虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

案内 国家による「慰霊・追悼」反対! 8/15行動

国家による「慰霊・追悼」反対! 8/15行動

【日時】
2019年8月15日(木)
  ■13:00 開場
  ■16:30 デモ出発(予定)
【講演】
 松井隆志 さん(大学教員)
 「戦後論再考〜慰霊追悼問題を中心に」(仮)
【場所】
 在日本韓国YMCA 9階ホール(東京都千代田区猿楽町2丁目5-5)
 
【主催】終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク(おわてんねっ
と)
http://han.ten-no.net/?p=593



★アジア ・ 太平洋戦争のこの国の最高責任者だった、 昭和天皇 ・ 裕仁。
天皇制の戦争責任 ・ 植民地責任を糊塗するべく振舞った、 前天皇 ・ 明仁。

★そもそもこの国は、 「明治」 以来のおよそ150年間、天皇の名のもと侵略戦争を行い、植民地支配を行って、 平気な顔をし続けている。

★今年の8月15日、 新天皇・徳仁が、即位後初めて全国戦没者追悼式に参加し「おことば」 を述べる。 国家による慰霊と追悼が強制される儀式の場で、 ヌケヌケと天皇の地位を継ぎ居座る者が、 一体何を話すというのか!?

★天皇に平和を語る資格なし!
そして国家は、 慰霊と追悼ではなく、 謝罪と補償を!


 

報告:7.23 オリンピック・ムーブメントvsオルタ・グローバリゼーション・ムーブメント

配信:アタック 7月23日、ATTAC Japan(首都圏)は、文京シビックセンターで2020東京オリンピック・パラリンピック開催一年前にあたって「オリンピック・ムーブメント sv オルタ・グローバリゼーション・ムーブメント」をテーマに二人のフランスからのゲストを迎えて反オリンピックの問題提起を受けた。

 フレデリック・ヴィアルさんは、attacフランス(1999年)に参加し、様々な社会運動を取り組み、「2024パリオリンピック反対の会」を創設(2017年)し、会長を担っている。発言要旨別掲。

 ダニエル・シモネさんは、「2024パリオリンピック反対の会」のメンバーであり、またパリ市議で来年のパリ市長選挙に「オリンピック反対」を公約にして立候補予定だ。

 ダニエル・シモネさんは、「オリンピックは大都市の金融化を加速化させる。例えば、交通インフラの整備も人の移動のためではなく土地の価格を上げるために行われている。また、企業がオリンピック開催中の一五日間のためにいかに利益を上げられるかを追求し、色々なプロジェクトを推し進めるための言い訳に使われる。こんなオリンピックを中止させるために住民投票を行えと要求している。

開催地となる市民と手を結ぶことは重要だ」と強調した。通訳は、稲葉奈々子さん(上智大学教授)。

 2人の提起を受けて、質疑応答を行い、今後のオリンピック反対運動に向けた方向性を深めていった。
(Y)
 
 フレデリック・ヴィアルさんの問題提起

 オリンピックに反対する理由を上げる。
 パリ市長のイダルゴは、候補者だった時は、反五輪を掲げていた。ところが当選した後、反五輪をやめてしまった。私は、これに対して憤りを感じて反五輪運動に参加した。オリンピックは、旧体制のままで壁にぶちあたっているにもかかわらず、生き延びようとしている。そもそも公的オカネを私的な目的に流用していることが第1の反対すべきところだ。

 どこでも同じだがオリンピック予算にしても真剣に作られておらず、信用できない内容だ。東京オリンピックは、予定していた予算よりも爆発的に増えている。そのようなあり方がフランスにも影響を及ぼしている。

 最初はそんなにカネはかからないと言って始めるのだが、次々と新たな予算が追加されていく。例えば、セキュリティー、建設、交通やインフラなどにオカネが増えていく。すでにパリの場合では二倍に増え、最終的に六倍になるだろうと言われている。

 当初の予算から超過した予算にならなかったオリンピックはない。東京オリンピックもそうだし、1984年のロスアンゼルスオリンピックも予算は倍となった。

 フランスも同様だが、なぜこのようなことになってしまうのか。オリンピックを組織しているIOC(国際オリンピック委員会)自体が自分たち自身が利益を得る側にいるからだ。オカネは公的なものだから自分たちが支払うわけではないから増えていく。

 とりわけフランスの場合は、オリンピックのために特別の法律を作り、予算が超過したら公的資金から支払うことが可能だという内容だ。だから企業は、一円も払わなくてもいいし、様々な利益を得ることができる。公的資金とは市民のオカネだ。

 第2の問題は、IOCが国際的なブラックホールになっている組織ということだ。

 IOCの本部はスイスのローザンヌにあり、スイスの法律によって守られている。銀行口座の秘密によって一度も会計報告書を出したことがない。外部からの調査を行おうとしても、それができない。

 IOCは、様々な知的所有権を持っており、例えば、映像・写真などの著作権を持ち多額な利益を独占している。

 第3は、オリンピックによってエコロジー、すなわち環境が犠牲となっている問題だ。

 東京と同じようにフランスはオリンピック候補の時、いかに綺麗でエコロジーにかなっているかのプレゼンテーションを行った。しかし、すべて嘘だらけだ。

 例えば、300万人の人々が参加しても電気自動車、自転車、徒歩だから環境汚染
はないと言っている。しかし、人々は飛行機で来るし、パリ以外のところへと大量に移動するわけだから環境汚染されないというのは嘘だ。

 さらに炭素を排出したら、他方で木を植えればいいという議論がある。だが、それをいつどこで誰がやるのかを決められないままで流れている。

 水の汚染は、パリでも同じだ。推進派は、オリンピックのおかけでセーヌ川が綺麗になり、環境にいいと言う。だが、そのためには工事が必要であり、実際には一部分を科学的に綺麗に見えるようにするだけだ。

 第4は、オリンピックによって隠ぺいしていく圧力が強まっていく問題だ。東京の場合は、原子力の問題が隠ぺいされた。すでに福島原発問題はなくなり、それを信じさせるためにオリンピックが利用されている。非常に深刻な事態だ。

 フランスは、交通機関を発展させるグランドパリ計画がある。パリは小さな都市で、集中して人々が住んでおり、周りに大きな郊外が広がっている。この計画についてオリンピックを口実にしてやろとうとしており、なんら議論もしていない。

 このプロジェクトによってパリに人口がさらに集中する。2024年のオリンピックまでに完成させようとしている。民主主義的な議論をさせないことを正当化ている。

 例えば、農業が行われていた肥沃な土地をコンクリートで固めて、地下鉄を作り、ショッピングセンターを作る計画もある。これらも議論せずにオリンピックのために正当化されている。

 さらにオリンピックによって、貧しい人たちが住んでいるサンドニという都市の人々が追い出されようとしている。生き場所がなくった人々に対して推進派は、自分たちでなんとかしろと言うのです。オリンピックによる都市建設計画は、規模も大きくなり、同時に、貧しい人々が追い出されていく。この流れによってパリは、人々が住まない場所となり、周辺に人口が集中することになる。遠くに追いやられてしまう人々は、働くために交通機関を使って、時間をかけることになる。これはエコロジーの観点から、人間的観点から正しいことではない。

 第5の理由は、オリンピックの唾棄すべきイデオロギー的な問題だ。スポーツをスペクタルに見せようというイデオロギーは、競争の原理に基づいており、多くのオカネを使って行う。フランスには、もっと深刻な社会問題があるにもかかわらずだ。

 例えば、フランスでは「黄色いベスト」運動が行われているが、多くの人たちが排除されていることを意味している。経済システムからの排除、政治システムからの排除、つまり民主主義的ではない社会を意味している。

 公共の病院で救急で運ばれて亡くなった人がいました。財政難でまともな診察ができずに亡くなったのです。このような財政的な問題があるにもかかわらず、政府はたった15日のスポーツのスペクタルのためにたくさんのオカネを使おうとしている。

