虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

【報告】8月11日、貧しい人々の存在を覆い隠すな・亀戸デモ

P8118699 8月11日、公園のリニューアルの陰で貧しい人々の存在を覆い隠すな・亀戸デモが行われた。 10時から亀戸駅近くの文泉公園で行われた集会では、山谷労働者福祉会館の仲間が発言した。同日、8月11日、竪川河川敷公園のB工区に五渡庭園という日本庭園がオープンしたが、それに伴って8月6日には公園に鋼板フェンスが設置され、公園内の通行が遮断され、野宿の仲間のテントが隔離される形となった。
 
 公園の改修は地域住民のためとされてきたが、改修されたB工区(五渡庭園)は全ての入り口に鉄製のゲートが設置され、朝10時から、夕方4時までしか開けないとの事で、公園の他のエリアも夜間は閉じるという。工事が終了したのに公園の封鎖は解かれていないのだ。
 
 野宿の人たちを排除するために公園の改修が行われている。差別の鋼板を撤去して公園封鎖を止めろと訴えた。
 
 6日の鋼板フェンス設置を受けての緊急の呼びかけにも関わらず、40人の仲間が結集し、亀戸一周のデモに出発した。デモ中にはこの日のために用意したビラを沿道で撒いたが、注目度は高く、次々と受け取られていく。
 
 解散地では三鷹や、立川など遠方より駆けつけてくれた仲間の発言を受け、亀戸駅に移動し、情宣を行った。
 
 午後からは月1回行っている「竪川カフェ」今回は先月好評だった南條直子「山谷への回廊」写真展をもう一度行った。ゲストは七十年代に山谷の活動に関わっていたという救援連絡センターの宇賀神さん。
 
 仲間たちが交流していると、五渡庭園を見に行った仲間が戻ってきて「コイが死んでるぞ!」と報告。この日は開園の式典があり、子供たちによるコイの放流があって、数百匹のコイが庭園の中の池に放流されたが、それがほとんど死んでしまっており、放流した子供たちがショックで泣いているという。
 
 かつて水道屋さんで働いていた仲間によると、打ち立てのコンクリートの池にすぐに魚などを放流しては死んでしまうという事だ。その仲間の見立てによると浄水施設も、「ありゃ、かなり業者にボラレてるな。」との事である。
 
 五渡庭園を夜間封鎖する事の根拠を江東区土木部は「コイがいるから」としていたのであるが、そのコイが死んでしまったのだ。逆に言うと公園を封鎖するためにはこの日にコイを池に入れる必要があったのだ。
 
 竪川河川敷公園は首都高小松川線の下に河川を暗渠にして埋め立てた約4キロに及ぶ細長い公園で、地域住民の通勤通学路であり、散歩道となっていた。それがスカイツリーに来た海外の観光客を呼び込もうと、グロテスクな、まるで「昔のアメリカ映画に出てきたトンデモな日本」のような日本庭園へと改修された姿はあまりにも痛々しいだけではなく、地域住民のニーズにも全く合致していないはずだ。
 
 そして、仲間たちが今まで利用していた五の橋の脇にあるトイレ(野宿の仲間が毎日清掃していた)も秋以降に3ヶ月かけて改修工事が行われる予定であるという。
 
 江東区とは6月以降3回にわたって話し合いが続けられ今も続いているが、区は野宿者排除の姿勢を全く崩していない。

(板)

8月4日~5日、山谷夏祭り2012が盛況

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 8月4日から5日の2日間、台東区の玉姫公園で山谷夏祭りが行われ、多くの労働者、支援者でにぎわった。
 
 4日昼に山谷労働者福祉会館に集まった仲間たちは、打ち合わせを済ますと物資を玉姫公園に運び込む。盆踊りのやぐらを建て、舞台や祭壇、屋台の準備に汗を流す。同時に共同炊事の準備も進められる。
 
 4時半に共同炊事が始まり、ひとさじの会のお坊さんたちが無くなった仲間たちの写真の飾られた祭壇でお経を上げ、追悼を行う。
 
 ステージでは山谷争議団の仲間が、開会の挨拶を行った。東京の東部地域ではスカイツリー開業に伴う再開発によって、野宿の仲間のテントの排除が激しさを増し、それとともにこの間少年たちのテントや、野宿者に対する襲撃が激増している。 また生活保護制度や受給者に対する攻撃も激しさを増している。このような中、貧乏人同士が分断される事を許さず多くの仲間と結びついて夏祭りを成功させようと訴えた。
 
 そして今回の夏祭りの呼びかけが遅れた事について説明した。 この間、山谷争議団、山谷労働者福祉会館活動委員会が中心的に関わっている取り組みの中で、その呼びかけによって参加した者による別の参加者に対しての深刻な性暴力事件が発生した。今も解決とはほど遠い状態にある。
 
 そのような中、夏祭り実行委員会の呼びかけを発する事に大きな躊躇があり、討論を重ねてきた。
 
 この数年、夏祭りや、越年の取り組みの中で、力の強い者も弱い者も、若者も年寄りも性別による差別も無く、誰もが安心して参加できるようにと「セーファースペース」の取り組みを行って来たが、我々の差別に対する取り組みが全く十分ではなかった事を改めて突きつけられる形となった。
 
 今回の夏祭りではその事をふまえて、より取り組みを強化していかなければならない。実行委員会でも、この問題に多くの時間を割いて討論してきた。参加した仲間たちにも共に誰もが安心して参加できる夏祭りを作っていこうと呼びかけた。
 
