虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

INFORMATION

配信●青年戦線195表紙1・表紙4青年戦線第195号(2019.9.23)ができました。

■購読申し込み先
400円
編集発行
日本共産青年同盟「青年戦線」編集委員会
東京都渋谷区初台1-50-4-103 新時代社気付
電話 03-3372-9401
FAX 03-3372-9402




12.20-21 香港に自由と民主主義を 〜沖縄・日本・アジアのなかで










案内 12.20-21 香港に自由と民主主義を 〜沖縄・日本・アジアのなかで

_20191204_162510#FIGHT FOR HONG KONG @ 2019
香港に自由と民主主義を
〜沖縄・日本・アジアのなかで


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BATTLE OF HONG KONG 2019[DAY1]
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◎協力と緊張〜香港デモにおける非暴力派と直接行動派
 報告者:陳怡(チェン・イー)

・12月20日(金) 18:00開場18:30開始
・文京シビックセンター5階 区民会議室C
・資料代 1,000円(賛同者800円)
・英語→日本語の逐次通訳あり

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BATTLE OF HONG KONG 2019[DAY2]
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◎衛港之戰2019/DEFENSE OF HONG KONG 2019
 報告者:區龍宇(アウ・ロンユー)、陳怡(チェン・イー)

・12月21日(土) 18:00開場18:30開始 
・文京シビックセンター5階 区民会議室C
・資料代 1,000円(賛同者800円)
・普通話→日本語の逐次通訳あり


【賛同のお願い】
2019年6月から広範な市民が参加して大規模な抗議行動が続く香港から友人を迎え
て、香港〜沖縄〜日本の運動交流を予定しています。民主主義を求める香港市民
の闘いは、長い闘争の過程にある中国民主化はもちろん、国境や大海原を超えて
東アジアや世界の運動にも影響を及ぼすかもしれません。ぜひ実りある交流のた
めにご協力ください。

【来日するゲスト】
_20191204_230825・區龍宇(アウ・ロンユー)さん:男性。香港の左派の民主派活動家。香港の民
主化のカギは中国の民主化にあると主張。邦訳書に『台頭する中国 その強靭性と
脆弱性』『香港雨傘運動 プロレタリア民主派の政治論集』(ともに柘植書房新
社)。

・陳怡(チェン・イー)さん:女性。大学院で学ぶ傍ら、このかんの社会運動に
も積極的に参加。

【賛同金を募集しています】
 個人1口:1,000円  団体1口:3,000円
 振込先 :郵便振替口座00150-9-251494
 加入者名:アタック・ジャパン ※通信欄に「香港賛同金」と記載してくださ
い。

_20191204_162427【問い合わせ先】
 東京都千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル1階Aスペース御茶ノ水 ATTAC(首都
圏)
 メールでの問い合わせ:wen_zhao1917@yahoo.co.jp(稲垣)


【参考資料】
・『香港雨傘運動 プロレタリア民主派の政治論集』(區龍宇著、柘植書房新社、
2016 年)
・『台頭する中国 その強靭性と脆弱性』(區龍宇著、柘植書房新社、2014 年)
・『香港雨傘運動と市民的不服従 「一国二制度」のゆくえ』(周保松 著、社会
評論社、2019年)

その他、ウェブ上で読めるアウさんに関する資料はこちらです。
・『朝日新聞』2015 年4 月2 日(インタビュー) 中国「官僚資本主義」 區龍宇
さん

https://ujikenorio.hatenablog.com/entry/20150409/p5


この間の香港の運動についてはこちらのインタビュー(翻訳)参照
・香港2019:ミレニアル世代の登場〜東アジア規模での巨大な民主化運動(區龍
宇)


http://attackoto.blog9.fc2.com/blog-entry-472.html


區氏の詳しい経歴や思想はこちらのインタビュー記事(翻訳)参照
・2015 年:独立独歩の反対派—區龍宇(上・下)

http://www.jrcl.net/frame150914e.html
http://www.jrcl.net/frame150921d.html         

報告 11.25香港連帯緊急アピール行動

1125★11.25緊急アピール行動
☆香港政府は学生市民の声を聞いてください

 11月25日午後7時から、九段下にある香港経済貿易代表部に対して、「香港政府は学生市民の声を聞いてください」緊急アピール行動が主催:#Fight for Hong Kong @ TOKYO 2019で行われ、20人を超える仲間たちが参加した。前日の24日の区議会選挙で、民主派が八割を超す議席を占め、圧勝を受けての香港民主運動に対する連帯行動としても取り組まれた。

 最初に、司会者が6月以降の逃亡犯引き渡し条例反対から起こった運動の経過を紹介し、この条例を撤回させ、警察のすさまじい弾圧の責任の追及や逮捕者の釈放、行政長官の民主的な選挙など五大要求を突きつけて闘い抜いていることを報告した。香港政府に態度を改めることを求めた。



 次に区議会選挙について、仲間が詳しく報告した。

 「11月25日は6月9日の百万人デモから170日目にあたる。5000人が逮捕され、暴動罪で1000人が起訴された。今日四時から当選した50人の民主派の議員の呼びかけで理工大の近くの公園で『警察は包囲を解除し、立てこもる学生が無事に出てこられるようにせよ』と集会が行われている。410万人の選挙名簿の七割を超える人が投票した。四五二の議席のうち八割が民主派によって占められた。前回の選挙(2016年)では体制派が七割をとっていた。18ある選挙区ですべての区で圧勝した。白色テロにあい一カ月入院した人が「理工大生を救え」と呼びかけた。その人も当選した。また、雨傘運動の中文大のリーダーだった人も当選した」。

 「民主派が当選した区議会だが、法律を作ることが出来ず、地域の住民サービスのみに権限が限定されている。これは英国から返還される前も返還後も変わっていない。弾圧法の撤回や警察の弾圧を制限する法律を制定することはできない。だから、普通選挙を求めている。香港政府のバックには中国共産党がある。香港の運動派民主主義運動の最前線に立っている。香港の運動の進展は日本の運動の力にもなるだろう」。



 参加した若者が香港警察の弾圧について報告した。

 「今まで香港について知らなかったがUチューブなどを見て勉強した。すさまじい催涙ガスの水平撃ちがあった。大学を占拠している学生に対して、親が駆けつけ支援していた。何人も死者が出ている。学生は遺書を書いて闘っている。硬直した警察の暴力を許さない。情報を共有すること、香港の闘いを精一杯支援していきたい。日本の民主主義を変えなければならない。東アジアを変えていく、私たちもその主体だ」。

 香港で不当逮捕され、帰国した井田光さん(東京農大生)が「デモ隊の近くに居たというだけで、何もしないのに逮捕された。帰国した自分も闘わなければならないと思い参加した。抗議行動をしている人が銃で撃たれる。そんな国でいいのか。暴力はやめてくれ。学生たちは市民のために闘ってくれている。これからも連帯したい」と本名を名乗り発言した。

 昨年12月12日に靖国神社で、日本の侵略戦争の責任を問う抗議行動をした香港の二人が逮捕・起訴され、裁判で有罪になった。この支援運動を行った仲間が経過を報告した。そして、山谷で活動している仲間も連帯のアピールを行った。

最後に、申し入れ書を読み上げ、今後も連帯活動を続けていくことを確認した。



(M)