 要するに公共サービスのために払うオカネがない、高齢者のために払うオカネがない、教育のために払うオカネがない、しかしスポーツのスペクタルのためのオカネはあるということだ。これは深刻な民主主義の危機だ。

 私たちアタックが反対運動をするのは、民主主義のために闘い、公共財のために闘い、社会的に緊急性が高い課題のために闘っている。推進勢力は古い世界とシステムは失敗しているのがわかっているにもかかわらず、オリンピックを利用して維持・持続させようとしている。

 私たちが東京に来たのは、2日後に各国のオリンピック反対運動のメンバーとの会合があり、もはや失敗しているオリンピックだと示すことができるからだ。

 来年、地方議会選挙が行われる。この選挙に対してオリンピックの問題を提起するいい機会だと思っている。オリンピックに反対している勢力は、1つは緑の党、もう一つは「不屈のフランス党」。一緒に来たダニエル・シモネさんは、「不屈のフランス党」に所属している。選挙を通してオリンピックについて公的議論を行う。
 

報告:7.24 1年前でもやっぱり返上!オリンピック大炎上新宿デモ

配信:オリンピックデモ 7月24日、「オリンピック災害」おことわり連絡会は、新宿アルタ前で「一年前でもやっぱり返上!オリンピック大炎上新宿デモ」が行われ、フランスやアメリカなどからの仲間も駆けつけ230人以上が参加した。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、天皇ナルヒトを東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の名誉総裁に就かせた。就任期間は、オリンピック開催1年前の7月24日からパラリンピック閉幕日(2020年9月6日)までだ。

安倍政権は、天皇「代替わり」賛美キャンペーンとオリンピック・
パラリンピックキャンペーンを一体化させ、憲法九条改悪を射程にナショナリズムと差別・排外主義を連動させながら日本国家への民衆統合を強化させていく装置としてでっち上げた。

 このプロセスをいなおり的に示したのが、7月24日のオリ・パラ交通規制テストと称して30カ所以上の首都高速道路入り口を閉鎖し、意図的に国道246号や国道17号などの主要幹線で渋滞発生を作り出した。表向きは、オリ・パラ交通規制テストなどと強調しているが、その政治的本質は安倍政権のグローバル派兵国家建設の一環として位置づけ、民衆の生活破壊を前提にした五輪組織委、警察庁、自衛隊、民間警備の共謀による治安弾圧演習だ。すでに組織委は警視庁と初の合同訓練(18年9月28日)を皮切りに繰り返している。「自衛隊に警備協力要請、五輪組織委がテロ対策」(東京新聞/19年1月18日)と宣伝させ、反テロキャンペーンとセットで東京五輪を強行していくことを押し出している。

 安倍政権の一連の着手の階級的獲得目標は、反天皇闘争勢力と反オリ・パラ勢力を「国賊」として排除しぬき、民衆に対する人権侵害・無駄なカネ使い・環境破壊・治安弾圧のやりたい放題を推進していく国家建設にある。このようなオリ・パラを利用した政治的意図、カネ儲けのための利権コネクションの野望を暴露しぬき、闘う世界民衆とともにオリ・パラ推進の日本帝国主義勢力を厳しく批判し、今日から1年間、「オリンピック返上」を合言葉に果敢に反撃していこう。

 午後6時、アルタ前では、吹き荒れるオリ・パラキャンペーンと真っ向と対峙し、力強い反撃の狼煙が次々と発せられる。

 集会司会の桜井大子さん(連絡会)は、「マスコミはオリ・パラ1年前だと騒いでいるが、私たちは『もうオリンピックはいらない』の声を上げるために集まった。反対の理由は一杯ある。オリンピック会場を作るために、たくさんの公園、森、自然が壊され、そこで生きている人たちが追い出されている。世界的にもオリンピック反対の声は上がっているし、今日の行動にも海外の仲間たちが参加している。『反東京オリンピックガイド』を通して、皆さんに訴えていく」と発言。

 宮崎俊郎さん(連絡会)は、「今日のように真夏の炎上下でオリンピックをやるのはとんでもない。海外の仲間たちは、福島に行き、いかに復興していないかを確認した。安倍首相の福島原発の『アンダーコントロール』という嘘メッセージによって東京オリンピックが招致されたが、来日したフランスやアメリカの仲間は、私たちにとって大切なことを隠蔽することがオリンピックの本質である」と批判した。

 さらに「6月27日にJOC(日本オリンピック委員会)に対して、巨額な賄賂によってオリンピック招致したことについて答えろと質問した。一切答えないどころか、対応に出てきた職員の名前さえも言わない。まさに日本の隠蔽体質を現している。これからでも東京五輪は返上できる。今日海外のアクティビストが集まったように、『オリンピックはいらない』の声を日本、世界に広げていくことができる」とアピール。

 フレデリック・ヴィアルさん(2024年パリ五輪反対の会)は、「フランスでは2024年にオリンピックが行われることになっているが、私たちの闘いは、あなたたちと同じ問題で闘っている。オリンピックがあるところに汚職があり、資本の利益が優先されている。だからこそオリンピック反対の闘いは世界的になっている」と発言。

 ダニエル・シモネさん(パリ市会議員/2024年パリ五輪反対の会)は、「日本にとって福島の被災者支援、地域復興を優先すべきであり、オリンピックによる民間企業の利益を優先すべきではない。ロスアンゼルスでは六万人の住宅がない人たちのための援助を優先すべきであり、2028年ロスアンジェゼルスオリンピックではない。さらに気候変動と環境破壊を止めることが優先されなければならない。連帯して闘っていこう」と発言。

 2028年ロスアンジェルオリンピック反対運動を取り組む仲間は、今日の集会に18人で参加している。シェッドさんは、「オリンピックは、私たちのコミュニティーに合わないと訴えたい。安倍晋三とエリック(ロスアンジェルス市長)によって私たちの生活を資本と金持ちに売り渡すことをお断りだ。貧しい人々を追い出し、ホテルを建設することもお断りだ。警察が軍隊のように貧しい人々を追い出すこともお断りだ。どこでもオリンピックはお断りだ」と迫力あるアピール。

 ジュールズ・ボイコフさん(米パシフィック大教授/元プロサッカー選手でスペイン・バルセロナ五輪〈1992年〉代表メンバーとして参加)は、「オリンピックは皆さんの人生を破壊する。カネを奪い上げ、金持ちの懐に入れる。民主主義と共に死んでいく。福島から避難した人たちは4万人以上がシェルターで暮らしている。この現実をオリンピックによって隠されてしまっている。安倍晋三は嘘ばかりついている。皆さんと共に声を上げ、民主主義を取り戻そう」と訴えた。

 釜ヶ崎の労働者は、「労働者は、仕事を求めてセンターに来るのだが、建替を理由にして3月に閉鎖されることになった。私たちは、抗議して占拠したが、警察と大阪府の役人ら500人で来て私たちを追い出した。今でもセンター周辺でテント、野宿、座り込みを続けている」と抗議した。

 2018年韓国・ピョンチャン冬季オリンピック反対を取り組んだ仲間は、「オリンピックは、自然を破壊し、人を追い出し、税金を乱用した。ピョンチャンで行ったことを東京オリンピックで繰り返さないことを願うし、そのために頑張りたい」と力強くメッセージした。

 最後に反五輪の会の首藤久美子さんが集約発言。参加者全体で「ノーノーオリンピック! ノーノーIOC! ノーノーJOC」! ノーノー東京オリンピック!」とシュプレヒコール。

 デモは新宿駅周辺から歌舞伎町のコースへと進み、街中の人々に『オリンピック反対!』を訴えた。

(Y)


報告:7.21 シンポジウム 祝賀資本主義とオリンピック

配信:祝賀資本主義 2020年の東京五輪まであと1年。7月20日から27日にかけて、「開催1年前!? 反五輪国際イベント」と銘打って多彩なイベントが繰り広げられた。