 続いて乾杯で祭りがスタート。ステージではカラオケの他、缶カラ三線やギターで懐メロなどを歌ってくれる岡大介さん、ホーンも入った総勢十数名のバンドでいつも盛り上げてくれる真っ黒毛BOX、ニューヨークのハーレムと大阪を拠点に演奏活動を続けるswingMASAさんがかけつけてくれた。
 
 ステージの合間には、この間被曝労働の問題に取り組んでいる山谷労働者福祉会館のなすびさん、2月9日の江東区抗議行動で弾圧された仲間、アフガニスタンで無くなった写真家・南條直子さんがかつて山谷て撮っていた写真を集めた写真集「山谷への回廊」の編・著者である織田忍さん、立川で野宿者支援の活動を行っているサンキューハウスの仲間、今年屋台で初参加の学生「ゆとり全共闘」、などの仲間が発言した。 会場では「山谷への回廊」の写真展も行われ、好評であった。
 
 屋台はビール(第3の)が100円であとは全て50円に設定され、祭りに先立って行われたアルミ缶の買い取りではアルミ缶10個で夏祭り限定の地域通貨「50ワッショイ」と交換された他、1キロ100円での買い取りも行われた。アルミ缶の相場は北京オリンピックの頃を頂点として下がり続け現在は1キロ80円ほど昨年は約110円であったので大幅な値下がりである。くわえてこの数年はアルミ缶の持ち去り禁止条例が各区で作られたり、強化されたりして、野宿の仲間の生活の糧が奪い取られようとしている。
 
 祭りの最後は2日間とも盆踊り、やぐらの上では和太鼓ならぬジャンベ(アフリカの太鼓)が打ち鳴らされ、なぜだか異様に盛り上がる。
 
 2日間の祭りを終えた仲間たちはその日のうちに公園からの撤収作業を終えた。
 
 今後の野宿の仲間の排除との闘いに注目を。                (板)

三里塚共有地裁判8.9不当判決糾弾! 柳川秀夫さん持分裁判/横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判

横堀くぼち写真 8月9日、東京高裁第五民事部(大竹たかし裁判長)は、柳川秀夫さん持分裁判と横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判に対して控訴棄却の不当判決を出した。裁判後、清井礼司弁護士は、不当判決に対しては上告するという三里塚反対同盟の意志を明らかにした。

 判決は、いずれも空港会社の単独所有を認め、全面的価格賠償方式(地権者との合意もなく一方的に金銭補償することをもって土地強奪ができる悪法)を適用した千葉地裁不当判決を支持した。

 柳川持分裁判は、横堀土地持分(約116㎡、15分の3)に720万6507円、木の根の土地持分(1.5㎡、780分の1)に12万9246円を一方的に支払うことによって「所有権の移転」と称する土地強奪を認めた。

 しかし柳川さんの横堀共有地持分は15分の3の所有であり、空港会社が「大部分の持ち分を所有している」という評価は当てはまらない。だから一審判決では、「裁判所による共有物の分割(民法258条2項)について、法は、裁判所の適切な裁量権の行使により、共有者間の公平を保ちつつ」などと振る舞いながら「共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるべきである」などと強引に空港会社の所有権を認める暴論を展開せざるをえなかった。

 高裁もこの乱暴な論理を踏襲し、「NAAは空港用地として不可欠な土地を単独で取得する必要性が高い」し、「賠償額は妥当で、当事者間の公平が害されることはない」などと強引に認定し、柳川さんの反論を排除した。

 横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判でも全面的価格賠償方式を適用し、空港会社が被告・共有者37人(持ち分1080分の1)に賠償額3万727円を一方的な支払いで所有権移転を認めた。

 このように司法権力と空港会社が一体となって共有地強奪と敵対を強行した。反対同盟は、ただちに上告し、裁判闘争を闘いぬく決意だ。

 一坪共有地裁判カンパに協力しよう(一口 2000円 振替口座:00290―1―100426 大地共有委員会〔Ⅱ〕)
 

●現闘本部共有地裁判控訴審判決

     10月25日(木)/東京高裁第2民事部822号法廷/午後1時



■大地共有委員会〔Ⅱ〕連絡先:〒289─1601 千葉県山武郡芝山町香山新田131─4/電話&FAX0479─78─0039/振替口座 00290─1─100426 大地共有委員会(Ⅱ)

 

【案内】8.18 おひさま発電所オープン記念!〔原発の電気に頼らない〕木の根夏祭り

P7174010 8.18 おひさま発電所オープン記念!
〔原発の電気に頼らない〕木の根夏祭り



木の根ペンションのおひさま発電所のため、皆さんにたくさんの出費カンパをお寄せいただきました。6月末までに98名、60万4千円となり、おかげさまで五月下旬から最大3.8kw/hのソーラーパネル20枚が発電をスタートしました。それを記念して〔原発の電気に頼らない〕木の根夏祭りを開催いたします。歌あり、講演会あり、踊りありのお祭りをにぎやかに行いたいと思います。ぜひお越し下さい!

日時:8月18日(土)午後5時~9時
場所:成田市木の根ペンション(0476-35-2215)/京成東成田駅徒歩10分
参加費:1000円(1ドリンク+1食込み)
主催:地球的課題の実験村 協賛:全国農漁民発電網(準備会)

■プログラム
第1部/バンド演奏
第2部/プロジェクター映写/7時30分~講演会 桜井薫さん(自然エネルギー事業共同組合REXTA代表理事)「太陽光発電・自然エネルギーの今・今後」/盆踊り
 おにぎり、焼きそば、天然酵母パン、酒処「ろくでなし」、無農薬野菜、有機農産物加工品の販売、ヨーヨーつりなど

グローバル資本が主導する国家主義のスポーツイベント=オリンピックはいらない!