 
申し入れ書

 6月9日の103万人デモから170日目の今日、私たちは6月から続く香港の事態に憂慮し、民主主義を求める香港の人々を日本から応援するために、ここに集まりました。

 「香港の明日はもっと良くなる」といわれた香港返還から22年が経った今、誰
も当時のこの政府スローガンを真に受ける人はいなくなりました。

 むしろ逆に、民主主義や自由が「もっと悪くなる」と考える学生や市民らが、
今回の逃亡犯条例反対の運動に立ち上がり、法案撤回後も残り四つの要求を実現するために、いまも運動を続けています。

 香港政府と警察は、法案が撤回された9月4日までと同じ方法、つまり暴力的措置によって運動の鎮静化を図ろうとしています。それが徒労に終わるであろうことは、警察の包囲にも屈することなく果敢に抵抗を続けた中文大学や理工大の学生市民らの動きや、昨日の区議会選挙の結果を見ても明らかでしょう。香港政府には、民主化を求める人々の声に向き合ってほしいと思います。

 未来の香港を担う10代の若者をはじめ、千人近くもの市民が「暴動罪」で逮捕、起訴されています。数千名の青年が警察の暴力に怯むことなく最前線で民主化を求めています。催涙ガス漂う街頭では幾万もの市民が最前線の青年たちを支えています。そして香港のあらゆるところで百万の市民が民主主義を求めて声を上げています。

 この香港市民の声は必ずや中国国内にもこだまするでしょう。そしてこのこだまは何十倍、何百倍もの勢いで東アジアと世界に響き渡るでしょう。

 普通選挙権に象徴される民主主義は世界中の長いたたかいのなかで実現されて
きました。しかし世界、そして日本にも多くの不平等が存在しています。

 いま私たちは改めて香港の人々から、自分たちの未来は自分たちで決めるとい
う権利は人から与えられるのではなく、ましてや人に奪われるのでもなく、多くの人々との協力によって、実現しなければならないということ教えられています。

 自由と平等、そして平和をもとめる民主主義に国境はありません。わたしたち
は香港の人々の掲げる五大要求に象徴される理念を、日本をふくむすべての場所で要求しつづけます。

 香港政府は、民主化を求める香港市民の声に向き合ってください。残り四つの要求の実現し、覆面禁止法を撤回し、緊急状況規則条例を廃止してください。

2019年11月25日 
香港経済貿易代表部前アクション参加者一同
 

【アジ連10.25講座報告】イギリスは今 ブレグジット(EU離脱)をめぐる労働組合運動の状況

配信:浅見講座アジア連帯講座:10・25公開講座/文京区民センター

イギリスは今 ブレグジット(EU離脱)をめぐる労働組合運動の状況

講師:浅見和彦さん(専修大学)


 イギリスの経済危機などを背景に2015年5月の総選挙で保守党は、英国の「ブレグジット」(欧州連合離脱)の是非を問う国民投票の実施を公約し、16年6月に国民投票を行った。結果は、離脱賛成が過半数だった。ところが保守党のメイ首相は、EU離脱協定案を議会に提出したが、否決。「ブレグジット」をめぐって混迷を深めていくことになる。メイ首相辞任後、7月に保守党党首となったボリス・ジョンソンは、「EUとの合意があってもなくても2019年10月31日の期限までに必ず離脱する」と公言。労働党は、第2回国民投票案が提出されれば支持すると表明しているが、内部的にはスタンスのとり方の違いある。


 このような流れの中で左派系・労働組合はどういう態度なのだろうか。「レフト・ユニティー(左翼統一)」(映画監督のケン・ローチなどが呼びかけ、2013年11月に結成)は、「今回の国民投票は、反移民感情に突き動かされ、レイシズムが焚きつけた極右からの圧力がもたらしたものだ。これは英国の政治史の中で最も反動的な全国運動であり、極右の公然たる登場に結果してしまった」と批判。また、左派系も「レイシズム、外国人排撃、英民族主義の右翼の構想」と批判してきたが、諸傾向と温度差があり一括りできない状況だ。


 分析・評価するための情報が少ないなかで、英国の「ブレグジット」問題をこじ開けるための第一歩として公開講座を設定した。浅見和彦さん(専修大学)は、「現代労働組合研究会/新しい労働組合運動のゆくえ・戦後労働運動の歴史をたどり、イギリス運輸・一般労組の研究」というテーマで研究活動を行ってきた。浅見さんから「ブレグジット」問題をめぐる労働組合の諸傾向、人々の動向などのレポートを含めて報告してもらった。


btbrexit201903312ブレグジット(Brexit)問題―背景と経過

  2016年にブレグジット(EU離脱)をめぐる国民投票が行われた。国民投票を実施したのは、キャメロン政権だった。戦後は、保守党か労働党の単独政権だったが、保守党だけでなく自由民主党という第三党の力を借りて、戦後初めて連立政権として成立したのがキャメロン政権だった。

 なぜ国民投票を行ったのか。連立政権を組まざるを得ないなかで、保守党内の離脱強硬派(ボリス・ジョンソンなど)の存在があり、また当時、UKIP(イギリス独立党)という党派もできた。保守党の政治基盤の弱体化への危機感が一方にあり、しかしながら党内では解決できず、そのため国民投票にかけて、危機を「克服」しようとするという動機もあった。

 連立を組んでいる自由民主党は、元々は残留派で、国民投票にも反対だった。だがキャメロンが打って出たのだ。

 当時、誰もが離脱が多数を占めるとは思っていなかった。しかし、結果は投票率72%で、「離脱」52 % 、「残留」48%で、離脱派が多数派となり、みなが驚いていた。

 キャメロン首相も辞任せざるをえず、その後メイが首相になった。

 なぜ離脱派が多数となったのか。保守党の元副幹事長のアッシュクロフトは、世論調査会社を持っていて、保守党の政策に反映させるため、およそ13000人が回答したアンケート調査を行い、国民投票の分析を行っている。

 それによると、特徴としては、若い人は残留支持が多く、 18-24 歳は73 %が「残留」に投票、 25-34 歳は62 %が「残留」で、他方、45歳以上は過半数が「離脱」で、とくに 65 歳以上は60%が「離脱」だった。

 労働者のなかでは、残留支持が多かった。労働者(フルタイム、パートタイム)の過半数は「残留」で、大卒労働者の 57 %は「残留」、専門職・管理職も 57 %は「残留」支持だった。

 政党支持別(2015 年の総選挙時の投票先)に見ると、 保守党支持者は離脱派が多く、 53 %は「離脱」だった。 UKIP(イギリス独立党)への投票者は、当然ながらほとんどが「離脱」である。

 それ以外の党では「残留」が多数を占めた。労働党への投票者の 63%は「残留」 、スコットランド独立党(SNP)の 64 %は「残留」 、自由民主党、緑の党の投票者の7割以上は「残留」であった。

 「離脱」派の最大の理由(49 %)は、「イギリスのことはイギリスが決めるべき」 (いわゆる「主権」問題)が多かった 。「離脱」派の 33 %は、「入国審査と国境管理の回復」 を理由にあげている。この調査では問われていないが、新自由主義的な政策に対する反発で、底辺の人たちがかなり強い抗議を示したといわれた。

 「残留」派は、経済・雇用重視している。「残留」派の最大の理由(43 %)は、「離脱すれば、経済、雇用、物価などへのリスクが大きすぎること」 であり、「残留」派の 31 %は、「イギリスと単一市場との双方にとって最善だから」と答えている。

 2017年に総選挙がおこなわれた。保守党 313議席(-13)、労働党 262 議席(+30) という結果だった。労働党は、コービン党首で左派的な反緊縮政策が支持されていた。

