虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

中止となりました【アジ連4.17公開講座】入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義

3↓企画はコロナ対策のため、中止とさせていただきます。
ご理解のほどよろしくお願いします。



アジア連帯講座:4.17公開講座


入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義


 講師:寺本勉さん(ATTAC関西グループ事務局員)

4月17日(金)、文京区民センター3D/午後6時半

アジア連帯講座 東京都渋谷区初台1-50-4-103
新時代社気付

TEL:03-3372-
9401 FAX:03-3372-9402

アジア連帯講座ブログ:「虹とモンスーン」 http://monsoon.doorblog.jp/ 


 世界中で「異常気象の日常化」ともいうべき現象を激発させています。

 日本では、昨年は冬の厳しい寒波に始まり、夏には記録的な猛暑・豪雨、そして巨大台風の上陸と立て続けに異常気象に見舞われました。この背景には、地球温暖化に伴う気温の上昇、日本周辺での海水温上昇による水蒸気量の増加があることは明らかです。

 世界的に見ても、北半球が記録的な高温となり、北極圏でも30℃を超えるかつてない高温を記録しました。各国で高温・乾燥による山火事も多発しています。

 こうした地球温暖化による諸現象に対してヨーロッパなどでは、高校生らを中心にした「未来のための金曜日」運動が展開されています。この運動に参加しているスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんは、「気候危機は危機として扱わなければならない!今のまま気候変動が進めば、まともな未来なんてないかもしれない」と訴え、毎週金曜日に学校を休み、スウェーデン国会前で、政治家がもっと気候変動を食い止める政策を実行するように求めています。

 COP25(国連気候変動枠組条約締約国会議/スペイン・マドリード/2019.12)では「国別の温室効果ガス削減目標を引き上げる機運の醸成」と「市場メカニズムによる排出量取引のルール作り(パリ協定第六条の具体化)」を獲得目標にしていました。

 すでにCOP24を前に公表されたIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)特別報告書は、パリ協定で目標とされた1.5℃の気温上昇にとどめるには、世界のCO2排出量を2020年までに45%削減(2010年比)し、2050年ごろまでに実質ゼロにする必要があると強調していました。

 だがCOP25は、国別削減目標の大幅な引き上げを明確に義務化することはできませんでした。「各国の事情に応じて」とか「可能な限り」とかの表現を用いて、削減目標の引き上げを事実上回避できる内容です。

 日本の小泉環境相は、COP25で脱石炭や削減目標引き上げを表明できず、環境NGOから「化石賞」を受賞するほどです。そもそも日本政府は、「第五次エネルギー基本計画」(2018年7月)で2030年における電源構成の中での原発の比率を20年22%、化石燃料の比率を56%にするという目標を掲げ、脱化石燃料にも、脱原発にも真剣にとりくむつもりがないことを明らかにしています。

 その現れとして安倍政権は、東京五輪と「復興」をリンクさせ、福島第一原発事故などなかったかのようにキャンペーンを繰り返しています。さらに東京電力による原発事故被災者への補償と生活保障、除染・廃炉労働者の賃金・権利・労働条件・労災補償などの後退を無責任に容認している始末です。原発マフィアと一体となって原発再稼働へと加速化させています。地球温暖化阻止とともに脱原発運動を拡大させていかなければなりません。

 寺本さんは、「異常気象の日常化」が地球温暖化による気候変動の一部であり、まさに地球のエコシステム(生態系)自体に亀裂が生じている結果と強調しています。気候変動を食い止め、クライメート・ジャスティス(気候正義)を実現する運動作りを訴えています。また、運動のスローガンである「システム・チェンジ」を現実の目標としていくためにエコ社会主義(社会主義とエコロジーを結合させた新たな社会の展望)という考え方を提起し、運動の中において脱石炭・脱原発・気候危機との闘いと反緊縮運動とを結びつけていくことが重要だと提起しています。

 講座は、地球温暖化STOP、クライメート・ジャスティス運動に向けた入門編として設定しました。ぜひご参加ください。

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【韓国からのオピニオン】新型コロナウイルス:崩れた公共医療、脆弱になった世界

韓国医師すべての中国人を阻もう? 拡散する見当違い

ウ・ソッキュン人道主義実践医師協議会共同代表へのインタビュー


毎日新型コロナウイルス関連のニュースが更新され、国全体の耳目がこの感染症に注がれている。その中で広がっている不安心理をもとに「中国人入国を源泉封鎖しよう」という主張も広がった。漠然とした恐怖ではなく、科学的根拠に基づいて、事態の本当の原因を確かめてみる時だ。現職医師でもあるウ・ソッキュン人道主義実践医師協議会共同代表に会って、この事態の原因からムン・ジェイン政府と中国政府の問題点まで話を聞いた。



Q 新型コロナウイルス事態が続いているが、「中国人入国を食い止めろ」とい
う感情が広がるなど、中国人に対する反対や嫌悪も大きくなっている。現職医師でもある立場から、科学的根拠に基づいて見ると、今拡散している「中国人拒否」の動きについてどう考えていますか。


毎日状態が変化しているが、現在の中国の資料を見ると、ウイルスが他の地域に伝播しているのは、主に武漢の人々の移動によるものである。湖北省を除けば、地域社会の感染は限定的であり、入国禁止を、中国の他の地域にまで拡大するのは、科学的根拠がないと思う。また、現在、日本やタイ、シンガポールに行ってきた後、感染された人がいるが、それでは、このすべての国にも入国禁止措置をとるだろうか?

そして、今回の事態について、中国人の食習慣への批判も多く出ているが、このウイルスがコウモリから直接移るわけではない。コウモリを食べて生じたものではない。SARSやMERSのような中間の媒介の役割をした何かがある。例えば、ヘビの話もあるが食べるために飼われているヘビや生きている山の熊の胆汁を飲むように、一部の韓国人もしていることだ。食習慣に原因を求めるのは科学的ではない。

このような主張はむしろ真の原因を覆い隠すことになる。真の原因は、中国の貧富の格差と公衆衛生の問題である。現在、中国は米国との覇権競争でものすごいお金を空母など軍備に注いているが、それに反して、公共医療や公衆防疫、健康保険システムは、非常に脆弱である。例えば、韓国の医療民営化論者が中国には営利病院が多いとうらやむほどだ。今回の事態は、市場化‧営利化された医療システムがどのように大きな災害をもたらすことになったのかを示すものである。批判の焦点は、普通の中国人民にではなく、中国政府に向けなければならない。

Q ムン・ジェイン政府が武漢に住んでいた韓国人を輸送してシンチョンとアサンにしばらく隔離措置することで、地域政界の反発などもあった。同胞たちの受け入れを「感染拡散」と規定して非難する一部の政治家の行動はむしろ不安と恐怖、さらに嫌悪と排除を助長することになるのでは。

今回の事態について、北朝鮮が国境を閉じたが、北朝鮮がそのような措置をとるしかないのは、病院や陰圧設備のような医療インフラが非常に不足しているからだ。北朝鮮は、SARSの時も、国境を封鎖した。

事実、武漢から入国する場合であっても、感染の症状がなければ隔離対象ではな
く、監視対象であるだけだ。ところが、あまりにも不安感が激しくて政治的理由などを考慮して隔離される。

もちろん地域住民の反対を利己主義だと批判だけすることは難しい。現代感染症への対処で非常に重要なのが「危険疎通と地域社会の参加」だ。危険疎通の最初がまさに地域社会の恐怖や不安を尊重することだ。地域住民に対して「あなたがたは無知だ」という態度ではだめだ。不安を尊重しながら説得する過程が必要で、政府が地域住民を決定過程に参加させ、しっかりと説得しようとする過程を踏まなければならない。一方、地域社会の経済的損失も発生することがあるが、住民が一緒に参加して例えば政府に補償を求めることができる経路などを用意しなければならない。「無条件でだめだ」態度は、科学的根拠はないが、だからといって「無条件で行え」とすることも困難である。住民の不安を解消することができるように十分に説得しなければならない。

Q 公共医療の観点から見て、感染症への対処で、過去のウイルス事態以後良くなった点はありますか。

現在、韓国で国家指定の陰圧病床が198病床ある。ところが、この程度では感染症に適切に対処することは困難だ。伝染病が発生した場合、患者のほか、密接接触者や感染者ではないが、感染が疑われる患者が多く生じるが、これらを陰圧病床に移して検査しなければならない。