▲ロンドンでの反オリンピック・デモ

グローバル資本が主導する国家主義のスポーツイベント=オリンピックはいらない!
 
 7月27日(日本時間7月28日朝)、イギリスのロンドンで第30回オリンピックが始まった。テレビをつければニュースのトップはオリンピック。番組の多くも五輪報道を中心に大幅に改編され、メダルの数がどうだこうだという話題に湧きかえっている。応援席では「国旗」が乱舞する。「いい加減にしてくれ」という辟易の思いは、少なからぬ人々に共有されているだろう。

 メディアも国際オリンピック委員会も、もちろんそうした人々の批判に耳を傾けようと言うポーズを見せないわけではない。たとえば国際オリンピック委員会加盟204カ国のうち今まで女性の選手を送ってこなかったイスラム圏のブルネイ、カタール、サウジアラビアの3カ国が初めて女性選手を派遣し、さらに全競技に女性への門戸が開放されて、「男女の機会均等」が実現された、ということなどだ。

 朝日新聞は近代オリンピックに貫かれた国家主義への批判を意識して「物語の主役は国から人に」と題する沢村同社欧州総局長のコメントを掲載した(7月28日朝刊)。

 「今は『自由にスポーツができる環境』を求めて選手が『国』を選ぶ時代だ。戦火や圧制を逃れた選手がいれば、外国で練習を積み、外国人コーチや外国企業の支援を受ける選手もいる。彼らが五輪という舞台で背負う看板はもはや国家ではなく、国境のないグローバル社会なのだ」。

 「1908年のロンドン大会で英国は新興国の米国と威信をかけた競争を繰り広げた。1948年の大会は英国にとって大戦からの復興を宣伝する絶好の機会となった。だが、成熟した二一世紀の先進国で開かれる大会は国の『威信』や『結束』などとは縁遠くなりつつある」。

 だがこの対比は適切なものなのか。国境を超えたグローバル企業が、ますますオリンピックの企画・運営を支える主役になっていることはその通りだ。しかしそれは「国家ではなく、国境のないグローバルな社会」が選手たちの背負う「看板」になっている、ということとはまったく意味が違う。グローバルな資本主義自体、グローバルな「国家システム」ぬきには存在し得ない。新自由主義的なグローバル市場が、強力な「国家」と排外主義にいろどられたナショナリズムと相携えて展開してきた事実をわれわれは知っている。

 資本主義のグローバル・システムが「国境のないグローバル社会」を実現したかのように持ち上げる「朝日」の主張は、この複合的で矛盾に満ちた現実にふたをする。資本主義の危機は、ナショナリズムを不断に再生する。金メダリストは「国旗」と「国歌」によってその栄誉を称えられるのである。「国家間競争」がオリンピックの原動力となっていることは変わっていないのだ。

 本紙で先鋭で精彩に満ちたオリンピック・ワールドカップ批判を掲載してきた故・右島一朗(彼が南アルプスで不幸な滑落事故で亡くなったのはアテネ五輪直前の2004年8月8日だった)が「金権と国家主義の反動的スポーツショー」と批判した、その性格は何も変わっていない(高島義一「オリンピックはシドニーでおしまいにしよう」『右島一朗著作集』p549~559)。



 ロンドンオリンピックに対する市民の批判も強い。最初に引用した「朝日新聞」沢村欧州総局長の記事も、選手村建設で家を立ち退きさせられたジュリアン・チェインさんの「財政難で住民向けの運動施設を閉じておいて、巨額を投じてエリート向けの施設を作るのは納得できない」という批判を紹介していた。

 五輪によるスポーツ振興という大義名分はどうか。

 「近代スポーツ発祥の地である英国では、19世紀後半から各地にプレーイングフィールド(PF)と呼ばれる運動場を持つ公園が整備され、市民のレクリエーションの場として親しまれてきた。だが、サッチャー首相が就任した79年からメージャー首相が退任した97年までの保守党政権時代、PFは財政赤字解消のために次々と売却された。……18年間で約1万カ所が住宅地に変わり、若者が最も手軽にエネルギーを発散させられる場が失われた」「教師の部活動指導の手当が廃止されたことなどから、週2時間程度の運動をする生徒が全体の25%以下にまで落ち込み、スポーツ離れが進んだ」(「英国市民と五輪 1」(「毎日新聞」2012年1月3日)。

 この傾向は、ブレア政権時代に予算を割いて学校での運動を奨励したため一定の改善をみたが、現在のキャメロン保守党政権は不況下で厳しい緊縮政策を行っており、予算は削減されている。エリートスポーツとしての五輪には経済効果を求めて投資しても、一般住民、若者たちのスポーツする権利は奪われたままだ。

 五輪公園が建設されたロンドン東部のハックニー地区は失業者や貧しい人びと、移民などが住む地区だ。昨年8月、警察官が黒人の若者を射殺したことを口火に広がった若者たちをはじめとした暴動は、この地域にも波及した。今回のロンドン五輪は、このロンドン東部の「再開発」をも目的にしていた。

 ロンドン五輪開催が決定された2005年の時点から4倍に膨れ上がった予算は、総額で約93億ポンド(1兆1300億円)。財政難の中でのこの投資が一時的にブームを呼ぶことがあったとしても、それがインフレを呼び、深刻な雇用の改善どころか、五輪が終わったあと住民にいっそうの苦難を引き起こす可能性も取りざたされている。

