですって? そうですね、これはとてつもなくむずかしい質問です。NATOのサークルの間でさえ、同じ質問が出されるでしょう。事実はと言えば、もちろんのこと私たちは国民評議会については知っていますが、この評議会のすべてのメンバーを知っているわけではないし、トリポリをふくむ残余の地域を代表するために新メンバーが発表されるでしょうから、知識といっても限定されたものでしかありえません。その上にリベラル派、前体制のメンバー、部族やこの国のもともとの構成要素を代表する伝統的な人びとの混合物をここで見出すことになるでしょう。

 

 私たちが本当に判断できるものは、この評議会によって提出された綱領です。私たちが持っている政治的綱領という観点からすれば、国民評議会の綱領は民主主義的移行のための青写真のようなものです。彼らは選挙を組織することを約束しており、それは現実には二つのラウンドからなっています。第一は憲法を起草する制憲議会のためのものであり、そして選挙の第二ラウンドは憲法に基づいて最終的に政府を選ぶものです。彼らはある約束をしているのですが、それについては本当のところ私は懐疑的です。その約束とは、現在の国民評議会、すなわち伝統的国民評議会の全メンバーは、この二つのラウンドの選挙には加わらないというものです。これもどうなるか分かりません。


 国民評議会の現内閣が代表する経済的綱領のレベルでは、リビアの新自由主義的改革を指揮することにおいてカダフィの下ですでに同じ役割を果たしてきた人々が見いだされます。したがってこの点でなんら変わった独自なものを期待できません。つまりこれは社会主義革命ではないということです。この点で、なんらかの幻想を抱いてきた人がいるとは思いません。


 しかし、闘う民衆という点から反乱派のことを考えるならば、日曜日(八月二一日)の夜に、トリポリの以前は「緑の広場」――実際には虐殺者広場なのですが――と呼ばれた場所に集まった巨大な数の蜂起する民衆は完全に不均質な広がりを示しており、こうした人々の圧倒的大多数は、今や武器を携えている者を含めて、それ以前の政治的背景を全く持っていません。つまり、反乱に立ち上がった武器を携えた民衆のほとんどは市民だったのです。彼らは兵士ではありません。こうした人々のほとんどは、四二年間の独裁体制によって真の政治生活を経験しておらず、政治的に表現することがきわめて困難です。私たちは、この国の政治闘争が真にスタートした時に何が起きるかを見守る必要があります。それは、独裁体制が倒された二つの国、チュニジアとエジプトで私たちが見ている政治闘争の進行と同様です。


AG NATOは他でもないこの反乱派(国民評議会)と協働することを、どのようにして選んだのでしょうか。


GA 多くの選択肢があるわけではありません。世界の多くの国が国民評議会を承認し、人々が「しかし評議会は選ばれたわけではない」と言うのを聞いた時にです。実際、どうして選ばれることなどできたでしょうか。これは武装蜂起的情勢なのであり、そのように対処しているのです。彼らはこの国を永続的に統治すると主張しているわけではありません。彼らは当初から、自ら暫定的・過渡的存在であると言ってきました。彼らは、選挙を組織し、退場すると言っています。そして私が先ほど言及したように、すべての国民評議会のメンバーは次の二ラウンドの選挙に立候補しないとさえ述べています。したがってリビアにおいて当面のところ、カダフィに代わるものとしては国民評議会以外にありません。


 政治的にこれからなにが起きるかはまだ分かりません。つまりそれはエジプトで言われていることと同様です。エジプトではムバラクが倒されましたが、誰が権力を取ったのでしょうか。つまり軍隊です。そして実際のところ、いまリビアで起きているのはエジプトで起きたよりもさらにラディカルな体制変革なのです。なぜならエジプトでは、取り除かれた氷山の一角であるムバラクとその一党を別にすれば、基本的に依然として軍部が支配しており、軍隊は一九五〇年代以来政権のバックボーンでした。他方現在のリビアでは、反乱勢力には旧体制の前構成員がいますが、旧体制の構造は、カダフィの軍隊からして私的な民兵や「近衛兵」だったのであり、それは粉々に崩壊しています。いまだ完全に終わったとは言えないまでも、トリポリにおいてそれがいかに崩壊したかは私たちが見てきたところです。