この陰圧病床を増やしたのがMERS事態以後のパク・クネ政府の時だった。ところが、その後は増やさなかった。パク・クネ政府の時、医療法施行規則を改正し、2018年までに300病床相当の陰圧病床を備えるとして、100病床相当の陰圧病床を一つずつ設置することにした。ところが、陰圧病床を新たに建てるのではなく、移動型にすることもできるようにしたが、実質的に使えない陰圧病床も多い。市道の指定陰圧病床の現況が数百と出ているが、そのうちのどれだけ正しく使うことができるのかを明確に知ることはできない。

そもそも民主党の公約では中央感染症専門病院と圏域別の感染症専門病院、地域拠点公共病院を立てるということであった。しかし、この約束芽忘れられた。この政権に入ってから公共病院は一つも建てられていない。この政権が前政権よりもそれでも良いのは感染者の移動経路などの情報をすべて明らかにするということだ。しかし、公共医療インフラを一つも増やしていない。振り返ってみると、政権毎に伝染病が一つずつ切迫しているが、ノ・ムヒョン政権時のSARS、イ・ミョンバク政権時の新型インフルエンザ、パク・クネ政権時のMERSは、今のコロナウイルスまできた。このような状況なのにどうして公共医療インフラを増やさないのか分からない。

公共医療インフラを増やすお金がないというのは嘘だ。たとえばウイルス事態でGDPが約0・25%減少した。これだけでも数兆ウォンに達する。そのお金を公共医療インフラに使えば、1年に1兆ウォン当てても公共病院をいくつかずつ建てることができる。公共病院拡充や新設の問題が出てくれば、常に病床が残らないかは、問題が提起される。それでは、逆に聞きたい。病床が残ると言うならば私立民間病院病床はなぜずっとやりたいように黙って置いておくか? 公共病院を建てるときにのみ「病床が残るのに、なぜ作るのか」という話をする。

何よりも、この政権は、保健医療分野をさらに市場に任せる政策を展開している。
あらゆる規制緩和と遠隔医療そして、大学病院の営利技術持株会社設立を通じた事実上の大学病院営利化まで推進する。さらに、データ3法を通過させて、健康関連の個人情報を、民間の保険企業に渡して健康管理サービスを民営化するガイドラインを作るなど、民営化一色である。公共医療に投資する考えはまったくないし、自分の公約も無視している。パク・クネ政府の時の医療民営化政策を創造経済という名前で革新経済だと名付けて、バイオヘルス3台を投資分野としながら、より洗練させて進めている。


ムン・ジェイン政府も人種主義的政策から自由ではないようで中国人留学生登校停止措置や大学開講1カ月延期勧告措置がそれだ。これは、他の中国人入国者に比べて同等でもなく、医学的、科学的根拠もない措置だ。寄宿舎の別途使用や寄宿舎の使用禁止のような大学当局の措置は言うまでもない。人種差別的偏見に対する政府の屈服であり、それ自体が、中国人に対する偏見を煽る。人種的嫌悪自体も問題だが、これはまた、市場化された医療システムや私たちの社会の公共医療の不十分さのような本当の問題を覆って、まるで中国人が新型コロナ感染症(コロナ-19)の社会的原因であるかのように見せる効果を生む。

Q 政府と専門家は、共通してマスクの着用や手の洗浄など、主に個人衛生に気を使ってもらいたいと強調している。ところが先日、公共運輸労組が声明を通して提起したように、いざ人が集まる交通機関や公共施設で働く労働者の健康と安全のための措置は、適切に講じられていないようだ。
ある労働者が主に危険に多くさらされているかどうか、この労働者の安全のために必要な措置と国家に対する要求は何でなければならないのでしょうか。


病院では非正規職が非常に多い。一部の国立大学病院では、正規職化がされたが、まだ残っている非正規職にも正社員と同じように保護具を支給しなければならない。もう一つ、正規職と非正規職の差別をなくし有給病気休暇を保障しなければならない。

公共施設や社会サービスに従事している労働者も同じだ。正規職でも非正規職でも関係なく、自分を防護するために手洗いが正しくできるようにスペースを用意しなければなければならない。マスクの場合、医学的効用性については議論があるが、労働者がマスクを必要に応じて使えるように供給しなければならない。

何よりも、病院をはじめとするでんな所でも、感染症の対処で非正規職労働者への差別があってはならない。先に有給病気休暇を保障しなければならないと言ったが、特に公共でも民間でも人を相手にするサービス分野の従事者にはとても重要な問題だ。多くの人に会って接触せざるを得ない、労働者が感染源になれば手に負えなくなる。この労働者に咳のような症状が出た場合は、病院に行くことができるように有給病気休暇がとれなければならない。また、学校休校や休園など家族の面倒が必要な場合、有給休暇が必要である。有給病気休暇保障が重要なのだ。


病院の場合には、人材不足も深刻だ。特に陰圧病室の場合、熟練人材が必要だが、あまりにも不足している状態だ。感染病室に勤務する人々は、ほとんどが過労死することになる。この点でも、公共医療人材が非常に不足している点を必ず指摘しなければならない。かりに地域に公共医療施設を建てる場合でも、今は行くべき人材がいない。すべてがソウルに集まるからだ。


公共医療人材を拡充するには、少なくとも国立公共保健医科大学はもちろんのこと国立医大や医療系列大学に公共人材育成のために定員を30%は増員しなければならない。そして、これらに無償教育を提供しながら、地域の公共医療機関に10年以上勤務するように義務付ける方法も考えられる。このように人材も拡充が求められている。現在例えば予防医学とか感染内科のようなものは開業も難しくお金もかかるので志願者が多くない状況だ。私立(民間)病院では、お金がないので募集もせず訓練もさせない。

ところが、韓国の公共医療病床は10%余りしかない。OECD平均の73・5%
(2018年公共医療資料集)の7分の1にもならない。このように、公共医療施設と人材を増やすことを考えていないから、残るのは労働時間を増やし延長勤労をさせることだけである。今、労働部は防疫と治療関連業務の特別延長勤労申請が入ってくるとすぐにそれを措置しようとするが、既にこの労働者たちは延長勤労をするしかない。前述したよう政権毎に伝染病が突発しているが、事前に備えながら、公共医療‧防疫‧検疫の人員を増やさなければならない。今人材が足りず、軍の人員を投入しているが、それでは軍の医療は誰が責任をとるのか? これは上手なやり方ではない。

Q 過去にも多くの人命を奪った伝染病があったが、2000年代以降だけでも、SARS・鳥インフルエンザ・MERS・エボラ、そして今の新型コロナウイルスまで、短い期間に強力な伝染病が相次いで発生しているようだ。最近の伝染病の発生とその対処における利益中心のこの資本主義システムがどのような影響を及ぼしているか話してください。

韓国から武漢まで通常3〜4時間程度で行くことができる。それほど資本主義はグローバル化を通して、地球を、単一の生活圏のように作った。問題は、それにふさわしい防疫体系や公衆保健システムが備わっていないことだ。今回の事態も中国の不十分な公衆保健システムの結果が韓国にいる私たちにも影響を及ぼしているのではないか。国家間の格差もあり、中国の次元で見ても、その内部の格差も深刻だ。農民工は最初から健康保険から排除されたり、中国政府は、公衆衛生に投資していない中で、営利病院が雨後の竹の子のように生じている。中国の資本主義の問題が結局、韓国にまで直接影響を与えているのだ。

特に中国が公衆衛生には背を向けて、空母、あるいは宇宙戦争のような軍備に莫大な資源を注ぎ込む米国との覇権競争が重要な要因として作用している。それらによる軍事的緊張が世界的にとても多くの資源を浪費することになる。その過程で、公共医療や社会保障は、簡単に無視され、結局この世界資本主義の問題が継続的な新型感染症に脆弱な世界を作り出している。

また、環境破壊で人間が野生動物と接触する機会が多くなって、資本主義的工場式畜産業で豚や鶏などの遺伝的多様性が排除された動物でのウイルス変異が容易に起こり、急速に広がる異常な条件が揃っている。ここに移動手段の発展とでたらめな公衆防疫システムの問題が重なったことがパンデミック発生の真の原因である。

一方、製薬会社も資本主義体制の問題を露出する。例えば今、新型コロナウイルスに対応するため、既存の開発された抗ウイルス剤を投与しているが、この薬がかなり高い。製薬会社は、この特許を握って莫大な利益を享受する。すぐに人を治療するために薬を使わなければならが、特許があるために政府が勝手に作ることもできない。今回も韓国政府は、コロナウイルスに経験的に使用する抗ウイルス薬(エイズ治療薬として知られている)カルレトゥラを生産する多国籍製薬会社アボットなどに会ったことが分かっている。