 議席を減らした保守党は北アイルランドの民主統一党と連立政権を組み、第二次メイ政権はジョンソン外相らの強硬派を含めて発足した。メイ自身は、もともと残留派だった。

 メイ政権は、EUとの交渉では移行期間、清算金などは合意したが、北アイルランドとアイルランドとの国境問題で対立が続いた。EU側は、北アイルランドだけは、EUの関税同盟に残せという要求だった。離脱強硬派は、これに反対した。

 2019 年3月 29 日の離脱起期限は、まず4月 12 日まで延期になり、さらに 10月 31日まで延期となった。 2018年 11月、メイ政権が EUとのあいだで離脱合意案をまとめるが、今年に入って、離脱合意案は3度にわたってイギリス議会で否決され、メイ首相は辞任に追い込まれた。

最近の動き

 7月に保守党の党首選挙があり、ボリス・ジョンソンが外相のハントを破り、党首となって、首相に就任した。

 ジョンソンは、9月からの「議会休会」強行しようとしたが、議会内の反発と「クーデター反対」の大規模デモが行われた。最高裁も、「議会休会」に対して「違法」の判決を出した。

 この過程において保守党内の穏健派の離反で、議会の過半数割れとなってしまう。保守党内の1人が自由民主党へ移り、この時点で過半数割れとなる。 さらに、前財務相などの保守党の有力者を含む21人が造反し、除名された。結果、大幅に過半数割れとなったのである。

 労働党など野党と保守党の除名組が離脱延期法案(交渉期限の3か月延期〈2010 年1月末まで〉を EUに対して政府が要請することを求める法案)を提出し、可決された。法案が成立したためジョンソンも要請せざるをえなかった。

 労働党の態度は、どうなのか。コービンは、党首としての声明(2019年6月)で、「合意なき離脱も、保守党による離脱にも反対し、私としては、労働党が残留を支持するキャンペーンをおこなうことを鮮明にしたい」という態度を示した。ただ労働党としての結論ではなかった。

 10月25日、ジョンソンは、労働党に総選挙をやらないかと呼びかけた。解散・総選挙には下院の3分の2の賛成が必要で、保守党、労働党がOKを出さないと総選挙ができないからだ。

 2019年9月末の労働党大会でコービンは「離脱の52%ではなく、また残留の48 %でもなく、99%のために」とあいまいな発言をしている。影の離脱担当相のケア・スターマーも、あいまいな残留支持の立場だ。

 「週刊かけはし」に掲載されていたアラン・ソーネットの論評(10月21日号)は、態度がはっきりしていると評価しているようだが、全体としてはそうとは言えないと思う。

 なぜかというと、労働党の中のコービンとコンビを組んでいる最左翼の影の財務相マクドネルは、「残留」をより強調したい意向だったし、左派組合の UNISON(公務員)があいまいさに反発し、「残留」を強調している。つまり、労働党は「残留」で固まっていないということだ。

  ジョンソン政権がEUとあいだで合意した協定の改訂案

 ジョンソン政権とEUは、改訂案で合意したことを発表した。基本的な性格は、①メイ前首相のときのハードボーダー(バックストップ)を回避する ②その他の部分は、基本的にはメイのときの協定案と同じだ。

 関税については、① イギリスは EUの関税同盟から(形式的には)離脱する ②したがって、離脱後は、イギリスは各国とのあいだで貿易協定を締結する ③法的には、北アイルランドとアイルランドの国境での関税に関する国境ができる ④しかし、実際には、グレートブリテン島から北アイルランドへ送られる物品について自動的に課税されるわけではない。 ⑤イギリスとアイルランドの共同委員会で、どの物品に課税するかを決めることになる ⑥一般の人が送る物品には課税されない ⑦北アイルランドは、イギリスの規制や関税ではなく、EU の規制や関税が適用されることを意味する。

 移行期間は、メイのときと同じで、2020年末までで、1~2年の延長も可能となっている。市民権は、移行期間中は、イギリス国民の EU 諸国での市民権、EU 諸国の国民のイギリスでの市民権は保障される。清算金は、正確な金額は決まっていないが、日本円でおよそ4兆6千億円を 2022 年末までに 支払うことになると推測されている。自由貿易協定は、イギリスがEUから脱退して、独立した国として、経済関係について他の国とどうするのかとなった場合、各国と貿易の協定を結ぶ形になる。来年の9月に会合を開く予定といわれる。

 整理すると、最初は北アイルランドだけはEUの関税同盟に入れておけというEUの姿勢が、ある程度軟化して、形式的に離脱するという形を認めた。それを保守党の強硬離脱派も受け入れた。ただ現実には、北アイルランドは特別扱いで、EUのいろんな規制や関税に関するルールが適用されることになった。実質的には関税同盟から脱退しない。形式と実質を、言い訳的に使ってEUの譲歩をイギリスが勝ち取ったんだ、という評価にしている。

 北アイルランドとアイルランドの関係だが、アイルランドはEUの加盟国なので、これからは共同委員会で協議していくことになる。イギリスとアイルランドと相談するといっても、アイルランドはEUの加盟国だから、イギリスとEUが相談するような形になってしまっている。当然、おかしいという批判は出ている。
 
 10月 17日に、ジョンソン政権の改訂案に対して、EUは合意した発表している。翌日には、EUは 27カ国(イギリス以外)の首脳会議が一致して承認した。

 10月19 日、ジョンソンは議会で改定案の採決を求めたが、保守党を除名されたレトウィン議員提案の動議によって、法的な準備が整うまで、離脱条件の採決を延期することになった(322票対 306票)。この間、再度の国民投票などを求める大規模デモが行われた。

b479d07a30fc41129e28ad46aa2f9d90_18 労働党の変貌と現状― 2015年以降

 2015 年労働党首選で、最左翼のジェレミー・コービンが右派のオーエン・スミスに勝利した。以降、党内右派は「コービン不信任」動議などの抵抗を続けた。

 しかし、2017年総選挙で労働党は30議席増となった。党内外で、コービン主導で行った政策が受入れられたと評価され、コービン派の地盤の拡大・強化されることになった。そして、労働党党員が50万人以上に増えた。

 党内左派のコービン支持グループである「モメンタム」 が 2015年結成され、現在、4万2000人のメンバーを擁している。 当初は、非党員も少なくなかったが、その後は党員であることが条件になった。

 1980年代、トニーベンを中心したに左派グループがあったが、コービンが当選すると、それら党内外の左派系の人々が労働党に再結集してきた。同時に、党外の政治グループをブロックする必要があった。それが、社会主義労働者党(SWP)や社会主義党(SP)などの加入戦術に反対という態度の現れであった。

 欧州を見ると、ドイツ社民党、フランス社会党が衰退しているにもかかわらず、イギリス労働党は増えるという対照的な動きがある。ギリシャ、スペインでも急進左派の登場があるが、最近は失速しつつある。イギリス労働党が欧州最大の左派政党になったというのは興味深い現れだ。

ブレグジットに対する労働組合の態度
新自由主義の下での労使関係


 1979年以降、サッチャリズムとニューレーバーの下で労働組合運動は後退していった。ストライキなどの労働争議も激減していった。イギリスは、もともとストライキは法的な権利保障がなくて、免責があるだけだ。ストライキをやったら組合が損害賠償されることはない(民事免責)し、ストライキをやっても恐喝とはならない(刑事免責)というものだ。