 さらにオリンピックに伴う「治安対策」を名目に、イギリス政府は住宅の屋上に地対空ミサイルを設置された。住民たちは中止を求めて提訴したが却下された。オリンピック会場付近にはいたるところに監視カメラが設置され、ジェット戦闘機四機が常時警戒にあたり、さらに地対空ミサイル六基も配備、テムズ川の河口には軍艦一隻が配置されるというものものしい「五輪警備」の中でのロンドン大会なのだ。

 開会式翌日の7月28日には、ロンドン市内で「テロ対策」強化・住宅屋上へのミサイル配備に反対する抗議デモが500人が参加して行われた。また市内の幹線道路の一車線が、選手や五輪組織委員会の幹部たちの専用レーンとなり、常時緑信号で特別待遇を受けることについてもタクシー運転手が抗議デモを行った。

 こうして膨大な経費を使い、住民の民主主義的権利を侵害して行われる金権・商業主義・国家主義のスポーツイベントとしてのオリンピックの性格はここでもはっきりと示された。

 あらゆる美辞麗句はごまかしにすぎない。オリンピックをもうおしまいにさせよう。2020年東京五輪招致に反対しよう!

(K)
 

【報告】オスプレイの配備阻止-8.5首都圏集会に千人の結集

DSCF1259 八月五日、東京・日本教育会館大ホールでオスプレイの配備に反対する「10万人沖縄県民大会に呼応する首都圏集会」が沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックなどの呼びかけによって開催され一〇〇〇人が集まった。

 大仲尊さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)が呼びかけ団体を代表して開会のあいさつを行った。「台風一一号が沖縄に接近したので、沖縄での集会は水入りになったが九月に向けてさらに拡大してやることになっている。首都圏の呼びかけ二八団体は相談会を開き、沖縄に呼応する集会の準備をしてきた。森本防衛相がアメリカに行き、オスプレイに試乗し、安全をアピールしているが、沖縄はオール沖縄で反対している。今日は第一弾の闘いだ。沖縄に連帯して共に闘おう」。

 次に高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)が「沖縄構造的差別とオスプレイ配備について」問題提起を行った(別掲)。中野の沖縄出身者の歌、沖縄エイサーの踊りの後、東京沖縄県人会の島袋徹さんが「悲惨な沖縄戦の経験者を身内にもつ会員が大勢おり、平和と安全を強く願う」立場から、普天間基地の固定化とオスプレイの配備に反対するとアピールした。続いて、ゆんたく高江実行委員会がオスプレイの実際の大きさを十字型の白い布にして、それを会場に広げていかにオスプレイが巨大なヘリコプターなのかを示すパフォーマンスを行った。「五年前からオスプレイが配備されるのではないかと危惧してきたが、政府からは知らないとはぐらかされてきた。高江のヘリパッド工事にも反対してほしい」と訴えた。

 呼びかけ団体のフォーラム平和・人権・環境に参加している自治労東京の金子さん、藤田榮治さん(厚木基地爆音防止期成同盟委員長、第四次厚木爆音訴訟原告団長)、花輪伸一さん(JUCON(沖縄のための日米市民ネットワーク))が発言した。

 藤田さんは「五〇年以上運動を続けている。基地の機能は強化されている。爆音の被害は拡大している。三回にわたる裁判で違憲状態にあると東京高裁は判決した。危険な物を日本に持ち込むなと言わなければならないのに、なぜ普天間なのか、日本各地で訓練するのになぜノーと言わないのか。厚木は嘉手納や普天間の仲間と密接に連携して闘ってきた。八月二五日厚木で大行動を起こす。オスプレイは持ち帰れ、との闘いを日本全土ですすめよう」と訴えた。花輪さんはオスプレイ配備問題を隠して環境アセスにひっかからないようにしてきたと日米政府のやり方を批判した。福島みずほ社民党党首が連帯のあいさつをした。

 沖縄の山城博治さん(沖縄平和運動センター・事務局長)と安次富浩さん(ヘリ基地反対協・共同代表)がそれぞれ電話メッセージを寄せた。山城さんは「台風で延期になり断腸の思いだ。さらに倍増して大きな大会を成功させたい。日米政府にオスプレイ配備を断念させるために力を合わせて取り組んでいこう」と話した。

 安次富さんは「森本防衛相は三〇分程度の試乗で安全だと言うが、一〇万時間の事故率が問題になっているのであり、森本さんには一〇万時間乗り続けてもらわなければならない。沖縄島の北部市町村長会が七月三一日に、名護市辺野古移設の撤回を求める決議をした。現職の東(アズマ)宜野座村長はV字形沿岸案に賛成してきた人だが、これは稲嶺名護市長をバックアップするもので重要だ。前原民主党政調会長が辺野古誘致派と面会するなど辺野古基地建設に動いている。それに対して厳しく対処していく」としたうえで、「一〇万人県民大会を成功させ、普天間基地の機能を麻痺させる闘いをつくりあげる」と語り、さらに、国を変えていく新たな政策集団をつくるべきだ。差別構造を脱却し、沖縄の未来を切り開いていきたい。日本の変革と沖縄の自立を求めて」と結んだ。

 岩国の田村順玄さん(岩国市議、リムピース共同代表)の「八月三日、岩国爆音訴訟に続き、オスプレイの飛行差止め・エンジンテストの差止めを追加提訴し、沖縄へオスプレイを送り込むことを阻止しよう」というメッセージを紹介した。

 集会の合間にジンタらムータの演奏とオスプレイの危険を分かりやすく伝えるものと普天間爆音を知らせるDVDが上映された。団結ガンバローの後、水道橋に向けてデモ行進を行った。(M)


