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■12.20-21 香港に自由と民主主義を 〜沖縄・日本・アジアのなかで
アジア連帯講座のBLOG
気まぐれからたわごとへ
現在の件では、撤退し、クルドの諸部隊と非武装の住民を干からびるまで吊して放置することに、帝国主義的な物質的利益すらなかった。それはまさにトランプの気まぐれだった。
シリア北部の米軍は大きな打撃力とはほとんど言えなかった、ということを心にとどめよう。それは、トルコの進入を止めるワナの針金、そして「イスラム国」(ISIS)と戦っているクルド諸部隊に対する兵站/情報 支援としての、小さな存在だ(だった)。その撤退は、大口ツイートが自慢するような、米国の「終わりなき中東戦争」からの撤退、を意味するものではない。それらの部隊は故国に向かおうとはしていず、イラクや近くのどこかに再配置されるだろう。
事実が突きつけられるとトランプは、その侵攻がいくつかの明示のない「限界」を超えるならば「トルコ経済を破壊する」だろう、とわめいた。そのたわごとをまじめにとるものは誰もいない。
エルドアンであろうが、逃げまどっている何万人という市民であろうが、米国の欧州の同盟者であろうが、またその真空にどう動く可能性があるかを今じっくりと考えているシリアの政権やイランやロシアであろうが、さらにその復活の潜在的可能性が世界の首都で当然にも恐れられているISISであろうが、そうだ。
人間的犠牲があまりに大きい
トランプは彼のポストファクトのたわごとの中で、クルドはシリアの中でISISに対する戦闘を行ったということを認めたが、しかし彼らは「彼ら自身の土地」を守るためにそうした(もちろんだ!)のであり、「彼らはノルマンディーでわれわれを助けなかった」(一体何をいっているのか??)、と語った。
悲劇であることは、クルドの諸部隊に、また自由と自己決定を求めるその熱望とシリアの修羅場のど真ん中で彼らが築き上げた進歩的なロジャヴァ構想が今潰されようとしているその民衆に、物質的な援助と武器を提供する能力が世界の左翼にまったくないことだ。われわれがもっているすべては、米国と欧州がトルコ政権に緊急の懲罰的制裁を加えるよう求めるわれわれの声だ。
極短期的な見通しは、多くの反革命的な諸勢力――トルコ、イラン、ロシア、アサド政権、ISIS――間の残忍な対立だ。われわれは、その結果や諸々の死の大きさ、あるいは新たな難民危機を予想することはできない。一つの結果は、米国とその約束が再び信用されることは決してない、ということかもしれない。それはそれ自身一つの良い教訓であろうが、しかしその人間的犠牲はあまりに大きすぎるのだ。
▼筆者は、米国の社会主義組織、ソリダリティ発行の「アゲンスト・ザ・カレント」の編集者。(「インターナショナルビューポイント」2019年10月号)