 1979年から1997年まで保守党政権だった。この間、労働組合規制法をたくさん作った。例えば、クローズドショップに対し、組合員の雇用を優先するような協約を作ってはいけないとした。組合員を雇用させるという組合側のメリット、企業側も熟練労働者を確保できるというメリットがあったが、それが否定されたわけだ。

 組合のストライキなどの方針決定の時、挙手で採決するのとはだめだとなり、かならず秘密投票をおこなえとなった。連帯ストライキを禁止した。他産業の労働者との連帯ストライキだけではなく、同一産業の労働者との連帯ストライキも禁止された。自分の企業の使用者にたいするストライキだけが認められるとなったのだ。

 1997年以降、2010年までの13年間の労働党政権(ニューレーバー)も、サッチャー、メジャー政権時に作った労働組合規制法を一本も廃止していない。

 ただ変わったのは2つある。1つは、全国一律最賃と一定の条件の下での組合承認制度(使用者が団体交渉に応じなければならない制度)が導入されたことだ。イギリスでは、一般に組合の実力で団体交渉を認めさせなければならない。使用者側に応諾義務がないからだ。

 労働組合の組織的な後退が目立つ。サッチャー政権成立時の1979年の 54%から 2018年の 23%へ下がっている。

 産業別交渉機構の廃止と労働協約適用率の縮小も大きい。 協約の適用率は、1980 年の 86 %から 2018 年の 20%へ下がっている。

 大陸欧州諸国、北欧諸国は労働組合組織率が高い。ドイツ、オーストリア、イタリア、フランスの労働組合の組織率はそんなに高くはないが、協約適用率が高い。これは拡張適用制度があり、同じ産業内に適用できるシステムを作っているからである。

 イギリス、日本、アメリカ、韓国は労働組合組織率も、労働協約適用率も低い。

 イギリスには拡張適用という制度がないし、かつての産業別の交渉が潰された。ところが労働組合はその対応に対して反対しなかった。産業別交渉機構は、労働組合専従の右派がやっているからだというのが理由だった。昔は、全国交渉をやっている人たちは右派の人たちだった。しかも交渉による賃金水準は実収賃金の半分ぐらいの場合が多く、あとは職場で頑張らないと獲得できないから、左翼的な人たちは企業内で頑張れという傾向が強かった。日本の場合は、企業横断的に闘えと主張されてきたが、イギリスの場合はそんなものは役にたたないという評価だった。

 さすがにそれではまずいので、労働党の「マニフェスト 2017」では、労働法の学者などの意見を取り入れて、 産業別交渉機構の設置の義務化を提案している。

 EU指令とイギリスの労働改革

 イギリスの労働組合がEUに残留すべきだという理由の1つとしてあるのが、サッチャー保守党政権時代にできた集団的労使関係の法律は変わっていないことだ。むしろEUに加盟していることによって、労働者の権利を守るために国内法を整備しろというEUの指令によって労働者の権利が守られるという形になるからだ。労働運動の力が弱まっていることもあり、運動で諸条件を勝ち取っていくというよりは、EUに依存する傾向がある。

 EU の指令による労働改革には、①労働時間・年次有給休暇、②妊娠・出産休暇、③ 年齢・宗教・信条・性別による差別の禁止、④パートタイム労働者や有期雇用労働者などの非典型労働者の権利、⑤派遣労働者の均等待遇、⑥事業継承に伴う 労働者の権利、⑦情報・協議の権利、⑧健康・安全がある。

 イギリス労働組合指導層の変化

 全国組合の指導部には左派の人たちが多い。全体として労働組合は後退しているのに、役員のトップだけは左翼が多い。

 振り返ると、1970年代は共産党が強かったが、1980年代以降、共産党の分裂・後退とトロツキスト諸派が進出してくる。とはいえ、職場の活動家層が 1970年代のように厚みがあるとは言えない。

 労働組合の中央執行委員レベルには、かなりトロツキストがいる。 なかでも、かつてトニー・クリフが率いていた社会主義労働者党(SWP)と旧ミリタントの分裂後の多数派である社会主義党(SP)が中心だ。最大労組のUnite(一般/123万人)の執行部には、SWP1人とSWPから分かれたカウンターファイヤー1人の計2人のトロツキストがいる。2番目のUNISON(公務公共/119万人) には、SWP4人とSP6人の計10人のトロツキストが中央執行委員にいる。

 教員組合も45人の中執のうちSP4人、SWP3人、労働者解放同盟(AWL)2人の計9人がトロツキストで、公共・民間サービス労組には37人の中執のうち10人がSWPとSPによって占められている。大学教職員組合にいたっては、64人の中執のうち15人がSWPだ。主要組合の中執には56人のトロツキストがおり、かなり指導部に入っているといえる。

 SWPは特定組合に集中し、旧ミリタントのSPはいろんな組合にいるのが特徴だ。

 労働組合のブレグジットに対する態度はどうなっているか。主流派は、残留支持だ。Uniteはコービン支持の最大中核勢力で、UNISON は、コービン労働党に対して、「残留」をより明確にすることを2019年大会で要求している。穏健派の GMB(一般/61万人)、USDAW(小売・流通関連労組/43万人)も残留支持になっている。

 離脱支持派は、中小組合で、最左翼のRMT(鉄道労組/8万5000人)とBFAWU(製パン・食品関連労組/1万人)だ。

 ナショナルセンターのTUC(イギリス労働組合会議)に加盟する主要労働組合の態度は、国民投票の時と基本的な変化はない 。TUC非加盟の「中立」組合が「残留」支持へ転換したケースがあるだけである。

労働党外の左翼諸党派―その勢力とブレグジットへの態度

 基本的に多数派は、離脱支持派だ。

 労働党以外では最大党派の社会主義労働者党(SWP/5886人)は、 2016 年の国民投票でも離脱を支持した。態度は、①資本家のためではなく、労働者のためのブレグジットをめざす②EU は資本家のクラブであり、労働者とその権利を擁護しない。左翼ブレグジットのためのたたかいが必要③総選挙でのコービン支持、保守党打倒などである。

 旧ミリタント分裂後の主流派である社会主義党(SP/2000人)は、社会主義的綱領をもって、コービン政権を樹立し、EUとの交渉を、という立場だ。①離脱派の組合のRMT(鉄道労組)や BFAWU(製パン・食品関連労組)以外の労働組合指導者は、資本家クラブである EU からの離脱という挑戦を提起できていない②労働組合運動の左翼的転換、労働者によるブレグジットを③欧州諸国で社会主義諸国家を樹立し、その連合をつくろう、という主張だ。

 イギリス共産党(CPB/769人)も、 国民投票でも EU 離脱支持した。①総選挙での労働党主導政権の樹立を支持するが、EU 在留に反対し、国民投票の結果にもとづいて離脱すべきだ②EU の改革 は不可能である③TUC が EU の指令などがイギリス労働者の権利保護に 貢献していたとしている見解に同意できない、としている。

  SWP から分裂したカウンターファイヤー(Counterfire/300人)は、民衆のブレグジットのためのたたかいを広げる、という態度だ。

 旧ヒーリー派の労働者革命党(WRP/120人)は、国民投票でも EU 離脱支持し、革命でこそ真のブレグジットが実現できる、と 主張している。

 残留してたたかうという態度のトロツキスト党派は、2つしかいない。

 労働者解放同盟(AWL/140人) は、国民投票時も EU 離脱に反対した。現在も、残留してたたかうとする路線で、当面、欧州レベルにおける民主主義的で連邦制の欧州合衆国を樹しよう、という立場だ。