 7月21日、東京の早稲田大学では「シンポジウム 祝賀資本主義とオリンピック」が行われた。この日のシンポジウムは7月20日から27日までの1週間にわたって繰り広げられた、「開催1年前」反五輪国際イベントの一環として開催されたもの。会場には150人が参加し、ほぼ満席となった。

 司会の鵜飼哲さん(一橋大教員)は、「福島原発事故からまる2年の2013年9月に決定された東京五輪は、安倍首相の『原発事故の影響はアンダー・コントロール』という大嘘で決定されたが、オリンピック問題の多面性とその問題点を考える上で、今日の講演者であるジュールズ・ボイコフさんの著書が大きな示唆を与えてくれた」と紹介。

 「ロンドン(2012年)や、リオデジャネイロ(2016年)での抗議運動の拡大を経て、オリンピックへの「学問的批判」が大きく前進したことを継承し、2020年東京五輪批判の運動を本格的にスタートさせていく行動が始まった」と、鵜飼さんは訴えた。

 この日のメインのスピーカーであるジュールズ・ボイコフさんは、かつてはアメリカの五輪サッカーチームの代表選手で、現在は大学教授としてオリンピック批判の研究や運動を行っている「異色の経歴」の持ち主だ。

 「祝賀資本主義とオリンピック」と題して講演したボイコフさんは、「①オリンピックの歴史、②「祝賀資本主義」の意味、③21世紀におけるオリンピック招致の傾向と祝賀資本主義との関係、④世界中で起きている、オリンピックの負の側面を明らかにする政治運動と人権アドボカシー活動」の四点にわたって、詳細に説明した。

 第1の問題は「コストの上昇」だ。バンクーバーで開催された2010年冬季五輪の費用は、当初見積もりの10憶ドルから100憶ドル以上に跳ね上がった。ロンドンで2012年に開催されたロンドン五輪では当初予算の38憶ドルが180憶ドル以上になった。実際には380憶ドルだと言われる。2014年のソチ冬季五輪では当初予算の120憶ドルが、過去の冬季五輪費用すべてを合わせたよりも多額の510憶ドルへと膨れ上がった。そして巨額の費用をかけて建設されたスタジアムの多くは、その後使われることなく廃墟と化したところも多い。

 さらにボイコフさんが訴えたのは「公共空間の軍事化」である。その多くは「テロ対策」を理由として警備体制・武装のレベルアップ、監視カメラの大量の導入、ドローンの投入などが進められ、五輪が終わった後でも、それは日常化された体制となる。

 そしてまた、「普通の働く人々の追い出し」だ。とりわけ「貧しい国々」(グローバル・サウス)では「鉄拳を用いた強制立ち退き」が強行され、「豊かな国々」(グローバル・ノース)では「より『洗練』(ジェントリフィケーション)された形態での同様なことが行われている、という違いはあるが。

 またボイコフさんは2022年の冬季五輪開催地である中国での人権侵害、新疆自治区のウイグル人への抑圧の強化についても注意を喚起した。

 こうしたことは「開発途上国」の問題だけでなく、2028年の五輪開催予定地である米国のロサンゼルスでも見られることだ。10万人に上るとされるホームレスを抱えるロサンゼルスでは、深刻な人道危機が広がっている、とボイコフさんは指摘する。

 最後にボイコフさんは、「スポーツは異なる手段で行われる政治」にほかならないこと、「オリンピックは1%の特権的エリートたちによって動かされている機械」であると強調するとともに、「ヘゲモニーは永遠には続かない」という社会理論家のスチュワート・ホールの言葉を引用し、「ますます多くの人びとがオリンピックの『矛盾をはらんだ複雑性』に立ち向かっている」と自信をもって語りかけた。

 ボイコフさんの講演の後、成城大教員の山本敦久さんが報告。

 山本さんは「ボイコフさんンの講演を受けて、祝賀資本主義の文脈で考える」としてナオミ・クラインの言う「惨事便乗型資本主義」と「祝賀資本主義」の相互関係について語り、トーチが走る道筋を「セレブレーション(祝賀)街道」と名付けるなど、「復興の祝賀」としての東京五輪ではなく、トーチが走る道筋を「セレブレーション(祝賀)街道」と名付ける「五輪開催」それ自体が甚大な「社会的災害」だと批判した。

 続いて「反五輪の会」のいちむらみさこさんが報告。いちむらさんは2018年2月の韓国ピョンチャンの反対運動に連帯した活動、そして五輪開催に伴う野宿者追い出し、都営霞が丘アパートの取り壊しなどに抗議する闘いなどについて報告した。

 「平成代替わり」、そして「東京五輪」を貫く「祝賀資本主義」のあり方を具体的に批判していく運動を、「改憲プログラム」への批判とも連動させながら作り出すことに挑戦しよう。

(K)

【パンフレット紹介】反東京オリンピック ガイドBOOK

配信:反オリンピックガイドブックパンフレット紹介
2020東京五輪に反対する18の理由
反東京オリンピック ガイドBOOK

「オリンピック災害」おことわり連絡会編
頒価500円


 2020年東京オリンピックまで、あと1年。すでに「オリンピック災害おことわり連絡会」(おことわり連絡会)が結成され、活発な活動が展開されている。

「おことわり連絡会」の活動の特徴は、オリンピック開催を口実にした野宿者排除や、福島原発災害を忘れさせようとする「復興宣伝」に反対する行動的キャンペーン、そして国際的な反オリンピック運動から学び、連携しようとする意識的活動を貫いている点だ。

 「オリンピック」という国家的・国際的プロジェクトは、ストレートに資本主義システムの現実的な機能という問題を、私たちに突き付ける。

 その「おことわり連絡会」から「2020年東京五輪反対する18の理由」と銘打った「反東京オリンピック ガイドBOOK」が刊行された。1部500円の「お手頃」価格で、なぜ「2020年東京五輪に反対するのか」を一八の項目に分けて説明してくれる。一項目が二ページでまとめられている。

①「どんどん膨れ上がる五輪開催の費用」
②「都市計画の変更なしにスタジアム建設はできなかった」
③「巨大イベントは利権の巣」
④「オリンピック招致で多額のワイロ」
⑤「ボランティア搾取の闇」
⑥「……野宿者・生活者が排除される」
⑦「オリンピックのための『テロ対策』」
⑧「『復興五輪』は棄民政策」
⑨「アジアの森林を破壊するオリンピック」
⑩「五輪建設現場の現実」
⑪「動員される子どもたち」
⑫「天皇・日の丸・君が代」
⑬「聖火リレーってなんだ?」
⑭「パラリンピックと優性思想」
⑮「女性アスリートとオリンピック」
⑯「クーベルタンとオリンピズム」
⑰「戦争とオリンピックはつきものだ」
⑱「世界各都市で反オリンピック運動」


 そう。この40ページのパンフは、読みやすい上に、充実した内容満載であり、私たちが「二〇二〇年東京五輪」の国家主義と差別と排除のありかたに異議をつらぬく上で、必要・不可欠な視点を提供している。

 最近の、各種パンフレットの中でも、その良く練り上げられた完成度において出色の出来だと思う。私としては、「近代五輪の父」と言われるクーベルタンの女性差別主義、軍事主義の言説の露骨さに、あらためて驚きを感じた。

 ぜひ、このパンフレットを読んでください。おすすめです。

(K)

【映画紹介】『ルイズ その旅立ち』

mako-ruizu-1001映画

『ルイズ その旅立ち』

製作・監督・脚本 藤原智子 
1997年/ドキュメンタリー/98分


迫害・弾圧をバネに生き抜くこと

NHKBSの「悪女伝説」(7月13日)で伊藤野枝を取り上げていた。「原始女性は太陽であった」と平塚らいてうが「青鞜」創刊号で、鮮烈にフェミズニム宣言をした。その後、伊藤野枝が二代目編集長に就任。伊藤は封建的女性支配の根幹を婚姻制度に求め、「結婚制度の廃止」を主張した。平塚と伊藤の間には考え方の違い、溝が広がっていった。伊藤が大杉と出会い、明治支配体制を根本から否定するようになっていったからであろう。