 高橋哲哉さんからの提起

 森本防衛相はオスプレイ試乗後「ああ、快適だった。しかし沖縄の人々を説得できない」と言った。オスプレイの事故について「人為的ミス」と米政府は発表してきたが、政府高官や国防省の何人かは「そもそも危険だ。とりわけ普天間配備は危険だ」と証言している。

 日米政府は「安全性を確認しなければ運用しない」と発言しているが全然信用できない。野田政権は大飯原発の再稼働で本質が露わになっている。オスプレイでも安全は二の次だ。米国の方を向いて政治をやっている。国民の安全を無視している。断固反対しなければならない。原発と沖縄は犠牲のシステムの上に作られ同じだ。日米安保体制は沖縄の犠牲の上に作られた。両方に反対しなければならない。

 憲法上も許せない。平和的生存権、幸福を追求する権利がある。沖縄はこの外に置かれている。オスプレイ配備は憲法違反だ。
 「本土・ヤマト」の側に温度差がある。脱原発で数万・数十万人が集まっているが、沖縄連帯ではそうなっていない。ヤマトは他人事だと思っているのではないか。構造的沖縄差別、植民地主義の問題がある。これを許せば差別者の側にあり続けることになってしまう。ヤマトは日米安保を支持しているのが多数であり、沖縄はその逆だ。沖縄に基地を押しつけている差別者・加害者をやめる。

 岩国に一二機のオスプレイが来ているが、五つのルートで飛行訓練をする予定にしている。私たちはヤマトが沖縄化するから反対するのではない。岩国・ヤマトが中止すれば反対しないのか、そうではない。沖縄の犠牲化をやめさせる、大きな声が求められている。(発言要旨) 

【投稿】不当逮捕に抗議すると共に、勾留を断念させた関係者の尽力に感謝する ~ 抑圧を許さず、脱原発に向けた非暴力の行動をさらに強化しよう



投稿

不当逮捕に抗議すると共に、勾留を断念させた関係者の尽力に感謝する
抑圧を許さず、脱原発に向けた非暴力の行動をさらに強化しよう


7・29被逮捕者


 私は、7月29日の脱原発・再稼働中止を求める国会大包囲行動に参加し、公務執行妨害容疑で不当逮捕され3日後に釈放された2人の内の1人です。本紙の紙面を借りて、当日の行動に対する警察の過剰かつ不適切な規制と私たち二人の不当逮捕に対する抗議、並びに見守り弁護団を始めとする連日の心のこもったバックアップに感謝を明らかにします。

 また、最終的に検事に勾留請求を断念させた力が、本質的には高まる一方の広範な脱原発の声と、その自立的で自制された非暴力の巨万の行動がある種の道義的な力も含めて無言の内に権力に加えている圧力であることを考えた時、昨年以来全国津々浦々で自らの意志で運動に立ち上がり共同のネットワークを発展させ共同の行動へと発展させてきたすべての人々に敬意を表すと共に、今回の弾圧を超えて私も、脱原発を確かなものとするための共同の闘いを率先して引き受けてゆくことを明らかにします。

 その立場からここでは、現在の脱原発運動が体現している民衆的正統性の具体的な姿を示す一助としても、当日私が経験したことの一端を伝えたいと思います。

 私はかなり以前から仲間と共に原発の問題を地域に訴える活動を行ってきた者ですが、その立場から当然にも昨年以来の脱原発の運動に積極的に参加してきました。当日も地域の仲間と共に参加しましたが、漠然と国会を囲むヒューマンチェーンのどこかに参加しようというものでした。しかし日比谷公園から国会に向かう途上からすでに混雑がひどく、参加地点を選ぶ余裕などなく、私たちも警察の誘導にしたがって進む以外にありませんでした。その結果たどり着いた先が国会正門に向かい合う歩道上でした。つまり、私の逮捕現場となった国会正門付近に私がいたのはたまたまということです。

 しかしそこは到着した時から大変な混雑になっていました。実はそこがメインの会場だったのであり、私たちが到着してまもなく、国会議員を始めさまざまな人が発言を始めました。もっともあまりの混雑で、発言はまったくと言ってよいほど聞こえませんでした。それもあって、あまりに混雑がひどいので私たちは、横断歩道を超えてさらに先の歩道に出たいと思っていました。それは周辺の人も同じだったようです。が、どういうわけか警察は移動を阻止し、そのためあちこちから警察への抗議の声が上がっていました。
 しかしその間にも後ろから人波がどんどん押し寄せ、現場の混雑は輪をかけてひどくなっていきました。後ろから押し寄せてくる人波も警察の誘導を受けているはずです。ところがその先では同じ警察が移動を阻止するという、実に理不尽なことが起きていたのです。

 いずれにしろ状況は次第に危険を感じさせるものとなり、周辺でも明石の事故のようになってはまずいとの声が出始めていました。それもあって、既に点火されたキャンドルも多くなっていたのですが、火を消せと声を掛け合ってキャンドルも消されました。何かの拍子に衣服に火が着けば大変な事故になると予想されたからです。

 ここに居合わせた人々は、私たちのような小グループだとしても、互いにはほとんどが見ず知らずの人たちです。しかしその人たちが、原発ヤメロの思いの共有だけを信頼して、誰の指示を待つこともなく互いを気づかい自制心と忍耐をもって秩序を保っていました。いわば闘いの中で生まれる民衆の自治であり、その点で一連の脱原発運動は大切にすべき貴重なものを生み出しつつあるように思います。

 それと対比して警察の対応はひどいものであり厳しく非難されるべきです。人の移動を説得力ある理由もなく阻止する措置の不当性に加えて、前述のように混乱しているばかりか、人々の安全に配慮するという観点をまるで欠いたものでした。要するにそれは、もっぱら主権者である市民の抗議の行動を封じ込めることに特化したものと言わなければならず、まさに正当性を欠いた対応です。