Q 最後に、今回の新型コロナウイルスの事態と関連して強調したい点があれば一言お願いします。


中国人を憎むのではなく、中国での民衆の苦痛を見なければならない。今回の事態で、中国資本主義の素顔が明らかになった。米国とともに「G2」と呼ばれるが、実際にはその内部では、医療システムも公衆防疫も目茶苦茶だったし、民主主義も機能していなくて、中国政府は、事態初期に隠すのに汲々となってこれだけ拡大させてしまった。中国が自ら主張するように、社会主義であれば、最も民主的でなければならないが、むしろ非常に閉鎖的ではないか。中国の民衆の苦痛をどのように等しく解決するのか心配する時ではないかと思う。

キリスト教の黙示録を見ると、世界の終末の時期に災いを呼び起こす4人の奇士が登場する。まさに疫病、戦争、飢饉、死である。今日を見ると、気候の危機がドック打ち、今すぐ見られるように、病気の危機もある。気候危機は、食糧危機につながるものであり、戦争の危機はいたるところに存在する。そのためローザルクセンブルクが投げかけた問い、すなわち「前近代主義か社会主義か」という問いが浮かび上がる。私たちは、資本主義を超えて変革を苦悶しなければ、人類文明が危機に処するのがますます現実化されるのではないか。今のような伝染病の症状について、自然科学的にだけで眺めるのではなく、資本主義で、なぜこのようなことが度々発生するのか問われなければならない。この資本主義システムが果たして持続可能なのかという問いを投げ続けている。

*インタビューまとめ:イ・ジュヨン(機関紙委員長)

(社会変革労働者党「変革と政治」100号より)

報告:2.23おわてんねっと解散討論集会『天皇のいない民主主義を語ろう』

配信:2.23反天 2月23日、終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク(おわてんねっと)は、ニュー新橋ビル・ホールで「おわてんねっと解散討論集会『天皇のいない民主主義を語ろう』」を行った。

 この日は、徳仁が「天皇」を引き継いで初めての誕生日だ。だが宮内庁は2月17日、皇居で天皇賛美のための一般参賀へと民衆を動員しようとしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による皇室一家、皇居と周辺の感染阻止を優先して早々と中止を発表した。

 中止に至る流れをみると、明らかに安倍政権は、水面下で宮内庁と謀議し、事前に「一般参賀中止で調整」などとマスコミにリークして、一般参賀中止による他の様々なイベント中止へと波及していくことも想定しながら諸反応をみたうえでの判断だと言える。結局、「令和初の天皇誕生日」として演出しようとしたが、天皇教のインチキ儀式、茶会へとつなげざるをえなかった。

 天皇徳仁は、赤坂御所で事前に準備された記者会見質問に対していくつかの重要な発言を行っている。基本的な姿勢は、明仁前天皇が天皇制と裕仁の戦争犯罪を棚上げにし、アジア・太平洋などの民衆に謝罪することもなく、欺瞞的な「平和主義」天皇像をつくりあげていく手法を踏襲し、「社会の変化や時代の移り変わりに応じた形でそれに対応した務めを考え、行動していくことは大切なことであり、その時代の役割でもあると考えております」と述べ、一連の天皇「代替わり」プロセスにおいて安倍政権との共謀によって演じてきた任務の延長を続けていくことを表明した。

 さらに会見では天皇制強化に向けた男系天皇か、女系天皇かについての態度を示さなかったが、「秋篠宮とは、折りに触れ、いろいろな話をいたしますが、内容について言及することは控えたい」と述べ、皇室内で事前の打ち合わせを重ねていることも明らかにした。

 また徳仁は天皇制の役割として、ナショナリズムを煽る東京五輪の賛美、資本主義システムによる気候変動の覆い隠し、「水の民営化」を後景化させる「水」問題の取り組みなどを「披露」した。

 とりわけ家父長制と差別主義の天皇制の前提のうえで、(「様々な障害を持たれた方々やLGBTといった性的マイノリティーの人々が掲げる問題」について〈記者質問〉)「この世界にはいろいろな方がおられ、そういった多様性に対して、私たちは寛容の心を持って常に思ってきました」と述べ、天皇制の民衆統合装置をあらためて確認し日本帝国主義防衛のために貢献していくことを強調したのである。

 記者会見だけても徳仁の「新たな天皇」像の一端が浮き彫りになってくる。安倍政権との共犯関係を巧妙にレベルアップしていくことを狙った策動をゆるしてはならない。諸動向を掌握し、分析していくことを土台に天皇「代替わり」キャンペーンで作り出した反天皇制運動の到達地平を広げ、強化していこう。

 集会は、おわてんねっとの四人から問題提起が行われた。

 桜井大子さんは、「民主主義的感性を剥奪する天皇制」をテーマに①なぜ日本社会には「民主化運動」と呼ばれる社会運動はないのだろうか ②憲法第七条で規定する「国事行為」をどのように考えるか ③天皇は「元首」か?――と問いかけた。

 そのうえで「『元首』的存在を、われわれは選ぶことができないという事実。これを当たり前とする憲法が、天皇制が、民主主義的感性を一つ剥奪してしまっていると言えないか? 天皇制と民主主義は相入れない。このことを考えるための事例はありすぎるほどある。その一つ一つを丁寧に検証していくことで、天皇制が日本社会の非民主的なありようを真綿に包むようにしてわれわれに押しつけていること、実は民主化運動が起こってもおしくない状況に私たちが生きていることを実感できるはずである」とアプローチした。

 京極紀子さんは、「社会矛盾の隠ぺい:公的行為の問題性から 〈天皇〉象徴天皇制―国事行為の外側、公的行為にこそ意味がある」と設定し、明仁の「公的行為」ならびに「生前退位 『お言葉』」を取り上げ、小倉利丸(批評家)の論点である〈「国事行為以外の部分に天皇の象徴行為を考えている。憲法の外部にあって憲法を超越する役割。文化や伝統に内在する象徴権力の超越性」〉の側面について掘り下げていった。

 つまり、「天皇制は、包摂と排除の性格を持っている。単なる王様ではない。カルト教としての天皇制、伝道者としての天皇、教祖を憲法の一章に据えている。民主主義とは、天皇制をなくして初めてスタートラインに立つということではないか」と述べ、今後の課題として確認した。

 中村利也さんは、「旧植民地出身者にとつての戦後民主主義」というテーマから「戦後、日本政府は台湾人および朝鮮人の参政権を剥奪し、独立までは日本国籍保有者とみなした。しかし、外国人として登録・管理した。治安管理の対象であり、憲法の適用からも除外し、基本的人権を与えなかった。サンフランシスコ講和条約以降、国籍を剥奪した。このような諸策は、植民地支配への反省、清算をしないままの『戦後民主主義』を作り上げていった。同時に、多民族を排除したうえでの戦後国家の延長から移民も認めず、『単一民族国家』観を広げていった」とまとめた。

 さらに、「『旧植民地』と天皇制」の観点から「朝鮮関係の慰霊碑を訪問しない天皇。天皇の韓国『訪問』、『謝罪』をどう見るか?」という課題について日常的な朝鮮人との交流を踏まえたうえでの問いかけについて問題提起した。

 北野誉さんは、「戦後『国体』としてのアメリカ=象徴天皇制」について①戦後冷戦と日本の「復興」②裕仁の安全保障観③自衛隊海外派兵を支えてきた明仁の「平和=戦争」の犯罪性を批判し、「徳仁もその路線を踏襲している。一九年五月に天皇としての最初の国賓接受がトランプであったことから始まる。雅子の『復活』させ、皇室外交を暮れ広げた。つまり、安保の『高度化』を追認し、それにふさわしい天皇像を模索していくだろう。もちろん天皇制、安保のなくなければ本当の民主主義を実現することはできない」と結論づけた。

 最後に「おわてんねっと解散アピール」が提起され、「いよいよ『行為継承者不足』を解消するための『女性・女系』議論が本格するでしょう。『跡継ぎ問題』という天皇制最大のジレンマが大きく前景化する、これからが正念場です。天皇制の永続化をめざした動きには断固としてNO!の声を上げていきましよう」と参加者全体で当面する任務について意志一致した。

(Y)
 

転載 : 反五輪運動の仲間への不当な家宅捜索に抗議する!