 第4インター派のソシアリスト・レジスタンス(SR/95人)は、EU 残留支持の態度で、①EUが資本主義の進歩的形態であるという理由によるのではない②ブレグジットは排外主義と極右にドアを開くことになるからだ③「もう一つの欧州」は可能であり、欧州左翼とともにたたかう④労働党のなかで活動し、コービン労働党政権の樹立を支持するとしている。

 「どちらでもない」というトロツキスト党派は、旧ミリタント分裂後の少数派であるソシアリスト・アピール(300人)だ。①資本家の EUにノー、イギリスの緊縮政策にノー②EU内であれ、その外であれ、 資本主義こそが民営化、規制緩和、緊縮政策の根因である③社会主義をめざす欧州労働者の連帯で社会主義の欧州合衆国の樹立を、という路線である。

 国民世論のうごき

 10月15日のOpinium による 世論調査を紹介する(他の調査機関もほぼ同様の数字)。

 まず、政党支持率は、保守党 37 %、労働党 24 %、自由民主党 16%、ブレグジット党 12 %、スコットランド民族党 4 %、緑の党 4 %、イギリス独立党 2%となっている。

 次に、ジョンソンの離脱改定案が提案されれば、下院議員は「賛成するべき」が 46 %、「反対すべき」が25%だった。

 離脱改定案が下院を通過しなかった場合、次のステップはどうすべきかでは、「再度の国民投票」が29 %、 「総選挙の実施」が 26 %になっている。

 なぜ保守党がリードしているのかだが、一つは2016年国民投票の「離脱」という結論が出ていることが重いと考えられる。強硬派は、依然「離脱」強行派だ。議会休会の強行など、ジョンソン政権への批判はもちろん在留派のなかで強いのだが、離脱派はそういうジョンソンをつよく支持する傾向が強い。
 労働党とコービンの支持率が低迷しているのはなぜか。その理由としては、①残留派の世論は、労働党と自由民主党に支持が分裂していて、直近の調査では、自由民主党への支持が徐々に増える傾向にある②労働党とコービンは再度の国民投票を強調してきたが、それでも「残留」の態度を強く打ち出せず、あいまいさがあることへの批判・不信が指摘されている、などが考えられる。

 イギリスのブレグジットをめぐる動向に、今後も継続して注目していきたい。

報告:11.15香港に自由を! 連帯デモ

配信:香港デモ 11月15日、新宿アルタ前広場で「香港に自由を! 連帯デモ」が行われた。呼 びかけ団体は、ApFS労働組合、ATTAC Japan(首都圏)、ジグザグ 会、LACC(反資本主義左翼講座)、NO―VOX Japan。

 中国共産党第19期中央委員会第四回総会(4中総会/10・31)で香港に対して 「特別行政区が国家の安全を守るための法律制度と執行メカニズム」(①「一国 二制度」の堅持と改善②中国政府による香港行政長官や主要高官の任免制度③全 人代常務委による香港基本法の解釈制度の改善)構築とともに「特別行政区の法 執行力強化」を確認しながら、「中国の歴史と中華文化」「国家意識と愛国精神」 教育の強化を押し進めていくことも意志一致している。

 四中総会後、中国の習近平国家主席は香港特別行政区の林鄭月娥行政長官と会 談し、香港の治安回復を命じた。以降、香港政府は、民衆の五大要求〈(1) 「逃亡犯条例改正案の撤回は、撤回を勝ち取ったが、(2)デモの「暴動」認定 の取り消し(3)警察の暴力に関する独立調査委員会の設置(4)拘束したデモ 参加者の釈放(5)普通選挙の実現〉を無視し続け、重弾圧体制を広範に敷き、先 取り的にマスク着用を禁止する「覆面禁止法」制定(10・4)を皮切りにデモ参加 者に対する無差別大量逮捕、警告発砲をせず「銃殺」を前提にした実弾発砲を繰 り返している。

 さらに中国の習近平国家主席は、わざわざブラジルの新興5カ国首脳会議(11・ 14)で「香港行政長官が率いる香港政府の法に照らした施政や、香港警察の厳正 な法執行、香港司法機関の法に照らした暴力犯罪分子の処罰を引き続き固く支持 する」と表明し、香港民衆との全面対決を見据えていくことを国際的に宣言した のである。

 緊迫した現地情勢に連動して、実行委は、「香港は、今や『真の民主主義と自 由』を求める闘いの最前線に立っています。香港の民衆と共に立ち上がろう!」 と呼びかけ、本日のデモをスタートに連帯行動を積み上げていくことを訴えてい る。

 実行委の開催あいさつが京極紀子さんから行われ、「昨日、大嘗祭という天皇 儀式を27億円かけて行われた。200人の仲間とともに東京駅前広場から皇居に向け て抗議行動を行った。性差別・身分差別の天皇制がある日本は、本当に民主主義 国家なのか。世界は民主主義のために闘っている人々がいる。香港の人々は、命 をかけて民主化のために闘っている。自分たちのことは自分たちで決めるという 自己決定のために闘っている。「逃亡犯条例改正」案に端を発して春から民衆の 闘いが高揚し、100万人、200万人がデモに参加している。九月に「逃亡犯条例改 正」撤回を勝ち取ったが、五大要求を実現するために闘っている。しかし、警察 の暴力によって亡くなった仲間、多くの負傷者、大学突入破壊などの暴挙を繰り 返している。2回ほど香港を訪問してきたが、すごく心配だ。香港の民衆は、中国 の介入を見据えながら闘っているが、だからこそ国際的な連帯行動が重要だ」と 強調した。

 稲垣豊さん(ATTAC Japan(首都圏)は、香港民衆と警察との攻防局 面、情勢などを報告し、「11月11日~12日、香港中文大学にいるデモ参加者を検 挙するために警察が突入を試みたが、民衆は約10時間以上も抵抗しつづけた。警 察の無差別テロによって負傷者が60人以上となっている。警察の暴力のエスカレー トを国際的な包囲で少しでも止めさせていくことが緊急に求められている」と発 言。  さらに民主化運動内の状況について触れ、「香港の街頭では親中国派やヤクザ と闘う民衆の衝突が起きている。それだけではなく、残念ながら運動内部におい ても暴力によって相手の言論を封じ込める事態も発生している。運動が過激にな ればなるほど運動内部の民主主義が非常に重要になってきている。ある友人は、 運動内民主主義、香港の民主主義、中国の民主化を一体的に求めて闘っている。 香港のゼネストが呼びかけてられている。親中国派の組合が多いなかで困難な闘 いが続いている。運動の内部状況も含めてリアルな報告と連帯を勝ち取るために 12月に香港の仲間が訪日する。ぜひ多くの仲間が参加され、今後、香港と日本の 連帯運動の発展に向けて共に考え、行動していくことを呼びかけたい」とアピー ルした。

 NO―VOX Japanは、「香港に自由を!連帯行動」の呼びかけを行った。  前段集会終了後、デモに移り、「香港に自由を! 香港民衆の五大要求支持!  覆面禁止法撤回! 実現しよう民主主義」などのシュプレヒコールを繰り返し、 新宿一帯にわたって香港民主化をアピールした。最後に香港の仲間によるシュプ レヒコールが行われ、本日の行動を終えた。

(Y)  