このテレビの放映後、七月一六日、東京江東区豊洲のシビックホールで「ルイズその旅立ち」が、中井厚さんと東京琉球館の島袋陽子さんで組織する「きっかけとなる映画を上映する会」によって上映された。

鎖を断ち切った後半生を追う

一九二二年、伊藤ルイさんは大杉栄と伊藤野枝の四女として生まれた。大杉によって、フランス・パリコミューンで活躍した無政府主義者ルイズ・ミッシェルにちなんでルイズと命名された。一九二三年九月一六日、大震災の混乱に乗じて、大杉栄と伊藤野枝そして甥の橘宗一は甘粕憲兵大尉らによって虐殺された。朝鮮人や労働運動家も大量虐殺された。一九一七年ロシア革命、一九一八年米騒動、一九一九年朝鮮三・一万歳独立運動と国内外における政治・民族運動に恐れをなした支配者による予防反革命的大弾圧の一環だった。

ルイさんは福岡の野枝の両親の所に引き取られ育てられた。ルイさんは四〇歳代になるまで、社会運動に関わることはなく、素性も明らかにしなかった。一九八二年、「ルイズ―父に貰いし名は」(松下竜一著)が世に出てから、飛び放たれたように、自らを明らかにして活動に邁進した。一九九六年六月にルイさんは七四歳でがんで亡くなった。

虐殺された両親の真実・生き方

映画はルイさんが亡くなった一カ月後の七月に開かれた「みんなでルイさんを送る会」から始まる。ルイさんの子どもたちや幼なじみ、市民運動の仲間たちによって、人間伊藤ルイがどのような人生を歩んできたかが明らかにされていく。そして、大杉らの虐殺問題が取り上げられていく。両親と甥の殺害がどのように行われたか、その墓の行方について明らかにされていく。橘宗一少年の父による「一九二三年九月十六日、大杉栄、伊藤野枝と共に犬共に虐殺さる」と刻まれた墓碑が作られたが、その墓碑は草むらに隠される所にあった。一九七二年、発見された。野枝の墓は一九二四年に建てられ、その大きな石の無名碑(「野枝さんの墓」と村民たちが呼ばれていた)は三度にわたって移動させられた。

一九七六年、大杉ら三人の死因鑑定書が発見された。検死をした軍医が写しを大切なものとして二重蓋の下に、保管していたものを遺族が発見した。それによると、大杉らは連行後、激しい暴行が加えられ、首を絞められ、殺された。麻布にくるまれ古井戸に投げ込まれ埋められた。軍医によってその麻袋の遺体が描かれていた。ルイさんはこの事実を知り、甚だしいショックを受けた。

o-ruiz弾圧された人々の思いを胸に

ルイさんは「朝鮮人被爆者孫振斗さんに治療と在留を!」運動、「九・一六の会」(多くの有名・無名の虐殺された人々、刑死・獄死・拷問死の人たち、話を聞いたりしようという会)を始める。えん罪事件「甲山事件」の救援、東京拘置所が死刑囚にTシャツの差し入れ拒否したのに対して、本人訴訟で提訴。原告団長を引き受ける。一九八三年、松下竜一さん主宰の「草の根通信」に、全国各地の“草の根”の人々を訪ねての旅日記がしばしば登場するようになる。市民運動をつなぐネット作りに貢献した。

「水に流してはいけない事がいっぱいあるんです。それをためて人生のバネにするんです」(ルイさんの言葉)。

映画上映後に、大杉豊さん(大杉栄の弟を父にもつ)が大杉らの虐殺の経過を詳しく説明し、ルイさんについて「不正義と闘い、闘い尽して、生き切った人生だった。大杉、野枝にも見せたかった映画だ」と話した。

映画のエンディングはワルシャワ労働歌であった。非常に気分がよく、「がんばろう」、「ルイさん、ありがとう」と口ずさみながら映画館を後にした。

伊藤ルイ著作
「海の歌う日―大杉栄・伊藤野枝へ―ルイズより」講談社
「必然の出会い―時代、ひとをみつめて」記録社
「海を翔ける―草の根を紡ぐ旅」八月書館
「この世に希望と解放 そして平和の思いを―ルイさんの遺言―」うみの会

なお、「ルイズ、その絆は~関東大震災60年目」(RKB毎日放送、一九八二年)
上映会があります。八月七日(水)午後七時~東京琉球館(JR駒込駅東口下車2分、固定電話03―5974―1333)要予約10人 

案内 8.9アジア連帯講座:公開講座 参院選・統一地方選の結果をどう見るか?〜大阪からの視点〜

8.9アジア連帯講座:公開講座

参院選・統一地方選の結果をどう見るか?
〜大阪からの視点〜


講師:寺本 勉さん
(どないする大阪の未来ネット〈どないネット〉運営委員)


日時:8月9日(金)/午後6時30分
会場:文京区民センター3D会議室(東京メトロ丸ノ内線・後楽園駅/都営三田線
・春日駅)
        資料代:500円
主催:アジア連帯講座
  東京都渋谷区初台1-50-4-103 新時代社気付 TEL:03-3372-9401 FAX:
03-3372-9402
       ブログ「虹とモンスーン」 http://monsoon.doorblog.jp/

 今日、社会に対する閉塞感と不安は世界的に拡がっています。現状突破に向けた民衆の闘争が世界各地で模索される一方、現状への不安は右翼の台頭としても現れ、情勢は混迷を深めつつあるかに見えます。

 大阪では、この不安を吸い取るかのように、大阪維新の会による府・市政支配が長く続き、トップダウンの政策決定手法による地方自治と民主主義の破壊が続いています。維新の会は、経済的には新自由主義、政治的には保守反動の立場におり、民衆の分断・対立をもたらしました。その一方で深刻な貧困と格差は、解決の目処すら見出されていません。にもかかわらず、維新はなぜ支持を得ているのか、その根っこには安倍自民党への根強い支持とつながるものがあります。

 大阪で活動される寺本勉さんは、「どないネット」の活動を通して、「大阪都構想」、地下鉄・水道などの民営化、夢洲へのカジノ(IR)・万博誘致などに反対する運動にとりくみ、情報交流・共有のネットワークを広げてきました。

 寺本さんには、「どないネット」の経験とともに、この間の大阪府知事・市長選挙、さらに参院選の結果分析を通して、今後の大阪および日本の政治動向を共に探っていくために問題提起をしていただきます。共同の議論を進め、民衆の運動を再構築する道を模索していきましょう。

報告:7.14東峰現地行動

配信:三里塚デモ写真 7月14日、三里塚空港に反対する連絡会は、東峰地区で「飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港「第3滑走路」計画を撤回せよ! 反原発—再稼働やめろ!沖縄・辺野古新基地建設反対!」を掲げて「7・14 東峰現地行動」を行い、40人が参加した。

 成田国際空港会社は、人権破壊、安全軽視と空港公害のまき散らしでしかない第三滑走路を2020年代半ばまでに完成させ、さらに2020年東京五輪・パラリンピックによる便数増加に対応するために飛行時間(現行午前6時から午後11時まで)を1時間延長するという計画を打ち出した。だが、騒音被害を実際に受ける飛行ルート直下の芝山町・横芝光町住民はあくまで飛行時間の延長を認めることができないと反対している。住民は「空港騒音断固反対」「わたしたちの静かな生活環境をこわすな」などの看板を掲げ抗議している。

 しかし、空港会社は、住民の声を無視して、19年の冬ダイヤ(10月)から飛行時間延長を強行することを明らかにしている。四者協議会(国・千葉県・空港会社・周辺自治体/2月4日)も空港利権の拡大を優先し、住民に圧力をかける始末だ。参加者は空港会社の居直りを許さず、闘う三里塚農民・住民と連帯して空港内にある東峰地区開拓道路にむけてデモを行った。