「反五輪の会」声明を転載します。

反五輪運動の仲間への不当な家宅捜索に抗議する!


 2020年2月18日(火)朝8時過ぎ、五輪反対をともに闘うAさんの居所(テント)に、不当にも家宅捜索(ガサ)が入りました。被疑事実は「免状不実記載」。令状をチラ見せしただけで、警視庁公安部公安二課警部・大林馨を始め、赤いベストを着た約30名もの私服警察が、生活空間に無理やり入りこんできました。睡眠を妨害され外に出され、写真を撮られ身体捜索。ヘアキャップを被った警察官が、コロコロをなめるようにチェックし「髪の毛ありました!」と毛髪計3本を押収、色々な物に粉をはたいて指紋を採取しようとしたり、「口の中からDNAを取らせろ」と要求してきました。Aさんが「任意ですか?」と聞くと「任意」だと。断りますと拒否したところ、「じゃあ、あとで強制するかも」と脅してくる。最悪です。

 近所からの知り合いや駆けつけた仲間たちが抗議しましたが、警察は「被疑者の人権」を理由に写真撮影の邪魔をし、規制線からはるか遠くまで立ち入れないようにしました。一方、Aさんは寒い中、上着を着ることも許されず、「立ち会いしてもらわないと困る」と大勢の警察官に捜索が終わるまで取り囲まれたまま延々立たされ、トイレまで監視されました。何が「被疑者の人権」だ! あらゆる書類や持ち物をしらみつぶしに調べられ、捜索は約3時間半に及びました。

パソコンや携帯電話、手帳や身分証、銀行カードなど、個人情報が分かる私物をたくさん持ち去られました。そして終了間際、一度断ったにもかかわらず再度DNA採取を求められ、さらに、所轄署への任意同行を求められましたが、Aさんはなんとか断りました。

 「免状不実記載」は、警察が気に食わない運動団体をつぶすために、活動家に弾圧をかけるにあたって出してくる微罪中の微罪です。住所移転の届け出をしてない人、忘れてる人など世の中にごまんといます。いつ誰がやられてもおかしくない、これは半年後に控えた東京オリンピックを目前に、反五輪の仲間を狙った弾圧であり、オリンピック反対運動を萎縮させようとする、警察権力による運動つぶしの嫌がらせに他なりません。

 さまざまな事情により、身分証の記載とは、ことなる場所で生活をしている人たちは間違いなくたくさんいます。Aさんもその一人です。警視庁はほぼ同時刻に、Aさんの知人宅にも押しかけて不当捜索を行い、Aさんの物ではない、知人の大切な私物も押収しました。オリパラでやりたい放題の警察の暴挙です。絶対に許すわけにはいきません。

 Aさんのところには、いつ何時また出頭を求めて警察が現れるか分からない状態が続いています。また、個人情報のうち、もっともセンシティブ情報といえる生体情報、DNA採取まで強制しようとする、今回の不当捜索の非道さを声を大にして糾弾せずにはいられません。民衆を監視・抑圧することでオリンピック・パラリンピックは成り立っています。反五輪運動を闘う私たちは、今回の不当な捜索を強行した警視庁公安、そしてその求めに応じて唯々諾々と不当な令状を発給した東京地裁裁判官を絶対に許しません。  私たちはAさんへの不当弾圧に徹底的に抗議し、反オリンピック運動つぶしと真っ向から闘います。

 持ち去った私物をいますぐ返せ!一切触るな!オリンピック弾圧やめろ!警察公安をオリンピックもろとも解体するぞ!ともに抗議の声を!

2020年2月20日

反五輪の会 NO OLYMPICS 2020
2020「オリンピック災害」おことわり連絡会

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★救援カンパのお願い

反五輪を闘う仲間に対しての不当な弾圧に抗議します!
毛髪やDNA採取の要請など、究極の情報収集はアメリカ型の
テロ弾圧とも思えるもの。権力側の並々ならぬ決意を感じますが、
私たちはひるまず、断固闘いを継続します。
みんなの力で弾圧を跳ね返そう!

弁護士費用等、救援のためのカンパを呼びかけます。
よろしくお願いします。

カンパ振込先 郵振 00120-7-324492
「オリンピック災害」おことわり連絡会」

「オリンピック弾圧救援カンパ」と明記してください

★今後の取組やその他情報は、

反五輪の会 NO OLYMPICS 2020
https://twitter.com/hangorinnokai
2020年オリンピックおことわり!

http://www.2020okotowa.link/

【オリパラおことわり【毎月24日】スタンディング】
7月24日の五輪開催日にあわせて毎月24日にスタンディング・アピールしています。今回は2月24日17時に東京駅!
弾圧に対しての抗議アピールもします!来てください!

◎日時:2月24日(月・休)17:00〜18:00
◎場所:東京駅(丸の内側)行幸通り 35.681732, 139.764442
◎スピーカー(予定):蛇石郁子さん(郡山市議:電話)、反五輪の会、五輪災害おことわリンクほか

報告 2.11 「高校闘争から半世紀―私たちは何を残したのか、未来への継承 高校生が世界 を変える」シンポジウム

DSC_1030 二月一一日午後一時より、東京・連合会館で「高校闘争から半世紀―私たちは何を残したのか、未来への継承 高校生が世界を変える」シンポジウムが実行委主催で開かれ、会場一杯の三〇〇人が集まった。

 集会の主旨は次の通り。

 今から半世紀前、日本の高校生たちは自由を求めて起ち上がった。「高校紛(闘)争」と呼ばれたこの闘いは、制服の自由化や管理教育の廃止を求め、時に校舎をバリケードで封鎖したり、授業ボイコット、卒業式中止など多種多様、同時多発的な高校生の叛乱だった。……

 高校生が世界を変える。いびつな大人社会へ否を突き付け、研ぎ澄まされた感性と熱情を持ち、恐れを知らず起ち上がった高校生運動の足跡を語り継ぎ、未来への糧に繋がるよう、「高校闘争50年集会」を企画した。かつての高校生は、半世紀の時間をどう生きてきたのか。様々な人生をくぐりながらも高校生としての決意を原点に生き抜いてきた仲間も少なくない。学生運動とは似て非なる高校生運動、その実相に迫り、現在、未来の高校生に何を伝えられるか探る集いである。(呼びかけより)

 シンポジウムは以下の三部からなっていた。

Ⅰ部 1968 年は我々に何をもたらしたか ―自己否定を巡って―山本義隆(東大全共闘)+高校全共闘 司会:高橋順一(武蔵高校・早稲田大学教育学部教授)

Ⅱ部 運動の現場から ―香港の学生・日本の高校生の闘い―
香港の闘う学生+日本の闘う学生 司会:初沢亜利(ドキュメンタリー写真家、東北・沖縄・北朝鮮・香港などの現場撮影取材)

Ⅲ部 いま高校生は社会とどう向き合っているか 現役・卒業高校生+保坂展人
(東京世田谷区長)司会:小林哲夫(『高校生紛争』1969―1970「闘争」の歴史と証言 著者)

 元大阪府高連OB有志からのメッセージの紹介、一九六七年一〇・八羽田闘争で虐殺された山崎博昭さんへの黙とうから会が始まった。

 Ⅰ部。都立北高、麻布学園、都立上野高、慶応高校、教育大付属駒場の元高校
生たちがどのように闘ったのかを証言した。

 池田実さん。都立北高は進学校ではなく、定時制も併設されていた。学内問題とベトナム反戦、王子野戦病院撤去などを求めて、一カ月間バリケード封鎖した。警察の導入による封鎖解除の時、先に教師が来て生徒を逃した。スローガンは「永続バリケードを続ける」、それが革命に続く。全日・夜間の三人ずつが退学処分になった。中卒で郵政に入り、一九七八年の年賀をとばす闘いで解雇されたが撤回闘争を続けて勝利し、職場復帰した。物事を知らないから闘えたし、自分で考え行動する、社会を変えるという信念でその後の人生を生きてきた。

 麻布学園。リベラルの学校だったが山内校長代行が就任してから、生徒への処分を乱発し生徒会を凍結した。それに生徒が怒り大衆的な高校生デモ。学校が学園を封鎖した。全校生徒集会で追及し、山内がその場で辞任を表明し勝利した。街頭デモで逮捕されたが楽しかったし、真実の価値観を見つけた。勝つことで自信がついた。