報告:11.14 大嘗祭に抗議するナイトイベント『大嘗祭反対!@トーキョーステー ション』

配信:大嘗祭① 11月14日、終わりにしよう天皇制!「代替わり」反対ネットワーク(おわてんネット)は、午後六時半から東京駅前丸の内駅前広場で「大嘗祭に抗議するナイ
トイベント『大嘗祭反対!@トーキョーステーション』」を行い、 200人近くが参加した。

 天皇「代替わり」関連の2019年度予算は、144億円だ。その内訳は、「即位の礼」
(10・22)の中心儀式「即位礼正殿の儀」などに36億円、台風被災に配慮してなどと延期したが強行したパレード「祝賀御列の儀」(11・10)で使うオープンカーに8000万円など使い放題だ。そして「大嘗祭」には27億1900万円で、儀式に使う大嘗宮の建設・解体はゼネコン各社が行う。安倍政権は、天皇家と連携プレーのうえで大嘗祭を国事行為ではなく皇室行事として実施するが、「重要な皇位継承儀式として公的性格がある」として手前勝手に決めつけ国費を支出した。

 すでに安倍政権と天皇家の水面下における綱引きの現れとして、わざわざ秋篠宮が誕生日記者会見(2018・11・30)で天皇制を強化していく観点から「大嘗祭については、これは皇室の行事として行われるものですし、ある意味の宗教色が強いものになります。私はその宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか」などと批判せざるをえない状況に入っていた。

 天皇制の暴力性の一環として多くのマスメディアは、女性差別・身分差別・神道儀式の天皇教儀式である大嘗祭に対して一切批判せず、疑問、揶揄させえもせず、賛美を繰り返した。その中でも憲法違反(政教分離)が明白な大嘗祭強行に対して産経新聞は、あえて「天皇と国民 つなぐ祭祀」(11・15)と強調し、日本会議の百地章を登場させて「大嘗祭への違憲論 解決済み」と押し出さなければならないという不安定性を自己暴露するほどだ。百地は、大嘗祭違憲裁判の判例をあげながら大嘗祭は「皇位継承のため不可欠な伝統儀式」だから特定宗教への援助ではなく公金支出も許されるなどと弱々しく整合性がない論理で居直るしかないのだ。だから百地は秋篠宮発言に触れることができず、日本会議による天皇家に対するアプローチを前提にして暴論を展開しているにすぎない。

 天皇制強化に向けた綱引きは、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(2017・6)付帯決議の「女性宮家の創設等」の検討も含めて新たな局面に入りつつある。皇位継承議論の関連で天皇主義の自民党議員を中心に「日本の尊厳と国益を護る会」が「男系男子維持のため旧宮家の男子を現皇室の養子にしろ」(10・23)などと言い出している。当面は、徳仁および天皇家、宮内庁、安倍政権との共謀関係を維持したうえで「即位後朝見の儀」(5・1)、「即位札正殿の儀」(10・22)における「お言葉」で示したように改憲を前提にした新たな天皇像をデッチ上げていくためにたち振る舞っていかざるをえない。

 天皇制強化派の矛盾・問題点を暴き出し、広範な反天皇制戦線を広げていこう。憲法違反(政教分離)の大嘗祭強行に対してキリスト教関係者は、「即位諸儀式は神道儀式。国事行為、公的行為とすることは国民主権、政教分離、憲法尊重の義務に違反する」(11・12)と抗議している。安倍政権のグローバル派兵国家建設に向けた憲法九条改悪の野望と連動した天皇制強化を許さず、安倍政権打倒、天皇制解体運動を押し進めていこう。

皇居に向けて次々と抗議アピール

 午後6時半、広場から約900mさきの皇居では天皇教儀式の「大嘗祭」が行われいる。仲間たちは、大量の公安政治警察と機動隊の包囲と妨害に抗して皇居に向けて「天皇ヤメロ 即位反対」、「大嘗“茶番”祭」「終わりにしよう天皇制!」の横断幕、「インチキ大嘗祭」「税金かえせ」などのプラカードを断固として掲げた。

 抗議行動は、井上森さん(おわてんネット)の開催あいさつから始まり、「大
嘗祭に使われるカネは、27億円だと言われている。台風被害で多くの被災者が出ている。100人以上の人が亡くなっている。被災者、復興のためにカネを使わず、天皇の『代替わり』のために儀式、パレードを行ってきたことに天皇制の本質がある。今、天皇制反対があってはならないものになってしまっている。しかし、天皇制に反対する私たちは、ここにいる。全国にもたくさんの仲間がいる。天皇制によって殺され、奪われ、弾圧されたたくさんの天皇制反対のアジアの人々がいる」とアピール。

 参加者全体で皇居に向けて「大嘗祭反対! インチキ儀式やめろ! 税金返せ! 政教分離守れ! 終わりにしよう天皇制!」のシュプレヒコールを突きつけた。

 次々と発言が続く。

 大分の「天皇問題を考える市民ネットワーク」は、「今日は天皇制に反対する大分、福岡の仲間たちが要請行動を行っている。前代替わりの時から裁判も含めて天皇制反対闘争を行ってきた。大嘗祭で天皇教の教組になったつもりの天皇はいらない。湯水のようにカネを使ういっぽうで、私たちはわずかな年金でどうやって食べていけるのか。おかしいことはおかしいと言い続けていこう」と発言。

 「おっちんズ」の「天皇制はいらないよ」の大合唱は、皇居にも響いていった。

 東京の仲間は、「集会に対して警察は囲み、写真を撮っている。これが天皇制
の暴力だ。以前は天皇制容認だったが、歴史を学ぶことによって反天皇制の立場になった。アジアの民の呪いの声を受け止め、私たちの手で天皇制を葬り去らなければならない」と訴えた。

 静岡の仲間は、「今年は反天皇集会を6回、3回のデモを行った。大嘗祭反対集
会を11月10日に行った。裕仁下血の時は、自粛が強制された。天皇制を考える集会に対して静岡県は会場不使用にした。高裁では、『市民の表現の自由は守られるべきだ』という確定の判決を勝ち取っている。粘り強く天皇制に反対していこう」と発言。

 さらに2020オリンピック災害おことわり連絡会、フェミニストグループ「紅一点」、女性と天皇制研究会、即位大嘗祭違憲訴訟などからアピールが行われた。

 最後に再度、「天皇制はいらないよ」の大合唱を行い、反天皇シュプレヒコールが東京駅前と皇居にわたって響いた。

(Y)

報告 : 11月3日、首相官邸前で南西諸島自衛隊配備反対アクション

DSC_027011月3日、琉球弧自衛隊配備反対アクションは、通算20回目になるアクションを首相官邸前で行った。参加者は100人を超えた。


この日本国憲法公布の日である11月3日に行動を行ったのは、「南西諸島における自衛隊配備は改憲成就前に海外で戦争ができる国の物理面での完成になるから」という趣旨が司会から説明され、この問題意識は参加者からも繰り返し、述べられていた。

また、司会の植松青児さんからは「10月にとうとう宮古島保良地区での弾薬庫基地の工事が着工されてしまったが、地権問題は解決してもいないし、地主と裁判になっている。しかし、自衛隊の問題は日本と日本人の問題だ。だから、官邸前で行動をやる。工事はまだ止められる」とあいさつ。