 この状況の中で人々はやむなく、国会正門に突き当たる車道側にあふれ出したようです。「ようです」と書くのは、後ろの方にいた私にはその始まりがまったく見えなかったからです。いずれにしろ日曜日の夜であり通行する車両も少ない中、それは合理的な選択だったと思います。

 ともかく私は横断歩道を渡る人の動きが見えたので、少しは混雑が緩和できるとほっとした思いで横断歩道上に出て先に向かおうとしました。その時国会正門方向から一団の警官がものすごい勢いで殺到してきました。警察マイクでの通告などはなかったので、彼らが何をしたかったのかは分かりません。いずれにしろ激しく押される中、そこにいた人たちも勢い押されまいと踏ん張りました。その時に私の前にいたひとりの若い警官が突然「公妨」と叫び私につかみかかりました。周囲の警官たちも条件反射のように私をつかみ結局私はそこで逮捕となったわけです。

 検事に見せられた送検書類には、「オウと声を上げ棒状のものを握った拳で前頭部を殴打」との、件の警官の「証言」が印されていました。もちろん私には「殴打」の記憶はないし、その必然性もありません。ただ私はのぼり旗をもっていたので棒状のものを握っていたことは確かです。件の警官は顔の間近に旗のポールが近づいたので「襲われる」と錯覚したのかもしれません。あるいは「国会突入」などという先入観があったのかもしれません。しかし結果を見れば明らかですが、当日そこにいた人々は、そのような無意味なことは誰も考えていなかったと思います。いずれにしろ明らかな不当逮捕です。

 結果として私は警察署で二日間取り調べを受けることになりましたが、先のような逮捕状況ですから調べる内容も大してないまま過ぎ、最終的に釈放されました。ただ逮捕当夜は、翌日午前3時まで取調べ室に置かれました。後でこれは大変不当なことだと教えられました。

 ここに印した今回の経験を通して私は、現在の脱原発運動に主張と行動双方を貫いた高い正統性が刻み込まれていることを改めて実感しました。その対極に政府や財界を含む既成エリートの正統性喪失があります。私たち2人のお粗末な不当逮捕を含む今回見られた警察の対応の混乱と自信のなさはその結果と言えます。原発温存勢力を包囲し打ち砕くために、そのことをはっきり確認し、人々の自律性を尊重した非暴力の共同をさらに発展させるために力を合わせたいと思います。

【案内】2012 平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動 ― 60年目に考える サンフランシスコ条約体制とヤスクニの『復権』

(1) 開催日時:8月11日(土) 午後1時30分~6時30分 (開場:午後1時)
(2) 開催場所:豊島公会堂 (JR池袋駅東口より徒歩7~8分)
(3) シンポジウム 『60年目に考える サンフランシスコ条約体制とヤスクニの「復権」』
   (午後1時45分~4時15分)
 報告1 サンフランシスコ条約とヤスクニ/報告者=古関 彰一氏(獨協大学教授)
 報告2 サンフランシスコ条約とヤスクニの下の沖縄/報告者=石原 昌家氏(沖縄国際大学名誉教授)
 報告3 サンフランシスコ条約と朝鮮半島の分断/報告者=李 時雨氏(韓国・写真家)
 報告4 サンフランシスコ条約と戦後日本の思想状況/報告者=高橋 哲哉氏(東京大学教授)
 報告5 サンフランシスコ条約と台湾/報告者=未定
(4) コンサート&被害者証言 (午後4時30分~6時15分)
 ・コンサート-ソン・ビョンフィさん、ムン・ジンオさん(韓国)、林廣財さん(台湾・飛魚雲豹音楽工団)等
 ・被害者証言-韓国の遺族等
(5) キャンドル・デモ (午後7時~)


2012平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動の賛同・協力について(お願い)

キャンドル行動実行委員会事務局長 内田雅敏(弁護士)

 反ヤスクニキャンドル行動へのご支援に感謝申し上げます。

 この4月28日、私たちはサンフランシスコ講和条約発効60年を迎えます。同時に、今年は、沖縄復帰、日中国交正常化40年でもあります。

 1945年8月のポツダム宣言の受諾-敗戦からこのサンフランシスコ条約の締結・発効にいたる6年有余の間、日本には軍国主義、植民地主義を清算し、どう平和国家への転換を図るのか、いかにアジア諸国との友好を築いていくのかが問われていました。占領下、東京裁判で東条らの戦犯が訴追、処断されるのと平行して、日本は占領国軍総司令部の関与の下で平和憲法を制定するなど一連の戦後改革-民主化を進めました。

 しかし、米国が反共・「冷戦」政策を打ち出す中で、それに便乗した日本は、新しく誕生した中華人民共和国に敵対し、朝鮮戦争では米軍を支援-朝鮮半島の南北分断・固定化に手を貸しました。また、沖縄・奄美を切り捨てて米軍支配に委ねました。それを確定させたのがサンフランシスコ講和であり、日米安保条約の締結でした。米国の戦略に沿い、列島を「反共の防波堤」とすることで、日本は軍国主義の一掃、植民地主義の清算を免れることができました。事実、サンフランシスコ講和条約発効後、真っ先に日本が行ったのは軍人恩給の復活、戦傷病者戦没者遺族等援護法の制定でした。これによってヤスクニは実質的に「復権」したのです。