 旧東峰共同出荷場跡で前段集会が行われた。

 山崎宏さん(労活評現闘/横堀地区)は、「空港会社は夜間飛行時間の1時間延長を10月から実施すると言っている。第三滑走路計画も押し進めている。騒音被害を受ける横芝光町住民は強く抗議している。空港会社の利益を優先したやり方に強く反対の声をあげていきたい」と訴えた。

 続いて石井紀子さんから寄せられたメセージが読み上げられた。

 石井さんは、「沖縄を思う成田の会」の主催で上映された「沖縄スパイ戦史」を観て「沖縄について知らなかったことが多すぎるのです。……もっとこういう埋もれている沖縄の歴史を掘り起こしていこうと思います」と述べ、「とにかくアベを止めたい、ひきずり落としたい。沖縄にこれ以上の罪を重ねないよう政治の流れを変えていかなければなりません。皆さん一緒に頑張りましょう」と訴えた。

  渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会)は、冒頭、「いつも三里塚に来ていた釜日労の山田将夫さんが1月に亡くなった。釜日労の仲間が山田さんの遺影を掲げてデモをする」と発言。また、一般社団法人三里塚大地共有運動の会の関西における取り組み、一坪共有者名簿を通した連絡の積み上げなどを報告した。

 さらに「反空港全国連絡会は、泉州沖に空港を作らせない住民連絡会、石垣島、静岡空港に反対する仲間、三里塚の仲間、羽田空港に反対する仲間たちともに活動している。関西新空港は、台風(18年9月)による連絡橋破壊の被害で安全を無視した運用が浮き彫りになった。今年から関西新空港、神戸空港、伊丹空港が一体的に運用されるが、安全無視の利益優先の姿勢は相変わらずだ。九月八日に関西新空港反対現地集会を行う。4月2日に伊丹空港にオスプレイが緊急着陸した。軍用航路の調査の目的の狙いがある。私たちは空港の軍事利用に対する抗議を行った。石垣島、宮古島に自衛隊ミサイル基地が建設された。南西諸島への自衛隊配備と空港建設の連動の危険性に注意しなければならない」と強調した。

 繁山達郎さん(一般社団法人三里塚大地共有運動の会)は、会の活動報告、一坪共有地運動に敵対する所有者不明土地対策法に対する批判と今後の対策について発言した(「一坪共有地運動に敵対する表題部所有者不明土地の登記・管理適正化法に反対する」/連絡会声明・別掲)。

 デモに移り、開拓道路から空港滑走路に向けて「飛行制限時間緩和をやめろ!成田空港「第3滑走路」計画を撤回せよ!住民追い出しを許さない!三里塚空港粉砕!」のシュプレヒコールを響かせた。

 再び旧東峰共同出荷場跡で集会の後半を続けた。

 釜日労は、「山田さんはいろんなところで頑張ってくれたメンバーだった。今日は皆さんに報告するために参加しました」と発言。

 平野靖識さん(東峰地区/らっきょう工場)は、「18年4月の火事後、皆さんに応援していただき新しい冷蔵庫を設置できた。若い新社長の下で頑張っています。社会的な信用力も高まった。近くの鉄パイプで囲まれた部分が東峰の一坪共有地だ。三里塚大地共有運動の会に登記を集めていない共有者が法人に登記を移していくのに協力していきたい」とアピール。

 続いて高見圭司さん(スペース21)、三里塚勝手連、田んぼくらぶから発言があった。

(Y)

 
 
一坪共有地運動に敵対する所有者不明土地の登記・管理適正化法に反対する

    三里塚空港に反対する連絡会


 安倍政権は「所有者不明土地対策」を口実に一坪共有地強奪の法整備を進めている。

 5月17日、所有者不明土地登記・管理適正化法(表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律)が成立した。この法律は所有者不明土地対策法の第2弾。「表題部所有者不明土地」の登記・管理の適正化を図る措置として、

(1)
登記官に所有者探索のための調査権限付与、探索結果を登記に反映。
(2)所有
者を特定できなかった「表題部所有者不明土地」について、裁判所の選任した管理者の管理を可能とする内容。「管理」には草木伐採、売却が含まれる。

 17年、安倍政権は成長戦略のひとつとして「所有者不明土地対策」を打ち出した。空き家問題や防災を口実にしているが、リニア建設など大型開発促進が真の狙いだ。18年3月に決定された2030年成田第3滑走路建設計画も無関係ではない。

 18年6月、法制化第一弾として、所有者不明土地特別措置法が成立。公共事業での所有者不明土地の収用における収用委員会の関与が廃止され、申請も決定も知事のみでできる制度に改悪された。

 今回の法制定によって、所有者不明土地は登記官が調査して所有者が分からない場合、代金を法務局に供託して、裁判所任命の管理者から買収できることになった。共有者の一部を特定できない共有地も所有者不明土地となる(法務省民事局ホームページから)。

 さらに来年には第3弾として、登記の義務化、土地所有権の放棄確認緩和などの法制化が計画されている。これが成立すれば、これまでの法律と合わせ、登記期限までに相続登記がされない共有地を、法務局に代金を供託するだけで強制買収できることになる。

 まさに一坪共有運動の圧殺を狙う悪法だ。

 1966年、三里塚闘争開始直後に始まった三里塚一坪共有運動は、83年からは再共有化が取り組まれ、五三年間闘いが続いてきた。昨年10月、加瀬勉さん・柳川秀夫さんの呼びかけで三里塚大地共有委員会を受け継ぎ、一般社団法人三里塚大地共有運動の会(山口幸夫代表理事)が設立された。全国の共有者に呼びかけ、共有地の管理・登記変更に取り組んでいる。

 共有運動に敵対する法制定に反対し、一坪共有地を守り抜こう。 

     2019年6月

【報告】アジア連帯講座7.12公開講座 フランスはいま 『黄色いベスト』運動を学ぶ

042b6366538476409eb3445e608934ca2209e3369de69b93c334e982ba360d5a 7月12日、アジア連帯講座は、文京区民センターで公開講座「フランスはいま 『黄色いベスト』運動を学ぶ」というテーマで湯川順夫さん(翻訳家)が問題提起(報告要旨別掲)した。

 フランスの「黄色いベスト」運動は、マクロン政権による生活破壊に抗議して2018年11月から始まり5月18日で半年を迎えた。警察権力の弾圧に抗して持続的な民衆パワーを示し続け、フランス全土で41000人(主催者発表/最盛時の参加者は30万人以上)が参加した。『黄色いベスト』運動は、燃料増税の中止など生活、雇用、年金、緊縮政策の中止などにわたって要求し、資本家のためのマクロン政権を許さず、デモ抗議を繰り広げている。

 フランスの社会運動に詳しい湯川さんは、「黄色いベスト」運動について①参加した人々 ②マクロン政権の暴力的弾圧実態 ③労働組合、左翼政党の枠外で生まれたことの分析 ④評価の対立と論争 ⑤われわれに問われていること―などについて問題提起した。日本の民衆運動とも比較しながら、今後の運動の方向性について継続して論議していくことを確認した。

湯川講座写真■湯川順夫さん報告要旨

「フランス  『黄色いベスト』の運動とは何か」

 1、その始まり

 2018年11月17日(土)、マクロン政府の燃料税の値上げに反対して全国でいっせいに円形ロータリ、高速道路の料金徴収所を封鎖し、フランスの交通を麻痺に追込んだ。

 すでにインターネットで抗議署名が集められ、SNSなどで道路封鎖が呼びかけられたことを契機にこの運動は始まった。この運動の始まりの特徴は、従来の労働組合や政党のルートを経由しない運動だということだ。これまでデモや政治活動に参加したことのない地方都市の「普通の貧しい人々」の運動であり、指導者も代表も誰もいなかった。さらに運動を「代表する」と称して、政府との「交渉」を試みて運動を利用しようとした人々の多くは、運動から拒否された。

yellow-vest-protest-696x392 2、発端は「普通の貧しい人々」の運動

 参加した人々は、主に地方都市に住む中高年の人々、元労働者で年金生活を送る人々、非正規の不安定な仕事をする人々(女性が多い)、トラックなどの運転手、零細輸送業者、自営職人、自営商人などであった。経済的にも大都市郊外の最底辺・最貧困層の移民系の人々ほどではないが、地方で貧しくつつましい生活を送る普通の人々だった。大都市の中心部は、家賃が高く富裕層しか住めないからである。