宮古島出身の下地さんは「保良地区で工事が始まって、現地では阻止行動が展開されている。まさに辺野古のような状況だが、あまり『内地』では報道されない。しかし、現地では基地建設が進行している千代田地区の住民が保良に支援に行くなど、連帯のつながりが強まっている。また、保良の土地をめぐる裁判で、新たに地主が『先祖の土地を戦争には使わせない』として、裁判闘争を決意している。この言葉を『内地』の運動で響かせてほしい。宮古にない官邸・国会がここにある。この場所の闘いをもっと大きくしましょう」と訴えた。

参加者へのマイクリレーでは、「安倍はやはりペルシャ湾と紅海沿岸への自衛隊派兵を決意したようだ。絶対に止めよう。今までの海外派兵はすべて資源と権益確保のためのものだった。イランに対しても同様だろう。侵略戦争を繰り返させないためにも、南西諸島に基地を作られてはならないし、改憲を阻止しなくてはならない」の声や「与那国島で最初に自衛隊新基地が作られてしまったことに、声をあげなかった責任を痛感している。あそこからなし崩し的に島々に基地がどんどん作られている。4年前、戦争法反対でこの場所に集まった数万の人々は、真に改憲と戦争を止めるためにこの問題でも立ち上がってほしい」などのアピールが続いた。

(F)



【転載】救援会声明 10・22天皇即位式弾圧★仲間を全員奪還しました!

【救援会声明③ 11/1】
10・22天皇即位式弾圧★仲間を全員奪還しました!
天皇制弾圧ゆるさず11・14大嘗祭反対ナイトイベントへ!


■獄中に11日間も仲間を捕らえながら続けられた「即位祝賀パーティー」

 11月1日、天皇即位式弾圧で不当逮捕され、勾留されていたふたりの仲間をと
りもどしました!やったー!10月25日に先に奪還した仲間もふくめて、3名とも不起訴処分です!無実の仲間を11日間も勾留した警察、検察、裁判所をゆるさない!謝れ!仲間を獄につなぎながら連日「祝賀」パーティーに明け暮れた天皇制を絶対にゆるさない!廃止だ!

 10月22日の天皇即位式反対デモには、500名を超えるひとびとの参加がありました。政府・マスコミの奉祝強制キャンペーンを打ち破って、「祝わない!」「天皇制いらない!」「即位式やめろ!」の声をあげたのでした。首都「戒厳」の2万6千人の警備体制を敷いた警視庁は、デモに凶暴に襲いかかり、3名の仲間を逮捕しました。天皇制反対の声の広がりを、むき出しの暴力を使って押さえ込もうという天皇警察の仕業です!

■天皇制の暴力が明らかに-広がる抗議の声

 72時間の監禁を経て、地検がだした勾留請求を地裁が一度は却下しました。裁判所も勾留をためらうほどの不当逮捕だったということです。ここで1人は奪還できましたが、裁判所は不当にも検察の準抗告を認め、のこり2人にはさらに10日間の勾留がつけられてしまいました。

 被弾圧者は警察の差別的・侮蔑的な取調べに黙秘でたたかいました。弁護団は連日連夜の接見、法的対応、書面作成に全力を尽くしてくれました。救援活動は、デモ当日の警察署抗議を皮切りに、カンパあつめ、警察署前での激励、差し入れ妨害への抗議、10月30日の勾留理由開示公判、地裁前での「なかまをかえせ祭り」、東京地検への抗議など、さまざまな動きを連日展開し、たくさんの仲間とともに弾圧への抗議の声をあげ続け、奪還を勝ち取りました!ツイッター経由で獄中へのたくさんの激励メッセージもいただきました。ありがとうございます!

 勾留理由開示公判で獄中の仲間が「今回の弾圧をうけて、天皇制の暴力性、弾圧の体質に改めて気づかされた」と陳述しました。この弾圧を知った多くの人が同じ思いでいるでしょうし、天皇制の生々しい暴力を初めて知った人もいると思います。ナルヒト天皇制が、その即位式の日に反対デモを弾圧して始まったことを、わたしたちは絶対に忘れません。

■11・14大嘗祭反対ナイトイベントへ!みんなあつまれ~!

 11月14日には、天皇が「皇祖神アマテラス」と共食するという最重要の宗教儀式「大嘗祭」が皇居で夜を徹して行うことが予定されています。一晩の儀式のために27億円もの税金をつかって、天皇の神格化をもくろむ政教分離違反の宗教儀式が行われようとしています。

おわてんねっとは、この大嘗祭に抗議するナイトイベント「大嘗祭反対!@トーキョーステーション」を11月14日18:30~東京駅前丸の内駅前広場で行います!

天皇制弾圧をはねかえし、「終わりにしよう天皇制!」の声をもっともっと!なかまたち!引くなー、押せ押せ!

      

2019年11月1日 「10・22天皇即位式弾圧救援会」
「救援カンパをよろしくおねがいします」
  弁護団は大奮闘してくれました!
最低限の弁護士費用をお支払いしたいのですが、不足してます!
カンパを引き続きよろしくおねがいします!

◆救援カンパの送り先→【郵便振替00100-3-105440】 「救援連センター」あて 
※共用の宛先です。「10・22天皇即位式弾圧救援カンパ」と必ずご明記ください。

報告:10.31「香港人反抗! デモとお粥と催涙弾」報告会/ATTAC Japan(首都圏)

10.31香港 10月31日、ATTAC Japan(首都圏)は、新宿・カフェ・ラバンデリアで「香港人反抗! デモとお粥と催涙弾」報告会が行われた。

 香港民衆は、容疑者送還条例の改悪(容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例)に対して6月から大規模なデモを連続的に展開し(6・9は103万人)、7月には香港に拡大していった。すでに逮捕者が9月下旬までに1556人以上にもおよんでいる。そんな中でも民衆は、5大要求〈(1)「逃亡犯条例改正案の撤回は、撤回を勝ち取ったが、(2)デモの「暴動」認定の取り消し(3)警察の暴力に関する独立調査委員会の設置(4)拘束したデモ参加者の釈放(5)普通選挙の実現〉を掲げ、断固として闘い抜いている。

 逆に、反対運動の拡大にともなって中国政府は反対運動の鎮圧指示を香港特別行政区政府に強め、機動隊を先兵に殺人的な暴力弾圧をエスカレートさせている。それだけではない。暴力団ヤクザを動員しながら機動隊の弾圧を強化していくありさまだ。あげくのはてにデモ参加者のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を制定〈10・4〉し、無差別大量逮捕を強行している。

 また、中国共産党第19期中央委員会第4回総会(10・31)では、香港の反対運動をターゲットにしたコミュニケを出し「国家の安全を守る法律制度と執行メカニズムを確立する」「一国二制度を堅持し、香港基本法に基づいて管轄統治を厳格に実行する」と強調し、香港政府の弾圧を支援、強化していくことを確認している。民衆は、中国政府・香港政府と対峙しつつ、反撃陣形を再構築しつつある。緊迫した現地と情勢に注目し、日本における香港民衆連帯・支援の取り組みが求められている。

 京極紀子さん(ATTAC Japan(首都圏)、稲垣豊さん(同)は、7月1日の香港返還記念日のデモ、9月15日の民間人権陣戦の呼びかけたデモに参加した。現地での様々なデモ、仲間たちとの交流、立法会包囲、機動隊の暴力に抗する民衆などの写真と動画を上映しながら報告した。報告会では交流を深めるためにマスター手作りの『お粥』が提供された。