 1972年、沖縄は本土=ヤマトに「復帰」し、日中共同声明によって日中国交正常化は実現しました。それから40年。サンフランシスコ講和条約によって形成された戦後日本の構造が変わることはありませんでした。沖縄には今も米軍基地の75%が置かれ、「南西重視」「離島防衛」という名の中国敵視政策により沖縄の自衛隊が増強されようとしています。朝鮮民主主義人民共和国とはいまだに国交も正常化されていません。「慰安婦」問題をはじめ戦後補償問題も未解決のままです。沖縄本土「復帰」、日中友好・不再戦とはいったい何であったのでしょうか。

 今年のキャンドル行動は、サンフランシスコ講和条約60年、沖縄「復帰」・日中国交正常化40年に当たって、戦後日本のあり様を規定し、枠組みをつくったサンフランシスコ条約とヤスクニとの関係を検証する場として準備します。つきましては2012年反ヤスクニ行動として実施する下記の企画を成功させていくために、皆さまのご賛同、ご協力をお願い申し上げます。

  以上

(共同代表)今村嗣夫、内田雅敏、大口昭彦、金城実、菅原龍憲、鈴木伶子、辻子実、徐 勝、野平晋作、服部良一、高金素梅、李錫兌、李熙子、任軒永

お願いしたいこと

(1)企画に賛同いただくこと。
 賛同金:1口1千円 (何口でも結構です。団体については、可能であれば5口以上の賛同をお願いいたします。同封しました振込用紙をご利用ください)
 振込先:(郵便振替口座)00140―3―446364 口座名義:ヤスクニキャンドル行動 内田雅敏
(2)参加協力券(1,000円)を購入していただくこと。

連絡先
住所:新宿区三栄町8 四谷総合法律事務所気付
電話:03―3355―2841 FAX:03―3351―9256
E-mail:peacecandle2006@yahoo.co.jp
ホームページ:www.peace-candle.org

【案内】排外主義と天皇制を問う8.15反「靖国」行動

●8月15日(水)/13:10開場、13:30開始 16:15~デモ出発
●場所:在日本韓国YMCA・9階ホール(JR水道橋駅徒歩6分、御茶ノ水駅徒歩9分、地下鉄神保町駅徒歩7分)
●お話:山田昭次さん(歴史研究者、著書『植民地支配・戦争・戦後の責任━挑戦・中国への視点の模索』創史社)


 民主党政権は、なりふりかまわぬ原発再稼働へと進み、社会保障の切り捨て・消費税増税、国民共通番号制、普天間基地の辺野古「移設」の再確認、「中国脅威論」を口実とした日米共同作戦体制の強化などを進めていこうとしている。

 このような政治状況は、改憲問題をふたたび表面化せざるをえない。 今年の憲法記念日を前に、自民党やみんなの党、たちあがれ日本があいついで改憲案を提出した。いずれも天皇元首化、「国旗・国歌」の明確

化、首相に権限を集中する緊急事態対処などをうたったものだ。

 こうした国家主義的な改憲案にある中心的な思想が、「国民主権の縮小と立憲主義の否定」であることは間違いない。そして、それらは、現代日本の政治・経済・社会の場面全てを覆う閉塞感を打破するものとし て打ち上げられて いるのだ。

 こうした政治的なムードのなかで、右翼・排外主義者が力を得る状況が目だっている。この間浮上していることだけでも、石原都知事呼びかけによる尖閣購入問題、八重山「つくる会教科書」採択問題、那覇市の

 「第32軍司令部壕」説明板からの「慰安婦」削除問題、北海道小中学校の「アイヌ副読本」記述改ざん、韓国人写真家による元「慰安婦」写真展の中止などあいついだ。日本政府による、ソウルやアメリカの「慰安婦の碑」撤去要請は、一方で軍事協力を拡大させている李明博政権との関係にさえ、影響を与えている。

 これら一連の事態が明らかにしているのは、近代日本の侵略・植民地支配の歴史が生み出したさまざまな問題について、事実を否定し、是非を転倒させていく歴史修正主義の潮流が、この社会のメインストリーム

に定着させられてしまったという事実である。自民党が今国会に提出を目論んでいるという「国旗損壊罪」も、そうした風潮に乗っていることは間違いない。

 それは、決して一部右派政治家・排外主義者たちだけのものではない。すでに、この社会における根強い基盤とさえいえる状況だ。そしてそれは、現実政治・社会に対する「うっぷんばらし」としての石原や橋下のポピュリズムに対する支持とも連動しているだろう。私たちの反天皇制運動の課題とは、そのような基盤を解体していくことに他ならない。

 こうした状況のなかで、日本の戦争責任・植民地支配責任の追及、そして反天皇制の声を挙げていくことへのバッシングは、年々厳しいものとなっている。集会の会場に対する右翼の嫌がらせは、会場管理者に対 して集会使用への 忌避感を募らせる。右翼による暴力的なデモへの破壊と、それを利用した権力の介入も深刻さを増している。暴力によるデモ破壊を公言し続けている在特会は、靖国周辺での「騒乱」を理由に8月15日の「反日デモ」を許可しないよう、東京都公安委員会に求める署名活動をはじめた。

 現実の問題として、表現の自由、思想・信条の自由が、著しく侵害され始めていると言わざるを得ない。このことが、反天皇制運動の課題としても強く主張されなければならない。そしてこういう時代状況だから こそ、私たちは、 あたりまえの声をあたりまえに上げていく8・ 15行動に今年も取り組んでいきたいと考える。

 かつての戦争を美化し、戦争の死者を顕彰する靖国神社の歴史認識は、跋扈する歴史修正主義の思想的バックボーンのひとつであり、また、当日天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式である。 それは、死者たちを生み出した国家の責任を解除するばかりでな く、今後も「お国のための死」を尊いものとして受け入れさせていこうというイデオロギーにほかならない。