AG 「デモクラシー・ナウ」は昨日、「インスティチュート・フォー・ポリシー・スタディーズ」(政策研究所)のフィリス・ベニスの話を聞きました。彼女は、西側諸国によるリビアの石油支配が、この紛争の決定的要素だと述べました。


フィリス・ベニス それは単に石油へのアクセスにかかわる問題ではありません。それはグローバル市場にかかわる問題です。それがこの問題の一部なのです。それは石油へのコントロールにかかわる事柄なのです。それはこうした契約期間のコントロールにかかわる問題なのです。それはさまざまな時期の産出量、価格のコントロールにかかわる問題です。それは死活的資源のコントロールという問題です。


AG そこで私たちは、さまざまな石油企業――フランスのトタール、米国のマラソン、ヘス、コノコフィリップスなど――について議論しました。石油企業はたくさんあります。そして興味深いのは、リビアの反カダフィ派政権がロイター通信とのインタビューで、中国の企業をふくめてカダフィ政権時代に認められたすべての石油契約を尊重すると述べていることです。アシュカルさん、あなたの意見は?


GA そうですね。NATOの介入において石油が大きな要因であったこと、リビアが石油産出国でなかったらNATOは介入などしなかっただろうことは全く明らかです。それは明白です。さてここでの問題は、あなたがおっしゃったように西側がアクセスしていない一定の領域へのアクセスを実現するということではありません。基本的にあらゆる西側の企業がリビアに入り込んでいました。すべての主要な西側の石油企業は、リビアの政権と契約を結んでいたのです。そして暫定政権である国民評議会は、すべての諸国とのこうした契約を尊重すると語っています。基本的に言って、このレベルにおいてはそれが大きな成果だとは言えません。もちろん、新しい譲歩や契約が行われることになれば、国民評議会が言うように、交渉で特権を得るのは最初から反乱勢力を支持してきた諸国でしょう。


 しかし私は来るべき市場の方がもっと大事だと思います。大規模な破壊があり、多くのインフラの再建の必要があります。そしてもちろん米国、英国、フランスをはじめとする西側の企業は、この市場に大いに関心があるのです。したがってもちろん、NATOの介入の背後には優遇措置、それによる利潤動機があったのであり、基本的にそれ以外のものはありませんでした。


 しかしこうしたことと、今やNATOがリビアを支配しているという確信の間には、とても大きな隔たりがあります。つまりNATOはイラクやアフガニスタンのような諸国に地上軍を送り、イラクでは長期間にわたって大規模な軍を送りこんだのですが、彼らは依然としてこの国を支配しえていないからです。したがってそれなら、NATOや西側諸国はいかにして地上軍を送らず、遠隔操作でリビアを支配するのでしょうか。そして米国のシンクタンクである外交問題評議会のリチャード・ハースのような人物がワシントンに対して地上部隊を送れと語っている、いや叫んでいるのはそのためです。


 しかしこれは最初から反乱勢力によって厳しく拒否されました。反カダフィ派は空の支配を求めました。彼らは空からの保護を求めました。しかし彼らはあらゆる形態の地上軍の介入に対しては初めから頑強に拒否してきました。そして彼らは依然としてこの立場に重きを置いています。彼らはごく最近、NATOがリビアにいかなる基地を建設することも許さない、とする声明さえも発表しています。


 そして私たちは多くのサインを見ることができます。たとえば彼らは、カダフィと彼の息子を国際刑事裁判所に引き渡すことを拒否し、リビア国内で裁くと言っています。したがっていかにワシントンやロンドンやパリが主張しようとも、リビア情勢を動かす彼らの影響力には重大な限界があることをそれは示しています。西側は、カダフィの勢力が存在し、戦争が継続している限り、より限定されたものだとはいえ影響力を持っています。しかしカダフィ派の抵抗が消滅するやいなや、西側が持っている影響力はきわめて削減されることになるでしょう。


AG アシュカルさん、私たちとおつきあいしていただき、ありがとうございました。


▼ジルベール・アシュカルの邦訳書には『野蛮の衝突』(作品社)、『中東の永続的動乱』(柘植書房新社)がある。

(「デモクラシー・ナウ、二〇一一年八月二四日より。「インターナショナルビューポイント」二〇一一年八月号)

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【案内】三里塚:一坪共有地、横堀・団結小屋破壊裁判の判決傍聴と報告集会に集まろう!