 開催あいさつが京極さんから行われ、「6月9日に103万人、16日が200万人プラス1人(亡くなった仲間も含めて)のデモが行われ、以降も大規模なデモが続いている。香港の人口が800万人だから4人に1人がデモに参加している。政権が倒れてもおかしくはないが、バックに中国政府がいるため倒れていない。行政長官は、デモの収束をねらって条例撤回を明言せざるをえなかったが、覆面禁止法を制定し、機動隊の暴力も激しくなっている。民衆は五大要求の実現に向けて闘っている。中学生、高校生も起ち上がっている。私たちは、反グローバリズム、オリンピック反対などの取り組みとともにインターナショナルな出来事にもつながっていきたいと考えている」と述べた。

 稲垣さんは、①容疑者送還条例改悪の解説と批判②五大要求の積極性③11月24日に行われる香港の区議会議員選挙(地方選挙)と政府の妨害実態などを浮き彫りにした。そのうえで「中国政府は、中国の中に香港情勢を伝えられないように妨害している。正しい情報が伝わることを恐れている。香港の実態について各方面に発信し、連帯の輪をひろげていきたい」と強調した。

 香港の仲間は、「政府は、逮捕者を増やせば収まると考えている。街中で買い物に出ているだけで逮捕されるケースもあるほどだ。昨日も団地に入り込み、デモから逃げた人を逮捕するために不法侵入した。その住民に対しても逮捕するぞと脅かし、手を上げさせていた。当初のデモに対する弾圧と比べると、すさまじい形で弾圧されている。日常的になっている。デモが始まる前、黒Tシャツを呼び止め、カバンにマスクとか持っているだけで逮捕する。警察は、デモ参加者の格好をしてデモ隊列に潜り込み、突然、参加者を逮捕したり、挑発行為を行っている。香港の地下鉄は、警察、機動隊の移動のために優先的に使われている。地下鉄にデモ参加者がいると襲撃も行う。行方不明者も出ている。状況は大変厳しい」と報告した。

 マカオの仲間は、「マカオは、ポルトガルから1999年に中国に返還された。ほとんどの人は中国政府を応援している。だから民主運動を行うのは、大変だ。僕みたいに中国政府を批判し、香港のデモ応援する人は少ない。だが香港が勝ったら大きな変化を作るだろう。正しいことをやつている香港の人々を応援していきたい」と述べた。

 最後に京極さんは、「1997年に香港が返還され、一国二制度で50年間は建前上、今までのままだということになった。だが22年たったが自由選挙になっておらず、だんだん中国に支配される危機感を感じている。香港の人たちは、今、声をあげないとだめだという覚悟を持っている。11月に区議会選挙があり、中国派と対抗して民主派が多数立候補する。見せしめ的に立候補を認められない人もいる。政府は暴力団のテロなども使って恐怖支配を策動している。支援・連帯の呼びかけに応えていこう」とまとめた。

 さらに行動提起①香港連帯スタンディング/11月3日(日)16時~17時、JR御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口 ②「香港に自由を!連帯行動」/11月15日(金)、午後七時、新宿駅東口アルタ前広場―が行われた。
          
(Y)

【トルコのクルディスタン侵略戦争糾弾!】ソリダリティ(米国社会主義組織)の論評

_20191101_192004(画像はロジャヴァ・ダークでのクルド民衆の抗議デモ。スローガンは「"トルコISIS"による占領反対」。10月24日)

クルドへの裏切り トランプのデタラメさ際立つ

デイヴィッド・フィンケル




帝国主義者をも 困らせる裏切り

シリアのクルドの人々に対するドナルド・トランプの不実な裏切りは、帝国主義には「長続きする友など一人もいず、利益への永遠の関心しかない」との昔からの格言に新たな命を与えている。確かに、クルドへの最終的な裏切りはほとんど不可避だった――それ以前に何度も起きたように――。しかし、トランプがそれを行った特別なやり方は、本当に人を驚かせるものだった。彼はそれを、ペンタゴン、国務省、「国家安全保障」スタッフ、主要な同盟者、あるいは彼自身の偉大かつ無比の知恵を除く他の誰にも相談することなく、トルコの独裁者で彼の相棒であるエルドアンとの電話会談直後にやったのだ。そしてもちろんそれは、今も展開するいくつもの形で、米国の国内的紛糾へと流れ込んでいる。

 私は次のように考えている。つまりわれわれは、トランプ―エルドアン電話会談の複製記録が「機密扱い」サーバーに保存されてきた、と相当程度疑うことができる、そしてその同じサーバーには、ウクライナ大統領のゼレンスキーに対する「見返り」の電話、また(われわれがこれまで学び取ったように)他の外国の指導者に対する同じようなものが、不正告発者や議会で調査に臨む者たちが知ることのできない形で安全にとどまるよう隠されている、ということだ。エルドアンが長く温めていたシリア北部への侵攻計画に危険はない、と彼が分かるようにトランプが手配を整えた、と明らかにすることは、不都合なことになるかもしれない。

気まぐれからたわごとへ

現在の件では、撤退し、クルドの諸部隊と非武装の住民を干からびるまで吊して放置することに、帝国主義的な物質的利益すらなかった。それはまさにトランプの気まぐれだった。

シリア北部の米軍は大きな打撃力とはほとんど言えなかった、ということを心にとどめよう。それは、トルコの進入を止めるワナの針金、そして「イスラム国」(ISIS)と戦っているクルド諸部隊に対する兵站/情報 支援としての、小さな存在だ(だった)。その撤退は、大口ツイートが自慢するような、米国の「終わりなき中東戦争」からの撤退、を意味するものではない。それらの部隊は故国に向かおうとはしていず、イラクや近くのどこかに再配置されるだろう。

事実が突きつけられるとトランプは、その侵攻がいくつかの明示のない「限界」を超えるならば「トルコ経済を破壊する」だろう、とわめいた。そのたわごとをまじめにとるものは誰もいない。

エルドアンであろうが、逃げまどっている何万人という市民であろうが、米国の欧州の同盟者であろうが、またその真空にどう動く可能性があるかを今じっくりと考えているシリアの政権やイランやロシアであろうが、さらにその復活の潜在的可能性が世界の首都で当然にも恐れられているISISであろうが、そうだ。

人間的犠牲があまりに大きい

トランプは彼のポストファクトのたわごとの中で、クルドはシリアの中でISISに対する戦闘を行ったということを認めたが、しかし彼らは「彼ら自身の土地」を守るためにそうした(もちろんだ!)のであり、「彼らはノルマンディーでわれわれを助けなかった」(一体何をいっているのか??)、と語った。

悲劇であることは、クルドの諸部隊に、また自由と自己決定を求めるその熱望とシリアの修羅場のど真ん中で彼らが築き上げた進歩的なロジャヴァ構想が今潰されようとしているその民衆に、物質的な援助と武器を提供する能力が世界の左翼にまったくないことだ。われわれがもっているすべては、米国と欧州がトルコ政権に緊急の懲罰的制裁を加えるよう求めるわれわれの声だ。

極短期的な見通しは、多くの反革命的な諸勢力――トルコ、イラン、ロシア、アサド政権、ISIS――間の残忍な対立だ。われわれは、その結果や諸々の死の大きさ、あるいは新たな難民危機を予想することはできない。一つの結果は、米国とその約束が再び信用されることは決してない、ということかもしれない。それはそれ自身一つの良い教訓であろうが、しかしその人間的犠牲はあまりに大きすぎるのだ。

▼筆者は、米国の社会主義組織、ソリダリティ発行の「アゲンスト・ザ・カレント」の編集者。(「インターナショナルビューポイント」2019年10月号) 


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