 その他の高校闘争が紹介された。世界的な閉塞した状況の解放に向けた新しい文化の発信を受けていた。新鮮な怒りの発露であったとの証言。



 そして、元東大全共闘の山本義隆さんが次のように発言した。

 六〇年安保の年に大学に入学した。東大闘争の時は大学院生。一九五八年当時全学連委員長の塩川喜信さん(助手共闘)がいて、集会で発言してもらったら参加していた学生から「ウォー」という驚きと共感の声があがった。

 一九六八年七月に安田講堂を占拠した。もともと本部学館を占拠し、安田講堂は開放しようと考えていた。主導したのはノンセクトと青医連だった。東大闘争は突然起こったのではなく、砂川闘争やベトナム反戦会議の運動の蓄積があったからだ。

 帝大解体というスローガンは国策大学批判として初めからあったが「自己否定」という言い方は安田闘争の後ではないか。

 一九六六年、日本物理学会が米国から援助金をもらった。「科学が発達すれば
いい。政治を持ち込むな」と。ベトナム戦争の最中であり、米国からの援助は政治的なことだった。研究を進めるとは何かが問われた。なぜ、国がカネを出すのか。それは近代的国家になっていく、国際社会に認められるという国威発揚のためだ。

 中曽根元首相は原子力開発を最初に言い出した。核武装のためというより、核技術を持つことが一等国になる、超大国の扱いを受けるという狙いがあった。企業からカネが入ってくる。官産学で推進した。それを支えたのが旧帝大で、特権階級だ。その枠内での運動ではいけないということで、「自己否定」という考えが出てきた。
 

 二〇一一年福島原発事故が起きた。この時、東大の学生は何もしていない。去年、香港の大学に機動隊が突入する時、京大の学園祭に行ったが、連帯の盾看が一つもなかった。ダメだと思った。「この五〇年何をやっていたのか。若い人たちに何も伝えてこなかった」。悔しい思いでいっぱいだ。

 Ⅱ部。香港から陳逸正さん(在日香港人)、劉燕子(香港人、東海大講師)が参加し、香港の事態について報告した。

 新コロナウィルス問題では、マスク、水、トイレットペーパーも足りない、パ
ニック状態だ。香港政府・中国政府はまったく信用できない。患者・死者数はゼロが二つ多いのではないか、家から出ないようにしていると報告した。

 香港のデモの特徴は何か。

 ①リーダーは不在②勇武派と穏健派、内ゲバ対立が起きていない。区の選挙で大勝した。今後ともテロリズムは起きないだろう。勇武派が出てきたのは百万デモやヒューマンチェーンをやっても何も変えられなかったからだ。警察のすさまじい暴力によって、それに対抗する勇武派が登場した。民主派が闘えば勇武派にもなる。理工大の攻防の時、市民が救援に駆けつけた。数十億円のカンパが集められた。

 「時代革命」というスローガン。すべての普遍的価値を求める。香港の一国二制度が終わる二〇四七年に生きなければならない。不安を抱えながら生活していく。今後も何回もうねりが起こり成長していくだろう。皆さんの応援がぜひ必要だ。

 竹中平蔵の授業ボイコットを訴えて闘った元東洋大生の船橋秀人さんがエールを送った。

 Ⅲ部。旭川東、都立上野、国際、杉並、東京学芸大学附属国際、神奈川県立相模原、上溝南などの生徒さん、出身の学生さんなど一〇人が発言した。

◦温暖化対策を求める世界の動きと連動して、都内や全国でデモなどを取り組んだ。

◦二〇一五年安保法制反対の行動。進学校ではない、私立・党派を超えて・キリスト教など多様な人々が集まった。一八歳で選挙権が認められたが政治活動は認めない、届け出制や禁止。政治活動をしようとすると圧力をかけられた。同級生を意識しSNSでの発信、メディア写りを考えてサウンドデモ。それでも各学校二~三人、全国で百人、よく集まって三〇人。アベと言えば、巨人のアベの話になってしまった。

◦「ブラック」(ママ)校則。高校一年の時、校則が一方的に変えられた。自主・自立の自由な高校だった。署名・臨時の生徒大会をやったが、校則は校長が作るものだとはねつけられた。

◦三年間生徒会長をやったが、ブラック校則問題など考える生徒がほとんどいなかった。違和感・疑問を持っている生徒もいないわけではない。どうアプローチしていいのか悩んだ。

◦定時制高校を六年かけて卒業した。校内新聞は検閲され一旦廃刊にされた。いまは日本自治委員会をつくり、昨年から二四の都立高校で表現の自由のチラシをまいている。全校生徒の頭髪検査がやられるなど人権が侵害されている。

◦二〇一五年の夏、三里塚闘争の本を読み、運動に目覚めた。声をあげていくことが大切だ。

◦原水禁の活動に参加している。生徒会は低調で、教員組織の私兵のようになっている。教員から圧力がある。反発生徒もぽつぽついる。ひずみは大きくなっている。未来は開けてくるだろう。世代を超えていっしょにやっていきたい。

◦頭髪問題がおき、署名活動や校長室への直談判を行ったが分断工作で敗北した。国会前のハンスト実に参加したり反ヘイト直接行動をやってきた。

◦北海道の田舎では運動はなかなか広がらない。アイヌ民族への差別が行われてい
た。苦労している福島と沖縄を見ないといけない。声なき声に向き合っていきたい。

五〇年前に闘った元仙台一高が五年かけて制服の自由を勝ち取った報告を行った。



 保坂展人さん(東京世田谷区長)が自らの闘いと世田谷区での取り組みを報告した。

 私は六四歳だが中学生の時、学内新聞を作って「ベトナム反戦や部落差別問題」を訴え、政治活動をさせろと要求した。このことが高校受験の時、内申書に否定的に書かれ、すべての高校受験で落とされた。内申書裁判を起こし、地裁で勝ったが高裁・最高裁で負けた。しかし、学ぶ側の権利権で主張は認められ、その後内申書を使った弾圧はやんだ。

 役に立たない校則を見直そうと呼びかけている。世田谷区立桜丘中学で生徒会が三つの要求を出した。①体育館にエアコンをつける②校庭を芝生に③定期テストの廃止。学校側が①③を受けれ、制服の廃止、携帯電話の使用も認めた。そうすると生徒の自主的活動が活発になり、文化祭には外からも含めて一〇〇〇人もの人が押し寄せた。

 いじめ・不登校について。不登校生は五年前の倍になっている。これに対して、教育機会均等法ができ、夜間中学やフリースクールの支援が行われるようになった。東京シューレのような公設民営の学校でもオルタナティブ教育が広がっている。

 オランダのラーク(高校生連合)は国からの一億円の補助金を使い、高校生が三人の職員を雇い、ロビー活動やテストの監視をやっていて、自治拠点が生まれている。日本でも政権交代を行い、実現してほしい。

 四時間にわたる盛りだくさんのシンポジウムは成功裏に終わったが、現在の高校生が置かれている人権侵害をどうするか、五〇年前の高校生の闘争が個々の生き方として継承されたが、世代としてバトンタッチできなかったのはなぜ?かなど、今後も究明していかなければならない課題が残された。

(M)

報告:『代替わり』に露出した『天皇神話』を撃つ! 2・11反『紀元節』行動

配信:はんてん 2月11日、文京シビックセンターで「『代替わり』に露出した『天皇神話』を撃つ!2・11反『紀元節』行動」が行われ、140人が参加した。

 「建国記念の日」(紀元節)は、1967年、自民党政権が戦前の天皇神話である「紀元節」(初代神武天皇の即位)を天皇賛美としてデッチあげた「祝日」だ。
だが、2005年から社会的批判によって政府式典は中止のままだ。憲法九条改悪をめざす安倍政権と日本会議、神社本庁など天皇主義右翼は、グローバル派兵国家建設の一環として天皇制統合装置の強化に向けて政府式典の復活をねらっている。

昨年の天皇「代替わり」キャンペーンとインチキ儀式の強行をバネに、かつ東京五輪を利用しながら天皇制賛美とナショナリズムへとからめとり、改憲攻撃への踏み込みに向けて憲法審査会での強引な審議へと加速させようとしている。