 つまり、組合がそれほど組織されていない職場で働き、既存の労働組合運動や左翼政党との関わりがなかった「普通の貧しい人々」と起き上がった。

 初期の闘い方は、円形ロータリーや高速道路の料金集積所を毎週土曜日封鎖し、一晩中交代で当直し封鎖を解除されないように見張りをした。そこに人々が集まり、今まで顔見知りでもなかった地域の人々がはじめて政治などの問題を討論が拡がった。必然的に人々の意識が運動の中で発展していった。世論調査では、国民の70%がこの運動を支持した。
 
 どうして黄色いベストか?フランスでは、交通事故などの緊急事態に備えて、黄色の蛍光塗料のベストを搭載している。マクロン政府による燃料税の値上げが人々の生活を直撃した。抗議の意思表示として「黄色いベスト」を着用した。

 そもそもマクロン政府は、国鉄をはじめとする民営化政策、ローカル赤字線の廃止、公共交通(バス、地下鉄など)の縮小、郵便局や公立病院や学校の閉鎖を強行していた。人々にとって車以外に移動手段がない、しかも近場の施設が閉鎖されて必要な用をたすのに車で長距離の移動する以外にない。地方には雇用がない、長い距離をかけて大都市まで通勤しなければならない。大都市集中で取り残された地方の現実は日本と基本的に同じだ。こうした人々が立ち上がった。

ani1555208237 3、マクロン政権の全面的な暴力的弾圧

 1968年5月に獲得した民衆の既得権を全面的に取り崩すのが、フランス資本主義の最大の課題だった。サルコジの右翼政権や社会党連立政権という歴代の政権は、左右を問わずこの課題に取り組んできた。フランスにおける新自由主義の攻撃だ。

 しかし、歴代政権は、労働者人民の抵抗によってあとひとつ既得権を全面解体に成功してこなかった。社会運動と左翼の行き詰まりと同時に、既存の右翼の陣営も「行き詰まり」に陥っていた。そこに、マクロンの登場した。既存の伝統的右翼陣営=旧勢力に代わって、この行き詰まりを根本的に打開する「まったく新しい勢力」として売り出した。マクロンのポピュリズム的ボナパルティスト的性格によって旧右翼陣営に代わる新しい勢力を形成していった。「右翼でも左翼でもない」ということを売り物にして票を獲得した。

 歴代政府によって続けられてきた社会保障、公共サービスの解体をマクロン政権も受け継ぎ、全面的に推進する。とくに大企業、富裕層に対する露骨な減税・免税措置を推進した。だからマクロン政権が富裕層とEUエリート層の利害を代表するという本質が大衆的に明らかになり、当初の「人気」は急降下してしまった。

 マクロン政権の警察によるデモ弾圧がすさまじく、デモ隊を襲っているのが真相である。

 これがベナラ事件(マクロンのボディガードが昨年のメーデーデモで参加者に暴行)に見られるマクロン政権の本質だ。抗議に対する弾圧は、三月下旬段階で逮捕者9000人、有罪判決2000人以上、1000人が裁判待ちだ。

 負傷者は、2200人以上、200人以上が東部にゴム弾、催涙ガス弾の水平撃ち、20人以上失明者、手足を失う者もいた。さらに新たな「破壊活動防止法」を制定し、デモの自由を制限する。

 この弾圧は、マクロン政権が基本的に民衆の要求に譲歩する気がないことを示している。それどころか、デモ参加者を「社会の屑」呼ばわりしたほどだ。とりわけマクロンの対決路線は、極右派の当初の目論見を不可能にした。運動に介入し、運動と政府との仲介をして妥協を引き出して、選挙での票を稼ぐというマヌーバー。この極右派のマヌーバーは、政府からも運動の側からも拒否され、破綻した。

 マクロンの危機の現れとして国民「大討論会」を提唱した。だがその実態は、弾圧を続行し、富裕層への税制上の優遇措置は変えずにいた。人々は納得せず、闘いを続行した。

 ところでフランスは「市民革命」が成し遂げられた国であり、民主主義国だと思われているのに、なぜこんなすごい弾圧を行うのか?

 それは、フランス資本主義とその国家の歴史的な性格がそれには関係している。フランスは、産業革命を最初に実現して世界の工場となったイギリスに対して、資本主義的近代化で遅れをとる。帝国主義の時代になって、それに追いつこうとしたら、今度はドイツとアメリカに追い抜かれてしまう。こうして、世界最先端の誇るべき産業をもたないが、絶対王政の時代から世界に進出して海外の植民地だけは多くもっていたので、そこからの搾取でそれなりに金融的には豊かであった。

 そのためにフランス資本主義は寄生的性格をもつようになる。ロシアのロマノフ王朝の近代化のための巨額の貸付をしたが、1917年の10月革命によってその債権の回収が不可能になった。こうしてフランス資本主義はこのように脆弱性を抱えていたし、その国家も1871年の普仏戦争以来、第一次大戦、第二次大戦、インドシナ戦争、アルジェリア戦争と、戦いに勝ったことはない。

 この弱さの裏返しとしてフランスの支配層は、労働者に対してはゴーンにみられるように抑圧的であり、強欲であり、警察・軍隊という国家機構の内部には、グリーンピースの「虹の戦士号」の爆破に見られるようい、きわめて強権的体質を抱えているのである。

CGT-et-gilets-jaunes-manifestent-main-dans-la-main 4、なぜ、これまでの労働組合運動や左翼政党の活動の枠外で運動が生まれたのか? 
 フランス社会運動と左翼の閉塞状況のプロセス

 フランスの主な労組ナショナルセンターは、CGT(労働総同盟)、CFDT(仏民主労働総同盟)、SUD(連帯労組連合)がある。

 主な左翼政党は、社会党、共産党、「屈しないフランス」(メランション)、反資本主義新党(NPA)、「労働者の闘争派」などがある。

 1990年代に入って新自由主義の攻勢の本格化する。社会党、CFDTは新自由主義の攻撃に屈伏、右傾化(たとえば、民営化の受入れ)していった。

 これに対する広範な抵抗が1990年代、フランスの社会運動の「再生」を形成していく。CFDTの右傾化していくが、逆にそこから現SUD系労組が誕生する。さらに教員組合内の反自由主義派の勝利、反失業運動(AC!)、DAL(ホームレスの運動)、SOS-Racisme、ジェゼ・ボヴェとフランス農民連盟の反GMO運動、Attacなどの社会運動も登場する。

 一九九五年末には公共部門の広範なストライキが行われ、シラク政権が「譲歩」する。これがEU条約に対しては国民投票でNONの勝利へとつながっていった。運動再生の流れは、世界社会フォーラムの運動に合流し、世界的な反グローバリゼーションの運動と結合していった。イタリアの共産主義再建党、ブラジル労働者党や労働組合運動の合流もその現れだろう。これらの社会運動の再生を担ったのは「六八年五月世代」だ。

 ところが21世紀に入ってこの運動が壁にぶつかる。1995年末の公共部門のゼネスト、EU憲章条約をめぐる国民投票(2005年)を否決、CPE(初期雇用契約、2006年)、年金改革(2008年)に抵抗する運動は大きく盛り上がるのだが、それは危機に立つ政府にとどめを刺すまでには至らなかった。

 その背景として①CGTの弱体化がある。CGTは2018年末、フランス第1位のナショナルセンターの地位から陥落した。また、CGT全国指導部は、欧州労連への加盟以降、異議申し立て派から「社会的対話路線への転換した。②連動して欧州「緑の党」の現実路線への転換(ドイツ緑の党の指導部=世代交代、68年世代の後退)、イタリア共産主義再建党の連立政権への入閣などがあげられる。