一坪共有地、横堀・団結小屋破壊裁判判決傍聴闘争の参加要請
三里塚芝山連合空港反対同盟大地共有委員会(Ⅱ)〔代表:加瀬勉〕


現闘本部共有地裁判判決
9月16日
(金)午後1時10分、千葉地裁601号法廷


柳川秀夫さん持分裁判判決

9月22日(木)午後1時30分、千葉地裁601号法廷


横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判判決
9月28日
(水)午後1時10分、千葉地裁601号法廷


横堀・団結小屋破壊裁判判決
10月25日
(水)午後1時10分、千葉地裁603号法


★いずれも開廷30分前には各法廷前に結集してください。終了後、集約報告。
★千葉地方裁判所/JR総武線・内房線・外房線千葉駅から徒歩15分,京成千葉線千葉中央駅から徒歩8分


9.30一坪共有地裁判判決報告会
9月30日
(金)/午後7時/場所:全水道会館小会議室(JR水道橋駅)
     報告:清井礼司弁護士/反対同盟共有委員会(Ⅱ)


■一坪共有地裁判 第二次カンパにご協力を!
1口 2000円 振替口座:00290-1-100426 大地共有委員会(Ⅱ)


■連絡先:〒289─1601 千葉県山武郡芝山町香山新田131─4/電話&FAX0479─78─0039/振替口座 00290─1─100426 大地共有委員会(Ⅱ)

報告 8・18「枝野暴言糾弾」首相官邸抗議行動

枝野暴言を糾弾する!再び沖縄を戦場にするな


20110818

 8月18日午後6時半から首相官邸前で、8月10日の参議院沖縄北方特別委員会で、枝野官房長官の「尖閣諸島への他国の侵略に対して、あらゆる犠牲を払ってでも自衛権を行使し、これを排除する」発言に対して、発言の撤回と長官の辞任を求める緊急行動が沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの呼びかけで行われた。


 沖縄平和市民連絡会代表世話人の新崎盛暉さんの連帯メッセージが読み上げられた。


 「……尖閣諸島問題に関して、日本政府は、一貫して、日中間に『領土問題は存在しない』という立場をとっている。したがって話し合いの場はなくなり、そうなると武力解決しかなくなる。そこから、宮古、石垣、与那国への自衛隊配備や、敵に奪われた離島を奪い返すための日米合同演習、さらには今回の枝野発言にみられるような発想が出てくる」と批判し、平和裏に解決していく道は「抽象的観念的な『固有の領土』論を棚上げし、これらの地域を歴史的文化的経済的生活圏としてきた人々の話し合いの場を通して、共存圏の構築に努力する以外にない」と訴えた。


 日本共産党沖縄選出の赤嶺政賢衆院議員が住民をまきこんだ沖縄戦を振り返り、枝野発言を批判した後、「尖閣諸島海域では中国漁民は日本人の口に合わないカワハギをとり、沖縄漁民はマグロ漁だ。日本と中国には漁業協定があり問題はない。大げさな中国脅威論に基づき、軍事力の行使なんてとんでもない。今、石垣島で日本会議の言いなりになる市長や教育長ができ、沖縄戦を否定し、ことさら領土問題をあおる自由社、育鵬社の教科書を採択しようとしている。来週の火曜日に採否を決めることになっており、それを阻止する闘いが続いている」と発言した。

 次に沖縄のヘリ基地反対協の安次富浩さんが「憲法九条をないがしろにし、戦争をすると発言する枝野は即座に辞任すべきだ。こうした発言を許す日本社会の危険な風潮がある」と電話メッセージで指摘した。この他参加した平和フォーラム、辺野古実、全労協全国一般東京労組などから枝野発言を糾弾する発言があった。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが「今回の長官の発言は、沖縄の自衛隊基地を強化し、沖縄を米国と一体となった軍事要塞の島にして中国封じ込めの最前線にしようとするものであり絶対に許すことは出来ません」とする「長官の自衛権行使発言を撤回し、辞任を求める要請書」を首相官邸に手渡した。(M)


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