 今年の春、心臓の手術を行ったアキヒト天皇は、「病後をおして」政府主催の3.11追悼式典に出席して「おことば」を述べ、その後もイギリス訪問や山口全国植樹祭に出席するなど活発に動いている。それは、アキヒト・ミチコ天皇制の「ラストスパート」をさえ思わせる。この11月には沖縄・糸満で「豊かな海づくり大会」の開催=天皇の沖縄訪問が計画されているが、アキヒト・ミチコは沖縄にとく に関心 が深いと言われている。かれらの沖縄訪問が、これまでもそうであったように、米軍基地問題をはじめとする日本の沖縄に対する「植民地」的支配の矛盾を糊塗し、沖縄の人たちを「慰撫」する政治的なパフォーマンスとなることは間違いない。それはまた、「復帰40 年」を機に、沖縄の人たちの新たな「皇民化」=「国民化」を推し進める ことで、この地の人たちの抵抗を押さえつけていく役割を果すだろう。

 確実に近づくアキヒト「Xデー」をも射程に入れつつ、アキヒト天皇制の「総決算」と闘う反天皇制運動を作り出していこう。

8・15反「靖国」行動実行委員会(準)/電話090―3438―0263 

【報告】排外主義をうつ!7・28討論集会&『靖国中毒』上映

728

 7月28日、排外主義と天皇制を問う8・15反「靖国」行動実行委員会は、日本キリスト教会館で「排外主義をうつ!7・28討論集会&『靖国中毒』上映」を行った。


 野田政権は、グローバル派兵国家建設のプロセスとして消費税増税と社会保障費抑制、大飯原発再稼働、沖縄・普天間へのオスプレイ配備を強行し、同時に北方領土と尖閣諸島問題を通してナショナリズムを煽っている。連動して石原都知事、天皇主義右翼、在日特権を許さない市民の会、ネット右翼などによって差別・排外主義宣伝が繰り返され、とりわけ警察権力と右翼が一体となって天皇制の戦争責任追及、侵略神社の靖国解体を掲げる反天皇制運動に対する破壊が深まっている。また、右翼の妨害を口実に会館施設当局による使用拒否する事態も繰り返されている。実行委は、一連の事態から「排外主義が市民権を獲得しつつある」流れに抗する自覚的な方向性の模索作業の第一歩として設定した。


 集会の一部は、『靖国中毒』の上映だ。ビデオは、 辻子実 さん(靖国参拝違憲訴訟の会/日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会委員)がメイン解説者を行い、天皇制賛美と侵略戦争のために作られた靖国神社の歴史、各神社の役割などをレポートし、反天皇パフォーマンスを駆使しながらまとめた。


排外主義に抗して


 二部の「討論会」は、各戦線で奮闘する仲間たちから「排外主義」問題を軸に次々と報告が行われた。


 梶川凉子さん(反改憲運動通信)は、「憲法は天皇条項を除いて民衆の権利を守り、国の暴走を止める主旨がある。改憲派は、天皇条項を守り、九条を葬り去ろうとねらい、国家主義を煽っている。元慰安婦写真展のニコンサロンの『中止』策動は、その現われだ。福島第一原発事故の被災者たちに対する差別が続き、人権が脅かされている」と指摘した。


 渡辺健樹さん(日韓民衆連帯全国ネットワーク)は、「ピョンヤン宣言から一〇年もたつが日朝間の対話もなく日米韓軍事同盟強化されている。この動きは、対中国、北朝鮮バッシングなどの排外主義、ナショナリズムの扇動とセットだ。軍事大国化路線をやめ、対話で平和の実現が求められている」と強調し、9・15ピョンヤン宣言10周年集会への参加を呼びかけた。


 平田一郎さん(フィリピン元『慰安婦』 支援ネット・三多摩)は、『慰安婦』裁判の取り組みを報告し、「2000年の日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷で天皇ヒロヒトに有罪判決を出した。被害者参加の中で喜びに包まれた。だが政府の謝罪、補償もなく、右翼による被害者バッシングが繰り返されてきた。被害者は高齢化し、証言が困難になってきているが、新証拠の発見、日本政府の不誠実な態度を許さない取り組みを粘り強く続けていく」と発言した。


 藤田五郎さん(荒川・墨田・山谷&足立実行委員会)は、「荒川・墨田・江東河川敷で少年・少女による野宿者襲撃が頻繁化している。生活保護バッシングキャンペーンと同時期に野宿者襲撃が多発化している。右翼、在特らは、野宿者運動に対して『こじき』のくせに権利主張するなと煽っている。竪川野宿者排除も同様に行政の排除攻撃と同時進行で行われた。深刻な排外主義が、現在このように現れている」と注意喚起した。


 園良太さん(2・9竪川弾圧救援会)は、「再稼働反対の首相官邸前行動が取組まれているが、主催者は再稼働問題以外のことに広げないとか、労働組合や左翼団体を外部化する動き、デモ規制強化などがあり、その中で『日の丸』が掲げていることを認めているとかいくつかの問題がある。これらを克服していくためには、原発と核兵器、被曝労働、原発の地方への押しつけ、除染・復興ビジネスによる資本の再収奪などの課題に対する取り組み強化が必要だ」と問題提起した。


8・15反「靖国」行動へ


 さらに発言は、争議団連絡会、女性と天皇制研究会、市民の意見30・東京、反安保実、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会から行われた。


 最後に全体討論に入りテーマを掘り下げ、8・15反「靖国」行動に再会することを確認した。(Y) 

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