8月10日、「平和の灯を!ヤスクニの闇へ 2013キャンドル行動」は、在日本韓国YMCA(水道橋)で「国防軍の名の下 ふたたび「英霊」をつくるのか」集会を行い、500人が集まった。
安倍政権は、九六条改憲、安保法制懇をバネに集団的自衛権の行使の合憲化を策動している。すでに自民党は天皇の元首化、国防軍の保持などを明記した改憲草案を打ち出し、先行して改憲運動を推し進めている。これと連動して領土ナショナリズム、差別・排外主義潮流が広がり、右派国会議員たちによる靖国神社参拝を通して「戦士」した者の英霊化システム構築を策動している。
第8回目を迎えた反ヤスクニ行動はこのような動きを許さず、改めて天皇制と侵略戦争を賛美する靖国神社の役割、「英霊」顕彰の裏で権力、軍部の犯罪を隠ぺいしてきたことを明らかにするために集会を設定した。
開催あいさつが韓国反ヤスクニ共同行動実から行われ、「日本では侵略戦争を否定し、平和憲法を無視する発言が公然と行われている。民主主義が否定されている深刻な状況だ。七月にソウル高裁が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に対し元徴用工への賠償を命じ、釜山高裁も三菱重工業に損害賠償の支払を命じた。国際人権規約、日本国憲法九条の精神に照らし合わせて公的責任があると断じた。平和のためにこの判決をともに活用していこう」と強調した。
新たな『皇民化』の強要を許すな
シンポジウムが行われ、以下の4人から報告が行われた。
志葉 玲さん(ジャーナリスト)は、「アフガン・イラク戦争~日本・自衛隊参戦の真実」について報告し、「自衛隊イラク派遣で2006年7月から08年12月まで空輸した人数26384人のうち、米軍関係者は17650人、約65%を占めていた。人道復興支援という政府の主張と活動実態が全く異なっていた。空自のイラクでの活動を『集団的自衛権の行使』だとして違憲と判断した2008年4月17日の名古屋高裁の判断を裏付けるものだ」と指摘した。
さらに、「在日米軍とイラク戦争の関係も検証されるべきだ。自民党が『集団的自衛権の行使』の容認や改憲について、露骨に動いている今、イラク戦争を検証する重要性が増している」と呼びかけた。
金東椿さん(韓国・聖公会大学教授)は、「韓国の朝鮮戦争戦死者追悼事業」というテーマから「朝鮮戦争戦死者の追悼事業を通して見た靖国問題」について問題提起した。
「韓国の国立顕忠院も日本の靖国とは異なる側面で、その存立の正当性に深刻な欠格事由がある。抗日独立運動化と親日家と、一緒にできない存在が一緒に埋葬されており、国民国家に対する寄与がその国民国家の成立そのものを否定し、国家を建立しようとした人を弾圧した履歴を圧倒しているという点である」。
「日本帝国主義の侵略の苦痛を味わった韓国人や中国人らにとって、日本の首相や政治家の靖国参拝は一種のトラウマである。再び侵略されるという恐怖感を与える。国家と愛国の名で侵略戦争と戦争犯罪を容認することを繰り返してはいけない。国家や支配層が社会的弱者の国民を犠牲にし、道具化してでもそのような死を美化しも国家動員を正当化することについても一緒に批判しなければならない」と述べた。
内海愛子さん(恵泉女学園大学名誉教授)は、「捕虜になった兵士たち」から「現代の捕虜問題」へと掘り下げた。
「戦争責任論や戦争犯罪の論議の中で捕虜問題が論じることは少なかった」と問いかけ、「日本では2003年に有事関連7法が成立し、この中で『捕虜法』がある。『国防軍』の名のもとに、捕虜や軍法会議という言葉が現実味を帯びてきた。ヤスクニに合祀されない日本兵の『無惨な死』から、『軍隊とは何か』を考え、反戦平和の礎にしていく必要があるのではないだろうか」と提起した。
高橋哲哉さん(東京大学教授)は、「『天皇を戴く国家』と『国防軍』」の観点から自民党改憲草案を厳しく批判した。
とりわけ「政教分離」規定で「ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」と例外規定を設けていることを取り上げ、「『戦没者追悼という社会的儀礼』として天皇あるいは首相・閣僚らの靖国神社公式参拝をねらっている。つまり、グローバル化と個人をバラバラにする格差社会化でアイデンティティを見失った国民に『日本を取り戻』させ、さらには米国が求める集団的自衛権の行使=米軍と共同した戦争参加という時代の新たな要請に応えさせようとしている。新たな『皇民化』の強要と抑圧だ」と糾弾した。
『証言』では韓国靖国合祀遺族、フィリピン日本軍「慰安婦」被害者が発言した。
「特別アピール」は、日本製鉄元徴用工・韓国裁判、国連人権勧告、8・14キャンペーンなどが発言した。
コンサートに移り、ソン・ビョンフィさん、ムン・ジンオさんが熱唱した。
集会終了後、キャンドル・デモに移り、神田一帯にわたって「ヤスクニNO!合祀をやめろ!参拝やめろ!アジアの声を聞け!」と響かせた。デモの途中、右翼街宣車、在特会らの挑発が繰り返されたが、挑発に乗らず断固としてデモを貫徹した。(Y)