 安倍首相は、例年通りにメッセージを公表し、「令和初の建国記念日」を確認し、「伝統を守りながら困難な課題に果敢に挑み、乗り越えていく」などとあらためて憲法九条改悪に突進していくことを強調した。  連動して日本の建国を祝う会(神社本庁)ら天皇主義右翼は、明治神宮周辺で「建国記念の日奉祝パレード」、「奉祝式典」(自民党、日本維新の会などの国会議員も参加)を行い、「憲法改正を始めとした真の祖国再生に向かう、新たな時代となることを心より祈り念じる」などと意志一致している。また、「自民党の選挙公約には、政府で建国記念の日を祝う式典を開催するという一項があった。残念ながらその約束は未だ果たされていない」と批判し、政府主催の式典実施を強く求めた。

 安倍政権を支え、日本会議「機関紙」の産経新聞(2・11)は、「連綿と続く歴史祝いたい」というタイトルで「建国記念の日ができたのは、戦後20年以上もたつてである。いまだにこの日に反対する声がある。いいかげんにしたらどうか。これは国として健全ではない」「政府は式典を主催し、堂々と祝うべきである」などと危機感丸出しで叫んでいる。

 この一連の天皇主義右翼らの「いらだち」は、憲法改悪反対運動の反撃に直面し、すでにボディーブローに到達していることを示している。安倍政権と日本会議の野望を許さず、天皇「代替わり」反対闘争の成果を打ち固め、安倍政権打倒!天皇制解体に向けた陣形を強化、拡大していこう。

 集会は、実行委の基調報告から始まり、冒頭、「わたしたちは、自身『神』とつながり、またそのことを通して、国家の神聖性を文字通り『象徴』として体現する天皇という存在が、象徴天皇制のもとで明確に生きていることを、確認せざるを得なかった。われわれは、この『代替わり』に露出した『天皇神話』を撃つという視点から、今年の2・11反『紀元節』行動に取り組む」と宣言した。

 そして、①「紀元節」と右派をめぐる状況②「女性天皇」も「女系天皇」もNO! 天皇制はいらない③安保、軍事、沖縄米軍基地、「積極的平和主義」、戦争の時代の「平和」天皇④徳仁の天皇制との対決を!⑤今年も展開される天皇パフォーマンス――を提起した。

 とりわけ四月の中国の習近平国家主席が国賓としての来日について言及し、「中国との経済関係を重視せざるを得ない日本政府・財界は、領土問題や戦争責任問題で声高に反中を叫ぶ右派勢力を押さえるために天皇を利用するのであろう。一方の習近平にすれば、国内にくすぶる戦後補償(個別補償)要求の声を、天皇から『お詫び』あるいは『反省』に類する言葉を引き出すことによって押さえようとする意図があるのかもしれない。また米中経済戦争の渦中で、日中関係を正常に近い形で維持したいという思惑もあるだろう。いずれにせよ天皇(利用)の政治が展開される」と分析した。

 そのうえで「天皇制を廃止して、真の意味の私たちの主権を確立して、その主体において、侵略戦争・植民地支配に対する謝罪・反省の表明と、被害に対する補償を行うことでしか、中国等被害国に対する責任は果たしようがないのである。(この立場は、この原則に固執して、現実的な「解決」の一切をかたくなに拒絶することではもちろんない」)と結論づけ、今後の総路線構築に向けてアプローチした。

 小倉利丸(批評家)さんは、「天皇制 文化・伝統のレイシズム」をテーマに講演した。

 小倉さんは、明仁の生前退位表明を取り上げ、「憲法では象徴天皇の国事行為は、内閣が責任をもって助言して行われる国事行為であるはずだ。しかし、明仁はそのようなものとして天皇の象徴的行為を考えていない。憲法の枠に縛られた国事行為の外にも、天皇が主体となる象徴的行為があることを明言した。……少なくとも、晩年の彼は天皇の象徴的行為の憲法超越性を自覚していたのではないか」と批判した。

 1990~2000年代、反グローバリゼーション運動に参加してきた小倉さんの経験から「冷戦後、左翼は衰退し、多くの人たちは社会主義を言わなくなった。その代わりにオルタナティブと言い出し、『もうひとつの世界は可能だ』をスローガン化した。『もうひとつの世界』の何かは不明だった。だからヨーロッパの若者の一部は、新しいイスラムを見出しIS(イスラム国)に向かった。もう一つは極右にむかった。例えば、『ドイツのための選択肢』がある。新自由主義とグローバリゼーション反対は、右翼も言い出し、伝統的なコミュニティーを守ろうとしている。左翼が将来像を出せないなかで民衆は、伝統主義的解決、権威主義へと向かった。『移民・難民は自分の家に帰れ』と排外主義とレイシズムを強めていった」現状をスケッチした。

 日本に引きつけながら天皇、皇室が繰り返す「伝統」「文化」の言説がレイシズムを支える大衆意識の基層を構成してきたことを明らかにし、「天皇制の構造は、見掛けと違って日本に固有とはいえない側面がある。神話や伝統への回帰を武器にするレイシズムと闘う世界の運動と日本の反天皇制運動とが共通の課題を見出すことは難しくなくなっている。むしろ連帯の可能性が拡がっている。このことは、伝統主義と闘う左翼の運動にとって大きな希望だと思う」と強調した。

 参加諸団体から連帯アピールが行われ、デモに移った。神保町一帯にわたって、「『紀元節』反対!天皇制はいらない!安倍政権を倒そう!」のシュプレヒコールを響かせた。

          (Y)

報告 2.16 辺野古を埋めるな 新宿アクション

縮小写真 二月一六日午後一時から、新宿駅三カ所で、辺野古に米軍基地建設反対のための宣伝活動を行い、午後二時から新宿駅東口アルタ前で集会。

 埋めるな連首都圏が「国は三月にも埋め立ての設計変更申請を行う予定だと読売新聞が報じた。これを阻止するために、二月一六日から二五日まで首都圏で集中した宣伝など諸行動を行う、今日がその第一段だ」と述べ、「大浦湾の軟弱地盤のデーターは取っていないと政府は言ってきたが、昨年三月国会に出した報告書に英語で出していたので誰も気づかなかったがあったのだ。辺野古工事を独自に検証している専門家チームが、このデータを基に護岸の安定性を試算したところ、国の要求水準を満たさないことが分かった。最悪の場合、埋め立てた盛り土が崩れ、護岸が崩壊する恐れがあるという。チームは『安全な施工は保証できない。今からでも地盤を再調査すべきだ』と指摘した(東京新聞、2月16日)。ゼネコンの利権・大儲けのための埋め立てをやめさせよう」と訴えた。

 続いて、沖縄からヘリ基地反対協の安次富浩さんが電話でアピールした。

 「安倍政権は桜を見る会支出問題、公文書の改ざんなどとってもひどい政治をやっている。辺野古埋め立てでは、埋め立て予算は三四〇〇億円と言ってきたが九〇〇〇億円に、五年の工期を一〇年に変更せざるを得なかった。これは闘いによって追い込んだ。玉城知事はサンゴの移植を拒否し、埋め立て承認取り消しの裁判を起こし、基地建設を止めるために、真っ向から政府に挑んでいる」。

 「首里城炎上、ブタ熱、新コロナウィルスの沖縄での感染と厳しい局面にあるが知事を支持し運動を展開していく。連日、辺野古での座り込み、海での闘いを続けている。マヨネーズ状の軟弱地盤のデーターが隠されていたことが判明した。こんな連中に沖縄の将来を委ねていいのか。中東に軍艦を派遣したり、ヘリ空母を持とうとしている。軍事大国化のためにカネを使うのではなく、原発被災地・災害被災地のためにカネを使え」。

 「宮古・石垣・八重山・奄美への自衛隊基地建設を許してはならない。ふたたび沖縄を戦場にしてはならない。普天間基地の即時撤去、オスプレイ配備撤回が必要だ。大きな県民大会を予定している。安倍政権打倒に向けて粘り強く未来に向けてがんばろう」。

 沖縄の抗議船の船長が「今年になって、埋め立て状況が変わってきている。昨年一年で埋め立ては一%しか進んでいないと発表されているが、安房・塩川での動きが激しくなっている。ここにきて埋め立てが二%を超えたのではないか。それはカヌーで週三回一〜二時間止めているが、運搬作業は真っ暗になっても行われ、土曜日も返上している。運搬船も二〇〇〇トンから四〇〇〇トンになり、運搬量も倍になっている。危機感をもって、抗議を強めよう」と訴えた。