 つまり、「68年5月」世代が担って来た運動の行き詰まりを意味しており、SUD系と90年代の社会運動だけでは、全体を動かすことはできないということだ。

 その結果、この間、90年代から続いて来た運動の枠外で、「夜に起ち上がる」、ZAD(土地を守る農民、環境保護派の運動)、気象変動対策を求める高校生の運動という新しい運動が出現して来た。「黄色いベスト」の運動も、同じく90年代の運動構造の枠外から生まれた。これまでの労働運動や左翼の運動に対する「不信」、「反発」がそこにはあった。

 今回の黄色いベスト運動に対するCGT全国指導部の対応もその現れだろう。SUD連合を除く他のナショナルセンターは、共同声明を出して政府に対して「対話」を呼びかけるとともに、「要求の表現におけるあらゆる形の暴力に反対する」と非難した。「下からのCGT派」をはじめとする組合員の猛反発する。

 CGT化学産別の声明では、「『CGTの恥』、『CGTの役割は、闘争する以外に選択の道のない人々に対して静まるよう呼びかける経営者や政府の権力を補助することではなくて、労働者の中にいるべきだ』」とアピール。

 この組合員の反発に直面したCGT全国指導部は、共同声明から2時間後に、軌道修正し、「暴力」がどこに由来しているのかを明らかにし、「政府が社会に火をつけている。無責任だ」と変更した。その後、CGT全国指導部は、政府との対話を拒否し、「大討論会」にも参加しなかった。

 全国指導部の路線に抗して、CGTの一部の産別組織や県連が黄色いベスト運動のデモに合流する。しかしSUD系労組やCGTのいくつかの産別組織や一部の県連合組織は、マクロンを打倒する好機なのだから、「黄色いベストの運動」にストライキで合流すべきだと要求した。だがその要求に指導部は応えていないままである。

18122018181927Daily-sun-2018-11-25-40 5、この運動の評価をめぐる対立と論争

 「『黄色いベスト』運動の要求事項 2018年11月29日」を検討する。

 ①要求リストは、提起された要求をそのまま総花的に網羅したにすぎない。相互に関連し合っていないし、統一されていない。

 要求の中で「職場」での労働者の権利をめぐる要求はない。労働時間の短縮、とりわけ、道路封鎖でフランス経済を麻痺させ、マクロンを窮地に立たせているのにもかからず、そこからさらに追い打ちをかけて、ストライキによってマクロン政権に追い打ちをかけてその全面的退却を強制するということは、ある意味、従来の運動の発想からは当然出て来るのだが、実際にはストライキの要求はまったく打ち出されていない。

 このことの意味するもの――黄色いベストの運動の参加者は、出発点において、自分たちの闘いの同盟軍として労働者、とりわけ労働組合をまったく考えていなかった。

 ②自分たちはグローバリゼーションから犠牲者であり、それから取り残されている。それとは対照的に、グローバリゼーションで巨万の富を築いているのは富裕層あり、マクロン政権と現在のEUのエリート層は、それら富裕層を優遇し、貧しい人々により一層の負担を強制している。

 とりわけ、マクロンの進める税制を金持ち優遇であり、それとは反対に富裕層により多くの課税を強制して、社会の富の再分配が必要という社会的・税制的公正を要求している。この点で、ブレクジットを支持したイギリス労働者階級、トランプ支持のアメリカの白人労働者の「気分」と共通したものがあることは否定できない。

 「移民問題」についての要求のあいまいさがある。要求の中の東欧労働者の出稼ぎ労働、移民に対する政策は「上からの統合」?の方向性か。

 ③賃金・所得の引上げを要求

 ④形骸化する代表制民主主義に対して、政治家をより統制し、直接民主主義を要求している。

 政治的にも、新自由主義のグローバルゼーションを推進してきた既存の政治家には裏切られたという意識が強烈に存在している。だからこそ直接民主主義を求めている。

 間接民主主義の代議制民主主義のシステムだけでは、こうした政治家を統制できない。直接民主主義のシステムを導入する必要がある。政治家へのリコール制、議員報酬を労働者の平均賃金並みにすること、国民投票の制度の導入など、の要求が打ち出されている。カタル―ニアの独立住民投票、沖縄の県民投票、原発をめぐる住民投票の問題につながる。

 温暖化対策、環境保護に反対しているわけではない

新自由主義のグローバリゼーションに反対し、富裕層への優遇・貧困層への搾取の強化に憤激し、富の再分配と公正・正義を求める民衆の反乱を示している。民衆への攻撃を全面的に推進して来たマクロン政権に抗し、この政権の窮地に立たせている。

 運動に参加しているある女性は、「燃料税の税収のうち環境対策に使われるのは20%、私たち市民の税負担は重くて、環境を汚している大企業の負担は軽い。日本はカルロス・ゴーンを逮捕したのに、フランスには正義はない」(運動に参加した33歳の女性、朝日新聞Globe, MAY 2019 NO.217より)と怒っている。
 
 ◇運動への二つの評価

 一方の評価。
 「黄色いベスト」運動に対して「これは極右派の運動だ」という評価がある。当初、国民戦線をはじめとする極右派がこの運動を利用しようとして介入を試みたことは事実である。しかし、極右派の「介入」によって政府と交渉して取引、譲歩を引き出し、これを選挙での票獲得に利用をねらった。だが、これは運動側からも拒否された。また、マクロン政権の強硬な姿勢に本質的な譲歩はなく、強硬な姿勢を貫き、すさまじい暴力的弾圧が続いた。

 参加者への世論調査から全体の3分の1が、左翼でも右翼でもない「ノンポリ」だと言える。

 政治的立場を表明した人々のうち――40%以上が自らを左翼としていて、革命派だと答えた人は15%、右翼だと答えた人は15%以下、極右と答えたのは5%だった。

 その後、労働組合や左翼政党が参加し、こうした労働運動や左翼政治勢力との共闘の中で、黄色いベストに参加している人々の意識も変化していく。

 労働組合や政党の側からはどのような働きかけがなされていたか。労働組合と極右派の攻防の現れとしてミュレでのCGT横断幕問題があった。「ファッショではなく、ファッショを(怒れ)を!」掲げる。これを妨害しようとした極右の試みは失敗する。

 自分たち自身が運動を立ち上げ、運動していく中で人々の意識は変わっていくことの現われだ。ところがイギリス、アメリカとの違いでは、移民排除の「カリスマ」的政治家を受動的に選択し、それに委ねるところにとどまる傾向があった。

 なぜ、このような評価が生まれるのか? 例えば、プジャード運動(1950年代の自営業への税負担の軽減を求める極右運動)があったが、マリーヌ・ルペンの父はこの極右運動の議員だった。

 フランスの左翼も民族主義を引きずっている。左翼のナショナリズムは、例えば、国外の敵―ヨーロッパの王政の攻撃からフランス革命を防衛したという起源を持っている。また、第一次大戦後にフランス共産党が成立し、第二次大戦後はド・ゴールのアメリカからの独自外交をフランス共産党が忠実に従った。

 その政策がどうなのかは、インドシナ戦争、アルジェリア戦争に対する社会党と共産党の恥ずべき対応の歴史が示している。

 今日、ヨーロッパでは、1930年代のユダヤ人に匹敵する人種差別の攻撃対象はイスラム系の人々だ。今、挙国一致的「反イスラム」に対していかに抗するかがフランスでは問われている。

 もう一方の評価。

 「黄色いベスト」運動は、従来の「労働組合」運動や左翼の運動との違いを強調し、自分たちの自前の運動であることの意義を高く評価する。この運動を支持し、参加する労働組合や左翼の動きを、外からの介入として反発する気分がある。

 例えば、日本の反原発運動の中での、青年たちの労働組合に対する反発 ドイツの緑の党の「世代交代」など今日の時代における全世界的に共通する課題と言える。

 エンツォ・トラヴェルソは、20世紀の運動と21世紀の運動の断絶・亀裂と言った。新旧二つの運動の亀裂にいかに立ち向かうか。
   
 6、  われわれに問われているもの

 ◇この亀裂をどうすべきなのか?