 ストップ辺野古埋め立てキャンペーンが埋め立て予定企業への抗議行動、国会包囲実行委が三月六日、日本教育会館での首都圏集会、埋めるな連がこの一週間の首都圏での宣伝活動の報告を行った。

 この後、午後三時から埋め立てを行っているゼネコンの大成建設への抗議を含めて、新宿駅一周のデモを一六〇人が行った。

(M)

報告:2.9「『日・君』強制処分反対!労働運動への弾圧を許すな!」集会

配信:都教委 2月9日、都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネットワークは、東京しごとセンター講堂で「『日・君』強制処分反対!労働運動への弾圧を許すな!」集会を行った。

 小池都知事と都教委は、当時の石原都政(2003年)の10・23通達(卒業式・入学式などで「日の丸・君が代」を強制)の強要を継承し、新自由主義と国家主義教育を押し進めている。2003年10・23通達から16年たち、今年も卒業・入学式時に「日の丸・君が代」強制を行おうとしている。都教委包囲ネットは、大量の不当処分(のべ四八三人)の強行に抗し「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏等の闘い、集会と都教委門前行動、地域ネットを積み上げてきた。

 集会は、安倍政権打倒、10・23通達撤回と「日の丸・君が代」強制反対、教職員の長時間労働の阻止、東京五輪への生徒の動員反対、教育現場への天皇制の介入の問題とともに関西生コン連帯労組にかけられている労働運動解体、労働基本権のはく奪攻撃に反撃し、連帯していくための意志一致を行った。

 開会あいさつを見城赳樹さん(都教委包囲ネット)が行い、「天皇『代替わり』を通して八王子のように生徒を動員し天皇賛美化や皇国史観教育を押し進める策動の事実があきらかになっている。東京五輪を通した国威発揚・ナショナリズム煽動、ボランティア動員などによって統合していこうとする動きもある。このような動きと連動して権力は、関西生コン連帯労組の闘いに対して労働基本権を認めず、『威力業務妨害』『恐喝』『強要』をデッチ上げ組合員を不当逮捕している。不当労働行為と弾圧は、全労働者階級への弾圧として受け止め、団結して反撃していこう」と訴えた。

 永嶋靖久弁護士(関西生コン弾圧反対弁護士)は、「『日・君』強制と関西生コン労働運動つぶし攻撃」をテーマに講演した。

 「関生支部の運動と弾圧に至るまでの経過は、『世界』(2020年2月号「ルポ労
組破壊―『関西生コン事件』とは何か(上))を参照してほしい。検察官は、『ストと呼ばれる生コンの出荷を妨害する行為やコンプラと呼ばれる生コン業者や施工主に些細な法令違反を指摘して工事を妨害する行為をし、妨害行為を止めるための条件として、解決金等の名目で生コン業者に対して多額の現金の支払を要求』などと決めつけ、労働基本権を真っ向から否定する。『企業別に企業内で活動』しない労働組合が弾圧されるのは、当然だとして、労働者の団結形態を認めない。権力と資本が一体となって労働運動つぶしへと踏み込みを労働者の団結と連帯ではね返していこう」。

 「武委員長は六回逮捕、湯川副委員長は八回逮捕された。2020年2月9日は2018年8月28日の逮捕から531日だ。保釈された組合員も高額の保釈金に加え、相互の接触禁止、組合事務所への立ち入り禁止等が保釈条件だ。関生支部を脱退しない組合員に打撃を与えるために身体拘束を利用している。立件された事件を通して、明らかに『警察が事件を作る』事態になっている。私たちは、大阪でも『日の丸・君が代』との闘いを行ってきた。『日の丸』引き下ろしなどで処分も強行された。関生の闘いと『日の丸・君が代』反対の闘いを結びつけ、共に反撃していこう」と述べた。
 
 現場からの報告では、①変形労働時間制と教育労働者の闘い②義務制の教育現場から③「天皇奉迎」に子どもを動員することに反対して闘う④天皇代替わりに抗しての闘い⑤国威発揚とオリンピック・パラリンピック教育の実情⑥「君が代」被処分者たちと高校の現場⑦高校生の闘いが紹介され、共にスクラムを強化していくことを確認した。

 行動提起として3月学区別卒業式に対してチラシまきが提案された。

 さらに集会決議、「東京五輪の観戦やボランティアなどに生徒たちを共生動員しないよう求める特別決議」を採択した。

(Y)

報告 : 東電福島・放射能汚染の拡大と”オリンピック” 1.25 小出裕章講演会

DSC_0972 一月二五日午後一時半から、東京・江戸川区総合文化センターで「東電福島・放射能汚染の拡大と”オリンピック”小出裕章講演会」が主催:NPO法人ふくしま支援・人と文化ネットワーク、協賛:「さようなら原発江戸川連絡会・一千万人署名江東実行委員会」・「脱原発下町ネットワーク」で開催され、二〇〇人が参加した。

 神田かおりさん(講談師)が主催あいさつをしたあと、小出さんが講演した。

 安倍首相が二〇一三年九月八日に、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会総会で、福島の状況を「アンダーコントロール」と言ったが、当時からコントロールなど出来ていない状況を、データーを示しながら詳しく報告した。講演の要点を報告する。(M)

嘘つきの安倍さんが誘致した東京オリンピック

 当時、敷地は放射能の沼のような状態になっていた。二〇一四年一〇月一三日に採取した海側の井戸の水は環境への放出基準の千倍を超えるほど猛烈に汚染されていた。敷地内での苦闘は今も続いている。熔け落ちた炉心が今どこにどんな状態であるかすら分からない。ひたすら注水してきたが、放射能汚染水が溢れている。

 山側から出てくる地下水は原子炉建屋内に入り、放射能で汚染している。これを遮断しなければならないが出来ていない。放射能汚染水は、タンク貯蔵容量一二八万トンに対して、一一九万トンが溜まっている。あらゆる放射能を取り除いてもトリチウムだけは取り出せない。処理水を海に流そうとしている。どうにもならない状態だ。何も手をうつことができないまま、オリンピックを誘致した。九年経った今も事故現場に行けない。行けば人は死んでしまう。それでロボットを作ったが、ICチップが放射能で壊れてしまう。果てしない放射能の封じ込め作業と毎日五〇〇〇人の被曝労働が行われている。百年経っても収束しないだろう。

 国と東電は熔け落ちた炉心をつかみ出し三〇年~四〇年で事故を収束させるためのロードマップを作った。しかし、熔け落ちた炉心は、ペデスタルから外部に出ており、つかみ出すことはできないことが分かり、ロードマップを書き換え先送りすることにした。例え、取り出すことが出来ても放射能は消えず、一〇万年から百万年の管理が求められる。

 フクシマ事故で放出された放射能は広島原爆の一六八個分で大地を汚染した。福島県の東半分を中心にして、宮城県と茨城県の南部・北部、さらに、栃木県、群馬県の北半分、千葉県の北部、岩手県、新潟県、埼玉県と東京都の一部地域など、面積で言うと約一万四〇〇〇k㎡の大地が、放射線管理区域(4万Bq/㎡を超える区域)にしなければならない汚染を受けた。

 「除染」はできない。「除染」とは汚染を除くという意味。汚染の正体は「放射能」。人間には「放射能」を消す力はない。言葉の本来の意味で言えば、「除染はできない」。やっていることは汚染を別の場所に移動させる「移染」。容赦なく溜まり続けるフレコンバッグは二〇〇〇万袋を超えている。

 事故当時、政府は「原子力緊急事態宣言」を発令し、六〇万Bq/㎡以上の汚染地から住民を強制避難させたが、それ以下の汚染地では人々を棄てた。
 
原子力マフィアは犯罪集団

 日本では、これまで五七基の原子力発電所が建てられた。そのすべては自民党政権が「安全性を確認した」として建てられた。そして、電力会社、原子力産業、ゼネコンをはじめとする土建集団、学会、裁判所、マスコミ、すべてがグルになって原子力を進めてきた。もちろん、福島第一原子力発電所も「安全性を確認した」として建てられたが、事故を起こした。

 原子力マフィアには重大な責任があるが、誰一人として責任を取っていないし、取ろうとする人もいない。日本が「法治国家」だというのであれば、彼らを犯罪者として徹底的に処罰する必要がある。

些末なことと大切なこと

 「原子力緊急事態宣言」は八年一〇カ月以上たった今も解除されていない。しかし、原子力マフィアはそれを忘れさせようと画策している。その時に彼らが取る手段は、別のことに国民の目を誘導することである。

 今、日本国中がオリンピックに向かい、それに反対すると非国民であるかのように言われる。しかし、今なすべきことは福島第一原子力発電所事故の収束と被害者の救済である。それをなさない国であれば、私は喜んで非国民になろうと思う。

(講演要旨、文責編集部)

 
 質疑応答での小出さんの発言の一部を紹介する。

 質問 食物への放射能の影響は? どうすればいいのか?

 答え 生態系が放射能で汚されている。農作物が汚染していないはずがない。程度の問題だ。福島県沖の海域も汚れている。食物は一㎏、一〇〇Bqに達しないものとして野放しになっている。事故前は〇・一Bqしか汚れていなかった。すべての食べ物について、放射能について表示すべきだ。汚染はどうしようない。大人は責任があり、福島の農家などを守る意味もこめて、食べて下さいと言う。ただし、子どもだけは極力守るために食べない方がいい。

 質問 事故の福島原発をどうしたらいいのか

 答え 放射能は消すことはできないし無毒化できない。今までいろんな案が出された。隔離する。そのために、ロケットで宇宙に送る、深海に沈める、南極に捨てる、陸地で深い穴に埋めるなど。しかし、どの案も一〇万年から百万年安全に管理することなどできない。私もどうしたらいいか分からない。ただ、原子力をただちに止める。そして、監視できる方法で保管するしかない。

報告 : 1.31「2020人権のつどい 包括的な人種差別撤廃法制度の制定にむけて~ヘイト スピーチを中心に」

 一月三一日午後六時半から、東京・江東区亀戸文化センターホールで、「2020人権のつどい 包括的な人種差別撤廃法制度の制定にむけて~ヘイトスピーチを中心に」がつどい実行委主催で行われた。

 2016年に差別を解消するために「障害者差別解消法」、「部落差別解消推進法」、「ヘイトスピーチ解消法」の人権三法が施行された。これらの法律が制定試行された背景は、今もなお、様々な差別が現実に発生しているからだ。しかし、これら人権三法は、いずれも罰則規定のない個別理念法であることから、一定の抑止力とはなりうるものの被害者の救済という点では限界性を持っている。長年この問題に取り組んできた師岡康子弁護士(外国人人権法連絡会)が講演を行った。

(M)

 川崎市の多文化交流施設「市ふれあい館」に「謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう。生き残りがいたら、残酷に殺して行こう」と書かれた年賀状が届いた。殺害を宣言し、在日コリアン市民を恐怖に陥れるという許さざるヘイトクライム(差別に基づく犯罪)が起きた。おぞましい文面が示すのは同じ人間とみなさず、共に生きる存在と認めない迫害の意思だ。

 過去の例から、昨年一二月の川崎市の差別根絶条例の制定がきっかけとなったことは想像に難くない。ただちに抗議の署名運動が呼びかけられ、三万筆が集まった。市長も犯罪行為、必要な措置をとると表明した。その後一月二七日、市の職場に「爆破の犯罪行為を行う」と脅迫が続いている。せめぎあいであり、逃げることはできない。

1.ヘイトスピーチと人種差別

 ヘイトスピーチの本質は歴史的、構造的に差別されてきた人種、民族、社会的出身(世系)、国籍、性別、性的指向、障がいなどの属性に基づくマイノリティ(社会的少数者)集団・個人に対する、属性を理由とする、言動による差別、とりわけ差別の煽動。

 植民地支配の時代と共通する根深い差別構造が継続している。マイノリティにとって全生活にわたって差別されている中の一部であり、差別全体と取り組む必要性がある。特殊の集団によるデモの問題に切り縮められない。

 一九二三年の関東大震災での虐殺事件、拉致問題以後起きた朝鮮学校生への襲
撃事件、政府の朝鮮学校生徒への授業料無償化からの排除、二〇一一年東日本大震災時の、中国人窃盗団というデマを信じて自警団を組織した事件、最近の韓国バッシングでの韓国学園生徒への暴力行為など。危険な状態になっていて、決して放置できない。ヘイトスピーチが物理的暴力に結びつき、戦争にまでつながる可能性さえある。

 外国人住民調査結果(2016年)によると、
入居を断られた 四割 就職差別 四人に一人 直接侮辱された 三割。

 身構えて生活しなければならない。ヘイトデモに合わないようにする。被害に先が見えない。「出ていけ。皆殺しにする」の暴言は、結局日本国籍を取るか通称を使うかと強制さらせれる。人権侵害が起きている。

2.国際社会におけるヘイトスピーチと人種差別

 世界共通の人種差別と排外主義との闘いの問題。日本も一九九五年に人種差別撤廃条約に加盟しており国際法上、人種差別を「禁止し、終了する義務」がある。

 国際人権法の求める九つの最低限の基準

ア)法制度設計の前提となる差別の被害者グループとの認識及び実態調査

イ)国の行ってきた差別を生じさせ又は永続化させる法制度の洗い直し

ウ)平等な人権を保障する法制度

エ)人種差別禁止法

オ)ヘイトクライム及びヘイトスピーチの処罰

カ)人種差別撤廃教育

キ)被害者の保護と救済

ク)国内人権機関

ケ)個人通報制度

 日本は致命的に取り組みが遅れている。人種差別撤廃政策も、担当省庁もない。

 日本政府の基本姿勢。①新法を作るほどの差別もスピーチも認識していない②現行法で対処できる③差別は啓発でなくすべき。

 現行法制度の欠陥。民事裁判提訴は可能だが、被害者に主張・立証責任があり、
差別と認められることは容易ではない。極めて深刻な二次被害を伴い、効果も限定的。不特定多数の集団に対する差別的表現を規制する規定、救済手続きがない。

3.ヘイトスピーチ解消法の意義

 理念法とはいえ、ヘイト側を「表現の自由」として守ってきた国が、それを差別として認め、重大な害悪を認め、許さないとの反差別の立場に立ったことは反差別法整備の出発点となる。

 両院附帯決議、参議院法務委員会決議により、人種差別撤廃条約の義務の履行の一部と明確化したのであり、人種差別撤廃条約及び人種差別撤廃委員会の勧告などを解釈の指針とすべき。地方公共団体においても取り組む責務、義務がある。

 しかし、人種差別撤廃基本法ではない。その結果、対象が差別的言動のみ、在
日外国人のみ、基本方針策定義務、国会報告義務、実態調査義務、施策を検討する専門機関の設置も財政措置もない。実効性が弱い。

 解消法設立後の現状。ヘイトデモの回数は半減、ただし東京集中。ヘイト街宣は微増。二〇一八年のヘイトデモ・街宣数合計は三〇〇。嫌韓・嫌中流の日常化、ネットの書き込み、選挙活動に名を借りたヘイト街宣、地方議会への進出。日本第一党(在特会元代表桜井誠が党首)―都知事選、衆院選挙にも。NHKから国民を守る会、日本国民党(維新政党新風東京都本部、代表鈴木信行・葛飾区議)。

 裁判所でヘイトデモ禁止仮処分の決定や損害賠償を認める判決が出ている。警察は二〇一六年六月三日通達後、デモ届け出時点でヘイトスピーチをしないよう注意。一部の警察ではデモ中、解消法の条文をアナウンスしたり、カウンターへの敵視一辺倒の態度が変化。カウンターの逮捕者数は激減。

 解消法実行化の地方レベルの現段階。①公共施設の利用をガイドラインを作り制限、川崎や京都。条例制定についての行政・議会の動き。大阪市、香川県観音寺市(差別禁止条項・罰則つき、五万円)、国立市、神戸市、大阪府、狛江市。

4.今後の課題

 川崎市は「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を成立させ、違反した場合、五〇万円以下の罰金を科すことを決めた。何回やってもカウンターしても止められないヘイトスピーチに対して行政が踏み込んだ。他の地域で川崎市のように作るのかが問われている。

 江東区地域でもヘイト行動が行われている。江東地域でもぜひ条例を作ってほしい。

 条例の内容で重要なのは、①人種差別全体に取り組むことが不可欠②禁止条項+何らか制裁規定③救済制度と第三者機関による審査手続きは不可欠である。禁止規定のみだと結局裁判をやるしかなく、絵にかいた餅になる。

 解消法、条例制定など、市民があきらめず、声を出し働きかけ続ければ、社会
は変えられる。差別を許さない強い姿勢を示すことが求められている。差別のない社会を作っていこう。

(講演とレジメをもとに編集部がまとめた、文責編集部)
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