 まずこの運動は、きわめて大衆的な民衆によるマクロン政権に反対する運動であり、マクロンを窮地に立たせるところにまで追いやっている。フランス国民の圧倒的支持を受けている。ここから出発すべきだ。

 そのうえでこの大衆的運動は、マクロン政権を窮地に追いやっているが、この新自由主義を体現するこの政権を打倒するまでに到達するには、労働組合を含むさまざまな社会運動や左翼の政党の合流が不可欠である。

 どちらか一方が絶対に正しく、他方が絶対に間違っている、と考えるべきではない。これまでの運動がさまざまな限界をもっていて今日に至っている、それに対する不信から生まれている21世紀の運動はいまだ形成途上であり、未だ不確定なままである。

 古い運動の中で活動し、その限界を突破しようとして来た勢力はどうすべきなのか? 2つの運動の間の架け橋を試みる必要がある。共同の闘いの中で相互の経験と理論を交換、討論を積み上げ、長い時間をかけて共同で新しい運動と展望を練り上げていく必要がある。

  今回の闘いの現実の展望からしても、両者が収斂して合流していく必要がある。2つの陣営のうちのどちらか一方の勢力だけでは、マクロン政権を決定的に後退させることはできない。「みんないっしょに」(tous en ensemble!)。すでにこの試みが始まっている。

 実際に運動の合流に向けて次のような試みがなされている。

 ・コメルシーの黄色いベスト運動全国集会の呼びかけ(1月26日)
 ・それを受けた社会運動と左翼政党の共同アピール(2月7日)
 ・パリでの共闘委員会でのアピール(3月16日)
 ・サン・ナザール全国集会のアピール(4月5日~6日)

 ◇運動の変化

 「コメルシーの集会アピール 2月5日のストライキの呼びかけ」は、労働組合の運動への参加 共同のデモ、封鎖を呼びかけている。「ファッショではなく、ファッショ(怒りを)を」もその現われただ。

 運動的にも女性の参加者の増大、「下からのCGT派」系組合+SU系の組合、教員組合などの参加が増えた。

 さらに気象変動をめぐる高校生の闘い、フォード自動車工場での闘い、グルノーブルの空き家占拠闘争、アルジェリア、スーダンでの民衆の決起が続いている。

 
 7、  今後の課題

 課題として、以下のことが上げられる。

 ①黄色いベスト運動と社会運動との合流を強化・拡大していくこと
 ②CGT全国指導部の協調路線を変更させていく闘い
 ③極右派との闘い、人種差別主義、民族排外主義との闘い

 さらにRIC(市民のイニチアチブにもとづく国民投票)の要求が提起している問題を具体的な闘いに代議制民主主義(間接民主主義)の形骸化、空洞化に対してどうすべきか?

 黄色いベストの人々は、政治家を選んだ後、何もできない議員たちが裏切っても何もできない代議制システムでは不十分だと考えている。

 だからこそ議員の報酬を労働者の平均賃金にし、任期と途中でもリコールできるようにするだけでなく、重要問題について自分たちの意見を直接に表明できる「住民投票」、「国民投票」という直接民主主義を求めている。

 スペインのカタルーニアの人々が自分たちの運命を自分たちで決定しようとしたようにだ。これは、原発問題や沖縄問題とも深く関連してくる民主主義の問題として重要である。「黄色いベスト」の運動を支援するということは、今日、全世界で問題になっている「民主主義の危機」、グローバリゼーションによる民主主義の空洞化、これまでの代議制民主主義のさまざまな弱点、限界の問題を取り上げ、それを具体的な要求にまとめ、そうした要求を実現する闘いを展開していく必要がある。

報告:7.15 徹底検証!ナルヒト天皇制

ナルヒト天皇 7月15日、終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク(おわてんねっと)は、文京区民センターで「徹底検証!ナルヒト天皇制」をテーマに「おわてんねっと」の4人から問題提起が行われた。

 井上森さんは、「ナルヒトの半生」についてスライドを使いながら、「Ⅰ、『東宮家のナルちゃん』(1960年~72年)」、「Ⅱ、『浩宮』の時代(1972年~1986年)」、「Ⅲ、雅子との結婚(1985年~2001年)」、「Ⅳ、愛子誕生~『人格否定発言』~バッシングから天皇へ(2001年から現在)」と時間的プロセスを追跡して、ナルヒトの「虚像と実像」を暴き出していった。

 とりわけ「人格否定発言」以降のマスコミ・世論の分岐、保守言論人による批判、インターネットでの批判などについて着目し、「現在の天皇制がいかに今後生き延びていくか。ネットなどの新たな発言が続いていることも含めた総合的な批判・分析・脆弱性を浮き彫りにしていくことが問われているだろう」と集約した。

 天野恵一さんは、「『代替わり』奉祝ファシズム報道の分析」をテーマに次のように切り込んだ。 
①  1990年1月、本島長崎市長に対する右翼襲撃に抗して開始した「タブーなき言論の自由を!」運動経験の成果と継承の共有化の確認。

 ②わだつみ会の「天皇と日本国家と指導者の戦争・戦後責任を屈することなく問い続ける決意」の声明の現在的意義。
 

②  1989年2月24日の「大喪の礼」反対・抗議闘争を闘った団体一覧を紹介し、「自粛強要」の天皇制攻撃に抗する闘う民衆のうねりを作り出したバネを検証し、現在の天皇賛美状況を突く回路の模索へ。

 ④「天皇ファミリーの『平和で心優しい』人柄賛美情報こそが最大・最強の戦後〈愛国心教育〉の〈擦り込み〉であり続けたし、あるというあたりまえの恐ろしい事実」の打破の試み。

 桜井大子さんは、「皇位継承問題」の現在に絞り込んで批判した。

 「権力・皇族にとって、そもそも皇位継承問題とは、天皇家の存続、維持、万世一系思想として突きつけられている。だから各政党は、基本的に皇位安定継承、女系議論に及び腰だ。共産党、社民党は、『女性・女系天皇を容認すべきだ』との立場だ。いずれも天皇制に統合される土俵にある。このプロセスの中にわれわれが存在しており、対抗していく方向性を打ち出していくことが問われている」。

 「あらためて天皇制の近現代史への分析と批判、象徴天皇制を続けるのか否か、という批判の強化が必要だ。さらに『愛子さまを天皇に』といった(性差別主義反対をアピール)『ゴヨウツツジの会』的な言論に揺らぐ層へのアプローチも必要な局面に入っているのではないか」と今後の方向性論議について示した。

 小倉利丸さんは、「ナルヒトと“水”(グローバリズムの観点から)」というテーマで「ナルヒトの研究テーマの『水運』、水問題を手がかりに、象徴天皇制と文化・学術の問題を考える」と設定し、ナルヒト講演をまとめた『水運史から世界の水へ』(NHK出版)や「第7回世界水フォーラム」のビデオメッセージなどを取り上げながら次のように批判した。

 「東日本大震災の『水害問題』を取り上げていながら山林から海にかけて広範囲に広がった放射能による水汚染(冷却水も含む)には一切の言及がない」。

 「労働の問題として、とりわけ戦前の植民地や日本国内のダム建設で徴用され、強制労働させられた多くの朝鮮人、中国人の労働者の問題がある。ここにも天皇制と語られないことの政がひそんでいる」。

 そのうえで①ナルヒトの水の民営化問題への関与の危険性②学術・学会・文化の権威づけのための天皇制の役割③天皇制の持つイデオロギー効果について掘り下げた。今後、「象徴天皇制の政治的な関与」の傾斜と政権による政治利用の相互連動はありえるから、これらと対決する反天皇制運動が求められると強調した。

 4人の問題提起を受けて、質疑応答を行い、提起者からあらためて今後の実践的課題と理論的掘り下げについてまとめた。

(Y)
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